イーデザイン損害保険株式会社

フルクラウドのシステム基盤で目指す、損害保険サービスの「究極のCX」

Salesforceを活用して、統合化されたCRM基盤を構築してお客さま情報を一元管理。部署を超えた情報共有により一貫したお客さま体験を提供

イーデザイン損保では、「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する。」これまでにない自動車保険として「&e(アンディー)」の提供を開始しました。この次世代の自動車保険は、車に取り付けたIoTセンサーの活用により、迅速、適切な事故対応はもちろんのこと、契約者の安全運転支援など新たな付加価値を創出したサービスです。この画期的なサービスを実現するために、同社では「デジタルを活用したCX(お客さま体験)」と「お客さまに寄り添った対応」をコンセプトに、SalesforceをCRMに採用してシステム基盤を刷新。Salesforceの多彩な機能を活用したサービスがCX向上と業務効率化に多大な貢献を果たしています。
 
 

1. 損害保険会社として「ありたい姿」を徹底追及

東京海上グループの中で、ネット型損害保険マーケットにおける新たな価値創造をリードするのがイーデザイン損害保険(以下、イーデザイン損保)です。インシュアテック保険会社へ舵を切った同社では、2021年11月に、これまでの自動車保険の概念を変える共創型自動車保険「&e(アンディー)」を発売。これはAIやIoTといった先進デジタル技術を活用し、お客さまに高度な付加価値を提供する次世代保険商品として注目を集めています。

「&e」のどのような点が画期的なのでしょうか? まず、同サービスに加入すると、すべてのお客さまに約3センチ四方のIoTセンサーが配布されます。お客さまはアプリをスマートフォンにダウンロードしてからセンサーを車に置き、スマートフォンとペアリングするだけ。万一の事故の際には、センサーが自動で衝撃を検知し、アプリに通知が届きます。事故連絡や救急車の手配など、事故後に必要な対応をナビゲートしてくれるから、不安が最も大きい事故直後も安心です。また、衝撃の前後数秒間の状況を自動で記録しているので、事故担当者が事故状況を正しく把握することができ、すみやかな事故解決につながります。

&eでは、安全運転支援サービスも併せて提供するのも特徴的です。センサーが普段の運転から急ブレーキや急ハンドル、急加速などの危険挙動を検知し、運転スコアを算出します。お客さまは自身の運転スコアや傾向をアプリで把握し、具体的にどこで危険挙動を行ったのかマップで振り返ることができるほか、安全運転で貯まるポイントをプレゼントと交換することも可能です。&eを契約する遠隔地の家族の運転スコアも共有できるため、例えば高齢の家族の運転 “見守り”に役立てることも可能です。こうした付加価値を提供する&eは、同社が標榜する「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する。」に相応しいものと言えます。

イーデザイン損保がこのような次世代型保険サービスに至った経緯として同社の橋本 雄氏は、2018年に立ち上げた「ありたい姿プロジェクト」が源流にあったと振り返ります。

「自動車保険という成熟した市場にあって、『イーデザイン損保らしさとは何なのか』の原点に立ち返り、会社のミッションや存在意義を捉え直して、ありたい姿を検討したプロジェクトです。そこで策定されたのが『デジタルを活用したCX』『お客さまに寄り添った対応』というキーコンセプトでした」

 
 

2. 機動性や保守性を念頭にフルクラウドを推進

コンセプトを実現するには、システム面では多様な外部サービスとの連携が必須です。既存のオンプレミスでは限界があります。「自社のIT基盤を根底から見直し、フルクラウドでオープンなアーキテクチャへと刷新することが大前提でした」と橋本氏は語ります。

そこで同社では、システム基盤の要件として「機動性の確保」「保守性の確保」「高度なデータ分析」の3点を掲げました。「お客さま体験に直結するUIやコンテンツは自社開発するものの、各種サービス機能を担う保険基幹システムやCRMには、パッケージやSaaSを積極的に採用。外部サービスを含むシステム間の連携はすべてAPI経由で行うという方針を立てました」と語るのは、同社 IT企画部の初鹿瑠衣氏です。

この方針により、すべての部署・従業員がお客さまに寄り添った対応を行うためのカギを握るCRMには、Salesforce Financial Services Cloudを採用。保険基幹システムをはじめとするその他のシステムとのAPI連携プラットフォームとしてMuleSoftを導入したのです。

既存保険商品のシステムとしてもSalesforceを利用していた経緯もあり、CRMとしての信頼性を高く評価していたという同社ですが、さらに初鹿氏は「Salesforce側に基幹システムに採用している製品との連携パッケージが用意されていたことも魅力を感じました。スピード感を持って基幹システムとの円滑な連携ができると期待したのです」

「さらにSalesforceの採用については、Salesforce Igniteのチームメンバーの支援を仰いだことも背景にあります。Salesforce Igniteは、今回の取り組みの発端となった『ありたい姿』プロジェクトにおける、デザイン思考に基づく経営変革のためのイノベーションプログラムです。その経験を通して、当社では提供元のSalesforceに対して大きな信頼を寄せていました」と橋本氏は語ります。

 
 
 
 

3. 統合化されたCRMにより一貫したCXを提供

こうしてイーデザイン損保は2019年10月にシステム開発に着手し、21年4月にサービスインを完了、基幹系およびCRM基盤を含むシステムを約18ヶ月という短期開発にて実現させたのです。
そのような短期開発を可能にした同社のこだわりは、基本的に業務プロセスはパッケージの標準機能に合わせ、カスマイズを最少限に留めるということでした。初鹿氏は「IT部門からビジネス部門に標準機能でできることなどを提案し、システム構築のスピード感を重視しました。また、Salesforceでは、随時バージョンアップが行われ、次々に新機能が追加されることになります。そうしたものを俊敏に取り入れていくうえで、カスタマイズが障壁になることを避けたかったです」と説明します。

