【図解】SWOT分析とは?やり方から具体例、注意点まで解説

 
2023.5.12
 
 

カルデラ 久美子

株式会社セールスフォース・ジャパン マーケティング本部
デマンドジェネレーショングループ統括 シニアディレクター

 

SWOT(スウォット)分析とは、自社の内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)として洗い出し、分析する手法で、企業や事業の現状を把握するためのフレームワークです。SWOT分析のやり方から具体例、注意点まで、図解付きで分かりやすく解説します。

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SWOT分析とは

SWOT(スウォット)分析とは、経営戦略を立案するために、内部環境と外部環境のプラス面・マイナス面を洗い出す現状分析手法です。

「SWOT」とは、内部環境と外部環境における各要素を表しています。ここでいう内部環境とは自社内を、外部環境とは市場や競合他社など、自社に影響を及ぼす外部要因を指します。

【内部環境】

S:強み(Strength)/自社や自社製品・サービスに好影響を与える内部環境の要素

W:弱み(Weakness)/自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす内部環境の要素

【外部環境】

O:機会(Opportunity)/自社や自社製品・サービスに好影響を与える外部環境の要素

T:脅威(Threat)/自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす外部環境の要素

ちなみに、SWOT分析は古くから用いられているため「時代遅れ」といわれることもありますが、視点を偏らせずに現状を客観的に把握でき、現在も活用されている基本的な手法です。

 
 
 
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SWOT分析の目的

SWOT分析は自社や自社製品、外部環境に対する現状把握とその後の計画立案のために利用されます。

SWOT分析を行うにあたっては、最初に必ず明確な目的・目標を設定しましょう。何のために分析を行っているのか共有しておくことで、ブレなく戦略が立てられ、マーケティング施策に落とし込むときもスムーズに進めやすくなります。

自社にとってポジティブなところだけを見るのではなく、ネガティブな要素にも目を向けることで、今後の改善点が見つかります。「今、自分たちはどこにいるのか?」SWOT分析はその立ち位置を把握するのに有効な手法です。

また、今日のマーケティングにおいては、AIとデータの活用が鍵となっています。世界の5,000人のマーケターの意見をもとに集約したマーケティングの最新事情レポートもあわせてご覧ください。

SWOT分析のやり方

SWOT分析の手順はおもに以下の3段階に分けられます。

  1. 内部環境の分析
  2. 外部環境の分析
  3. クロスSWOT分析の実施

内部環境と外部環境をそれぞれ洗い出し、最後に両方を掛け合わせるという流れです。
ここからは、実際にSWOT分析を行う手順を解説していきます。

1.内部環境の分析

最初に内部環境の分析を行います。

ここでいう内部環境とは、自社に内在している、経営に対して影響を与える各種要素のことです。強みと弱み、両方の視点から各種要素を洗い出し、それぞれ割り振っていきます。

<内部環境の要素の例>

  • 消費者の認知やブランド
  • 品質や価格
  • 立地
  • 人材の数や質
  • ノウハウ

これらの各種要素とは、あくまで自社内に現存する「状態」や「事象」を指します。個人的な意図や気持ちなど、自社内の共通認識でない「考え」や「思い」は含めないよう注意しましょう。

強み(S)の見つけ方

内部環境分析が難しければ、論理的思考がしやすくなるフレームワークを用いると分析しやすくなります。代表的なフレームワークには下記のようなものがあります。自社の強み(S)は、自社内における売上や信頼を獲得する要素などをピックアップすると見つけやすいです。分かりやすい点はブランド力やノウハウなどですが、業界や自社特有の視点からも探してみましょう。

