インサイドセールスとは?基礎知識と組織の作り方・ポイントを解説

 
最終更新日:2024.11.18

インサイドセールスとは、見込み客に対し、電話やメールなどの遠隔コミュニケーションツールを使った非対面の営業活動です。従来型の営業(フィールドセールス)とは異なり顧客先に足を運ぶ必要がないため、担当者は内勤で効率的に営業を行えます。

業務の効率化だけではなく、外勤では赴けなかった遠隔地の見込み客へのアプローチが可能となり、全国あるいはグローバルに顧客を獲得できるようになります。

インサイドセールスの成果を最大化するためには、フィールドセールスやその他の部署との役割分担やKPIの連動など、組織づくりが重要です。

本記事では、インサイドセールスの基礎知識と組織の作り方、ポイントを解説します。インサイドセールスを導入を検討されている方は、基礎知識の習得のためにぜひご活用ください。

 
 
 
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・営業は1人で全部を担当するものだ
・目の前の案件を追いかけるのが当たり前
・営業は結果─プロセスは評価できない
・営業は現場で育てるのが一番

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、見込み客(リード)に対して、電話やメール、Web会議システムなどの遠隔コミュニケーションツールを使って行う非対面の営業活動を指します。内勤営業やリモートセールスとも呼ばれます。

会社にいながら営業活動を行えるため、効率的かつスピード感のあるアプローチが実現できます。また遠隔地の顧客ともやりとりできるため、全国・グローバルへと営業活動の範囲が広がり、新規顧客の獲得につなげられます。

フィールドセールスとの違い

インサイドセールスとフィールドセールスは、営業形式と得意分野に違いがあります。
 
  インサイドセールス フィールドセールス
営業形式
非対面 対面
得意分野 ・見込み客の育成
・アポイントの取得
・成約の獲得

フィールドセールスとは、外勤営業や訪問営業と呼ばれる営業方法で、顧客先に赴いて対面で行います。顧客が営業担当者の話法や仕草を間近で感じられるとともに、商品の実物を見る・触れることが可能です。

ただし、最近ではフィールドセールスでもWeb会議システムを活用したオンラインの商談が増えています。

対面で商談を行う際は、遠隔で行うインサイドセールスと比較して、商品やサービスの魅力が伝わりやすいため、成約を獲得しやすい特徴があります。一方、インサイドセールスは、短期間で多数の見込み客にアプローチできるよさがあり、見込み客の育成やアポの獲得が役割です。

見込み客の育成やアポの獲得をインサイドセールスで行い、商談・クロージングをフィールドセールスで行うというように分担することで、より効果的な営業活動を行えます。

いまから始めるインサイドセールス』で詳しく解説していますが、理想的な分業体制は、成約に専念するフィールドセールスと、新規の見込み客の発掘から商談化活動までを担うインサイドセールスに分けることです。

以下の記事では、インサイドセールスとフィールドセールスの違いをより詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

テレアポとの違い

テレアポ(テレフォンアポイント)とは、電話による営業活動のことで、インサイドセールスの営業方法のひとつです。

見込み客の育成やアポイントの獲得を目的とし、電話を通じて有効商談の種を育てます。

企業によっては、営業部門ではなくコールセンター部門が役割のひとつとして担っていることもあります。

以下の記事では、インサイドセールスとテレアポの違いをより詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

インサイドセールスの役割

インサイドセールスは、マーケティングやフィールドセールスと分業した場合、次の役割を担います。

  • 適切な初動対応を行う
  • MQLからSQLに絞り込み営業に引き渡す
  • 顧客の声を各部門に届ける

現在、マーケティングやインサイドセールスが上記の役割を担っている場合は、インサイドセールスを始める際に役割と業務を移行するとよいでしょう。

以下の記事でも、インサイドセールスの役割を解説しているので、参考にしてください。

適切な初動対応を行う

インサイドセールスは、営業プロセスにおいて、顧客にとっての最初の窓口となるため、適切な初動対応を行う役割を担います。

役割を果たすためには、顧客の悩みや課題など状況を把握したうえで、最適なコミュニケーションが必要です。その後、課題を解決するためのルートを提示したうえで、コンテンツの提供やセミナーの案内など、次のステップへ導きます。

