株式会社カラダノート

家族生活のQOL向上を目指す企業、会員と長期的に並走する仕組みを確立

会員軸で整理した膨大な情報をService Cloudに集約、これとMarketing Cloudを連携させることでシナリオベースの顧客ジャーニーを実現、会員の悩みをタイムリーに解決できるビジネスを目指す

「家族の健康を支え笑顔をふやす」というビジョンのもと、妊娠・育児アプリや健康管理アプリなどのサービスを展開している株式会社カラダノート。すでに業界トップクラスのデータ保有率となっており、これを活用することで会員と長期的に伴走できるビジネスの実現にも積極的に取り組んでいます。その一環として行われたのが、会員に対して最適なジャーニーを提供できる仕組みの確立。ここで活用されているのが、Service CloudとMarketing Cloudです。両者を連携させることで、会員軸で情報を整理・蓄積すると共に、きめ細かいセグメンテーションとシナリオにもとづいたメール配信を実現。また最新の会員状況を反映したLTVも、自動的に可視化できるようにしています。これによって目指しているのは、会員のデータを適切に活用することで、会員の悩みをタイムリーに解決すること。Salesforceを活用することでその実現も容易になると評価されています。
 
 

1. 蓄積した会員データを活かし家族と長期的に伴走できるビジネスへ

株式会社カラダノートは、「家族の健康を支え笑顔をふやす」というビジョンの実現と家族生活のQOL向上への貢献を目指し、家族にまつわる様々なサービスを提供している企業です。個人向けサービスとしては、記録と共有機能を中心とする子育て支援アプリ、ヘルスケアアプリの提供、保険住宅関連サービス、妊婦向け保険の開発と提供、ウォーターサーバー事業等を展開。その一方で法人向けにも、ライフイベントを起点にしたユーザーと企業サービスとのマッチング支援事業、マーケティングにおけるDX支援事業などを手掛けています。

「当社のサービスの最大の特徴は、出産というライフイベントに着目し、そこを起点に会員(個人ユーザー)様のライフイベントを幅広くデータベース化している点にあります」と語るのは、取締役 ビジネス本部長を務める山本和正氏。同社が提供する妊娠・育児アプリの年間ダウンロード率は年間出生数の87.4%に上り、個人情報保有率も50.8%に達していると言います。「出産は御本人や配偶者様にとってだけではなく、その親御様にとっても孫の誕生という重要なライフイベントです。そのため当社は40~60歳代を初孫世代と定義し、そのような会員様向けには健康管理のアプリなども提供しています」。

その基本的な事業モデルは、会員向けのアプリは無料で提供し、子どもの成長やライフステージに応じて変化する検討商材を紹介することで、マネタイズにつなげるというもの。例えばアプリ内でプレゼントキャンペーンを実施し、そこで同意を得て取得した会員情報をベースに、興味関心のあるサービスに対するマッチングやマーケティングなどを行っているのだと説明します。同社はすでに業界トップクラスのデータ保有率となっており、これがマネタイズの大きな武器になっているのです。

「しかし以前は、現在行っている保険代理店事業やウォーターサーバー事業といった自社サービスがなく、会員様の興味関心に応じて他社のサービスへ送客するマッチング支援や、同意を得た会員様の情報を企業顧客様にご提供するというビジネスしか行っていませんでした」と山本氏。長期的な関係構築と継続的な事業拡大に繋がる仕組みの構築が必要でした。「出産・子育て中だけではなく、その会員様が初孫を迎える年代まで長期的に伴走できる仕組みを確立したい。そのような思いから、保険代理店事業やウォーターサーバー事業も手掛けるようになりました」。

 
 

2. 最適な会員ジャーニーのためService CloudとMarketing Cloudを連携

ここで大きな課題となったのが、会員の顧客ジャーニーをどのように作り上げていくか、ということでした。

「それまでも他のツールを使って会員様にメール配信は行っていましたが、関係を深めるところにまでは至っていませんでした」と振り返るのは、ビジネス本部 CRMの満井明日香氏。プロモーション案件毎に対象となる会員に対して1種類のメールを配信するだけで終わっており、開封率の把握すらできていない状況だったと言います。「そのためメールを受け取った会員様の反応に応じて異なる文面のメールを配信する、といったことができませんでした。また会員様毎のLTVも、最新の会員様情報を集めて毎回手計算する必要がありました」。

この状態を抜け出すために検討を開始したのが、マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入です。代表的なMAツールを比較検討した結果、2020年7月にMarketing Cloudを契約。まずは「かぞくアシスタント」というDBマーケティング事業での活用を開始します。