<強み(S)の例>

  • 通り沿いの店舗で立地が良い
  • 高品質の原料を吟味して使っている
  • 老舗ならではのノウハウと人脈がある

ここで挙げた例は、ごく一部です。強みの種類は、企業の数だけあります。自社のセールスポイント探しも兼ねて、洗い出してみましょう。

弱み(W)の見つけ方

自社の弱み(W)は、自社内の課題をピックアップすると見つけやすいです。

<弱み(W)の例>

  • 商品やサービスの品質が低い
  • 商品やサービスの料金が高い
  • 知名度が低い

弱みを見つける作業は、社員が心に留めている自社の課題を吐き出させる機会にもなります。あらためて自社の課題を洗い出せるメリットもありますが、愚痴の言い合いとなって話が脱線しないように注意しましょう。とくにマイナス要因は、個人的な思いが乗りやすいので、事前に「フラットな目線で現状把握する」という目的を共有しておくのがおすすめです。

内部環境分析に有効なフレームワーク

内部環境分析が難しければ、論理的思考がしやすくなるフレームワークを用いると分析しやすくなります。代表的なフレームワークには下記のようなものがあります。

■4C分析

顧客が商品購入へ至るまでに影響を与える4つの要素を顧客目線で考え、最適なアプローチ方法を分析する手法です。4つのCは以下のとおり。

  • 顧客価値(Customer Value)
  • コスト(Cost)
  • 利便性(Convinience)
  • コミュニケーション(Communication)

■4P分析

顧客ニーズに対応した製品やサービスを提供するために、影響を与える4つの要素を企業目線で考える分析手法。4つのPは以下のとおり。

  • 製品(Product)
  • 価格(Price)
  • 流通(Place)
  • 販促(Promotion)

2.外部環境の分析

次に外部環境の分析を行います。

ここでいう外部環境とは、自社外に存在する、自社に対して影響を与える各種要素のことです。「機会」と「脅威」の視点から要素をピックアップし、それぞれ割り振っていきます。

<外部環境の要素の例>

  • 業界全体の市場規模と成長性
  • 国内経済の状況
  • 流行や話題性
  • 周辺の環境
  • 競合企業の動向

外部環境は、業界全体や国内経済の状況といった大きなものから、競合企業の動向のような小さなものまで、規模はさまざまです。視点を変えると多くの要素が見つかるため、多角的な視点を大切にしましょう。

機会(O)の見つけ方

機会(O)は、外部から自社を見たときにチャンスとなり得る要素を探すと見つけやすいです。自社のことだと視点が内側からになりがちですが、第三者目線に立って、外部から自社を見つめ直すようにしましょう。

<機会(O)の例>

  • エリア内に競合店が少ない
  • 同じ商品やサービスを扱う競合店舗がない
  • 競合店における商品やサービスの品質が自社より低い

機会を見つける作業は、いわば自社のポジションを見直すことでもあります。自社がどのような理由から、有利なポジションに立っているのかを理解するチャンスにもなるでしょう。

脅威(T)の見つけ方

脅威(T)は、自社外に存在する、自社の立場を脅かし障害となる要素を探して見つけます。脅威の例には、下記があります。

<脅威(T)の例>

  • 競合商品の需要が増えている
  • 業界の需要が縮小している
  • 近隣に競合店が出店した

脅威は明確になっても、排除が難しいことも多いです。さまざまな脅威があるなかでどう動いていくか、自社の今後の動向を決める要素となります。

外部環境分析に有効なフレームワーク

外部環境を分析するときに有効なフレームワークには、下記のようなものがあります。

■PEST分析

自社を取り巻く外部環境にどのような要素があるか、4つの視点からピックアップしていく手法です。4つの視点は以下のとおり。

  • P:政治(Politics)
  • E:経済(Economy)
  • S:社会(Society)
  • T:技術(Technology)

■ファイブフォース分析

自社に対する競争要因を5つの視点でピックアップしていく手法です。5つの視点は以下のとおり。

  • 業界内の競合
  • 代替品の脅威
  • 新規参入者の脅威
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

