パーソナライズによって、ロンドン・ヒースロー空港が30%のデジタル収益増加を実現

CRM + AI +データ+信頼の方程式を使って、ロンドン・ヒースロー空港は世界最高の空港サービスを提供しています。

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混み合った空港での忙しない移動に、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。200都市を超える目的地へ1日1,000便以上が離着陸し、年間7,900万人以上の旅行客を迎える空港なら、なおさらのことです。しかし、ロンドン・ヒースロー空港は例外です。旅行者にとってありがたいことに、同空港では、旅行者一人ひとりに世界最高の空港サービスを提供できるように取り組んでいます。

ヒースロー空港はEinstein AIを使って、顧客を包括的に把握することで、パートナー企業および従業員を強化しています。つまり、旅行客は適切な空港サービスを適切なタイミングで利用できるということです。搭乗30分前に新しいハンドバッグを購入することも、何か月も前に駐車場を予約することなどもできます。これにより、何千万人もの旅行客が心からくつろいで旅のあらゆる体験を楽しむことができます。

「ヒースローは世界最大規模の空港です。だからこそ、世界最高レベルの空港であることを目指しています。Einstein AIで、何千万人もの旅行客のあらゆる旅をより快適にできます」と、元CEOのJohn Holland-Kayes氏は述べています。

より快適な旅は、顧客満足度の向上やビジネス成果の強化につながります。約7万5,000人の従業員の支えで運営されているヒースロー空港は、現在ヨーロッパでもっとも利用客の多い空港であり、国際線においては世界第二位となっています。統合、自動化、パーソナライズの強化も、2019年以降に同空港のデジタル収益が30%増加したことに貢献しています。

貴社のビジネス価値を最大限に高めるのに役立つ、ヒースロー空港のデジタルジャーニーから得られた重要なポイントを以下にご紹介します。

 
 

「Salesforceのおかげで、弊社は何千万人もの顧客のデジタル体験を充実させることができました。旅行客に世界最高の空港サービスを提供するという、弊社のビジョンへとさらに近づくことが可能になるのです。」

John Holland-Kaye氏、元CEO
 

1.シームレスなデジタル体験により顧客満足度を向上

空港ターミナルは顧客の旅のスタート地点かもしれませんが、顧客体験のスタート地点ではありません。旅行客が早朝フライトに間に合うよう宿泊先を予約したり、空港からの移動手段を確認したりしている時点から、顧客体験はすでに始まっているのです。「顧客の空港サービスとの関わり方は著しい変化を遂げました。今では、旅行客の約90%は旅の全行程を通してWebサイトやアプリを使っています」と、ヒースロー空港マーケティング・カスタマーエンゲージメント部門責任者のMeenal Varsanis氏は述べています。14のWebサイト、45のバックエンドシステムを有するヒースロー空港は、このような旅行客の行動の変化に対応するのに苦戦を強いられていました。「弊社のデジタルサービスは非常に一貫性のないものでした。 社内プロセスよりも、顧客体験にさらに注力する必要があったのです」とヒースロー空港商業・デジタルプラットフォーム向けテクノロジー部門の責任者であるBob Stickland氏は述べています。 今では、Einstein AIを使用して、買い物、駐車場、サポートサービス、カスタマーコミュニケーションのすべてを、同じプラットフォーム上で実行しています。これにより、旅行客は期待通りのシームレスな体験ができます。たとえば、娘が電車の中からカスタマーサービスチームに電話で空港のセキュリティルールを確認して、母親のお気に入りの紅茶の茶葉をターミナル到着時に受け取れるようにオンラインで注文する、というようなことができます。

「顧客のデジタル体験への期待はさらに高まっており、Salesforceにより、そういった顧客の期待に対応することができています」と、Varsanis氏は述べています。駐車場予約システムなどのデジタルサービスを旅行客が利用することで、空港体験全体における顧客満足度の評価は向上します。そして、こういったやり取りは常に増加しており、2019年以降、デジタルチャネルのシェアは約25%上昇しています。

 
過去4年間のデジタルチャネルのシェアの増加率
 
 

