株式会社エモーションテック

顧客と継続的に向き合うために、ビジネスデータの「ワンプラットフォーム」を実現

戦略基盤としてSalesforceを採用、複数のAppExchangeアプリを導入し、業務効率化や高精度な売上予測も可能に

企業の顧客体験(CX)、従業員体験(EX)のマネジメントを支援する株式会社エモーションテック。顧客と継続的に向き合うための情報基盤として、Salesforceが活用されています。採用の理由は「どのCRM製品を導入しても最後はSalesforceに行き着く」と感じたから。またサポートが手厚いことも、採用を後押ししたと言います。

最初に導入されたのは2018年1月。わずか2か月でSales Cloudをリリースした後、カスタム項目の見直し、複数のAppExchangeアプリの導入、Account Engagementの導入などが行われ、同社にとって「ビジネスデータのワンプラットフォーム」になっていきます。これによって業務効率を大幅に向上させると共に、高精度な売上予測を実現。顧客と継続的に向き合うための重要な基盤になっています。

 
 

1. お客様と継続的に向き合うため、世界No.1CRM*のSalesforceを導入

エモーション × データで、三方よしの社会を実現する力になる。このようなパーパスを掲げ、顧客体験マネジメントサービス「EmotionTech CX」や、従業員体験マネジメントサービス「EmotionTech EX」などを提供しているのが、株式会社エモーションテック(以下、エモーションテック)です。約600社の企業の支援を通して、顧客ロイヤルティや従業員エンゲージメント向上に貢献してきました。
「顧客と従業員に向き合い続けることで、持続的な企業成長が可能になります」と語るのは、代表取締役の今西 良光 氏。しかし、2013年に創業した頃のミッションは、これとは異なっていたと振り返ります。「当初は『従業員のイキイキ』をミッションに掲げており、これを創業1年後に現在のものへとアップデートしました。その後もしばらくは提供するサービス内容やメニューが変化し続けており、提供価値もアップデートされ続けていったのです」。

今西氏によると、常に変化する状況の中で特に重要な課題として意識しているのは、変化に対応しながら、どのようにしてお客様と継続的に良い関係性を築いていくかという点です。しかし当初はそのための内部管理ができておらず、誰がどのお客様とどのように対応しているのかも、感覚的かつ場当たり的にしかわからない状況だったと言います。この問題を解決するため、まずはスプレッドシートによる管理に着手。「行けるところまではこれで行こう」と考えていましたが、すぐに行き詰まってしまったと今西氏は振り返ります。

「部門や担当者毎に複数のシートが存在し、これらの整合性が取れておらず、数字の変動要因を探るだけでも膨大な時間がかかっていました。また記録漏れや更新漏れも多く、必要なデータが揃わないことも多々ありました」。

また、2017年5月にマーケティング担当として入社し、その後データ解析チームへ異動した野手 清美氏も、「使える状態になっている過去の顧客データが全くない状況でした」と語ります。「マーケティング担当としてはMAツール導入にも取り組んでいましたが、そこでもMAと連携できるCRMの必要性を痛感していました」。

そこで野手氏は、CRMに関しては未経験であるにも関わらず、自ら手を上げてCRM導入を行うことを決断。2017年12月には複数のSFA/CRM製品をリストアップし、比較検討を実施します。その中から最終的に選ばれたのがSalesforceでした。その理由について、野手氏は次のように説明します。

「Salesforceは世界No.1のCRM*であり、どのCRM製品を採用したとしても、最終的にはSalesforceに行き着くのではないかと感じていました。また他社製品も含めた比較を行う中で、Salesforceのサポートが非常に手厚く、その活用範囲が非常に広いということもわかってきました。それなら最初からSalesforceを採用し、徹底的に活用すべきだと考えたのです」。

 
 
 
 

2. 段階的な取り組みでビジネスデータの「ワンプラットフォーム」を実現

2018年1月にはSales Cloudを導入。これと同時にPremier Success Planも契約し、Salesforceの手厚いサポートのもと、わずか2か月で最初のシステムをリリースします。「Premier Success Planでは主に設定や自動化に関する質問をしましたが、毎回電話で即答していただき、活用相談会も必要な知識の習得に役立ちました。このようなサポートがあったため、未経験でも社内の業務管理フローを一気に変えることができました」。

しかしここで大きな問題に直面することになります。社内の幅広いステークホルダーの要望を取り込んだ結果、カスタム項目が乱立し、全く使われない項目が多発してしまったのです。また項目数が多すぎるため入力漏れも多発、従来のスプレッドシート管理もバックアップとして実施しておかないと情報漏れが発生してしまい、入力工数がかえって増大するという問題も発生していました。

その解決に向け、2019年1月には「入力ルールをシンプルにする」ための見直しを開始。見るべき数字(KPI)をトップダウンで決定し、これに合わせてカスタム項目を整理していきます。またチームリーダーと各メンバーとの会話も、Salesforceベースで行うというルールを決め、Salesforceの浸透を推進していきます。

