ビジネスでのペルソナとは?設定方法からマーケティングでの活用方法まで

 
最終更新日:2024.4.1
ペルソナとは、サービスや商品の典型的な顧客・ユーザーを表した仮想の人物像のことで、マーケティングに活用される概念です。意味や目的、ターゲットとの違いから、作り方、ビジネスやマーケティングにおいての活用方法まで解説します。
 
 
 
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ペルソナとは

「ペルソナ」とは、サービスや商品の典型的な顧客を表した仮想の人物像を指します。おもに用いられるのは、商品やサービスの開発やマーケティング戦略を立案する場面です。利用者の属性やライフスタイル、好みなどを想定することで、マーケティング戦略の具体化に役立てます。

本来、ペルソナは心理学の用語で人格の側面を表し、もともとは古典劇で登場人物が着用する“仮面”を指す言葉です。これらの「人の側面」や「役を演じるための仮面」といった言葉が転じて、マーケティングにおける「仮の人物像」という意味で用いられるようになりました。

 
 
 
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ペルソナを設定する目的・メリット

ペルソナを設定する目的はターゲットの具体化で、以下のようなメリットがあります。

  • 顧客のニーズが明確になる
  • 担当者間で共通認識を持つことができる
  • ターゲットに合わせたマーケティング施策や商品企画がしやすくなる

顧客のニーズは、商品やサービスをアピールする上で特に重要なポイントです。ニーズが明確になれば作成するコンテンツの方向性が定まり、適切なコミュニケーション方法の選定にも役立ちます。また、担当者間で具体的なターゲット像を共有することで、お互いの認識のズレを減らすことも期待できます。

とはいえ、ペルソナは、あくまでも仮想の人物像であることを忘れてはいけません。つねに現実のユーザーに目を向け、顧客の多様性や変化に対応することが大切です。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとターゲットは似ている概念ですが、具体化のレベルにおいて違いがあります。

ターゲットとは、「想定顧客層」を指す言葉です。属性や条件によって分類され、「30代から40代の男性サラリーマン」や、「20代から30代の主婦」のように、想定する顧客を大まかにグループ化するのに用いられます。

一方で、ペルソナは、より具体的な顧客像が設定されます。「35歳既婚女性、子ども2人の育児中、IT系の職業に従事、趣味はスポーツ」といったように、年齢や職業、趣味、性格などを細かく想定し、一個人レベルの顧客像を描いていきます。

ペルソナを設定するときの注意点

ペルソナを設定する際は、まず実際のユーザーの声を捉えた一次情報に基づいて客観的なデータを集めることが重要です。これにより、思い込みや理想ではなく、実際に存在するユーザー群を反映したペルソナを構築できます。

さらに、ペルソナの共通理解を深めるためには、写真や動画などのビジュアル素材を活用し、チームメンバー間での解釈のズレを防ぎます。

そして、環境やユーザーの変化に対応できるよう、ペルソナの定期的な見直しを行い、現実のユーザーとのズレを修正していくことが必須です。

これらのアプローチを踏まえ、効果的なマーケティング戦略を実行するための、正確な共通のペルソナ像を確立し、チームメンバー間で共有することが、成功への鍵となります。

ペルソナマーケティングは古い?

近年「ペルソナマーケティングは古い」と言われることがあります。その理由として、よく挙げられるものが以下です。

  • タッチポイントの多様化
  • MAツールなどの発達

ペルソナマーケティングが提唱されたころは、今よりもメディアやチャネルが限定的で、ペルソナだけで顧客像をある程度絞り込めました。しかし、デジタル化が進むにともない、ペルソナのみでは不十分となりつつあります。

しかし、ペルソナが不要になったわけではありません。ペルソナは顧客理解を深めるために有用であり、顧客が抱える課題や問題へのアプローチ方法を考案することにも役立つ概念です。また、顧客の属性をペルソナという仮想人格にすることで、組織内における共有も容易になります。つまり、これからのペルソナマーケティングは、既存の手法をベースに、MAツールのような新たな取り組みを加えてアップデートしていく必要があると言えるでしょう。