顧客に寄り添い、ニーズに合ったアプローチをかけることで、一方的な売りこみ型の営業だとこぼれ落ちてしまう顧客の心をつかむことが可能です。

MQLからSQLに絞り込み営業に引き渡す

インサイドセールスは、見込み客をMQLからSQLに絞り込んだうえで営業に引き渡す役割も担います。

MQLとSQLの意味は、次のとおりです。

 
語句 説明
MQL(Marketing Qualified Lead) ・マーケティング部門が育成した有望な見込み客のこと
・ホットリードとも呼ばれる
SQL ・受注確度が高い見込み客のこと
・成約につながりやすいため重点的に営業をかける

インサイドセールス部門は、マーケティング部門から引き継いだMQLのなかからSQLを絞り込み、営業部門へ引き渡します。その結果、営業部門はより受注確度が高い見込み客にフォーカスしてアプローチできるようになり、業務効率や生産性が向上します。

役割を果たすためには、MQLからSQLへの到達基準を明確化し、MA(マーケティング・オートメーション)などを使って見込み客をスコアリングしたうえで分類が必要です。

顧客の声を各部門に届ける

インサイドセールスは、最前線でキャッチした顧客の声を各部門に届ける役割を担います。

たとえば、セミナーやコンテンツへの反響が大きい顧客はマーケティング部門へ引き渡し、MQLの育成につなぐことが可能です。

インサイドセールスで、顧客ごとの異なるニーズを正しくキャッチし、各部門へ適切に振り分けることで、成約や成約後の顧客の成功(カスタマーサクセス)までのルートを最短化できるでしょう。

インサイドセールスの仕事内容

営業活動を3つのプロセスに分けた場合、インサイドセールスの仕事は、以下のようになります。
 
仕事 内容
リードナーチャリング ・ステップメールの作成・配信
・フォロー架電
コンテンツ整備 ・ホワイトペーパーの作成
・事例記事の作成
・ノウハウ記事の作成
見込み客管理 ・見込み客の分析
・MAを使ったスコアリングによる見込み客の見極め
・部門への見込み客の引き渡し
アプローチ ・見込み客からのヒアリング
・見込み客へノウハウを提供
・オンライン勉強会の実施
いずれの仕事も、顧客が抱えている課題を解決するために行います。自社のサービスや商品を使って課題を解決してもらえるよう、見込み客を育成して受注確度を高めることが大切です。

インサイドセールスの種類

インサイドセールスは、大きく次の2つに分類できます。
 
インサイドセールスの種類 SDR
(反響型インバウンド)
BDR
(新規開拓型インバウンド)
目的 既存の顧客接点を通じて商談化につなげる 顧客接点のない新規顧客を開拓する
メインターゲット 中小企業 大企業
アプローチ方法 ・インバウンドコール
・メール
・ウェビナー
・アウトバウンドコール
・DM
SDRとBDRの違いを理解し、目的やターゲットごとにアプローチ方法を変えて運用することで、高い効果を期待できます。

SDR(反響型インバウンド)

SDR(Sales Development Representative:反響型インバウンド)とは、Webでの資料請求や顧客からの問い合わせメールに対応するなど、既存の顧客接点を活かしてリードを商談化につなげる営業手法です。

オウンドメディアやブログ、SNSといった自社コンテンツを顧客接点としてインバウンドマーケティングを行い、そこで獲得した見込み客を商談化したうえで、フィールドセールスチームに引き渡す役割を担います。

インバウンドマーケティングで獲得した見込み客は、自社のコンテンツを見たうえで問い合わせや資料請求をしてきているため、すでにある程度自社に興味をもっている状態です。

そのため、自社に興味がある見込み客の熱が冷めないタイミングで、コンタクトをとることが求められます。

SDRは、意思決定プロセスや商談サイクルが短いため、意思決定まで時間がかかる大企業よりも中小企業の顧客に対して行うことで、スピーディーに契約を獲得できます。

ただし、単価が低くなりやすく、案件の継続率が低い課題があることから、、多くの顧客を獲得するための活用が効果的です。

BDR(新規開拓型アウトバウンド)

