インサイドセールスとは?フィールドセールスとの違いと導入方法を解説

 
最終更新日:2024.5.17

インサイドセールスとは、見込み顧客に対し電話やメールなどを利用して非対面で行う営業活動のことです。

インサイドセールスは、新型コロナウィルスの流行がきっかけで取り入れる企業が増えており、遠隔地の見込み客へアプローチできるのが特徴です。以前は、見込み客と対面して営業活動を行うフィールドセールス(訪問営業)が主流でした。

インサイドセールスについての理解を深めておくと、自社に合った形で営業活動のブラッシュアップが可能です。

本記事では、インサイドセールスと他の営業活動との違いや導入方法を解説します。種類やメリット、デメリットも紹介するので、インサイドセールスの導入をお考えの方は参考にしてください。

 
 
 
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・営業は現場で育てるのが一番

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、見込み客(リード)に対して非対面で行う営業活動のことです。「内勤営業」や「リモートセールス」とも呼ばれ、電話やメール、SNS、Web会議システムなどの遠隔でコミュニケーションを取れるツールが利用されます。

会社にいながら営業活動を行えるため、効率的かつスピード感のあるアプローチができる点が強みです。営業活動を効率化できる分、また、遠隔地の顧客ともやり取りできることから、営業活動の範囲を拡げることにもつながります。

フィールドセールスとの違い

インサイドセールスとフィールドセールスの違いは、営業先に訪問するかどうかです。

フィールドセールスとは、従来の営業方法を指し、外勤営業や訪問営業と呼ばれる営業方法です。インサイドセールスとは違い、見込み客のもとへ足を運び、対面で営業活動を行います。

フィールドセールスとインサイドセールスは、以下のような違いがあります。

 
  インサイドセールス フィールドセールス
営業形式
非対面 対面
得意分野 ・見込み客の育成
・アポイントの取得
・成約の獲得

フィールドセールスは、営業担当者の話法や仕草を間近で感じられるとともに、商品の実物を見る、あるいは触れることが可能です。

そのため、インサイドセールスに比べて対面ならではの行動が起こせる結果、製品の魅力が伝わりやすく、成約の獲得が得意です。

これに対しインサイドセールスは、見込み客の育成やアポの取得を得意としています。

成約までの営業活動を、インサイドセールスのみで完結することもあります。

場合によっては、フィールドセールスと組み合わせることで、それぞれの得意分野を生かした効果的な営業活動が可能です。

下記の記事では、フィールドセールスについて詳しく解説しているので、合わせて参考にしてみてください。

テレアポとの違い

テレアポ(テレフォンアポイント)とは、電話での営業活動のことで、インサイドセールスの営業方法の1つです。見込み客の育成やアポイントの獲得を目的とし、電話を通じて有効商談の種を育てます。

企業によっては、営業部門ではなくコールセンター部門が役割として担っていることもあります。

インサイドセールスの仕事内容と役割

インサイドセールスの仕事内容は、主に商談化する前の営業活動です。

インサイドセールスは、リモートならではのスピード感や営業効率の高さによって、すばやくかつ効率的に多くの見込み顧客と接触し、関係を構築できます。そのため、見込み客の育成に適しているのです。

一方で、1対1の具体的な商談にはあまり向きません。見込み顧客が案件化した場合、その後の対応は営業(フィールドセールス)へ引き継ぐのが適切です。インサイドセールスにおいて、顧客のニーズをどこまで聞き出せていたかで成約につながる確率が大きく変わります。

インサイドセールスを取り入れた営業フェーズは大きく3つに分けられ、下記のように役割が異なります。

インサイドセールスでは、マーケティングで獲得した見込み客を育てることが大きな役割です。その後の営業(フィールドセールス)によって具体的な提案を行い、受注確度を高めます。

営業活動を、3つのフェーズに分けることで各業務の進行がスムーズになり、1つの案件に費やす時間を増やせます。その結果、案件単価や成約率の向上につながるのです。

 
 
