オーストラリア保健・高齢者介護省
コネクテッドケアからデータドリブンな知見を引き出すポータルを公開
各部門や公共機関がパートナーエコシステムを通じて、サービスの規模や品質を損なうことなく、どのように透明性の高いデータ主導型サービスを提供しているのかご確認ください。
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この文書は、オーストラリア政府の事例紹介を目的とした一般情報です。そのため、主観的な解釈が含まれており、正確性、完全性及び読者ニーズへの適合性は考慮されていません。本書記載の情報に基づいて何らかの行動や意思決定を行う前に、しかるべき専門家の助言を得ることを推奨します。
本書記載の見解は、必ずしもオーストラリア政府の意見ではなく、オーストラリア政府の公式見解を反映したものでもありません。
原則として、オーストラリア政府はいかなる特定サプライヤーの製品やサービスを保証しません。したがって、本書はSalesforceや他のサプライヤーが提供する製品やサービスの適合性を支持または推奨するものではありません。
「私は、これを国家の変革だと考えています」と、オーストラリア保健・高齢者介護省のデジタルトランスフォーメーション及びデリバリー第一次官補のFay Flevaras氏は語っています。「私たちは誰もが年齢を重ね、年老いていきます。故に、個人だけでなく、コミュニティとして高齢者のケアをすることが重要になります」
オーストラリア保健・高齢者介護省の責務は、手頃な価格で質の高い高齢者ケアシステムを提供し、オーストラリアの高齢者だけでなく、介護する人々にとってもより良い成果をもたらすことです。この取り組みでは、3つの主要グループの連携が重要になります。 (1)ミッションの中心となる当事者(家族、介護者/アドボケーター(代弁者)を含む)、(2)幅広い政府ネットワーク(サービスの適格性からリソース利用可否まで、あらゆる要素に影響を与える手順や政策決定を行う)、(3)コネクテッドケアを提供するための効果的なツールを必要としているケアプロバイダー(高齢者施設、在宅支援など)のエコシステム。 Flevaras氏が率いるチームは、こうした分野で役割を果たしています。
「私たちは、ケアプロバイダーが一つのチームとして活動でき、透明性高く利用者が必要とするサービスを利用できるシステムを提供できるように心がけています」とFlevaras氏は話、以下のように続けました。「つまり、アプローチから見直し、人を中心として設計を進め、サービス利用者とプロバイダーが行政機関と容易にやり取りし、あらゆる支援を利用しやすくする必要があったのです」
Flevaras氏と彼女のチームの取り組みは、あらゆる部門、機関、府省にとってチェンジ・マネジメントの手本となるものです。それらは次のことを目指しています。
(a)透明性が高く、具体的で、継続的な改善につながる形で成功基準を定義する、
(b)受けるサービスについて、住民がより多くの情報から判断を下せるようにする、
(c)政府エコシステム全体でつながりのある体験を構築する。
デジタルトランスフォーメーションおよびデリバリー担当第一次官補
AI、データ、CRMなどのITトレンドに合わせて公共機関に求められる高度なデジタル戦略
Gartner社は、毎年実施する政府動向調査で、ポストデジタル時代(ニューノーマル時代のデジタルプロセスとデジタル運用)への移行に伴い、組織に影響を与えるだけでなく、次のようなCTA(行動喚起)にもつながる10のトレンドを挙げています。
(1)意思決定に役立つ情報を提供するAI:Gartner社は、2024年までに政府のAIとデータ分析に対する投資の60%が、リアルタイムの業務上の意思決定と成果に直接影響を与えると予想しています。しかし、AIが生成するレコメンデーションは、基盤となるデータがあってこそ効果を発揮するのです。分析対象となる情報量が多ければ多いほど、AIが生成する結果は統計的に有意になります。それだけ多くの情報を蓄積するには時間がかかります。つまり、政府は、今こそ先を見越した明確なデータ戦略を今すぐ定義する必要があるのです。たとえば...
