ロイヤルカスタマーとは?メリットや育成方法、注意点を解説

 
2023.8.17

企業が売上を向上させていくには、顧客から長期間にわたって、収益を得ることが重要です。そのためには、企業のファンともいえるロイヤルカスタマーを育てる必要があります。では、ロイヤルカスタマーを育てるには、どうすればいいのでしょうか。

ここでは、ロイヤルカスタマーが企業にもたらすメリットや育成方法、注意点などについて解説します。

 
 
 
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ロイヤルカスタマーは自社に愛着を持ち、収益をもたらす顧客

ロイヤルカスタマーは、自社の製品やサービスに対して、愛着とロイヤルティを持ち、長期間にわたって企業に収益をもたらしてくれる顧客です。経営環境が難しくなる中、多くの企業にとって、ロイヤルカスタマーの重要性が高まっています。

ロイヤルカスタマーについては、明確な定義はありませんが、以下の条件にあてはまる顧客をロイヤルカスタマーととらえるのが一般的です。

<ロイヤルカスタマーのイメージ>

  • 自社の製品やサービスを、繰り返し購入・利用している
  • 競合他社へ移行しない
  • 周囲の人に自社の製品やサービスを推奨している

ロイヤルカスタマーがもたらすメリット

ロイヤルカスタマーの存在は企業に多くのメリットをもたらします。ここでは3つのメリットを紹介します。

売上の安定に貢献する

ロイヤルカスタマーがもたらすメリットは、売上の安定に貢献することです。スマートフォンの普及と通信環境の整備によって、顧客は膨大な情報を瞬時に手にすることができるようになり、ビジネスの高速化も進行しました。少子化と人口減少による市場の縮小などの影響もあり、多くの企業が厳しい競争にさらされています。

このような環境で、企業の売上安定にとって、ロイヤルカスタマーの存在は重要な要素となります。ロイヤルカスタマーは、定期的な購入を続け、他社の製品やサービスに移ってしまうことがありません。ロイヤルカスタマーから得られる収益は、企業の売上の安定を支えてくれます。

情報発信・フィードバックしてくれる

自社の製品やサービスについて、情報発信・フィードバックしてくれる点も、ロイヤルカスタマーがもたらすメリットです。ロイヤルカスタマーは自社の製品やサービスに好感をもっており、SNSなどで自社の製品やサービスについて、好意的な情報を発信してくれる可能性があります。

また、製品やサービスに不満がある場合には、突然他社の製品やサービスに切り替えるのではなく、改善の要望などを自社にフィードバックしてくれるでしょう。ロイヤルカスタマーからの情報発信やフィードバックが期待できる点は、企業にとって大きなメリットです。

新たな顧客を連れてくる

ロイヤルカスタマーが友人や同僚など、新たな顧客を連れてくる点も、企業にとってのメリットといえるでしょう。ロイヤルカスタマーは新規顧客開拓にも貢献してくれる存在です。顧客自身が製品やサービスに好感を持っていれば、周囲に紹介してくれる可能性があります。紹介された見込み顧客にとっても、親しい存在からのおすすめがあれば、安心して製品やサービスを選択できるでしょう。

ロイヤルカスタマー育成の際に注意すべきポイント

企業にとって重要な存在となるロイヤルカスタマーを育成する際には、注意すべきポイントがあります。ここでは2つ紹介します。

ロイヤルカスタマーは優良顧客とは異なる

ロイヤルカスタマーは優良顧客とは異なるという点が、ロイヤルカスタマー育成時に注意すべきポイントです。一般的に、企業にとっての優良顧客はリピーターを指しています。単純なリピーターとロイヤルカスタマーとでは、自社の製品やサービスに対する愛着やロイヤルティが異なります。

ロイヤルカスタマーは自社の製品やサービスに愛着やロイヤルティを持つ顧客です。一方で、リピーターの中には、以下のような要因から、ロイヤルティが低い場合があります。

<リピーターなのにロイヤルティが低い要因>

  1. 長期契約のため、解約したくてもできない
  2. 解約手続きに手間がかかり、面倒で解約していない
  3. 不満はあるが代替となる他社製品やサービスがなく、仕方なく継続使用している

1つ目の要因には、長期の契約期間がある場合や、期間内の解約に違約金が発生するケースも該当します。2つ目の要因は、契約はインターネットでかんたんにできたが、解約は店頭でしかできないというような場合です。いずれの場合も、顧客は継続購買していますが、ロイヤルティは下がる一方です。3つ目の要因の場合には、他社の優れた製品やサービスが登場したら、あっという間に移行されてしまうでしょう。

継続的なロイヤルティの計測・向上が必要

継続的に顧客のロイヤルティの計測・向上に取り組む必要がある点も、ロイヤルカスタマー育成時に注意すべきポイントです。売上と利益を追求するのは企業として当然のことですが、顧客が本当に満足しているかどうかを可視化し、さらに向上を図ることを怠ってはいけません。そうした行動の蓄積があって、真にロイヤルティの高い顧客を育成することが可能になります。