 
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インサイドセールスの種類と選ぶポイント

セールスフォース・ジャパンの営業プロセスモデル「The Model」では、インサイドセールスを次の2つに分類します。

  • SDR(反響型インバウンド)|中小企業向け
  • BDR(新規開拓型アウトバウンド)|大企業向け

SDRとBDRは、企業の規模によってアプローチ方法を変えるのが大きな特徴です。それぞれ、どのようにアプローチ方法を変えていくのかを踏まえて解説します。

SDR(反響型インバウンド)|中小企業向け

SDRとは、「Sales Development Representative」を略したもので「反響型」とも呼ばれています。

SDRは、ブログやSNSといった自社コンテンツを活用するインバウンドマーケティングによって、獲得した見込み客を案件化までもっていくのが役割です。その後、フィールドセールスチームに案件を引き継ぎます。

インバウンドマーケティングで獲得した見込み顧客は、自社のコンテンツを見たうえで問い合わせや資料請求をしてきているため、すでにある程度自社に興味をもっている状態です。

そのため、SDRでは自社に興味がある見込み客の熱が冷めないタイミングで、コンタクトをとることが求められます。

SDRは、意思決定プロセスや商談サイクルが短いため、多数の見込み客にアプローチする際に有効です。したがって、顧客が中小企業の場合に大きな効果を発揮します。

一方、単価が低くなりやすく、案件の継続率が低い課題があります。そのため、多くの顧客を獲得したいケースに活用するのが適切です。

BDR(新規開拓型アウトバウンド)|大企業向け

BDRとは、「Business Development Representative」を略したものであり「新規開拓型」とも呼ばれています。

最初から営業チームと協力し、ターゲット設定から行います。事業規模や相性を考慮し、セグメントに分けてアプローチをかけるのが役割です。

BDRはSDRと異なり、マーケティングで見込み客の情報を収集するのは難しいといえます。ターゲティングからスタートする分、SDRのように短期間で成約までもち込むことは難しく、商談が長期化しやすいのも特徴です。

1件にかける時間が長くなるからこそ、顧客との信頼関係を築きやすく、単価や顧客の継続率、拡大提案率が上がりやすい魅力があります。そのため、大企業に対するアプローチとして大きな効果を発揮します。

変化の激しい時代だからこそ、顧客としっかりつながり、大きく提案していくBDRが注目されているのです。

インサイドセールス導入のメリット

インサイドセールス導入のメリットは、おもに下記の3点があります。

  • 営業活動の効率化
  • 営業範囲の拡大
  • コストの削減

インサイドセールスは、省コストでより多くのチャンスを創出できる点が特徴です。

SDRでは、問い合わせをもらった見込み客に対してシナリオに沿ったアクションを定めておくことで、定型的かつ効果的な営業ができます。

BDRでは、アプローチする対象を業種や企業規模などでフィルタリングしておくことで、費用対効果を高められます。営業活動を標準化することで省コスト化が進めば、残ったリソースで営業範囲の拡大も可能です。

インサイドセールス導入のデメリット

インサイドセールス導入にあたっては、次の2つのデメリットが想定されます。

  • 適切に運用できる組織体制づくりが求められる
  • 対面のフィールドセールスよりも信頼されにくい

インサイドセールスは適切に運用できると人手不足に対応でき、コストカットにもつながります。ただし、フィールドセールスよりも信頼が得にくいデメリットがあるので、適切に運用できる組織体制が必要です。

適切にインサイドセールスを運用できると、フィールドセールスだけの営業活動よりも高い成約率や効果を期待できます。そのため、人員や時間を割いてでも、インサイドセールス実施のための組織体制を整える価値があるといえます。

インサイドセールスの組織を立ち上げる7つの手順

インサイドセールス部門を新規で立ち上げる際は、次の7つの手順に沿って準備を進めます。

  1. ミッションの設定
  2. 人材配置
  3. KPIの設定
  4. 部門間の情報連携
  5. データベースの整備
  6. キャリアプランの策定
  7. 教育トレーニング

インサイドセールスをはじめて導入する企業のなかで、立ち上げや運営で苦労されるケースがあります。組織運営でつまずかないために、7つの手順に沿って進めてみてください。

1.ミッションの設定

インサイドセールス部門の立ち上げにあたり、以下の4つの項目を明確化します。

  • 立ち上げ目的
  • 役割
  • 具体的な仕事内容
  • 責任範囲

立ち上げ目的を明確化する際は、以下の3つのインサイドセールスの型を参考にしてみてください。

 
インサイドセールスの型 特徴
パイプライン型 ・見込み客の育成や評価から商談化までを担う
・ソリューション営業、オーダーメイド提案に適している
アップセル・サポート型 ・既存顧客に対して追加提案や活用支援サポートを担う
・カスタマーサクセスと同一組織となるため、パッケージ商材やスタートアップなどの立ち上げ期に適している
オンライン・セールス型 ・フィールドセールスを行わずオンラインセールスでクロージングまで完結するた場合のセールスを担う
・低単価商材やパッケージ商材に適している