BDR(Business Development Representative:新規開拓型アウトバウンド)とは、積極的なアプローチで顧客接点がない新規顧客を獲得する営業手法です。

最初から営業チームと協力し、ターゲット設定から行います。事業規模や相性を考慮し、セグメントに分けてアプローチをかけるのが役割です。

BDRはSDRと異なり、マーケティングで見込み客の情報を収集するのが難しいという特徴があります。ターゲティングからスタートする分、SDRのように短期間で成約までもち込むことは難しく、商談が長期化しやすくなります。

一方、1件あたりに割り当てられる時間が長くなるからこそ、顧客との信頼関係を築きやすく、単価や顧客の継続率、拡大提案率が上がりやすい点が魅力です。

そのため、意思決定までに時間がかかるものの客単価が高額になりやすい大企業に対して行うと大きな成果につながる可能性があります。

変化の激しい時代だからこそ、時間をかけて顧客との信頼関係を構築したうえで、大規模な契約や新規プロジェクトの提案を行うBDRが注目されています。

インサイドセールスを導入するメリット

インサイドセールスを導入するメリットは、大きく分けて次の3つです。

  • 営業活動を効率化できる
  • 営業範囲を拡大できる
  • コストの削減につながる

インサイドセールスの導入を迷われている場合は、メリットを踏まえて検討してみてください。

営業活動を効率化できる

インサイドセールスを導入すると以下が実現され、営業活動を効率化できます。

  • 1日あたりのアプローチを増やせる
  • 少人数でもリードの育成を行える
  • 確度の高い商談に注力できる

インサイドセールスなら、少人数でもアプローチを増やせるようになり、人手不足に見舞われている企業でも、多様な働き方を実現できます。

また、フィールドセールスのみよりも商談確度が上がるため成果につながりやすく、担当者のモチベーションアップにもつながるでしょう。

インサイドセールスを導入することで、これまで以上に顧客に手厚くアプローチできるようになり、最適なタイミングで最適な提案ができるようになります。

参考:『いまから始めるインサイドセールス

営業範囲を拡大できる

インサイドセールスは、フィールドセールスでは足を運べなかった遠隔地域にもアプローチできるようになり、営業範囲が拡大します。

日本全国、グローバルにも対応できるようになれば、提供サービスやビジネスモデルの変革も必要となるでしょう。その結果、商品やサービスの改善につながり、顧客満足度や売上の向上など企業の成長につなげることが可能です。

コストの削減につながる

インサイドセールスは、フィールドセールスによる出張費や移動時間などのコストを削減したうえで、アプローチを増やすことが可能です。

あらかじめ、アプローチする対象を業種や企業規模などでフィルタリングしておくことで、より費用対効果を高められるでしょう。

インサイドセールスを導入する際のデメリット

インサイドセールス導入にあたっては、次の2つのデメリットが想定されます。

  • 適切に運用できる組織体制づくりが求められる
  • 対面のフィールドセールスよりも信頼されにくい

インサイドセールスは適切に運用できると人手不足に対応でき、コストカットにもつながります。ただし、フィールドセールスよりも顧客からの信頼を得にくいデメリットがあるため、適切に運用できる組織体制が必要です。

人員や時間を割いてでも、インサイドセールスの組織体制を構築することで、フィールドセールスのみよりも高い成約率を狙えるでしょう。

インサイドセールス組織の作り方7つの手順

インサイドセールス部門を新規で立ち上げる際は、次の7つの手順に沿って準備を進めます。

  1. ミッションの設定
  2. 人材配置
  3. KPIの設定
  4. 部門間の情報連携
  5. データベースの整備
  6. キャリアプランの策定
  7. 教育トレーニング

インサイドセールスをはじめて導入する場合、立ち上げや運営で苦労される企業もあります。とくに、営業の分業化を図る場合は、役割分担を明確にしたうえで連携を強め、責任の押し付け合いを避けることが大切です。