2.つながりのある顧客データでより充実したインサイトを引き出す

新婚旅行、家族旅行、出張。人々はさまざまな理由で空港を訪れます。ヒースロー空港は、7,000万人すべての顧客に、適切なサービスを確実に届けることを目指しています。「ニューヨークに帰るためにヒースローエクスプレスに乗り込んだ旅行客に、駐車場の短期利用に関する情報を提供しても意味がありません」と、ヒースロー空港マーケティング・デジタル部門ディレクターのPeter Burns氏は述べています。

Data Cloudにより、ヒースロー空港は、複数チャネルからの旅行客のやり取りを1か所で把握し、さまざまなチーム間でこのデータをリアルタイムで共有することができます。「弊社の顧客基盤は、地球上でも屈指の多様さを誇ります。Salesforceにより、私たちは新しいインサイトを活用して、顧客の心に残る新たな体験を生み出すことができるのです。つまりこれは、弊社の目標達成へとつながるカギを手にすることを意味します」と、Stickland氏は述べています。

カスタマーサービス、マーケティング、eコマースにおけるやり取りをData Cloudで連携することにより、ヒースロー空港は、旅行客が次に空港に訪れる前に、そのニーズに備えることができるようになります。 たとえば、出張中の旅行客に対しては、いつも同じ商品を免税店で購入していることを踏まえて、クリック&コレクトによる注文を促すことができます。 

Salesforce Professional Service およびAcxiom社からのサポートで導入された顧客データプラットフォームでは、あらゆる旅行客の履歴を一元管理することができます。 データを集約し、技術スタックを簡素化することにより、ヒースロー空港は、機敏性およびセキュリティを飛躍的に向上させることにも成功しています。 「さまざまなシステム間での切り替えは、データ流出のリスクを伴います。また、顧客傾向を把握するのにも時間がかかります。単一の顧客プラットフォームにより、私たちは顧客のニーズを先取りすることができます」と、ヒースロー空港テクノロジー・サイバーディフェンス部門の元ディレクターのLeanne Lynch氏は述べています。

 
 

「よりスマートなデジタルサービスにより、空港に直接出向いた時に限らず、顧客関係を深めることができます。」

Bob Stickland氏、コマーシャル・デジタルプラットフォーム向けテクノロジー部門責任者
 

3.さらに強化されたパーソナライズで顧客の購買意欲を向上

顧客の全体像を一括で把握できることからも、ヒースロー空港が提供するパーソナライズされたサービスの可能性は無限大です。Marketing Cloudを使い、顧客の旅の前、最中、後それぞれにおける主要なポイントで、的を絞ったコミュニケーションを送ることができます。たとえば、顧客がヒースロー空港の駐車場に車を停めた瞬間に、年末に向けた商品の直前購入や、旅行客ラウンジの利用オプションをすすめたりするメールを送ることもできます。
 
パーソナライズされた顧客メールの開封率

「顧客への理解をより深め、さらに適切に顧客をセグメント化できるようになりました。これにより、顧客体験を充実させ、収益へとつながる関連性の高いオファーを提供することができます。マーケティングのコミュニケーション受け取りを許可した顧客の平均購買額、および空港訪問あたりの購入額の増加をすでに実感しています」と、ヒースロー空港マーケティング・カスタマーエンゲージメント部門責任者のMeenal Varsani氏は語りました。

ヒースロー空港がデジタルチャネルの活用を充実させ、さらに多くのコンテンツを創出する中で、マーケティングチームは確実に最大限の価値を提供できるように取り組む必要があります。Marketing Cloud Intelligenceは、30以上のデータソースをつなぎ、パフォーマンスを一元的に把握することができます。これにより、チームは適切なキャンペーンやコミュニケーションに注力し、マーケティングにおける費用対効果を向上させることができます。

 
 

「Salesforceにより、旅行客一人ひとりのニーズに合った、パーソナライズされた体験を提供できるようになりました。7,000万人の中の一人だとしてもです。」

Peter Burns氏、マーケティング・デジタル部門ディレクター
 

4.徹底したeコマース統合でデジタル収益を30%増加

ヒースロー空港が変革をもたらしているのは、自社のデジタルサービスにとどまりません。顧客と何百社ものパートナー企業間の新たなつながりを可能にしています。小売およびケータリングの店舗は空港の年間収益の約10%を占めており、ヒースロー空港は、顧客がこういったブランドと簡単につながれるよう取り組んでいます。