どの型を選ぶかで、インサイドセールス部門の役割や具体的な仕事内容が変わります。セールスフォースの場合、パイプライン型とアップセル・サポート型を組み合わせて運用するハイブリッド型を採用しています。

扱う商材や企業の実態によって選ぶべき型は変わりますが、時代や顧客ニーズの変化にも柔軟に対応することが必要です。たとえば、パイプライン型を採用し、フィールドセールスでクロージングを行っていた企業でも、コロナ禍を経てフィールドセールスを廃止したケースがあります。この場合、クロージングを訪問からオンラインに変更するにあたって、パイプライン型からオンラインセールス型に切り替える必要があります。このように、必要に応じて役割や仕事内容を変化させることも大切です。

はじめてインサイドセールス部門を立ち上げる際は、3つの型を基本としつつ、その後も試行錯誤をくり返しながら最適な形を摸索していくものだと覚えておくとよいでしょう。

以降は、パイプライン型とアップセル・サポート型のハイブリッド型を採用したケースの手順を解説します。

2.人材配置

インサイドセールス部門の目的を明確化した後は、人材配置を進めます。

パイプライン型とアップセル・サポート型のハイブリッド型の場合、インサイドセールス部門は他部門へ顧客の情報を連携するハブとしての役割を担います。したがって、会社全体の業務を俯瞰して見たうえで、顧客の現状や課題を社内にフィードバックできるゼネラリスト型の人材が適切です。

最終的にカスタマーサクセスを目指すうえで、顧客の現状や悩みを右から左へ流すのではなく、マーケティングの企画や営業のクロージングにも目を向け、広い視野でアイデアや意見を提案できる人材が求められます。ゼネラリスト型の経験豊富な30~40代が活躍できるのはもちろん、新入社員が広い視野をもって働けるよう基礎を育てる場としても活用可能です。

顧客と直接関わる部門であるため、顧客の声を正確に把握できる傾聴力と円滑なコミュニケーション能力が求められます。コミュニケーション能力といっても、フィールドセールスでよく見られる過剰なコミュニケーションは必要なく、顧客の声を真に理解し汲み取れる傾聴力や共感力が重要です。そのため、内向的な性格の人材でも適性が見られる可能性があります。

インサイドセールス部門に適した人材を配置し、準備を整えましょう。

3.KPIの設定

インサイドセールス部門の地盤が整ったら、次はKPIを設定します。

KPIを設定する際は、量と質の両方に着目する必要があります。

たとえば、アポイント件数のように量にフォーカスしたKPIだけを設定すると、アポを獲得することが目的になってしまうでしょう。この場合、商談化につながりにくい見込み客も営業部門へ流れ、営業部門は本来必要のない営業活動を行うことになり、非効率的です。インサイドセールス部門のハブとしての役割が正常に機能せず、各部門からの不信感にもつながります。

社内全体の流れを考慮すると、量だけでなく質にも焦点をあてることが大切です。アポイント件数だけでなく、営業部門へ案件を渡したあと商談につながった有効商談数や受注金額もKPIとして設定しましょう。画像のように、商談につながるKPIから先に決め、逆算してアポイント件数のような量のKPIを決定するのが効果的です。

組織全体で成果を挙げるKPI設定のポイント

各部門とKPIを連動させることで、お互いに協力できる体制となり、組織全体で売上目標の達成に向けて動けるようになります。

たとえば、インサイドセールス部門のKPIとして契約数の件数を設定すると、営業部門へ案件を渡して終わりではなく、受注につながっているかどうかを意識できるようになるわけです。

ただし、インサイドセールス部門の立ち上げ初期から、部門間がうまく連動できるとは限りません。量にばかりに気を取られないように注意することで、案件を流すスピード感が失われてしまうこともあるでしょう。そのため、はじめは量のKPIを設定したうえで、組織がうまく回りはじめたら質にも目を向ける形で進めていくのが適切です。

