JCOM株式会社

手作業の多かった工事管理業務をSalesforceでDX、
作業担当者の手配や工程組みの自動化を実現

工事計画や工事作業者割当をシステムで最適化することで
月間9000時間の管理業務を削減、
コミュニケーション機能の活用で現場作業の支援も円滑化

「あたらしいを、あたりまえに」というブランドメッセージを実現するため、改善と独創的・創造的な取り組みを日々継続しているJCOM株式会社。ここでは長年使い続けてきた基幹システムの刷新が進められており、その第一弾として工事管理システムの再構築が行われています。その基盤として採用されているのがSalesforce Field Serviceです。

この新システムによって、工事計画の最適化やサービスエンジニア手配の自動化を実現。工事管理業務に費やされていた時間を、月間約9000時間削減することに成功しています。また移動ルート・時間の自動計算や、ケース機能を活用した作業現場とのコミュニケーションによって、サービスエンジニアに対する支援も強化。これらのDX効果は業務部門や協力会社から高く評価されています。

 
 

1. 基幹システム刷新の第一弾として工事管理システムを再構築

「もっと、心に響かせよう。もっと、暮らしを支えよう。明日を、未来を、拓いていこう。」の企業理念のもと、1995年に創業したJCOM株式会社。それ以来、地域密着型の放送・通信事業者として、ケーブルテレビやインターネット、固定電話、モバイルなど、地域社会の生活を支援する幅広いサービスを展開し続けています。また、映画・番組の制作・配信などの映像エンタテインメント事業を通じて、国内外の多様な映像コンテンツも提供。「あたらしいを、あたりまえに」というブランドメッセージを実現するため、変化し続ける環境の中で、改善と独創的・創造的な取り組みを日々継続しています。

2019年に、それまで長年にわたって使い続けてきた基幹システムの刷新に向けた検討に着手。業務DXへの取り組みも加速しています。その第一弾として実現されたのが、工事業務全般のデジタル化に向けた工事管理システムの刷新です。

「当社の基幹システムは非常に規模が大きく、一度にすべてを刷新するのはリスクがあるため、基幹システム全体から複数のシステムを切り出し、段階的に切り替えていくという方針を採用しています」と語るのは、J:COM 情報システム部門 IT企画推進本部 次期基幹システム開発部で部長を務める梅田 浩一 氏。その中で最初に着手したのが、工事管理システムだったと言います。

この工事管理システムについて「15年程前から拡張を続けてきたためシステムのため、人手による作業も多々発生していました」と振り返るのは、J:COM 技術部門 技術サポート本部 工事オペレーション管理部で部長を務める長野 泰博 氏。「ユーザーである私たちからすれば、この古いシステムを刷新してもらえるというのは、とてもありがたいことでした」。

では以前の業務フローはどのようなものだったのでしょうか。

「お客さまから営業が契約をいただくと、工事日の予約を行いSE(サービスエンジニア)の手配を行うことになりますが、その調整はディスパッチセンターが手作業で行う必要がありました」と説明するのは、J:COM 技術部門 技術サポート本部 工事オペレーション管理部でマネージャーを務める小倉 啓士 氏。工事を行う内容や場所によって、求められる作業資格やスキルが異なり、またSEの移動時間や作業時間の算出も手作業だったため、精密な算出が難しく、かなりの余裕を持たせてスケジュールを組まなければなりませんでした。さらに、工事当日工事現場で問題が発生した場合には、電話で対応する必要がありました。

工事管理システムの刷新で大きなテーマになったのが、これらの手作業を最小化することだったと梅田氏。デジタル技術でSEの手配・調整などを自動化することで、管理業務の効率を大幅に高めることが目指されたと言います。これと同時に、社内の管理部門と協力会社、さらには現場SEとのコミュニケーションの円滑化も、重要課題として強く意識していたと語ります。

 
 
 
 

2. 第三者機関評価のリーダー製品群を調査しSalesforceを選定

そのための基盤として採用されたのが、Salesforce Field Serviceでした。梅田氏と、梅田氏のもとで工事管理システム担当を務める渡辺氏は、その選定プロセスを次のように説明します。

「まずは第三者機関の評価をもとにリーダー製品群を調査し、その上で有力なソリューションを3つ選びました。それらを比較した結果、業務自動化やコミュニケーション円滑化につながる各種機能、アーキテクチャを含むシステム全体の作り、柔軟性や可用性の高さ、新機能が着実に追加されていることなどを評価し、Salesforceの採用を決めました」。

