三菱電機株式会社

代理店販売で直接的には見えづらかった顧客の姿を可視化、代理店との連携でさらに営業力を強化

デジタルマーケティングの基盤としてAccount Engagement+Sales Cloudを採用し、運用を内製化、代理店との情報連携はExperience Cloudを活用

国内FA (ファクトリーオートメーション) 市場で圧倒的なシェアを持ち、顧客向け「FAサイト」が「BtoBサイトランキング 総合ランキング(2023年、2024年)」で2年連続トップになった三菱電機株式会社 FAシステム事業本部。 ここでは2018年にデジタルマーケティングへの取り組みを本格化しています。その最大の目的は、代理店経由での販売により直接的に見えづらい「顧客の姿」を、改めて可視化すること。そのため、立ち上げ後10年に至る「FAサイト」をベースに本格的にデジタルマーケティングを開始しました。

このデジタルマーケティングの基盤として採用したのがAccount Engagementです。これと同時にSales Cloudも導入し、見込み客情報を営業と共有しています。ここで注目したいのが、見込み客情報がExperience Cloudによって、代理店とも共有されていること。これによって代理店の営業活動を積極的に支援しているのです。

 
 

1. 「MA未経験でも使いこなせる」と判断し、デジマケ基盤にSalesforceを採用

“Changes for the Better”というグループコミットメントを掲げ、「常により良いものを目指した変革」を続けている三菱電機株式会社。事業内容は多岐にわたりますが、その中でファクトリーオートメーション(FA)に関わる各種製品・ソリューションを提供しているのが、FAシステム事業本部です。三菱電機のFA事業といえば国内市場で圧倒的な強さを持つことで知られており、多くの製品カテゴリーで1位もしくは2位のシェアをもっています。

2018年にはデジタルマーケティングへの取り組みを開始。その背景について、​FAシステム事業本部 FA本事業推進プロジェクトグループ FAデジタルマーケティングセンター センター長を務める中村 直美 氏は、次のように説明します。

​「三菱電機は全国を網羅する多層的な販売代理店網を持っており、それが強力な販売力の源泉になっています。しかしそれ故に、お客様からの距離が生まれてしまい、お客様のニーズが掴みきれない、お客様から見ても三菱電機の存在が遠い、という状況になっていました。この頃は国内の競合企業も力をつけてきており、このままでは追いつかれてしまうのではないかという危機感がありました。これからも競争力を維持・拡大していくには、お客様との接点の拡大とお客様情報の収集という、新たな両輪が必要だと考えたのです」。

そのためにデジタルマーケティングを担当する組織を設置すると共に、顧客との新たな接点である「FAサイト」を起点としたマーケティング活動を本格化。MAツールの導入に向けた検討もスタートします。ここで検討対象になったのは、Salesforceを含む4社のMAツール。役割が異なる複数部署のメンバーが集まって議論した結果、Account Engagementの採用に至っています。

「採用理由の1つはコストです。4社のMAツールの中で、ライセンス費用と導入費用が最も安価でした。しかし理由はこれだけではありません。実際にレポートやダッシュボードを見せてもらった結果、『これならMA未経験の自分たちでも使いこなせそうだ』と感じたことも、大きな採用理由です。自分たちでレポートやダッシュボードを作成できれば、社外に依存せずに柔軟な運用が可能になるからです」(中村氏)。

2018年1月にはAccount Engagementの採用を正式に決定。デジタルマーケティングで得たホットリードをスムーズに営業に展開するため、同一プラットフォームであるSales Cloudも同時に導入されています。まずは導入パートナーの支援を受けながら最初のシステム構築を行い、同年4月にリリース。その後も2年近くはパートナーが伴走しながら運用してきましたが、2020年1月からは「自走」を開始しています。

 
 
 
 

2. ナーチャリングは「スコアの変動」に着目、見込み客情報は代理店とも共有

それでは現在のSalesforceは、どのように活用されているのでしょうか。

「リード情報の主な流入口になっているのはFAサイトであり、その会員情報がSalesforceのリード情報と紐付けられています」と説明するのは、FAデジタルマーケティングセンターの河野 志紀 氏。業界内でも先行してWebサイトを立ち上げ、お客様に必要な技術情報を提供している同サイトはFA業界での知名度が高く、トライベック社が毎年公表している「BtoBサイトランキング 総合ランキング」で2023年、2024年の2年連続で1位の評価を獲得しています。

