ワクチンにまつわる社会課題を解決、ワクチン供給最適化プラットフォーム

医薬品卸の知見と「Health Cloud」との融合で、ワクチン予約・在庫管理システムを構築。医療機関にとって負担だった電話予約対応の軽減から在庫の最適化、ワクチンの廃棄低減まで、医療現場が抱える課題解決に挑む

 

医療用医薬品等の流通を担う医薬品卸売業界大手のアルフレッサ。2024年春の新型コロナワクチン流通制度改革を契機に、医療機関、接種希望者、製薬企業をつなぐ「ワクチン供給最適化プラットフォーム」を構築。その基盤として採用したのが「Health Cloud」でした。

背景となる情報

2024年春、ワクチン供給を取り巻く環境は大きく変化しました。新型コロナワクチンについて、特例臨時接種終了、接種円滑化システムの運用停止、そして国の管理から一般流通への移行という制度変更が実施されたためです。これにより、医療現場では他のワクチンを含めた課題が一層顕在化しました。

例えば季節性インフルエンザワクチンは9〜12月の短期集中型流通となるため、これまでも需要と供給のバランスが不安定でした。接種希望者が在庫不足で待機を強いられる一方で、発注過多による期限切れ廃棄も発生。製薬企業にとって地域ごとの需要予測が困難であるため、効率的な出荷計画の立案に苦慮していました。ワクチンにおけるこうした課題を包括的に解決するため、情報を一元管理できるプラットフォームの構築が急務となったのです。

導入の意義

必要だったのは医療業界の特性を加味した情報管理プラットフォームを迅速かつ柔軟に構築できるソリューションです。アルフレッサの理事でソリューション&イノベーション事業部副事業部長の新井一禎氏は「医療業界での実績を考えれば『Health Cloud』一択でした」と振り返ります。実際、通常1年を要するシステム開発をわずか3カ月で実現しました。
 

“AIやデータ分析機能など、医療現場のニーズに応じて機能を拡張し、「ワクチン供給最適化プラットフォーム」を医薬品流通のデファクトスタンダードにしたいですね”

新井 一禎 氏

アルフレッサ株式会社
理事
ソリューション&イノベーション事業部 副事業部長(IT担当)

導入の効果

  • アルフレッサ株式会社では、全国に約1,700人のMS(医薬品卸の営業担当者)を配置し、日々、医療現場の課題を把握しています。そうした課題を解決するため、Health Cloudを中心としたSalesforce製品を導入。Salesforceのサポートを利用しながら現場のニーズに即した実用的なプラットフォームを実現しました。

  • 24時間オンライン予約受付とリアルタイムの在庫管理システムを構築・実装したことで、医療機関の業務効率は大きく向上しました。具体的には、ワクチンごとの管理ページによる一元管理、接種実績のリアルタイム登録、在庫状況に連動した予約枠の自動設定による電話対応業務の大幅削減です。さらに、セキュリティ基準への準拠で、医療情報の安全な取り扱いを実現しています。

  • あらゆる年齢層の接種希望者が簡単に予約できるよう、Customer Communityを活用し、直感的なユーザーインタフェース(UI)を実現しました。スマートフォンやPCからもアクセス可能で、在庫状況と連動した確実な予約枠を提供。接種までの待ち時間削減に貢献し、接種希望者の満足度も大幅に向上しています。

  • 地域ごとの需要動向をリアルタイムで把握することで、製薬企業の効率的な出荷計画立案を支援します。自治体向けには、地域別の接種状況モニタリングや供給量の適正化支援機能を提供。今後はMarketing Cloud Account Engagementを活用した接種者アンケートの実施、データに基づく接種率の向上など、使い勝手のさらなる改善を目指しています。

  • コミュニティ機能や生成AI「Agentforce」の活用など、将来的な機能拡張を見据えた設計で、業界全体のデジタル化推進の基盤としても期待されています。アルフレッサグループ内での展開はもちろん、他の医薬品卸への提供も視野に入れ、医薬品流通におけるディファクトスタンダードプラットフォームとして、継続的な進化を目指します。

事例のまとめ

導入の決め手は医療現場の課題解決に貢献した実績、豊富な経験を評価
医療現場でのDXや自治体システムへの導入などSalesforceの医療・公共分野での実績が、選定の大きな決め手となりました。熊本地震後、わずか2日間での災害対応システム構築や、新型コロナウイルス対策での自治体向けシステム提供など、緊急性の高い案件で実証された対応力が、医療分野の課題解決にも適していると判断しました。

ローコード・ノーコードでアジャイル開発も可能に
ローコード・ノーコード開発環境で、医療現場からのニーズを迅速に反映できました。既存機能の効率的な活用と柔軟な要件対応により、使いやすさと運用効率の両立を実現。現場の業務フローに沿った最適なシステムを短期間で構築しました。営業担当からシステム開発部門に転じた松田尚幸部長は、Salesforceだからこそ、ITに関する専門知識が十分でない段階からでもシステム開発を実現できたと話しています。

業界標準のセキュリティ対応と個人情報保護で実現する安全なプラットフォーム
SalesforceのHealth Cloudでは、ISMS、ISO27001などの国際標準規格に準拠しており、医療分野特有の厳格な情報管理要件に適合します。また個人情報保護法や医療情報システムの安全管理ガイドラインにも標準で対応し、接種希望者の個人情報や医療機関の業務情報も、安全に管理体制できます。

かつてない多様なステークホルダーをつなぐ統合プラットフォームを実現
アルフレッサが目指しているのは、社会課題の解決です。医療機関、接種希望者、製薬企業、自治体など、多様なステークホルダーが必要とする情報を「ワクチン供給最適化プラットフォーム」で一元管理。それぞれのユーザーに最適化されたインターフェースと機能を提供することで、関係者全体の業務効率化と満足度向上を実現しました。

 
 

3か月

わずか3か月のスピード構築

 

24時間

対応のオンライン予約を実現

※ 本事例は2024年10月時点の情報です
 

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