組織運営でつまずかないために、7つの手順に沿って進めてみてください。

なお、『インサイドセールス組織に必要な戦略』 EBOOKでもインサイドセールス部門の構築方法やポイントを解説しているので、ぜひご覧ください。

1.ミッションの設定

まずは、インサイドセールス部門の立ち上げにあたり、以下の4つの項目を明確化し、インサイドセールスのミッションを設定します。

  • 立ち上げ目的
  • 役割
  • 具体的な仕事内容
  • 責任範囲

立ち上げ目的を明確化する際は、以下の3つのインサイドセールスの型を参考にしてみてください。

どの型を選ぶかで、インサイドセールス部門の役割や具体的な仕事内容が変わります。Salesforceの場合、パイプライン型とアップセル・サポート型を組みあわせて運用するハイブリッド型を採用しています。

扱う商材や企業の実態によって選ぶべき型は変わりますが、時代や顧客ニーズの変化への柔軟な対応が必要です。

たとえば、パイプライン型を採用し、フィールドセールスでクロージングを行っていた企業でも、コロナ禍でフィールドセールスの廃止を余儀なくされたケースがあります。

このケースでは、クロージングを訪問からオンラインに変更するにあたって、パイプライン型からオンラインセールス型に切り替える必要があります。

このように、必要に応じて役割や仕事内容を変化させることも大切です。

はじめてインサイドセールス部門を立ち上げる際は、3つの型を基本としつつ、その後も試行錯誤をくり返しながら最適な形を摸索していくとよいでしょう。

なお、このあとは、パイプライン型とアップセル・サポート型のハイブリッド型を採用したケースの手順を解説します。

2.人材配置

インサイドセールス部門の目的を明確化したあとは、人材配置を進めます。

パイプライン型とアップセル・サポート型のハイブリッド型は、インサイドセールス部門は他部門へ顧客の情報を連携するハブとしての役割を担います。

そのため、会社全体の業務を俯瞰して見たうえで、顧客の現状や課題を社内にフィードバックできるゼネラリスト型の人材が適切です。

また、最終的にカスタマーサクセスを目指すうえで、顧客の現状や悩みを右から左へ流すのではなく、マーケティングの企画や営業のクロージングにも目を向け、広い視野でアイデアや意見を提案できる人材が求められます。

インサイドセールスでは、ゼネラリスト型の経験豊富な30~40代が活躍できるのはもちろん、新入社員が広い視野をもって働けるよう基礎を育てる場としても活用が可能です。

顧客と直接関わる部門であるため、顧客の声を正確に把握できる傾聴力と円滑なコミュニケーション能力が求められます。そのため、内向的な性格の人材でも適性が見られる場合があります。

インサイドセールス部門に適した人材の特徴を整理したうえで、配置を行いましょう。

3.KPIの設定

インサイドセールス部門の地盤が整ったら、次はKPIを設定します。

KPIを設定する際は、量と質の両方に着目することが大切です。

たとえば、アポイント件数のように量にフォーカスしたKPIのみを設定すると、アポを獲得することが目的になってしまうでしょう。

この場合、商談化につながりにくい見込み客も営業部門へ流れるため、商談化の見込みが低い見込み客にも営業をかけることになり、非効率的です。

インサイドセールス部門のハブとしての役割が正常に機能せず、各部門が不信感を抱くことにもつながります。そのため、社内全体の流れを考慮すると、質にも焦点をあてることが大切です。

たとえば、アポイント件数だけではなく、営業部門へ案件を渡したあとに商談化した有効商談数や受注金額もKPIとして設定しましょう。

以下のように、商談につながるKPIから先に決め、逆算してアポイント件数のような量のKPIを決定するのが効果的です。

KPIを設定する際は、以下の動画もお役立てください。

▶『10分で学ぶシリーズ 〜マーケティングKPI実践編〜』動画を今すぐ見る

組織全体で成果を挙げるKPI設定のポイント

KPIを設定する際は、各部門のKPIを連動させることで、お互いに協力できる体制となり、組織全体で売上目標の達成に向けて動けるようになります。

たとえば、インサイドセールス部門のKPIとして契約数の件数を設定すると、営業部門へ案件を渡して終わりではなく、受注につながっているかどうかを意識できるようになるはずです。