セールスフォースでは、The Model(ザ・モデル)という組織体制で、部門間の連携を密にしています。以下の記事で、The Model(ザ・モデル)の仕組みやメリットを詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

4.部門間の情報連携

パイプライン型とアップセル・サポート型のハイブリッド型のインサイドセールス部門は、商談につながりそうな見込み客を営業部門へパスします。「商談につながりそうな見込み客」を判断するためには、見込み客の評価やパスの基準を明確化することが大切です。客観的な視点で基準を決める際には、画像のように時間軸に主眼を置いたスコアリング例があります。

ほかにもさまざまな基準があるので、自社のインサイドセールス部門の運用に合った基準を検討しましょう。以下の記事では、スコアリングの対象要素を解説しているので、参考にしてみてください。

5.データベースの整備

インサイドセールス部門の仕事のひとつとして、データベースの整備が挙げられます。

組織全体で連携するうえで欠かせないのが顧客情報のデータベースです。社内で統一したCRMツールを活用することで、情報共有や連携をスピーディーに行えます。

めまぐるしく顧客ニーズや市場が変化する時代では、一度入力した情報が数ヶ月単位で変化していくこともあります。そのため、最新の情報をなるべく維持するためには、情報の更新が必要です。

顧客情報の更新作業を担うのが、インサイドセールス部門です。インサイドセールス部門は、他部門とは異なり顧客と接する機会が多いため、変化をキャッチし反映しやすいといえます。

データベースを最新の状態に維持できれば、あとはツールが自動で分析結果も最新に更新してくれます。

6.キャリアプランの策定

インサイドセールス部門のメンバーがモチベーション高く仕事に取り組むためには、適切な環境づくりが大切です。

かつては、インサイドセールス部門から営業部門へキャリアアップするのが一般的でした。ところが最近は、インサイドセールス部門で傾聴力を鍛えた後、ジョブ型として別部門で活躍するケースが増えています。顧客の声に耳を傾け、課題やニーズを洗い出し各施策につなげていくスキルは、営業部門だけでなく戦略部門や教育部門など、あらゆる組織で重宝されます。

このように、インサイドセールス部門を経験したあとのキャリアプランが明確になっていると、メンバーは多岐に渡る将来を見据えながらスキルアップに励むことが可能です。

7.教育トレーニング

インサイドセールス部門の仕事をはじめて経験する人材に対し、教育トレーニングを施します。このとき、キャリアプランを見据えたうえで、必要なスキルを育てる視点が大切です。

教育トレーニングのポイントは、メンバーの個性や長所を伸ばすことと、データに基づいたきめ細やかな評価と教育です。客観的かつ質の高い教育のために必要なデータは、SFAに蓄積されています。SFAには、インサイドセールスの活動や成果が克明に記録されており、チームごとあるいは在籍日数などの軸にあわせ可視化できます。データを分析しながら、伸ばすべきポイントや必要な教育を検討することも可能です。

教育担当者の主観ではなく、データに基づいた客観的な視点から人材を育成することで、スピーディーに的確な指導を行えます。

 
 
 
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インサイドセールス運用時の課題と対処事例

インサイドセールスの導入時には、運用における課題が出てくる可能性があります。ここでは、想定される3つの課題と対処事例を紹介します。

  • 課題1:他部門との連携がおろそかになる
  • 課題2:アポイントを落とすことがある
  • 課題3:テレワークが増え教育が行き届かないことがある

事前に対処事例を知っておくと、いざ自社が課題に直面した際の解決の糸口となるので、参考にしてみてください。

課題1:他部門との連携がおろそかになる

インサイドセールスでは、マーケティング部門と営業部門との連携が必要です。完全な分業として仕事を進めてしまうと、せっかく獲得したアポイントを有効商談につなげられずに落としてしまうといったトラブルが発生します。

インサイドセールスの導入まで、部門ごとに仕事や情報を管理していた場合、連携がおろそかになる可能性があります。そのため、インサイドセールスの導入段階で、連携しやすい組織体制の構築が大切です。

対処事例:連携のとりやすい社内体制を整備する

株式会社日立ハイテク様も、フィールドで発生した顧客の関連情報が社内で共有されておらず、部門ごとに管理されていることに課題を感じていました。

これを解消する一手として、社内で統一のプラットフォームを導入しました。部門間での情報共有ができるようになると、同社の製造・販売・サービスがバリューチェーンとして連携できるようになったわけです。