ヒースロー空港が開始した販売予約サービスにより、顧客は空港到着前にオンラインで購入を済ませることが可能です。「Commerce Cloudにより、旅行客のお気に入りのブランドがターミナル内にない場合でも、より多くの実店舗およびデジタルでの購入機会を提供することが可能です」と、Varsani氏は述べます。

eコマースプラットフォームとカスタマーサービスやマーケティングツールの統合により、ヒースロー空港は購入履歴を随時更新することができます。たとえば、睡眠用のアイマスクを購入すると、アイマスクに合う耳栓をおすすめします。

ヒースロー空港は、駐車場サービスのオンライン見積もりや決済の処理方法を変革したことで、コンバージョン率の向上も実現しています。「弊社の駐車場サービスをCommerce Cloudに移行して1か月以内に、かつてないほど高い収益とネットプロモータースコアを達成することができました」と、Burns氏は述べます。

新型コロナウィルスのパンデミックを受け、旅行客が20%減少したにも関わらず、空港全体でのデジタル収益は30%増加しました。「Salesforceにより、アップセリングやクロスセリングがより簡単になりました。チームの効率性向上にもつながっています」と、Varsani氏は述べます。

 
 

「よりスマートなデジタルツールとさらに豊富なデータにより、私たちは顧客の満足度および購買額の向上を実現する、シームレスなショッピング体験を提供することができます。」

Meenal Varsani氏、マーケティング・カスタマーエンゲージメント部門責任者
 

5.効率的なカスタマーサービスにより、旅のあらゆる段階で旅行客をサポート

混雑を極める日では、1日に 20万人を超える旅行客がヒースロー空港を利用します。そのすべての旅行客が優れたカスタマーサービスを求めています。しかし、このような大人数を対象に、効率的かつ費用対効果の高いサービスを提供するにはどうすればいいでしょうか?

オンラインフォームやナレッジ記事からチャットボットにいたるまで、ヒースロー空港は顧客および従業員が、よりスピーディかつスマートに問い合わせに対応できるようサポートしています。たとえば、乗り継ぎ便に遅れそうな旅行客がいる場合、 飛行機から降りたらすぐに、携帯からライブチャットで乗り継ぎ便のゲートへの最短ルートを確認することができます。

Service Cloudにより、ヒースロー空港はこういった急を要する問い合わせにも、すばやく対応することができます。Service Cloudは、自動化ルールを作成し、さまざまなチャネルにおいて、ケースを分類したり、優先順位をつけたりします。

ヒースロー空港はService Cloudを使って、 あらゆるチャネルにおけるすべてのやり取りを記録しており、カスタマーサービスの担当者は包括的に情報を把握することができます。 このようなデータを単一プラットフォームで管理することにより、チームリーダーは、サービスの質や効率性をさらに向上させる機会を特定することも可能になります。たとえば、ヒースロー空港がService Cloudを使いナレッジ記事を作成することで、駐車場に関する一般的な質問に対する回答を旅行者自身が確認できるようになり、カスタマーサービスに問い合わせをする必要がなくなりました。

Einsteinボットにより、電話による問い合わせ件数も大幅に減少し、担当者は時間を節約できるようになりました。「Salesforceにより、私たちはいつでも、どこからでも、より簡単かつ効率的に顧客をサポートできるようになりました」と、Varsani氏は述べています。

 
 

「弊社のカスタマーサービスチームの効率が向上したことから、さらに多くの旅行客をサポートする時間を確保できるようになりました。」

Meenal Varsani氏、マーケティング・カスタマーエンゲージメント部門責任者
 
 

4K

チャットボットが対応する
1月あたりの平均問い合わせ数

 

450%

導入以来の
ライブチャット使用の増加率

 

27%

電話による
問い合わせの平均対応時間の削減率

 
 

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