ただし、インサイドセールス部門の立ち上げ初期から、部門間がうまく連携できるとは限りません。量にばかりに気をとられないように注意すると、見込み客を引き渡すスピードが遅くなることもあるでしょう。

各営業プロセスで適切な評価指標を設定することで、その指標を基準として継続的に改善活動が可能となります。『いまから始めるインサイドセールス』 では、営業評価を明確にし、各自の専門性をフルに生かして目標到達まで迷いなく進める環境を構築する方法を解説していますので、組織全体で成果を挙げるためにご活用ください。

セールスフォースでは、The Model(ザ・モデル)という組織体制で、部門間の連携を密にしています。以下の記事で、The Model(ザ・モデル)の仕組みやメリットを詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

4.部門間の情報連携

パイプライン型とアップセル・サポート型のハイブリッド型を採用しているインサイドセールス部門では、商談につながりそうな見込み客を営業部門へパスします。「商談につながりそうな見込み客」を判断するためには、見込み客の評価やパスの基準を明確化することが大切です。たとえば、画像のように時間軸に主眼を置いてスコアリングを設定することで、客観的な視点から見込み客を分類できます。

ほかにもさまざまな基準があるので、自社のインサイドセールス部門の運用に合った基準を検討しましょう。

5.データベースの整備

各部門の連携で欠かせない顧客情報のデータベースを整備することも、インサイドセールスの仕事です。社内で統一したCRM(顧客管理システム)を活用すると、スピーディーに情報共有や連携ができるでしょう。

めまぐるしく顧客ニーズや市場が変化する時代では、一度入力した顧客情報が数ヵ月単位で変化していくこともあります。最新の情報を維持するためには、情報の更新が必要です。

そのため、顧客と接する機会が多いインサイドセールス部門が顧客情報の更新や管理を行い、データベースを最新の状態に保ちます。

データベースを最新の状態に維持できれば、あとはCRMや連携しているBIツールが自動で顧客分析の結果を可視化してくれます。

6.キャリアプランの策定

インサイドセールス部門のメンバーがモチベーション高く仕事に取り組むためには、適切な環境づくりが必要です。

かつては、インサイドセールス部門から営業部門へキャリアアップするのが一般的でした。

ところが最近は、インサイドセールス部門で傾聴力を鍛えたあと、ジョブ型としてさまざまな部門で活躍するケースが増えています。顧客の声に耳を傾け、課題やニーズを洗い出し各施策につなげていくスキルは、営業部門だけでなく戦略部門や教育部門など、あらゆる組織で重宝されます。

このように、インサイドセールス部門を経験したあとのキャリアプランが明確化されていると、メンバーは多岐に渡る将来を見据えながらスキルアップに励むことが可能です。

7.教育トレーニング

最後は、インサイドセールス部門のメンバーに教育トレーニングを施します。このとき、キャリアプランを見据えたうえで、必要なスキルを育てる視点が大切です。

教育トレーニングのポイントは、データに基づいたきめ細やかな評価を実施し、メンバーの個性や長所を伸ばすことです。

客観的かつ質の高い教育のために必要なデータは、SFA(営業支援システム)に蓄積されています。SFAには、インサイドセールスの活動や成果が克明に記録されており、チームごとあるいは在籍日数などの軸にあわせ可視化できます。

データを分析しながら、伸ばすべきポイントや必要な教育を検討することも可能です。

教育担当者の主観ではなく、データに基づいた客観的な視点から人材を育成することで、的確な指導を行えます。

 
 
 
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インサイドセールスの組織づくりのポイント

インサイドセールスの組織づくりでは、次の4つのポイントを押さえることが大切です。

  • 人材育成・配置の最適化
  • 連携体制の確立
  • ビジョンの共有とコンセプトの確立
  • データの見える化

ポイントを押さえて組織を立ち上げ、効果的なインサイドセールスを実現しましょう。

以下の記事では、Salesforceのインサイドセールス部門立ち上げに携わった鈴木淳一がより詳しく組織立ち上げのポイントを解説しているので、ぜひご覧ください。

人材育成・配置の最適化

インサイドセールスでは、適切な人材の育成と配置の最適化が不可欠です。

インサイドセールスの大きなミッションは、顧客に寄り添い、それぞれの課題やニーズに応じて的確な解決策を提案して成功を支えることです。そのため、インサイドセールスでは、顧客の話に注意深く耳を傾けられる「傾聴力」や「共感力」が求められます。