ペルソナの作り方

ペルソナ作成の流れは、以下のとおりです。

1)ターゲット層を決める
2)情報を収集する
3)具体的な人物像を作成
4)定期的な見直し

全体的な流れは、大きなターゲット層を決めてから徐々に具体化していき、定期的に見直すという手順で進めます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1)ターゲット層を決める

まずはサービスや商品を利用するターゲット層を絞ります。具体的なペルソナを決める前にターゲット層を設定することで、ペルソナのミスマッチを防げます。

若年層、中高年層、男性、女性など、大きな枠組みから決め、徐々に詳細化していきましょう。注意すべき点は、この段階で決めるのは「母数が大きな共通属性」に留めることです。あくまでペルソナを設定するための、母集団の選定としてターゲット層を決めていきます。

2)情報を収集する

次に、設定したターゲット層から年齢層、性別、趣味、職業、ライフスタイルなどの情報を収集します。情報収集には、以下のような方法を用います。

  • アンケート
  • 顧客へのインタビュー
  • 口コミ
  • ブログ
  • SNS

方法を選択するポイントは、どこで必要な情報の収集ができるか、目星をつけてからスタートすることです。アンケートやインタビューでは、あらかじめ必要な情報が聞き出せそうな設問を考えておきましょう。

なお、収集した情報だけでなく、既存の顧客データを分析することも有効です。両方のデータを組み合わせれば、より具体的なペルソナ像を作成できます。

3)具体的な人物像を作成

収集した情報をもとに、具体的な人物像を作成します。ペルソナ像に盛り込む代表的なデータには、以下があります。

  • 基本情報(名前、年齢、職業、ライフスタイル、趣味など)
  • 背景やストーリー
  • 写真・イラストなどのイメージ

この段階で、できるだけ具体的な情報を盛り込むと、よりリアリティのあるペルソナ像を作成できます。商品やサービスを手に取るまでのストーリーや、人物やシーンをイメージした写真・イラストを加えるとよりイメージを具体化しやすくなります。その上で、その顧客が抱える課題や問題も想定し、それに対する解決策を考えます。

BtoBでは、ペルソナの設定に意思決定権や課題、契約意向などの商談に関する条件も必要です。商談の成否は、人物像よりもその人物が持つ権限や、置かれた状況などが大きなウェイトを占めます。ペルソナはマーケティングのために用いられることを念頭に置き、成果を得るための情報も盛り込みましょう。

4)定期的な見直し

ペルソナは、ターゲット層の変化へ対応するために定期的な見直しが必要です。顧客のライフスタイルや好みの変化から、新たな課題やニーズが発生することもあります。

また、ターゲット層ではなく、市場環境の変化によっても見直しが必要になります。年に数回はペルソナと顧客像にズレがないかをチェックし、必要に応じてマーケティング戦略に反映させましょう。

ペルソナの参考例

ここで、実際に作成したペルソナの具体例を紹介します。1つのペルソナをBtoBとBtoC両方の視点から見てみましょう。
 
 

プロフィール

名前:山田太郎
年齢:48歳
学歴:都内大学
家族構成:3人(妻、娘2人)
居住地:埼玉県所沢市
趣味:釣り、ゴルフ

職業情報
勤務先:部品メーカー
会社規模:300人
部署:営業部
役職:事業部長
意思決定の立場:決定権あり
仕事内容
営業本部全体を管理するマネージャー。インサイドセールスからフィールドセールスの目標管理、売上分析、進捗・予実管理を行っている。事業部全体で35名のスタッフが所属。
課題
営業成績が振るわず、売上が下がっている。組織改革や営業手法のテコ入れが必要で、その方法としてデジタル化は早く着手したいと考えているが、何から始めるべきかわからず情報収集を行っている。
情報収集方法
イベント会場に何度か足を運んでいる。
契約意向
自社に合う製品が見つかったら、今すぐにでもトライアルしてみたい
検討期間 長期間

