クロージングとは?営業の流れからコツ・テクニックまで例文付きで解説

 
2023.4.10

営業活動におけるクロージングとは、営業の最終段階で、顧客に契約を締結してもらうステップのことを指します。クロージングの流れからタイミング、コツ、例文までまとめました。

組織の営業力強化の方法は「営業力強化塾 “安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問」でもまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。

 
 
 
営業力強化塾
“安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問"
 
本資料では、安易な値引きや失注を減らすために、お客様が営業や提案をどうやって選んでいるのか、その心理や構造を解き明かすとともに、価格だけに左右されない営業力を身につけるための質問方法や、効果的な営業メンバーへの育成・マネジメント方法を紹介します。

クロージングとは

クロージング(Closing)とは、直訳すると「終わり」や「締めくくり」などを意味する言葉で、営業活動においては商談を契約へ結びつける最終段階のフェーズを指します。

クロージングの役割は、それまで積み重ねてきた顧客の興味をまとめあげ、成約へつなげること。クロージングがうまくできないというのは、セールス側に直接的な原因があるか、あるいは先方がクローズできる状態に達していないかのどちらかです。

クロージングがうまくいかないようでしたら、原因を究明し、早急な改善が必要となります。

クロージングの重要性

クロージングは、商談相手に意思決定を促す重要なフェーズです。それまで、どのような提案や交渉を行っていても、「最後の一押し次第」となるのはよくある話です。商談の最後の“詰め”は、クロージングの知識や技術によって左右されます。

クロージングでとくに重要なのが「タイミング」です。強引に成約に持っていこうとすると、こちらに対する不信感を持たせてしまうため、商談相手の思考を推測して話を切り出す必要があります。

クロージングのタイミング

商談の流れは、上図のように大きく5つのフェーズに分けられ、クロージングはゴールの直前に位置します。ヒアリングから交渉まではお互いの条件のすり合わせです。そして確認した条件をもとに、ゴールへいざなうためのクロージングを行います。

営業力強化塾 “安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問」でも触れていますが、良いクロージングを行えていない場合、「提案はよかったけど価格で負けました」というケースがよく起こります。お客様の心理を正しく理解できているか、確かめるためにもクロージングを正しく行いましょう。

クロージングの基本の流れ

クロージングのなかには、さらに細かなフェーズが存在します。その基本となる「流れ」は以下のとおりです。

  1. テストクロージング
  2. クロージング
  3. 契約締結

それぞれについて、詳しく解説していきます。

1)テストクロージング

テストクロージングとは、商談の中で得られた相手のニーズや要望をもとに、契約の意思を探る手法です。

【テストクロージングの例文】

  • 「ご興味を持っていただけましたか?」
  • 「見積書にはご納得いただけましたか?」
  • 「導入に関しての不安はございませんか?」

これらを伝えたあとに返ってくるリアクションを見て、興味の度合いを推し量ります。反応が上々ならこのままクロージングへ進み、まだ悩んでいるようなら、残った課題を消化しながら成約へと導きます。

2)クロージング

契約の意欲が確認できたら、本番のクロージングへと進みます。ここでは、契約意思の有無をハッキリ問いかけましょう。曖昧な問いかけ方になってしまうと、相手の返答も的を射ないものになる可能性があります。

【クロージングの例文】

  • 「ご契約について、現時点ではどのようにお考えでしょうか?」
  • 「ご契約いただけるとしたら、いつごろになりそうでしょうか?」
  • 「プランAとプランB、どちらがより御社に合いそうでしょうか?」

問いかけ方のポイントは、上記のようにハッキリと契約の意思をうかがいつつも、ある程度、条件の余白を残すことです。条件のハードルを下げて問いかけることで、相手も許容範囲が広がります。

3)契約締結

契約意思が確認できたら、最後に契約締結のステップに進みます。ここで行うのは、これまでの条件確認です。契約金額や納期、納品数など、条件の食い違いが無いか確認し、問題が無ければ契約書を取り交わします。

 
 
 
営業力強化塾
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クロージングを成功させるコツ・テクニック10選