(2)プログラムとしてのデータ共有:Gartner社は、今年末までに公共機関の50%がデータの収集と共有のための正式な仕組みを確立すると予想しています。そのためには、リーダーはより多くのタッチポイントをデータポイントに変え、フォーマットを標準化し、ガバナンスモデルを確立し、360度視点であらゆる情報の一元管理を行う必要があります。
(3)クラウドベースのレガシーモダナイゼーション:最新のITインフラとCRMアプリケーションには、あらゆるデータを連携して単一の360度ビューに統合することができます。Gartnerは、2025年までに業務の半分以上がハイパースケールクラウドサービス・プロバイダーを利用して管理するようになると予想しています。それはつまり、サイロ化されたレガシーシステムの入れ替えが進行中であることを示唆しています。1
つまり、AI、データ、CRMといったトレンドが意味するところは、各部門や省庁が適切に連携し続けるためには、より高度なIT戦略が重要だということです。
高齢者介護省のような組織は、従前のベストプラクティスに基づいて質の高いケアプランとは何かを定義し(AI)、ケアプロバイダーが安全で質の高いケアを提供するための説明責任を確保し(データ)、そうした情報を実用的かつ透明性を担保した形で共有する(CRM)という活動に取り組んでいる。「こうしたレベルの変化をサポートできるプラットフォーム、この全てを実現できるプラットフォーム」が必要だとFlevaras氏は語ります。「高齢者介護部門に設置された王立委員会から、高齢者介護部門とのやり取りをサポートするシステムのアップグレードについて148件の勧告を受けました。私たちはそのリストに優先順位をつけ、『管理業務の負担を軽減するために、どの問題を優先的に解決すべきか』と自問自答しながら、1つずつ取り組んでいきました。導き出したのが、業界レベルで介護を改革できる可能性を秘めたポータル環境だったのです。
高齢者介護省のプロバイダーポータルについて
Flevaras氏とチームは、SalesforceのPublicsector Solutionsを利用してGovernment Provider Management System(GPMS)を立ち上げました。これは、Yelpという口コミスタイルのデジタルコミュニティポータルのような、プロバイダー格付評価システムです。サービスプロバイダーは、重要なコンプライアンスと報告データを公共機関と共有できるようになり、人々は多くの情報から判断を下せるようになります。また、高齢者介護省は、そうしたタッチポイントからより多くの価値と知見を得ることができます。さらに、SalesforceのHyperforce上で展開されるため、AWSとの幅広い相互運用性も得られます。
それでは、その仕組みを説明しましょう。
セルフサービスコミュニティ環境
ケアプロバイダーとなる介護事業者は、Public Sector Solutions(公共機関向けソリューション(英語))を活用して構築されたオンラインログインページから、公共機関が発行するデジタルIDを使ってポータルにログインし、登録を行います。
介護事業者が確認をクリックすると、認証コードが記載されたメールが自動的に送信され、プロファイル設定にアクセスできるようになります。動的なフォームのガイドにより、介護事業者はプロファイルをスムーズに設定でき、「IFTTT(もしこうなら、こうする)」という一連のワークフロールールに基づいて、事業者のプロファイルに関連するフィールドのみが表示されます。
プロファイルが完成すると、Experience Cloud上に構築されたメインポータルに誘導されます。このポータルで、公共機関からのメッセージやお知らせを受け取ったり、組織を代表してユーザーを管理したり、「算出された格付評価」を確認したりすることができます。格付評価は、情報に基づく意思決定を行う側面が顕著に表れる部分です。
データのアクセス性と透明性
「我々は、サービスプロバイダーごとに最低でも356項目にわたるデータを収集し、まとめています。収集するデータは、サービス品質、顧客満足度、業界規制への準拠などです。こうしたデータ項目も含めてサービスプロバイダーから得たデータを分析し、利用者が利用できるケアとはどのようなものかを定義する格付評価システムを開発しました」とFlevaras氏は語ります。
これらの評価はレポートとして公開され、介護事業者を格付評価に合わせたタイルから検索できます。また、名前で検索したり、新しい順に並べ替えたりできます。クリックすると、サブカテゴリーの詳細が表示されます。