今回、作成したペルソナは、BtoB視点から切り口を設けた、部品メーカーに勤める40代の事業部長です。会社内での意思決定権を持ち、同時に営業成績へ課題を持っています。すでに解決方法を見つけるために行動中で、良い製品を見つけたいと思っています。このペルソナを営業目線から見ると、最適な製品さえあれば、すぐにでも商談を持ち掛けたい相手ではないでしょうか。

このペルソナ像をもとに、このような潜在顧客をどこで見つけ、どんな手段でコンタクトを取ればよいか、最適なコンテンツやPR法を考えていきます。

BtoC視線でこのペルソナ像を想定する場合は、個人の情報が重要です。家庭状況や趣味などから消費動向を考え、商品やサービスのPR方法を考案します。

 
 
 
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ペルソナの活用方法

設定したペルソナは、以下のようなマーケティング施策へ活用できます。

  • カスタマージャーニーマップの作成
  • ステップメールのシナリオ作成
  • MA(マーケティングオートメーション)のシナリオ設計

ペルソナは、単発の施策で使いきるものではありません。具体化された仮想顧客であるペルソナは、顧客を想定するさまざまなシーンで活用できます。ここでは、上記3手法について、ペルソナの活用方法を紹介します。

カスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを購入するまでの過程を視覚化したものです。顧客が必要とする情報やアプローチするべきタイミングを把握でき、最適なコンテンツやコミュニケーションの選定に役立ちます。

カスタマージャーニーマップの活用には、ペルソナの設定が欠かせません。具体化された顧客像がたどる意思決定プロセスを視覚化することで、的確なマーケティング戦略を立てられます。

以下の記事で、カスタマージャーニーマップの作成手順や事例などを解説しています。ペルソナの活用に不可欠な内容となっているので、ぜひ一度目を通してみてください。

ステップメールのシナリオ作成

ステップメールとは、メールを使ったマーケティング手法のひとつで、事前に用意した一連のメールをシナリオに沿って順次配信するマーケティング手法です。顧客心理に適したコンテンツをタイミングよく提供することで顧客の興味を引き、販売・成約につなげます。ステップメールの内容は、受信者に合わせた具体性が求められるため、ペルソナで受信者像を具体化することで、より効果的な内容を作成できます。

以下の記事で、ステップメールの作成手順やシナリオ作成のポイントなどを解説しています。基本から分かりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

MA(マーケティングオートメーション)のシナリオ設計

MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティングの一部または全部を自動化することです。MAは一般的に「MAツール」と呼ばれる自動化ツールが使われ、事前に作成した設計図である「シナリオ」に沿って、コンテンツの自動配信が実行されます。

MAは、シナリオの精度次第で成果が大きく変わってきます。シナリオ設計で重要なのが、適切なカスタマージャーニーの作成とターゲット属性の具体化です。ペルソナを設定してターゲットを具体化すれば、その行動も詳細に予測ができ、より精度の高いシナリオを作成できます。

以下の記事に、MAのシナリオ設計のポイントをまとめています。MAを活用する前に、ぜひチェックしてみてください。

ペルソナは、マーケティングのターゲットを明確化し、提供するコンテンツやコミュニケーション手法などを具体化できる、多くのマーケティング手法に用いられる概念です。自社における仮想顧客とも言い換えられ、ペルソナの設定プロセスを通じて、顧客理解を深め、イメージを共有する効果も期待できます。

ペルソナの精度は、マーケティング施策の成果に影響を与える重要な要素です。より効果的な施策を実施できるように、日ごろから顧客に目を向け、ペルソナにフィードバックできる体制を整えておきましょう。

 
 
 
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