クロージングは営業に重要なステップだけあり、多くのコツやテクニックが考案されています。ここでは、そのなかから有名なコツ・テクニックを10種類紹介します。

1)ベネフィットを提示する
2)相手の不安を払拭する
3)タイミングを見計らう
4)BANT条件を確認する
5)選択肢をしぼって話す
6)ドア・イン・ザ・フェイスを使う
7)ゴールデンサイレンスを妨げない
8)イエスセット話法を使う
9)イエスバット法を使う
10)損失回避の法則を使う

営業力強化塾 “安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問」では、さらに一段深掘りしたノウハウをまとめていますので、組織の営業力強化の参考としてあわせてご活用ください。

1)ベネフィットを提示する

ベネフィットとは、商品やサービスが相手にもたらすビジョンや利益のことです。たとえば、事業展開のスピード向上や、ブランドイメージの向上、顧客に提供する商品の品質向上などが考えられます。

ベネフィットの提示で重要なのは、なるべく具体的なビジョンをイメージしてもらうことです。相手にワクワクする未来を見せることで、成約への意欲が高まります。

2)相手の不安を払拭する

成約への足かせとなる不安を取り払うのも重要なポイントです。商談相手が抱きやすい代表的な不安としては以下のようなものがあります。

  • もっと安価なものがあるのではないか
  • 同程度の価格で、より優れたものがあるのではないか
  • 営業担当者を信じてよいか

相手は製品・サービスを比較して検討するケースがほとんどです。そこで重要になるのが「課題の本質に働きかける力」を示すこと。根本的な解決とその後のビジョンを伝え、相手の抱える課題の本質へと語りかけましょう。

3)タイミングを見計らう

商談の一般的な手順は、「ヒアリング、商談、交渉、クロージング、成約」ですが、商談の途中でも、成約見込みが高ければ商談から即クロージングへ移行するのも手です。

クロージングに適したタイミングには一般的に2種類あり、ひとつは「相手の条件が出そろったとき」、もうひとつが「タイムリーなタイミングを見つけたとき」です。後者は、相手の抱える課題と商材がベストマッチしたときに使いやすく、課題に対する特効薬として提示することで、相手の興味を強く引けます。

4)BANT条件を確認する

BANTとは、下記の4文字の頭文字を取った言葉で、法人営業における顧客への質問の基本フレームワークと言われます。

B:Budget(予算)
A:Authority(決裁権)
N:Needs(需要)
T:Time frame(導入時期)

これらの条件は、どれか1つでも食い違うと成約が難しくなるため、ヒアリングの段階で必ず確認しておきましょう。

5)選択肢をしぼって話す

課題解決の選択肢は多いほうが良いと思いがちですが、ときには選択肢の多さが意思決定を鈍らせることもあります。やたら多くの選択肢を出さず、相手の課題へダイレクトに働きかける商材を2~3種類に絞って提示してみましょう。

仕様で悩んでいるようなら、性能の上下を比較しやすい2種類。価格で悩んでいるなら、価格の平均値が見える3種類にするのがおすすめです。この際、「どれにしますか」と尋ねるよりも、「どちらがいいでしょう」と聞くほうが、相手も選びやすくなり、クローズしやすくなります。

6)ドア・イン・ザ・フェイスを使う

ドア・イン・ザ・フェイスとは、最初に高い要求を提示し、相手にショックを与えて断らせた後に、低いハードルを提示して安心させるテクニックです。

商談で使う場合は、最初に高機能・高額な商材を提示し、そのあとに下位互換や代替品となる商材を紹介する流れになります。複数の商材を紹介することで、商材を比較しながら紹介できるメリットもあります。

7)ゴールデンサイレンスを妨げない

ゴールデンサイレンスとは、顧客が考えている沈黙の時間のことです。

商談における相手の沈黙とは、自分の中で条件をすり合わせている時間です。そこでむやみに話しかけてしまうと、相手の思考を遮ってしまい、もう少しで成約できそうだった商談が白紙になる恐れもあります。

商談は「相手に考えてもらう場」と考え、営業はその意思決定をサポートするポジションと認識しておきましょう。

8)イエスセット話法を使う

イエスセット話法とは、会話の中で相手の“イエス”を何度も引き出すことで、次も“イエス”と答えやすくするという交渉テクニックです。心理学における「一貫性の法則」という考えにもとづいています。