ナーチャリングはリードに対して行われています。その方法は、まずメールを配信し、そこからWeb訪問して資料をダウンロードしたリードに対し、アプローチを行うというもの。Account Engagement から配信しているメールには、週に1本のニュースメールの他、業種や地域毎にセグメントを分けたセグメントメールがあります。

ここで注目したいのが、「見込み客」の情報が社内の営業担当者だけではなく、代理店とも共有されていることです。「営業担当・代理店の営業担当が情報連携をしながらアプローチを行っています」。と言うのは、FAデジタルマーケティングセンターの小山 皓平 氏。また、ナーチャリングスコアの扱い方を工夫していることも、注目すべき特徴となっています。

 
 
 
 
「標準のスコアリング機能では、リードがWebサイトにアクセスするたびにスコアを加算しています。しかしこれだけではWebアクセスの頻度が少なくなったリードでも、高いスコアのまま維持されてしまうため、独自にスコアの変化値を評価する機能も加えています。つまり、FAサイトへのアクセスが増えてスコアが上昇したリードは、最新のホットリードとみなすわけです。これは私達のスコアリングにおける大きな特徴になっていると思います。このようなホットリードが見つかった場合には、自動的に営業に通知がいくようにしています。」(河野氏)。
 
 
 
 

3. 顧客の可視化で営業スタイルを変革、今後はこの「飛び道具」を世界に展開

「このような取り組みによる最大のビジネスメリットは、お客様の姿がはっきりと見えるようになったことです」と中村氏。ナーチャリングスコアの変動を把握することで、どの会社が自社製品を検討しているのか、すぐにわかるようになったと言います。

以前はどの会社がホットな状態なのかを把握できませんでしたが、今ではスコアが上昇したホットリードを訪問するケースが増えています。このようなお客様は確実にニーズがあるため、商談に至る打率も上がっているはずです」。

またホットリードの情報は、営業の判断で代理店にも渡されているため、代理店もホットリードにアプローチしやすくなっていると言います。実際に、それまで代理店が訪問したことのないホットなお客様を訪問し、新たな商談に至ったケースも少なくないようだと、中村氏は語ります。

このようなビジネス面での効果に加え、Salesforceそのものの使いやすさも高く評価されています。

「私は営業の方に使っていただくためのマニュアル作成などを行っているのですが、画面構成が統一されており、操作がシンプルなところが気に入っています」というのは、FAデジタルマーケティングセンターの坂野 綾子 氏。またメールテンプレートを用意しておくことで、HTMLメールも簡単に作成できると言います。

 
 
 
 

実際にFAデジタルマーケティングセンターからは、週に1本のニュースメールの他、業種や地域毎にセグメントを分けたセグメントメールなど、様々な種類のメールが配信されています。また新製品がリリースされた際にはその内容もメール配信されており、これによって顧客への周知スピードは飛躍的に高くなっていると言います。

国内ではこのように、ナーチャリングや営業/代理店の営業力強化に大きな貢献を果たしているSalesforceですが、今後はグローバル営業での活用も進めていく計画です。

「デジタルマーケティングを開始した最大の目的は国内のお客様の可視化でしたが、これに加えてもう1つ、グローバルでのアカウント情報の統合管理も大きな課題になっていました」と中村氏。すでにSales Cloudは海外の各拠点に導入しており、Account Engagementも順次導入しつつあると言います。

「三菱電機は国内では圧倒的な強みを持っていますが、海外での営業力には限りがある上、当社以上の巨人も存在します。このような競合に対して、海外の限られた営業担当者や代理店で対抗していくには、Salesforceのような『飛び道具』を使って集中的に営業する必要があります。いまはそのための基盤を、グローバル展開する段階に入っているのです」。

 
 
※ 本事例は2023年11月時点の情報です
 

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