まずは、インサイドセールスのミッションを明確化したうえで、必要なスキルを洗い出しましょう。資質のある人材を配置するだけではなく、継続して育成を行うことが大切です。

連携体制の確立

インサイドセールスでは、部門間の連携も重要です。Salesforceでは、部門間の連携を強化するために「The Model」という仕組みを採用しています。

「The Model」では、営業活動を次の4つの部門に分けています。

  • マーケティング
  • インサイドセールス
  • フィールドセールス
  • カスタマーサクセス

マーケティングで見込み客を獲得したあとは、インサイドセールスが育成してホットリードをフィールドセールスへ引き渡し、商談化につなげます。

成約後は、カスタマーサクセス部門がオンボーディングやサポートを行い、カスタマーサクセスを目指す仕組みです。

各部門のKPIを連動させることで、前後を意識して業務を遂行できるようになり、連携が強化されます。

以下の記事では「The Model」の特徴やメリットを詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

ビジョンの共有とコンセプトの確立

インサイドセールスを成功に導くためには、インサイドセールスで行う施策や事業だけを見るのではなく、組織全体を巻き込んだ人材育成・配置や連携体制の確立がポイントでした。

これを実現するためには、インサイドセールスをスタートする際に、組織内でビジョンを共有し、根幹となるコンセプトを確立しておくとよいでしょう。

たとえばSalesforceでは、以下のミッションを掲げ、組織全体に共有しています。

顧客にもっとも近くで寄り添い、ニーズや状況の変化を他部門へとフィードバックし、顧客満足度向上やカスタマーサクセスへとつなげていくこと

ミッションを実現するための組織体制やKPIの設定を行うことで、カスタマーサクセスを戦略的かつ効率的に実現できます。

データの見える化

組織全体で顧客を成功に導くためには、部門間の顧客情報だけではなく、客観的数値の収集とそれに基づく分析結果の共有が重要です。

これを効率化するのが、SFA/CRMやMAツールなどの各種システムからデータを統合し、分析・見える化するBIツールです。

Salesforceでは『Tableau』というBIツールを活用し、インサイドセールスでのアポイント獲得から商談化までのプロセスや進捗をダッシュボードで共有しています。

ダッシュボードを見ると、アポイントに対する成約率や商談金額の差異を直感的に捉えられるため、課題の把握や改善策の立案をスピーディーに行えます。

データの見える化は、あらゆる意思決定と改善までのプロセスを高速化するため、変化の速い時代における企業の成長を促進するでしょう。

以下の動画では『Tableau』を使ったデータ分析のはじめ方を解説しているので、参考にしてください。

▶『10分で学ぶシリーズ 〜データ分析の始め方編〜』動画を今すぐ見る

インサイドセールス運用時の課題と対処事例

インサイドセールスの導入時には、運用における課題が出てくる可能性があります。

ここでは、想定される3つの課題とそれぞれの対処事例を紹介します。

  • 課題1:他部門との連携がおろそかになる
  • 課題2:アポイントを落とすことがある
  • 課題3:テレワークが増え教育が行き届かないことがある

事前に対処事例を知っておくと、いざ自社が課題に直面したとき解決の糸口として参考にできるでしょう。

以下の記事では、Sansan株式会社の事例を通じて、インサイドセールスの課題を解決する方法を解説しているので、あわせてご覧ください。

課題1:他部門との連携がおろそかになる

インサイドセールスでは、マーケティング部門と営業部門との連携が必要です。完全に分業してしまうと、せっかく獲得したアポイントを有効商談につなげられずに落としてしまうといったトラブルにつながります。

