旭川赤十字病院
BIによる即時分析と可視化でデータドリブンな病院経営を実現
Excelによる静的な分析からTableauによる動的な分析で、
業務効率化や収益向上、意思決定の迅速化を実現
いち早くRPAや電子カルテへの音声入力などのデジタル化を進めてきた旭川赤十字病院。業務負担軽減に対応するためのDXを推進し、BIツールとしてTableauを導入することでのデータ分析力の向上と迅速化を実現しています。
背景となる情報
“Tableauのデータはビジュアルがわかりやすく、経営幹部に状況が伝わりやすくなりました。結果として意思決定が速くなっています。”
脇田 嵩大 氏
事務部 経営戦略室 経営戦略係長
導入の意義
導入の効果
旭川赤十字病院のTableauの活用は多岐にわたっており、進行中のプロジェクトでは、診療報酬改定シミュレーションや病棟再編シミュレーション、加算算定率向上への活用などがあります。診療報酬改定シミュレーションは、診療報酬改定による自院の影響を可視化し、必要な対応について検討するものです。症例ごとに制度の変更点と自院への影響額がその場で可視化でき、会議で具体的な対策をスムーズに検討できました。
病棟再編シミュレーションは、病棟の再編にあたって病棟ごとの診療科の組み合わせなどを検討するものです。各病棟の病床数に対する患者数などのパラメーターを変えながらその場で可視化できるため、スピーディに最適な診療科編成を決められました。
加算算定率向上プロジェクトは、一般名処方加算という診療報酬の算定率を高めるものです。薬剤を商品名ではなく一般名で処方することにより後発医薬品の使用を促進しつつ、病院では診療報酬が加算できます。実績と方策についてTableauで可視化することで、加算算定率は、取り組み前の12%台から50%台へと大幅に向上しました。
また、定例会議の資料作成でも大きく効率化を実現しました。以前は20を超える診療科ごとに診療実績の資料作成作業を繰り返していましたが、現在は、稼働額や患者数、入院経路などの異なるデータベースの情報をTableauで一元的に閲覧、分析が可能になりました。年間30時間の作業がほぼゼロになり、ほかの分析作業に時間を割けるようになったと言います。
医事課が担うレセプトチェックの業務も、これまではExcelで膨大なデータを突合してエラーチェックし、帳票を出力して請求担当者に確認する手数が発生していました。Tableau導入後は、データを差し替えるだけで帳票が完成し、月間20時間の業務が3時間以下になりました。
事例のまとめ
ムービーから静止画を取り出すようにドリルダウン
導入当初、操作研修を経て実際にデータ作成に至った際には、少ない手数で自由に可視化できることが何よりも驚きだったと言います。また、会議の場で求められた新しい視点に対して、Tableauではその場でパラメーターを変えて提示できました。従来のExcelで分析した結果が静止画だとすれば、Tableauのダッシュボードはまるでムービー。必要に応じて静止画を取り出すような感覚で利用できます。定量的な面からだけでなく、業務負担の軽減にも効果
Tableau導入の効果は定量的なものだけでなく、業務の負担軽減にも大きく表れています。会議の場で必要なデータを即座に可視化できるので、持ち帰りがなくなり、再度会議を開催する時間や労力、調整などが不要になりました。ビジュアルが分かりやすいことから幹部にも状況が伝わりやすくなり、結果として意思決定が速くなっていると言います。部門を越えたデータ分析環境や人材育成の検討を進める
Tableauを活用したデータ分析を有効に活用している旭川赤十字病院。現在は、経営戦略室で作成した定例データを各部門に配布していますが、今後はデータ活用推進や業務改善につなげるため、院内の各部門でTableauを見られる環境やスキルの整備を目指しています。人材面においても、経営戦略室や各部署での人材育成も視野に検討を進めています。現場でデータ分析の恩恵を受けられるよう、活用環境の整備に注力
将来的には、電子カルテを開いたらTableauの画面も開き、データの閲覧や分析が可能な環境を整えていくなど、現場でTableauによるデータ活用や分析の恩恵を受けられるよう、活用環境の整備に注力を続けていく考えです。