部門ごとに異なるプラットフォームやシステムを導入していると、情報や連携の分断の原因となります。日立ハイテク様のように、プラットフォームを統一するだけでも、部門間の連携がしやすくなるのです。

課題2:アポイントを落とすことがある

他部門との連携の部分と重複しますが、インサイドセールスを独立した部門として扱うと、アポイントを落としてしまうことがあります。

たとえば、インサイドセールスによって獲得したアポイントの50%にしかアプローチできていないといったケースです。あるいは、インサイドセールスチームで作成した商談金額が、営業チームによる受注時に半減してしまうといったことも起こり得ます。

いくら連携が取れていても、部門後に独自のルールにもとづいて仕事を進めてしまうと、上記のようなずれが生じてしまいます。そのため、データやルールを見える化し、統一することが大切です。

対処事例:データの見える化で迅速に対応できるシステムを導入する

オープンホイールレースで有名なFormula 1様は、数千人にのぼるF1ファンのニーズを予測し、問い合わせが来る前に対応できる体制を構築したいというビジョンをもっていました。ところが、データ管理をスプレッドシートで行っていたところ、データが同期されず部門間でのコミュニケーションにラグが生じてしまったのです。

これを改善するために、統一したシステムを導入しました。結果、部門間のコミュニケーションをスムーズに行えるようになりました。それだけでなく、セールスのプロセスが可視化されたことで、社内全員が理解できるようになったのです。さらに、見込み客がセールスサイクルのどこフェーズに位置しているかも見えるのも魅力です。

システムによって部門間の仕事が「見える化」されると、部門間でのすれ違いやアプローチのミスが起こりにくくなります。システムは、コミュニケーションだけでなく情報共有を可視化することでより効果的に活用できるのです。

課題3:テレワークが増え教育が行き届かないことがある

インサイドセールスの業務は、遠隔で行えるため、テレワークで実施するケースもあります。ところが、在宅勤務だと教育が行き届かないことがあるため、予期せぬトラブルが発生するリスクがあります。

企業によっては、研修期間を設ける、あるいは完全な在宅勤務にはしないといった方法で対応しているケースもあるでしょう。しかし、新型コロナウィルスの流行によって、企業の思惑とは裏腹に在宅で仕事をしなければならない状況も出てくることがわかりました。

今後も似たような状況が起きることを想定し、テレワークでも教育を行き届かせるためにどうすべきか検討することが大切です。

対処事例:時代の流れに合った教育体制を構築する

ユーピーアール株式会社様は、物流業界に欠かせないパレットの販売やレンタルをはじめ、コンサルティングを手がけるトータルパレットマネジメントカンパニーです。これまでは、従来のフィールドセールスによってパレットのレンタル契約内容を対面で確認していました。物流業界は、ドライバーの労働時間の上限規制が設けられることで起きる「2024年問題」の対応に追われています。その中で、同社も物流に関わる企業として、営業活動の効率化を課題として考えはじめました。

同社は営業活動の効率化のために、SAF/CRMシステムを導入しデジタル化を進めることにしたのです。これにより、営業担当者の活動履歴が記録および可視化されるようになり、営業担当者どうしで共有できるようになりました。各種指標が明確に数値で見えるようになったことで、データドリブンな営業スタイルへシフトしています。

同社がシステムを導入する際の取り組みは、教育体制の構築の参考にできます。システムの導入時に営業担当者をDX部門へ異動し、営業担当者目線でシステムの構築に携わったのです。その後も、現場での利用定着に向けてオンラインで説明会を実施するほか、全国の営業所を回って指導を行いました。

システムを使う人間が育てば、システムを通しての教育が可能となります。SAF/CRMシステムは、属人化しやすい営業スキルも可視化、共有できます。営業スタイルの変革以前に、変革に順応できる人材育成も必要です。

インサイドセールスの組織づくりのポイント

Salesforceでインサイドセールス部門を統括している鈴木淳一が書いたブログ記事から、インサイドセールスのミッションや活用法、組織づくりのためのポイントを紹介します。
※こちらではより実践編として7つのステップに細分化し、成功のポイントを説明しています。

Salesforceにおいて、以下がインサイドセールスの重要なミッションです。
「顧客にもっとも近くで寄り添い、ニーズや状況の変化を他部門へとフィードバックし、顧客満足度向上やカスタマーサクセスへとつなげていくこと」

