アスクル株式会社

カスタマーサービスの情報基盤として、10年以上にわたってService Cloudを活用

最新機能の積極活用による継続的な業務改善と安定運用、
それを支えるSignature Success Plan

2023年3月に創業30周年を迎え、オフィス用品の通販事業のみならず、あらゆる仕事場とくらしの必需品やサービスの提供と幅広くビジネスを展開するアスクル株式会社。アスクルのビジネスを支えるカスタマーサービスの情報基盤として、2012年3月の導入以来、活用されているのがSalesforceのService Cloudです。新機能の積極活用による継続的なコンタクトセンターの業務改善と生産性向上で、より良いカスタマーエクスペリエンスに貢献しています。

最も注目したいのが、内製化の徹底とクラウドサービスの利点を最大限に引き出すための標準機能中心の活用で業務改善を迅速に実現している点です。この取り組みを支えているのがSignature Success Planです。「担当者の顔が見える支援」により、日々の業務を理解している利用部門自らによる積極的な活用と安定運用を可能とする体制を確立しています。

 
 

1. 3つの基本方針のもと、活用されているService Cloud

オフィス用品を「明日お届けする」通販事業からビジネスをスタートしたアスクル株式会社。その後はオフィス用品のみならず、多種多様な仕事の現場や個人生活の必需品にも取り扱い商材を拡大し、大きなビジネス成長を遂げています。現在では、B2Bのeコマース事業である「ASKUL」「SOLOEL ARENA」や、B2Cのeコマース事業である「LOHACO」に加え、オーダーメイドの印刷サービス「パプリ」、プロのアドバイザーがオフィスづくりをトータルサポートする「ASKULオフィスづくりサービス」、企業の困りごとを解決する「ビズらく」など、多岐にわたるサービスを展開しています。このようなアスクルの幅広いビジネスを支えるカスタマーサービスの現場で活用されているのがService Cloudです。

「Service Cloudの導入検討を始めたのは2011年でした」と語るのは、アスクル カスタマーサービス本部 オペレーションシステム管理・運営サポートで部長を務める大平 憲一 氏です。「E-Platform構想」が立案され、常に進化し続ける情報流通プラットフォームの実現を目指したことが背景にあったと振り返ります。「当時、情報基盤としてオンプレミスのERP製品を利用していましたが、新しい機能の追加が困難で、世の中の技術の進化と変化のスピードに対応できないことに危機感を感じ、クラウドサービスの活用を決断しました」。

そこで採用されたのが、Service Cloudです。2012年3月の導入から10年以上にわたりコンタクトセンターの業務改善と生産性向上を通じて、より良いカスタマーエクスペリエンスに貢献し続けています。

常により良いサービスの提供を目指す攻めの取り組みが可能になった理由について「大きく3つの方針を掲げて取り組んできたからです」と大平氏は説明します。1つ目の方針は「組織制約からの解放」。以前はシステム面での機能追加や改修は、IT部門に依頼して対応してもらう必要がありましたが、コンタクトセンター業務で活用するService Cloudの機能については、顧客対応業務を大平氏の管轄するカスタマーサービス本部に移管。「これによって、新機能導入の意思決定や改善のスピードを高めることができました」。

2つ目は「クラウド活用価値の最大化」です。クラウドサービスの大きな価値の一つは、最新のテクノロジーを活用した新機能の提供が継続的に行われることです。最新機能の活用による業務の効率化はビジネスにも大きな価値をもたらします。そのため、基本的には独自開発は行わず、主にSalesforceの標準機能でシステムを構築しています。

そして3つ目が「内製化範囲の拡大」です。

「カスタマーサービス本部では4名でService Cloudの運用を行っていますが、そのうち3名が認定アドミニストレーター資格を保有しています。そのためコーディング等の開発スキルを必要としないレベルであれば、内部で対応できます。また、Lightning Experienceが登場した際にもいち早く移行し、Javascript開発からの脱却も実現しました」。

 
 
 
 

2. 標準機能の活用によりコーディング等の開発者スキル不要で業務改善を推進

「これまでに様々な機能をSalesforceのFlow Builderで作成してきました」と語るのは、アスクル カスタマーサービス本部 オペレーションシステム管理・運営サポートの中元 卓磨 氏です。一つの例として挙げるのが、よくあるお問合せに対してワンクリックで適切なメールテンプレートを使って返信を行う機能です。

「お客様からのお問合せは、コンタクトセンターの担当者(コミュニケーター)が一から文章を考えて対応しなければならないものばかりではなく、定型文章を用いた回答で完結できるお問合せも少なくありません。そのような場合に、プルダウンで選択するだけで作業が完了できるようにFlow Builderで自動化機能を作成しました。この機能は主にB2C eコマースのLOHACOで活用されていますが、4割程度のメール返信業務に適用され、年間約980時間の業務時間の削減につながりました」。

また、お客様が不在で商品を渡せなかった場合に、再配達のための「商品受け取りのお願い」メールを自動送信する機能もFlow Builderで作成しました。この機能について、中元氏は次のように説明します。