とくに、インサイドセールスの導入まで各部部門ごとに仕事や情報を管理しているケースは、部門間の連携がおろそかになりやすい傾向があります。

そのため、インサイドセールスの導入段階で、連携しやすい組織体制の構築が大切です。

対処事例:連携のとりやすい社内体制を整備する

株式会社日立ハイテクは、フィールドで発生した顧客の関連情報が社内で共有されておらず、部門ごとに管理されていることが課題でした。

これを解消する方法として、社内で統一のプラットフォームを導入。部門間で情報が共有されるようになった結果、同社の製造・販売・サービスがバリューチェーンとして連携できるようになりました。

各部門で異なるプラットフォームやシステムを活用することは、情報や連携の分断を生みます。連携を深めるためには、プラットフォームの統一が有効です。

課題2:アポイントを落とすことがある

インサイドセールスを独立した部門として扱うと、アポイントを落としてしまうことがあります。

たとえば、インサイドセールスで獲得したアポイントの50%にしかアプローチできていない場合、インサイドセールス部門で作成した商談金額が、営業チームによる受注時に半減してしまいます。

いくら連携がとれていても、連携後に独自のルールに基づいて仕事を進めてしまうと、ずれが生じてしまうでしょう。そのため、データやルールを見える化し、統一することが大切です。

対処事例:データの見える化で迅速に対応できるシステムを導入する

オープンホイールレースで有名なFormula 1は、数千人にのぼるF1ファンのニーズを予測し、問い合わせが来る前に対応できる体制を構築したいというビジョンをもっていました。

ところが、データ管理をスプレッドシートで行っていたためデータが同期されず、部門間のコミュニケーションにラグが生じてしまったのです。

解決策としてシステムを統一したところ、部門間のコミュニケーションをスムーズに行えるようになりました。また、営業プロセスが可視化されたことで、見込み客がどのフェーズに位置しているか、次にどのようなアプローチをすればよいか、社内全員が理解できるようになったのです。

システムによって組織全体の仕事が「見える化」すると、部門間のすれ違いやアプローチミスが起こりにくくなります。

課題3:テレワークが増え教育が行き届かないことがある

インサイドセールスの業務は、遠隔で行えるため、テレワークで実施することもあります。ところが、在宅勤務だと教育が行き届かないことがあり、予期せぬトラブルに発展するリスクがあります。

研修期間を設ける、あるいは完全な在宅勤務にはしないといった方法で対応している企業もあるでしょう。ところが、新型コロナウィルスの流行で、企業の思惑とは裏腹に在宅勤務を強いられるケースが出てきました。

今後も似たような状況が起きることを想定し、テレワークでも教育を行き届かせるためにどうすべきか検討することが大切です。

対処事例:時代の流れに合った教育体制を構築する

ユーピーアール株式会社は、物流業界に欠かせないパレットの販売やレンタルをはじめ、コンサルティングを手がけるトータルパレットマネジメントカンパニーです。

物流業界は、ドライバーの労働時間の上限規制が設けられることで起きる「2024年問題」の対応に追われています。同社は、2024年問題を踏まえて、物流に関わる企業として、営業活動の効率化に着手しました。

従来、同社はパレットのレンタル契約を対面で行っていましたが、営業活動の効率化を目指し、SAF/CRMシステムを導入しデジタル化を推進。

その結果、営業担当者の活動履歴が記録・可視化され、情報共有が効率化されました、また各種指標が明確な数値で見える化したことで、データドリブン営業へシフトしています。

同社がシステムを導入する際の取り組みは、教育体制の構築の参考にできます。システムの導入時に営業担当者をDX部門へ異動し、営業担当者目線でシステムの構築に携わりました。その後も、現場での利用定着に向けてオンラインで説明会を実施するほか、全国の営業所を回って指導を実施。

システムを使う人間が育てば、システムを通しての教育が可能となります。

インサイドセールスに必要なツール

インサイドセールスは、どれだけ業務効率を挙げられるかが成果につながっていくため、業務を効率化するツールの活用が求められます。

たとえば、リードスコアリングと選別を自動化できると、営業への引き渡しが高速化し、営業効率が向上します。また、適切なタイミングでメルマガを自動配信できれば、アプローチの効率化も可能です。