「Marketing Cloudの採用に至ったのは、複数の顧客チャネルを統合したクロスジャーニー分析ができることと、統計属性に基づいてモバイルデバイスにプッシュメッセージを送信する機能があったこと、EinsteinによるAI活用が可能なことを評価したからです」と山本氏。またカラダノートには数百万件に上る膨大な会員データがあります。「他社のMAツールは、モバイルプッシュや数百万ユーザーへの対応が困難だったこともあり、膨大なデータをまとめて扱えるSalesforceの採用を後押しする結果となりました。」

Marketing Cloudに加えて、2021年2月にはService Cloudも導入。その1か月後には自社サービスの1つである「かぞくの保険」がスタートします。ここで、Marketing CloudとService Cloudを連携させた仕組みを確立。その全体像について満井氏は、次のように説明します。

「サービス毎・キャンペーン毎に入力していただいた会員様の情報は、まずAWS上の基幹DBに集約され、そこから中間DBを経由して会員軸で情報を整理した後、Service Cloudに蓄積されます。Marketing Cloudはその情報にもとづき、シナリオベースで会員様にメールを配信します。つまりService Cloudは、当社の会員向けCRMの中核的な役割を担っているのです。さらにこれらが扱う情報を、CRM Analyticsでも分析できるようにしています」。

 
 
 
 

3. きめ細かいセグメントにメールを配信、各会員のLTVも自動的に可視化

それではService CloudとMarketing Cloudを連携させた仕組みは、どのようなメリットをもたらしているのでしょうか。満井氏がまず挙げるのが、よりきめ細かいセグメントを抽出し、それらに最適なメールを配信できるようになったことです。

「Service Cloudにデータを蓄積した時点で、すでに会員軸での情報の整理は終わっており、多様な会員属性を組み合わせてセグメントを切れるようになっています。しかもこのセグメンテーションを、ノーコードで実行できるのです。以前利用していたツールでもノーコードでのセグメンテーションは可能でしたが、その柔軟性には限界がありました。今ではセグメンテーションの論理演算の幅が広がっているため、会員情報の分析精度も飛躍的に向上しています」。

またService Cloudでセグメンテーションが行われた会員に対するメール配信も、より柔軟かつ手軽に行えるようになっています。

「以前は1つのキャンペーン案件について1メールを送るのが精一杯でしたが、今では5種類くらいのメールをシナリオに応じて送ることが可能です。すでに2022年の上半期(1~6月)だけで、約200種類のメールを配信しています。それも、メール配信担当者の数を減らしながら実現できました。以前は各事業部の担当者がメール配信を行っていたため、常時7名が作業を行っていましたが、今ではその作業を2名のCRMチームに集約しています。その結果、各事業部の担当者は自分自身の事業に専念できるようになりました」。

Marketing Cloudが装備しているメール内アンケート機能も便利だと、満井氏は指摘します。メールを受け取った会員に情報を入力してもらう場合、以前はいったんメール内のリンクをクリックし、ランディングページにアクセスしてもらう必要がありましたが、メール内アンケート機能を使えばその場で入力してもらえます。入力の手間を大幅に削減することは顧客体験向上につながる上、入力率も格段に上がっていると言います。「実際にMarketing Cloudでメールを送った結果、CV数は7倍になりました」。

そしてもう1つ見逃せないメリットが、LTVの可視化が実現されたことです。

「以前は単価情報と送客情報の連携ができていなかったので、各担当者が属人的にLTVの管理・集計を行っていました。現在ではService Cloudで自動計算される仕組みを作り上げているので、その工数はゼロになっています。また社内の各DBに分散していた会員情報をService Cloudにまとめることで、より高度な分析も可能になりました。以前は各DBに直接SQLを発行してデータを参照していたのですが、Service Cloudのレポート機能を利用することで、SQL文を書くことなくノーコードで分析できるようになっています」。

このようにService CloudとMarketing Cloudの連携は様々なメリットをもたらしていますが、今後はより幅広い従業員がデータ分析を行えるよう、CRM Analyticsの活用も活発化していく予定だと言います。また2021年8月には企業顧客向けのMAツールとしてMarketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)も導入。近い将来にはその本格活用も視野に入っていると満井氏は語ります。

「当社が目指しているのは、会員様のデータを適切に活用することで、会員様の悩みをタイムリーに解決できるビジネスです」と山本氏。これは会員に適した商品やサービスを持つ企業顧客にとっても、大きな利益をもたらすものだと言います。「Salesforceと一緒ならその実現も容易になるはずです。これからもより多くの情報をService Cloudに蓄積し、幅広いサービスで活用していきたいと考えています」。

 
 
 
 
 
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※ 本事例は2022年7月時点の情報です
 

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