これら5つの要素は、自社のポジションを守るためにも重要です。こちらの記事で詳しく解説しているので、一度、目を通してみてください。

3. クロスSWOT分析を行う

内部環境と外部環境の書き出しが終わったら、それぞれの要素を掛け合わせて方向性を考える「クロスSWOT分析」を行います。

内部と外部の強みと弱みを掛け合わせることで、それぞれの組み合わせから考えられる4種類の戦略を導き出せます。

<強み(S)×機会(O)>
自社の強みを活かし、機会をとらえる方法を考案する。導き出される戦略をSO戦略という。
戦略の例
「品質の高さ(S)」×「需要の多さ(O)」=品質の高さをウリに積極的なPRを行う

<弱み(W)×機会(O)>
自社の弱みを改善し、機会に挑戦する方法を考案する。導き出される戦略をWO戦略という。
戦略の例:
「商品の生産力が低い(W)」×「商品需要の拡大(O)」=商品の生産力を上げて販売拡大を狙う

<強み(S)×脅威(T)>
自社の強みを活かし、脅威を避ける方法を考案する。導き出される戦略をST戦略という。
戦略の例:
「品質の高さ(S)」×「商品需要が縮小している(T)」=品質の高さで選んでもらい縮小した市場の中での生き残りを図る

<弱み(W)×脅威(T)>
自社の弱みを理解し、脅威の影響を最小限に止める方法を考案する。導き出される戦略をWT戦略という。
戦略の例:
「商品の生産力が低い(W)」×「商品需要が縮小している(T)」=ポジションが取れない場合、事業撤退する

SWOT分析を行う上での注意点

SWOT分析は有効な手法ですが、効果を十分に発揮するには注意点もあります。ここでは、SWOT分析を行ううえでの4つの注意点を紹介します。

目的・目標は必ず決めておく

繰り返しになりますが、SWOT分析を行うにあたっては、目的と目標を必ず明確にしておきましょう。SWOT分析は、あくまで現状を把握するための「手法」に過ぎません。その先にある目的が不明確なままだと、分析を行うこと自体が目的となってしまう“手法の目的化”にもつながりかねません。

「機会」と「強み」を混同しない

S・W・O・Tの4つの要素は、実際に分けて見ると、どの要素に入れてよいのか悩むシーンも出てきます。とくに混同しやすいのが「機会」と「強み」です。「機会」は会社の外に存在するチャンス、「強み」は自社内に存在する要素と区別するとよいでしょう。

万能の分析法ではないことを理解しておく

どの分析方法でもいえることですが、必ず正確な分析ができる万能の手法はありません。それぞれにメリット・デメリットがあります。

SWOT分析は社内外における強みだけでなく、弱みにも向き合えることがメリットです。一方、強み・弱みに分類しにくい要素もあるのがデメリットです。分析手法の特徴をとらえたうえで、正しく活用しましょう。

SWOT分析で新たなビジネスチャンスを発見しよう

SWOT分析は、社内・社外のプラスマイナスの各要素を客観的に把握することができ、現状の理解を深めることができるというメリットを備えています。また、うまく使えば弱みを強みに転換する戦略へ落とし込むこともできるでしょう。

SWOT分析を存分に活用して自社の可能性を広げ、新たなビジネスチャンスを手にしてください。

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監修者

 
 

カルデラ 久美子

株式会社セールスフォース・ジャパン マーケティング本部
デマンドジェネレーショングループ統括 シニアディレクター

経歴:

BtoB領域におけるマーケティング戦略立案・実行を主とし、製造、半導体、IT、化学などさまざまな業種の大手外資系企業のマネジメントに従事した後、2017年Salesforce入社。大手から中小企業、業種別アプローチなどあらゆるキャンペーンモデル生成と販売パイプラインの醸成をミッションとしたセグメントキャンペーン、コーポレートイベント、デジタルマーケティング、マーケティングオペレーション&アナリティクスチームを牽引。

Salesforceのベストプラクティス“The Model”を体現し、営業、マーケティング面での組織体系化による顧客発掘のKPIを担う責任者。

 
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