顧客がロイヤルティを持たずにリピートしている場合、このような売上はロイヤルティの向上を伴わないため、長期的な視点ではマイナスに働く可能性があります。たとえば、現在の売上金額が多くても、ロイヤルティの低い顧客が大半の場合、優れた競合製品やサービスが登場すれば、顧客の大量離脱が発生してしまうでしょう。一方で、同じ売上規模でも、ロイヤルカスタマーが多ければ、他社に切り替えてしまう顧客を、全体の一部にとどめることができるでしょう。

ロイヤルカスタマーを育成するための施策

ロイヤルカスタマーを育成するためには、どうすればいいのでしょうか。ここでは5つの施策を紹介します。

LTVとNPSでセグメント分類する

顧客のセグメント分類は、ロイヤルカスタマー育成の第一歩です。顧客が取引を始めてから終えるまでの利益の総額を示すLTV(ライフタイムバリュー)と、ロイヤルティを計測するNPS(ネットプロモータースコア)を活用します。

NPSは、自社製品を「友人や同僚にすすめたいかどうか」という設問に対し、最低の0点から最高の10点までで顧客に評価してもらい分類する手法です。

LTVとNPSのそれぞれの高低で顧客を4つの領域に分類します。以下の図のように「真のロイヤルカスタマー」がどこにいるか明確になるだけでなく、購買量は少ないけれどもロイヤルティは高い「潜在的ロイヤルカスタマー」の存在も明らかになります。この顧客群はロイヤルカスタマーへと育成できる可能性が高いグループです。

参考:LTV(ライフタイムバリュー)とは?重要な理由や向上させる方法

■LTVとNPSでのセグメント分類

さまざまな部門で対応策を考える

さまざまな部門で対応策を考えることも、ロイヤルカスタマーを育成するための施策です。セールスやマーケティング部門だけでなく、開発やサポートなどの各部門がそれぞれに取りうる施策を検討します。

セグメント分類した顧客群のうち、たとえばNPSが低い層にはどう対応すればいいでしょうか。「製品やサービスに不備がないか」「ニーズに応えられていないところはないか」「ユーザーサポートに不足はないか」など、幅広い範囲でNPSが低いのかを検討し、企業全体で改善に取り組むことが必要です。

CRMを活用する

CRM(顧客管理システム)の活用も、ロイヤルカスタマーを育成するための施策のひとつです。顧客の属性や過去のコミュニケーションを分析し、それぞれの顧客にマッチした対応策を実施します。このような営業活動が顧客のロイヤルティ向上につながります。

ただし、CRMの活用において注意したいのは、顧客が自社の製品やサービスを購入したかどうかの行動履歴を確認するだけでは不十分だという点です。ロイヤルティを高めるには「なぜその購買行動に至ったのか」について掘り下げ、その要因を明確化しなくてはなりません。そのために、顧客の心理を探っていくことが重要です。

アンバサダーマーケティングを活用する

アンバサダーマーケティングの活用も、ロイヤルカスタマーを育成するための施策のひとつです。アンバサダーマーケティングは、自社の製品やサービスの熱烈なファンを情報発信に活用する手法です。見込み顧客にとって、身近な人から製品やサービスを紹介されれば、購入に踏み切りやすいでしょう。

著名人をインフルエンサーとして活用する場合、影響力は大きいものの、見込み顧客はあくまでも広告であると受け止めます。一方、一般のアンバサダーなら、見込み顧客も肯定的にとらえやすく、口コミでの拡散や各種キャンペーンでの効果が期待できます。

コミュニティマーケティングを展開する

コミュニティマーケティングの展開も、ロイヤルカスタマー育成の施策といえるでしょう。コミュニティマーケティングは、企業が自社の製品やサービスを使用する顧客を集めてコミュニティを形成し、その場を通じてさらに顧客を広げていくマーケティング手法です。

このコミュニティは、製品やサービスのファンの集合体ともいえる存在です。定期的に集まる機会を設ければ、製品に関する情報交換やコミュニケーションが盛んになります。このような活動の中で、自社へのファンが増えていくとともに、製品やサービスに対する評価や意見が発せられ、より優れた製品を生み出すきっかけにもなるでしょう。自社のファンが見込み顧客を引き込んで、コミュニティが拡大し、その中でロイヤルカスタマーが育成されていきます。

ロイヤルカスタマーを育成して売上向上に貢献しよう

ロイヤルカスタマーは、企業の売上向上にとって重要な存在です。ロイヤルカスタマーの育成はかんたんではありませんが、多くの施策があるため、さまざまな手法で積極的に取り組むと良いでしょう。

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