2020年7月にはRFPをまとめ、導入・構築パートナーの選定に着手。フィールドサービス領域での実績やJ:COMのビジネスプロセスの深い理解を前提に工事業務システム刷新の提案を受けた上で、最終的にSCSKを採用しています。その理由について梅田氏は、「優れた提案内容に加え、Salesforceに関する豊富な経験があり、これまでもJ:COMの基幹システム運用で実績があったことを評価しました」と説明します。

開発が始まったのは2021年5月。約1年の開発期間を経て、2022年4月からテストを開始、同年11月には現場への導入がスタートします。まずは湘南神奈川地域、次に関西地域、さらに関東・九州を含めた全国へと、3段階に分けて新システムを展開。ユーザー数は、工事管理者が約500名、現場で作業するSEは約4200名に上ります。SEにはタブレット端末が配布され、その利用方法のトレーニングも導入1ヶ月前から、拠点ごとに実施されています。

Salesforceを活用した新工事管理システムによって、工事管理業務は以下のように変化しています。

まず工事計画段階では、工事計画担当者が計画入力、工事協力会社が作業員シフト登録を、ポータル画面で実施。これらの情報を、SEを手配するディスパッチセンターが画面上で確認し、加入計画に基づくSEの稼働シフトを調整します。工事件数の変動に伴いより効率的に作業予約を受け付ける為に、工事可能件数を自動的に調整する機能も実装しています。

次にSE手配(ルーティング)の段階では、システムが作業員の割当を自動的に最適化した上で、ディスパッチセンターが必要に応じて手動で修正。その結果は協力会社の画面で確認でき、必要であれば協力会社内での割当調整も可能です。

工事当日には、地図アプリと連携した移動ルート・時間の算出が自動的に行われ、SEはそれにもとづいてお客さま宅への訪問と工事作業を実施、工事内容の詳細もタブレット端末で確認できます。現場で問題が発生した場合には、ケース機能を通じて協力会社の管理者やディスパッチセンターに相談することも可能。さらに作業後の報告書も、タブレットからモバイルプリンターに連動し作成・出力されます。

これら一連の業務に関するデータは、すべてSalesforce内に蓄積。データ分析業務の効率化・高度化も実現されています。その結果を活用することで、工事業務のさらなる効率化・生産性向上も容易になっています。

 
 
 
 

3. 月間約9000時間の管理業務を削減、協力会社からも高い評価

全国での本格的な活用が始まったのは2023年2月。それからわずか半年余りですが、すでに大きな効果を発揮しています。

「まず工事計画調整やルーティングの自動化によって、工事オペレーション管理部門の業務が大幅に効率化されました」と長野氏。業務時間の削減効果は、月間で約9000時間に上ると言います。

また小倉氏は「営業担当者が日程を取得する際のやり取りもシンプルになりました」と指摘。以前は協力会社に対して何度か電話をかける必要がありましたが、現在では1回のやり取りで完了すると言います。「ケース機能を使うことで、工事現場からディスパッチセンターへの問合せ電話も大幅に減りました。作業現場で撮影した写真も伝達できるため、問い合わせへの的確な回答も容易になっています」。

さらにこの新システムは、協力会社の作業員やJ:COMのお客さまにとっても、メリットが大きいと長野氏は言及します。

「SEからは『移動ルートの自動作成が非常に便利』という声を数多くいただいています。また私たちが作成した工程表をポータルで共有しているため、協力会社から先の予定が見えることも評価されています。お客さまにとっては、移動時間や作業時間をより正確に見積もれることで、在宅しなければならない時間を最小化できる、というメリットにつながっています」。

さらに長野氏はこの新システムをベースにすることで、将来はお客さまからのお申し込みの段階から、工事手配の自動化が可能になるのではないかとも述べています。Salesforceを活用した工事管理業務のDXは、将来に向けた業務部門の期待も、大幅に高める結果になっているようです。

「今回はシステムを刷新すると共に、それに合わせた新しい運用方法も確立する必要がありましたが、SCSKはそのチャレンジに一緒に取り組んでくれました」と梅田氏。また新システムの導入・展開時にはSalesforceの担当者も立ち会い、そこで発生した問題にSCSKと共に迅速に対応してくれたと言います。

「このような強力な支援のもと、次につながるシステムを実現できました。今後はお客さまからの申込受付業務などのDXも進めていく計画ですが、そこでもSalesforceをうまく活用しながら、お客様体験向上や業務改善につなげていきたいと考えています」。

 
 
 
 
 
 
 
自動化によって削減された月間業務時間
 
 
※ 本事例は2023年8月時点の情報です
 

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