高度な分析およびプラットフォームレベルサービス
TableauとCRM Analyticsは、サービスの詳細を抽出して視覚的なレポートやダッシュボードとして表示できます。その情報から、チームはパターンや傾向を見極めて、原因を特定し、必要に応じて格付けシステムを改良または更新できます。
MuleSoftは、プロバイダーがデータを自動的に共有するために利用するサードパーティシステムとGPMSを統合できるようにしています。紙のフォームやスプレッドシートをアップロード、また手入力する必要のない未来を実現しています。
Sandboxもレイヤーに含まれており、チームは本番環境で公開する前にオフライン環境で新しい機能をテストできます。Shieldはセキュリティの追加レイヤーとして、プラットフォーム暗号化、イベントモニタリング、二要素認証などの機能を提供します。次のリリースでは、スタッフのデジタルスキル向上のためにmyTrailhead(英語)で3か月間のトレーニングと職業体験プログラムを開始する予定です。
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高齢者介護省の成果により、イベントの実施よりも成果とインパクトが重視されるように
チームはGPMSのために当初12か月分の予算を確保し、開発環境を3か月で構築し、その5か月後に初回パイロット版を稼働させ、その年の終わりまでにMVPの実稼働にこぎつけました。「まず在宅型高齢者介護コミュニティを立ち上げ、四半期ごとに2つの新機能を導入しています」とFlevaras氏は語ります。「また、他機関との連携も開始し、この機能を他の機関で導入する方法を検討し始めています。これは私たちの仕事を継続的に改善することに役立つはずです」。
現在、チームでは以下のことが可能になりました。
サポート対象の登録済みサービスプロバイダー数と利用可能なケアプラン数を報告し、利用者が求める品質と安全基準をどれだけ満たしているかチームが評価できるように支援する
サポート対象のサービスプロバイダーの種類と利用可能なサービスの種類を効果的にモニタリングし、利用者が求めるサービスをどれだけカバーできているかチームが評価できるように支援する
確立された評価システムにより、住民、介護事業者、サービスプロバイダーを含む全員が「良い」評価に求められる明確で納得性のある定義を参照できる。
サービスプロバイダーの各種規制及び遵守データを追跡し、関連するパターンを特定して(どの対象者でも同じパターンで毎回選択されるか、結果が別の結果と常にセットで現れるかなど)、ベストプラクティスを定義するために必要なパターン、傾向、データに基づいた視点をチームに提供する
公共機関やコミュニティが介護事業者のサービスの品質に関する明確でタイムリーなデータを入手できるよう、介護事業者が高齢者介護サービスの品質と安全性に関する最新情報にアクセスできるようにする
高齢者介護省は、100社以上の民間企業がボランティアとしてチームとの共同設計に参画しています。時間、エネルギー、リソースを投入する価値があるパワフルな戦略の証でもあります。Flevaras氏が率いるチームは、2週間ごとにこうした企業と面談しながら手厚い支援を受けています。デジタルソリューションの開発が人間を主体として、実社会で成功ができるようにするためなのです。
「ケアを改善するには、テクノロジーを活用した環境が不可欠です」とFlevaras氏は語ります。“この戦略により、ケア提供者に時間の余裕ができ、重要な業務にエネルギーと意識を集中できるようになりました。それこそが、人間を主体とした設計を実現するということです。ミッションを変革し、公共機関全体の能力を高めることができるようになるのです。”
お客様にシームレスでつながりのある体験を提供
その他のリソース
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お客様事例
制度照会や相談業務の効率化と迅速な照会対応に向け「国家公務員制度ナレッジベース」を構築
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お客様事例
Salesforceを活用し、効率化と迅速化を実現するWEB調査システムを新たに構築

製品デモ動画
行政サービスのモダナイゼーション業務効率化と利用者に寄り添った行政サービスの提供を実現