この方法は、成約に比較的前向きな相手に使いやすいです。ただ、押し売りのように無理な“イエス”の引き出し方をすると、かえって相手の印象を損ねてしまいます。

9)イエスバット法を使う

「イエスバット法」とは、相手の意見に“イエス”と同意したあとに“バット(でも…)”と否定する話法です。

これは、相手にやんわりと意見を伝えるテクニックです。最初に同調することで、そのあとに伝える意見をオブラートに包み、相手に意見を飲ませやすくする効果があります。

10)損失回避の法則を使う

「損失回避の法則」とは、「何かを得ること」よりも「何かを失うこと」を重視する心理現象のことです。

たとえば、「導入することで100万円の売り上げ見込みが得られる」ではなく、「導入しないと100万円の機会損失が発生する」と言い換えるイメージです。実際に損失回避の法則を使う際には、商材の希少価値や商材を利用しないことによるデメリットなどを伝えましょう。

 
 
 
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相手からのこんな言葉にはどう対応する?

商談を進めていて、相手の言葉に「どう応じればいいのかわからない」と困ったことはないでしょうか。とっさの対応ができなくて商談が手詰まりにならないように、代表的なシーンの打開策を覚えておきましょう。

自分では決められない

「自分では決められない」と言われた場合、そもそも商談相手を誤っている可能性があります。たとえば、相手が決裁権を持たないポジションであったり、予算を把握していなかったり、企業の政策に関わっていなかったりというケースです。

この場合、長く話していても双方にとって時間の無駄となります。適切なポジションの方に、アポイントメントを取ってもらいましょう。

今すぐ導入の必要はない

「今すぐ導入の必要はない」という言葉が出たら、大きな課題を抱えていなかったり、課題を認識していなかったりするケースが考えられます。実際に課題が無いなら、商材がマッチしないと考えられるため成約の可能性は低いです。

ただし、課題を認識していない場合は別です。相手が気付いていない課題を掘り起こし、改善策とベネフィットを提示すれば成約への道筋が開かれるでしょう。

コスト的に難しい

「コスト的に難しい」と言われたら、「なぜその価格なのか」ということをしっかり説明するのが王道です。より安価で相手先に合った製品があれば、それをすすめるのもよいでしょう。

また、有効な手段の一つとして「値下げ」があります。確かに有効ではありますが、安易な値下げは、正規の価格で購入した顧客とのあいだに、不公平を生じさせるため、注意が必要です。

オンライン商談でのクロージングのコツ・ポイント

オンラインでのコミュニケーションは、対面とは違った難しさがあります。とくに最後のひと押しであるクロージングがうまくいかず、苦労している方も多いのではないでしょうか。最後に、オンライン商談でのクロージングのポイントをいくつかご紹介します。

短時間でコンパクトな商談を心掛ける

オンラインでの画面共有では多くの資料を広げるのは難しいため、あらかじめ要点をコンパクトにまとめた資料を送信しておきましょう。それを見て事前に疑問点や不安などをあげてもらい、オンライン商談で解決・解消することでスムーズにクロージングを進められます。

決裁フローまで把握しフォローする

商談相手の企業においてテレワークが活用されているケースでは、決裁権者である上司とのやりとりもリモートで行われていると想定されます。リモートは熱量が感じにくいこともあり、その商談結果が相手企業においてリモートで共有されていると、結果的に営業の意図が上手く伝わらない可能性もあります。

リモートでもベネフィットが伝わりやすい資料を用意したり、意図が伝わりやすい言い回しにしたりして、決裁権者とのやり取りがスムーズに運ぶよう対応しましょう。商談相手が意欲的である場合、一緒に上司を説得する気持ちで取り組むとよいでしょう。

クロージングはスタートでもある

クロージングはすべての商談プロセスのゴールですが、同時に顧客とのおつき合いが始まるスタートでもあります。

目の前の契約欲しさに無理を通すのではなく、双方が気持ち良くWin-Winの関係であり続けられるようなクロージングを心掛けましょう。

 

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