「最初から完璧を目指さず、契約内容がシンプルな案件から徐々に精度を上げていく、というアプローチを行った結果、約2か月でヨミ管理(営業活動の進捗状況から売上予測を立てること)が可能になっていきました」と野手氏。2019年12月には、商品・商談・顧客に関する全ての情報がSalesforceに蓄積されるようになったと言います。「これによってSalesforceに登録された数字も、少しずつ使える状態になっていきました」。

これと並行して、AppExchangeアプリの活用も拡大していきます。帳票作成、電子署名、勤怠管理、電話音声の文字起こしなどをSalesforceと連携させることで、より多くの情報をSalesforceに蓄積すると共に、業務の効率化・自動化も推進されていったのです。また2020年1月には、Account Engagementを導入しています。

さらに2021年10月には契約中顧客のあらゆる情報を蓄積し、シームレスに業務で活用するための「EmotionTechプロジェクト」を構築。Salesforceはビジネスデータの「ワンプラットフォーム」として、重要な役割を担うようになっていくのです。

 
 
 
 

3. 業務を効率化し売上予測の精度を向上、しかし「まだ完成形ではない」

「当社ビジネスの半分はSaaS型であり、一度ご契約いただいたお客様に継続していただくことが重要です」と語るのは、エモーションテック Customer Marketing TeamでCustomer Successを担当する近藤 亜由美 氏。近藤氏が入社した2020年4月頃は、契約更新手続きに必要な手作業が10ステップ以上あり、かなりの手間がかかっていたと振り返ります。「現在では、受注した商談の内容が、次回更新用の商談に自動的に引き継がれるようになっています。
必要な情報だけ、更新用にアップデートされた状態で引き継がれるので、手作業はわずか2ステップになりました」。
また、情報の集約場所はSalesforceだという共通認識が社内で出来上がっており、必要な情報が漏れなく入手できることも、大きなメリットだと指摘します。

「例えば当社では、契約終了の4か月前にお客様にアンケートを実施しているのですが、その結果をSalesforceに蓄積することで、適切な対応をすぐに実施できるようになりました。アンケート結果はリアルなお客様の声なので、これに対して具体的なアドバイスが行えれば、解約防止に役立ちます。また契約切れ間近のお客様をリストアップするダッシュボードも自分で簡単に作ることができ、更新漏れがないようにチームで確認できるようになりました。他のメンバーもそれぞれ、自分のためのダッシュボードを作成しているようです」。

 
 
 
 

その一方で、漏れのない情報集約は経理部門に「売上予測が立てやすい」というメリットをもたらしていると指摘するのは、エモーションテック Accelerator Division/公認会計士の安田 宗一郎 氏です。

「以前は売上予測をスプレッドシートで行っており、その内容が実際の数値と食い違っていることも少なくありませんでした。この問題を解決するため、営業フェーズを8段階に分け、各段階で確定した数字を使えるようにしています。その結果、以前は翌月までが限界だった売上予測が、現在では半年先まで見えるようになりました」。

さらに、業務の自動化・効率化によって、経理部門だけで月間56時間の工数を削減。会社全体では60%の業務効率化を達成しています。このように様々な効果をもたらしている「ワンプラットフォーム」ですが、野手氏は「まだ完成形ではない」と言います。

「様々なトライ&エラーを今でも日々繰り返しながら、データをどうSalesforceに集約するかについて、各チームと話し合っています。いま実現したいと考えているのは、リードからカスタマーサクセスまでを一元的に見られるダッシュボードです。もちろん今でも各チームのKPIを可視化できるダッシュボードはあるのですが、これをチーム横断、全社横断型で可視化することで、もっとビジネスをドライブできるはずだと考えています。そのためのツールとしてTableauの導入も検討しています。またより多くの従業員が自分自身の業務を改善できるよう、Enablementの活用も考えています」。

このように現在も進化を続けているエモーションテックの「ワンプラットフォーム」。今後はこのノウハウを活用し、自社サービスとセットでSalesforce活用を顧客に提案することも視野に入れていると今西氏は語ります。すでに2022年4月には、自社サービスをSalesforceと接続するための「EmotionTech Connector for Salesforce」の提供も開始しています。

 

「私達が目指しているのは、顧客・従業員・企業の『三方良し』を実現するインフラになること。そして、企業を取り囲むあらゆる人を幸せにすることです。そのためにはお客様としっかり向き合うことが不可欠です。Salesforceはそのための重要な基盤であり、これにエモーションデータをかけ合わせることで、お客様のビジネスの成長に貢献できると考えています」。

 

 
 
会社全体の業務効率化
 
 
 
 
※ 本事例は2023年10月時点の情報です
 

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