「ほとんどの場合は当社が商品を発送してから3日以内に配達完了となりますが、中には時間がかかることもあります。発送から1週間が経過してしまうと運送業者から商品が戻ってきてしまい、返品処理を行わなければなりません。LOHACOでは食品の扱いも多く、その場合には商品を廃棄することになります」。

そのため、発送から3日以上経過しても商品が受領されなかった場合、お客様へのご連絡メールを手動で作成して配信していました。ご連絡することで受領率は上昇しましたが、コンタクトセンターにとっては追加業務になりました。この業務を効率化するために、Flow Builderで自動化機能を作成したところ、2~3割程の工数削減につながりました。「Flow Builderを活用すれば、難しいコーディング等の開発スキルは不要で、業務に役立つ便利な自動化機能を簡単に作成できます」と中元氏。

「お客様に新たな価値を提供する新しいサービスが始まると、コンタクトセンターにとっては新たな業務が追加されることになります」と大平氏は話します。そのため日々の業務改善や生産性向上への取り組みは一過性のものではなく、常に取り組む必要があるものだと言います。この取り組みの中で重要な役割を果たしているのが、最新のテクノロジーを活用した最新機能を含めてSalesforceの標準機能だと指摘します。

このような現場での取り組みを円滑に、そして安心して進めるために、アスクルでは「Signature Success Plan」を活用しています。

Signature Success Planは、「Salesforceと一緒に」がキーワードのプランで、テクニカルアカウントマネージャー(TAM)*注1 を中心に高い専門性を持つSalesforceのエキスパートがOne Teamでお客様のニーズに合わせたご支援を提供します。「プロアクティブ ”先回りした対応”」と「パーソナライズ ”お客様に合わせたご支援”」により、Salesforceからより多くの価値を引き出していただくために、お客様に寄り添って対応します。

「コンタクトセンターにおけるService Cloudの運用はカスタマーサービス本部側で対応することで合意し、会社全体のインフラの観点からIT部門も引き続き関与していますが、技術的なトラブルで業務を止めることなく安定運用するためには、優れたサポートが不可欠です」と語るのは、アスクル テクノロジー本部 デジタルエンタープライズ インフラストラクチャーでマネージャーを務める殖栗 英介 氏です。そのためにSignature Success Planを選択していると説明します。

 
 
 
 
 
メール返信の業務時間を削減
 
 

3. 日々の安定運用を支える「担当者の顔が見える支援」

「Service Cloudを導入した当初は、クラウドサービスの特性上『自分たちがコントロールできない問題で業務が止まるかもしれない』という不安も少なからずありました」と大平氏。しかしながら、Signature Success Planの24時間プロアクティブモニタリングサービスによりアラートを検知するとプロアクティブに連絡があり、大きな問題が発生する前に対処することができたため、程なくして不安は払拭されたと言います。

その一方で「特に重要なのが、潜在的な問題まで視野に入れたプロアクティブな情報共有とアドバイスです」と指摘するのは中元氏です。TAMからのアドバイスによって問題発生を未然に防ぐことができたケースもあったと述べています。その一例として挙げるのが、「ガバナ制限」に関するものです。

ガバナ制限とは、ユーザーが発行するAPIコールやSQLトランザクションの数などを、一定以下に制限する機能です。Salesforceはマルチテナントで運用されているクラウドサービスのため、特定テナントによるリソース専有が他のテナントに影響を与えないようにするために、このような制限が不可欠です。ガバナ制限に抵触した場合には処理が強制的に停止されるため、業務に問題が発生する可能性があります。

「担当のTAMさんとは月に1回定例会議を行っているのですが、毎回その場でAPI等の利用状況の変化など有用な情報共有があります。また、テクニカルサポートに問い合わせたケースについて対応を早めて欲しい場合や、サポートに問い合わせる前に担当TAMさんにご相談し、適切なご支援を頂き迅速な問題解決につながっています」(中元氏)。

このような「担当者の顔が見える支援」により、IT部門としても安心して業務部門に運用をお願いできていますと殖栗氏。もちろん全社基盤に影響がある問題はIT部門が担当していますが、「日々の業務に関することはIT部門が間に入らないことで、業務改善を迅速に実現できています」と言います。

アスクルのカスタマーサービス本部では、今後もSalesforceが提供する新機能を積極的に活用し、お客様と従業員双方のエクスペリエンスの向上に取り組んでいきます。特に期待しているのは、生成AIなどのAI機能です。

「すでに音声のテキスト化は実現しており、Service Cloud VoiceやEinstein for Serviceや、Tableau AIの活用も計画しています」と大平氏。こういった最新機能の活用は、コミュニケーターの業務を今よりももっと生産性高く効率的にし、お客様の満足度向上にもつながると考えていると言います。「これからも最新のテクノロジーを活用できるクラウドサービスのメリットを最大限に活かしながら、自分たちも進化し続け、お客様により良いサービスを提供できるよう取り組んでいきたいと考えています」。

 
 
 
 
※ 本事例は2024年2月時点の情報です
 

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