Salesforceでは、フィードバック精度を高めるために、ツールによるデータの見える化に取り組んでいます。インサイドセールスによるアポイント獲得から、フィールドセールスでの受注に至るまでのプロセスや進捗をリアルタイムで共有することで、各顧客へのアクション決定やボトルネックの解決をスムーズに行うことが可能です。

インサイドセールス部門の成功には、適切な人材の確保と育成が欠かせません。上記の7ステップを踏まえて、相手の話に興味をもち理解・共感する「傾聴力」や、その根幹となる「好奇心」そして物事の本質を追い求める姿勢をもった人材を配置・育成することが大切です。

このように、インサイドセールスを成功に導くには、インサイドセールスで行う施策や事業だけを見るのではなく、組織全体を巻き込んだ連携体制や人材の育成などが必要になってきます。

そのため、インサイドセールスをスタートする際には、組織内でビジョンを共有し、根幹となるコンセプトを確立しておくとよいでしょう。

インサイドセールスの成功事例

ここで、実際にインサイドセールスを導入した成功事例をご紹介します。

インサイドセールス導入時に直面した「4つの壁」を乗り越えたSansan株式会社

名刺管理サービスで知られるSansan株式会社では、2011年にインサイドセールスを導入するにあたって次の4つの壁に直面しました。

  • KPIの壁
  • データベースの壁
  • 環境の壁
  • 教育の壁

インサイドセールスは、従来の営業手法が抱える課題をクリアできる手法として注目されていますが、実際のところは現場とのすり合わせが必要で、ギャップに苦しむこともあります。Sansan株式会社は、4つの壁を次のように乗り越えていきました。

  • KPIの壁
    従来のKPIでは、部門ごとの評価はできても全体の評価が難しくなっていました。そこで、新たなKPIとして、自分たちが供給した案件の受注金額の合計値を「受注貢献額」として会社全体のKPIに設定しました。

  • データベースの壁
    壁を乗り越える前は、マーケティング部門・インサイドセールス部門・営業部門で異なるデータベースをもっていました。それを、メールアドレスリンクにより、各データベースを紐づけることでギャップを解消しました。

  • 環境の壁
    電話による営業には、受電対応に追われてしまうことと、電話と向き合い続けるストレスの問題がありました。まずは、自動音声を導入することで、受電対応の負荷を1/3程度に軽減しました。さらに、IP電話を導入して、パソコンやスマートフォンから架電できる環境を整え、場所の制限を排したことで、対応するスタッフのストレスも軽減されたのです。

  • 教育の壁
    これまでの営業活動は、マニュアルの作成やノウハウの共有が難しく、属人化しやすい状況にありました。しかし、インサイドセールスで必要になる情報を集めた社内向けマニュアルサイトを活用することで、この問題を解消。マネージャークラスのみに更新権限を付与することで、情報の正確性をも確保しました。

上記4つの壁は、どれも現場の実情を踏まえた案を用意することで解決へと至っています。インサイドセールスは導入して終わりではなく、そこから現場とどうすり合わせていくかが大切なのです。

まとめ:インサイドセールス導入で効率的な営業活動を実現しよう

インサイドセールスは、電話やメールを通じて見込み客の育成やアポイントの獲得を行う非対面の営業活動です。

対面式のフィールドセールスと比較して、スピーディーかつ効率的に活動できます。フィールドセールスよりもインパクトが小さく、自社製品やサービスの魅力が伝わりにくいため、成約の獲得より見込み客の案件化までのプロセスが得意といえます。

インサイドセールスとフィールドセールスには、それぞれ得意分野があるので、フェーズによって使い分けるのが適切です。

最近では、インサイドセールスを独立した部門として設置し、マーケティングと営業部門との連携することで、顧客獲得を狙う企業も増えています。

この場合、各部門の連携や情報共有が適切にされていないと、見込み客を逃してしまうといったトラブルにつながりかねません。部門間の連携を深めるためには、顧客の情報を共有できるSAF/CRMの導入がおすすめです。

SAF/CRMの導入を検討されている場合は、ぜひ一度セールスフォースにご相談ください。

セールスフォースの製品には、部門間の連携やデータ共有はもとより、営業効率をアップするための機能を有しています。インサイドセールスの導入にあたって、最適な製品をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

 
 
 
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