これらを実現する手段として、次のようなSFA/CRMやMAがあります。

 
ツール 特徴
Sales Cloud ・営業活動のプロセスや進捗を記録、共有、可視化できる
・AIを活用したアプローチの自動化や提案を得られる
・精度の高い売上予測やその他の分析ができる
Marketing Cloud ・顧客へのマーケティングアプローチの進捗を記録、共有、可視化できる
・あらゆるチャネルのマーケティングキャンペーンを自動化、管理できる
・生成AIがあらゆる文章の作成をサポートする

上記の製品はAIを搭載しているため、蓄積されたデータの分析や、それを基にしたアプローチを自動化できます。

ツールによって機能が異なるため、自社に必要な機能を洗い出したうえで、適切な製品を選びましょう。

以下の動画では、データドリブンなインサイドセールス組織がもたらすメリットを解説しているので、参考にしてください。

▶『データドリブン・インサイドセールスが組織にもたらす6つの利点と実践方法』動画を今すぐ見る

インサイドセールスの成功事例

ここでは、インサイドセールスの成功事例を2つ紹介します。

  • 事例1.インサイドセールスとフィールドセースルの分担で受注率拡大
  • 事例2.マーケティングでインサイドセールスの効果を実感

インサイドセールスを導入したあとのイメージがわかない方は、ぜひ参考にしてください。

事例1.インサイドセールスとフィールドセースルの分担で受注率拡大

eラーニングサービス「派遣のミカタ」を提供する株式会社manebiでは、部門間での情報共有が万全ではなく、引き継ぎが不十分なまま顧客へアプローチしてしまうケースがありました。

そこで『Sales Cloud』を導入し、Salesforceの支援のもとフィールドセールスとインサイドセールスで役割分担と業務フローの構築を行いました。フィールドセールスでは、短期間でクロージングに至るとともに、集中できるようになったことで、30日以内の受注率が30%も増大。

インサイドセールスが太鼓判を押した案件を引き継いでいるという認識から、自信をもってフィールドセールスを行えるようになったといいます。

事例:「派遣のミカタ」1,000社導入に向けて営業体制の変革が課題に

事例2.マーケティングでインサイドセールスの効果を実感

株式会社栃木建築社は、人口減少に伴う住宅市場の縮小に危機感を抱いていました。

市場規模の変化に対応し、生き残っていくために、既存顧客や失注した顧客を対象としたアプローチに注力する「顧客生涯密着型営業」に取り組むことにしました。

これを実現する手段として『Sales Cloud』を導入。顧客を生涯にわたってフォローしていくために必要な顧客や商談に関する情報が『Sales Cloud』に一元化されました。

また、『Account Engagement (旧Pardot)』を連携し、ワークフローに沿ってメールや電話を使った営業を続けた結果、イベントへの集客につながっており、インサイドセールスの効果を実感しています。

事例:縮小する住宅市場で勝ち抜くため”顧客生涯密着型経営”を志向

まとめ:インサイドセールス導入で効率的な営業活動を実現しよう

インサイドセールスは、電話やメールなどの遠隔コミュニケーションツールを通じて、見込み客の育成やアポイントを獲得を行う非対面の営業活動です。

対面式のフィールドセールスと比較して、インパクトが小さく、自社製品やサービスの魅力が伝わりにくい商談化までのプロセスを短縮できる一方で、商談化までのプロセスを短縮できるため、見込み客の育成を得意とします。

インサイドセールスだけではなく、フィールドセールスも併用し、それぞれ得意分野を活かして分業することで、大きな効果を発揮できるでしょう。

最近では、インサイドセールスを独立した部門として設置し、マーケティングと営業部門との連携することで、顧客の獲得を狙う企業も増えています。

この場合、各部門の連携や情報共有が適切にされていないと、見込み客を逃してしまうおそれがあるため、連携を深めるための手段として顧客の情報を共有できるSAF/CRMの導入がおすすめです。

Salesforceでは、SFA機能をもつCRM『Sales Cloud』をはじめ、部門間の連携に役立つツールを多数提供しています。インサイドセールスの導入にあたって、最適な製品をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

 
 
 
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