サービスの拡大とイノベーション推進に成功したカリフォルニア州陸運局

ワークフローの自動化とインフラのプラットフォーム再生により、サービスの効率とスピードが大きく向上した事例をご紹介します。

 

カリフォルニア州陸運局(CA DMV)は、全米最大のID発行機関です。州全域に設置された175以上のオフィスと300以上のキオスク端末で、3,400万人以上のIDを管理しています。また、どんな部署や機関にとってもお手本となるような、以下のイノベーションを推進しています。

  1. 新規または既存のサービスを素早く大規模に提供する
  2. アプリケーション設計やテンプレートをプログラム間で再利用する
  3. 1つのプラットフォームにすべてを集約し、内部プロセスや業務よりも利用者体験を優先してデータの収集と業務を実施する

DMV局長が国内最高の小売組織になることを目指し、陸運局のすべてのサービスで「デジタルファースト」イニシアチブを導入したとき、チームは大きな一歩を踏み出しました。「私たちはサービスチャネルを統合し、オムニチャネル体験を利用者に提供する方針を定めました。この取り組みをCA DMVのスピードと規模で実現するには、最新のテクノロジーが実装された基盤が必要でした」と語るのは、CA DMVの最高デジタル変革責任者を務めるAjay Gupta氏。「そして、デジタル変革ジャーニーがもたらしたものがここにあります」

 

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このページではサマリーを紹介しています。詳細な導入事例はこちらからお読みください。
 

フロントからバックオフィスまで、すべてをクラウド上で変革

Gupta氏とチームは、レガシーシステムをFedRAMP認定済みのSalesforce Customer 360 for Public Sectorにモダナイズしました。その結果、よりたくさんのチャネルから、多くのサービスや革新的な新サービスをサポートできるようになり、更にフロントからバックオフィスまでを1つのプラットフォーム上で実現できるようになりました。
 

デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)

Experience Cloud、Public Sector Solutions、MuleSoft上に構築されたDXPは、反復的な展開プロセスと並行してアジャイルな導入を実現できる新しいコアシステムです。チームはこのシステムを利用し、AI/MLとロボティクスの統合、意思決定の強化と自動化、設定可能なアプリケーションを導入しています。
 

コンタクトセンター

利用者は、Experience Cloud上に構築されたポータル環境のdmv.ca.govにアクセスできます。Webサイトのコンテンツで質問の回答が見つからない場合は、AIを活用したチャットボットがFAQの回答に導き、Live Agentに引き継いでさらなるサポートを提供します。こうした行動やアクティビティは、Salesforceコンピューター・テレフォニー・インテグレーション(CTI)とIVRを介してService Cloud内のパーソナライズされたプロファイル記録に保存され、カリフォルニア州の利用者の全体像を構成します。ライブチャット内には、言語翻訳サービスも統合されています。
 

バーチャルフィールドオフィス

利用者の質問が複雑すぎてチャットでは対応できない場合、またはメールでは対応できないほど急を要しているため電話やビデオ通話での対応が求められる場合は、Salesforce Scheduler(英語)がエスカレーション基準とワークフロールールにもとづいて、顧客をコンタクトセンターからバーチャルフィールドオフィスに自動的に引き継ぎます。

「利用者の皆さんには、まず仮想環境でのやり取りからスタートしていただき、可能な範囲で自動ワークフローに沿って手続きを進めます。その間に皆さんを仮想の待ち行列に登録し、最後まで進んだ場合や実際にオフィスに出向く必要が生じた場合に、最初から列に並びなおすのではなく、中断したところから再開できるようにするためです」(Gupta氏)
 

モバイル・運転免許・パイロット

利用者はDMVモバイルウォレットアプリをスマートフォンにダウンロードし、そのアプリで本人確認と運転免許証の提示を求められます。MuleSoftはそのデータをService CloudとAWS上に構築したDMVの記録システムに転送し、本人確認とデジタル署名を行った上で、デジタル証明書となるモバイルライセンスを発行します。この柔軟で拡張可能なアーキテクチャにより、複数のオープンソースおよびネイティブプラットフォームをサポートできます。

さらに、CA DMVでは、ShieldTableauおよびCRM Analyticsも追加しました。その結果、チームはあらゆるデータに対応する追加のセキュリティレイヤーを確保し、レポートとダッシュボードを統合して、サービス提供のタイムラインに影響を与える可能性があるトレンドやイベントを特定できるようになりました。

 

通常のプロジェクトと真のデジタルトランスフォーメーションの違いとは?

ビジネス変革とともに、テクノロジーコンポーネントの柔軟性と相互運用性に着目。

「SaaSへの移行は、戦略的な判断で決めました。複数のプログラムで設計を再利用し、同じコードで全てを1つのプラットフォームに繋げることができるようになりました。SaaSプラットフォーム、マーケットプレイス、クラウドネイティブサービスを利用することで、私たちは職業ライセンス許認可プログラム、障害者プラカードプログラム、従業員運転記録通知、要求者DMVアクセスプログラムのモダナイズを徐々に進めました。現在では、さらに複雑な調査、ドライバーの安全、車両登録プログラムを導入しています。そこで得られる学びを次の運転免許証の最新化に活かします」(Gupta氏)

CA DMVのベストプラクティスチェックリストで、このテーマや他の重要なポイントをご確認ください。

この戦略により、DMVはさらなる発展のための新たな基準を確立

DMVチームは、この変革によって複数の成果を達成しました。

  • スピードを犠牲にすることなく年間6,000万件の申請を処理できるようになり、たとえば、REAL IDの申請に要する時間も35分から7分に短縮しました。多くの申請を低コストでスピーディなチャネルへと移行したことで(クリック操作、電話対応、直接対応の比較)、チャネルと製品全体のサービス品質も著しく改善されました。
  • 通話件数の約55%は、スタッフが介入することなく自動ワークフローで解決できるようになりました。データを標準化し、1つののプラットフォームに統合したことで、チームはデータに基づいた意思決定が可能になりました。「特定のタッチポイントが不要になることもあります。また、人手を必要とする前に問題を解決したため、ケースのエスカレーションをあげて判断を仰ぐアクションを回避できたこともあります」(Gupta氏)。
  • 行列に並ぶ時間が減り、書類の記入や処理が減り、担当者が変わるたびに同じ質問を繰り返す無駄を省くことで、利用者の満足度が高まります。利用者の満足度が向上すると、職員の満足度も向上し、サポートを求める次の利用者に対して、より優れた利用者体験を提供できるようになります。「もはや利用者体験や職員体験というレベルではありません。私たちの文化は人体験と言えます」(Gupta氏)

「先日、Gartnerのベンチマーキングを行いましたが、実際にいくつかの主要業界よりも先行していました」とGupta氏は語り、次のように続けました。「私たちが模範となって縦割りを解消し、クリエイティブなサービスを提供し、公共機関という業界に対する人々のイメージを変えられることを示したいと考えています」

 

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