構築されたシステムはご契約内容の変更や各種お問い合わせに応えるお客さまサポート、事故対応サービスなどお客さま接点を中心に、&eにかかわる広範な業務がSalesforceによって稼働しています。さらに、年々高まるさまざまなお客さまニーズやテクノロジーの進化に迅速に対応しながら、常に安定したシステムの運用を継続するために、ミッションクリティカルな運用支援に定評のあるSignature Success Planを活用しています。クロスクラウド全体として複雑になりがちな環境にあっても、システムを熟知したテクニカルアカウントマネージャーやサポートチームが支援することで、日々発生するさまざまな課題に迅速に対応でき、お客さまからの問い合わせ対応にもよりスピーディーに対応できるようになった、といいます。CX向上と自社のお客さま対応業務の効率化の両面で、さまざまな成果がもたらされているのです。

そのほかお客さまサポート面では、これまでの保険商品では電話による応対が基本でした。&eでは電話、チャット、アプリ、メールといったオムニチャネルを実現。チャットをメインチャネルとして使い、お客さまポータルであるマイページからスムーズな問い合わせが行える仕組みを整えました。

お客さまサポート部の松本大希氏は、お客さまにとことん寄り添う対応を実現する上で、「例えばオペレーターがチャットで対応する中で、内容によって電話によるやり取りが必要だと判断したケースでは、チャットをつないだまま、直ちに電話応対に切り替えるといったことも可能です」と説明します。

また、チャットの採用は業務効率上でもメリットが大きいといいます。「これまでの電話での応対では、1人のオペレーターが対応可能な件数は1日あたり20件程度でした。チャットの場合は、優秀なオペレーターであれば、同時に2人のお客さまに対応することも可能になり生産性が大きく向上しました。チャットでは1日あたりの平均対応件数が150%ほど従来に比べて増加しているという実績も出てきています」(松本氏)

 

ところで、日頃のコミュニケーションの中で、相手と「テンポやフィーリングがどうも合わない・・」と感じることは少なくないのではないでしょうか。その原因は、コミュニケーションにおいて大切にするポイントが人によって異なることにあります。こうしたコミュニケーションの相性は、事故発生時の対応という非日常の出来事の中では特に無視できないものとなります。
事故対応に関して&eでは、「私のタントウシャ」という日本でも過去に例の無いサービスを実現しています。「&eにご加入後、40秒程度で回答いただけるアンケートをお願いしています。事故担当者とお客さまの相性をアンケート結果も加味してAIが算出。事故担当者はスコア化された相性を参照し、一人ひとりのお客さまに対してより深い注意を傾け、どのような対応を望んでいらっしゃるのかをじっくり考え事故解決にあたります。事故は無事に解決しても、何か担当者とフィーリングが合わなかったという理由でご満足いただけないのはお客さまや当社にとっても不幸なことです。そんなミスマッチを防ぎたいというのが、私のタントウシャの根幹にある考え方です」と橋本氏。このアンケート結果については、Salesforce上で担当者がいつでもアクセスし、サービス提供に活かしています。

 
 
 
 
 
チャットでの対応件数向上
 
 

4. 継続的な改善により想定以上の価値につながる

イーデザイン損保は、Marketing CloudやTableauといったSalesforceソリューションも積極的に活用しています。

「Marketing Cloudは、DMの発信などプロモーション領域に利用していますが、CRMと連携する形でお客さまのステータス管理などをきめ細かく行うことができるようになりました。例えば、事故対応中や台風など自然災害に被災中のお客さまには新規サービスのご案内は見送るといったことも可能になります。また、Salesforce上のAIを活用し、お客さまごとにメールが開封されやすい時間帯を判断して送信する仕組みも適用しています」と橋本氏は活用の一例を紹介します。

またTableauは、お客さまから事故のご連絡を何件受け付け、うち何件がクローズしているか、担当者のリソースの逼迫状況はどうかなど、多様な情報をダッシュボード上でグラフなども駆使して可視化し、ビジネス上の適切な意思決定を瞬時に行えるようになったといいます。

さらに今後において、同社は広範な業務領域でのSalesforceの活用を目指しています。

松本氏はこう語ります。「例えば、お客さまサポートの場面では、利用するチャットに画像を挿入するなど、CXを向上させる様々なアイデアを検討しています。これは着実に実装したいと思います。最初から100点をねらうのではなく、運用しながら改善を重ねていく方が、結果的により高い価値を達成できる。それこそがSalesforceの活用を通して得られた実感であり、Salesforceこそ、スモールスタートでスピーディなPDCAを回すことに最適なプラットフォームであると実感しています」

また、橋本氏はさらなるデータの活用にも意欲を示します。「Customer 360の思想に基づくと、現在Salesforceに格納されている保険契約や事故の情報は、まだお客さま情報の半分も満たしていません。今後は運転スコアや位置情報、Webサイトの閲覧状況など“お客さまの今”がわかる行動情報も追加しながら、お客さまサポートの質をさらに向上したいと考えています」

イーデザイン損保における「究極のCX実現」に向けた追求は、Salesforceを基盤に今後も進展していきます。

 
 
 
 
※ 本事例は2023年4月時点の情報です
 

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