奈良県庁
「届ける力」を磨き上げ、
CRMで県民中心の行政サービスを統合的に提供
県民一人ひとりへプッシュ型で届ける行政サービスへ、
Salesforceが基盤の「奈良スーパーアプリ」
「奈良デジタル戦略」を策定し、住民サービスの品質向上と庁内業務の生産性向上を目指す奈良県では、 Salesforceを導入して「奈良スーパーアプリ」の構築に着手。県民に行政サービスを「届ける力」の強化に重点を置き、デジタル改革を加速させています。
背景となる情報
“「届ける力」を高めるという私たちの構想に、1人の住民を起点に考えるSalesforceのCustomer 360のコンセプトが合致したのです。”
湯山 壮一郎 氏
奈良県 副知事
導入の意義
導入の効果
「奈良っ子はぐくみアプリ」は、これまでの事業所管別に子育て支援をする形から、県・市町村や関連する組織が連携し、住民にもわかりやすい統合的な子育て支援を実現するものです。子育て支援クーポンを配布するキャンペーンの申込を受け付けたり、子育て世帯に優しいサービスを提供する店舗情報を掲載したりしています。
将来的には、データを活用し、例えば子育て世帯への支援など、必要な人に必要なサービスをプッシュ型で行政サービスを届けることを目指しています。これまで提供してきた支援制度では、申請先やフォーマットがバラバラで申請者や職員の負担が大きく、支援施策そのものの周知もしきれていないなどの課題がありました。しかし、Lightning Platformを活用して「奈良っ子はぐくみアプリ」のCRM基盤を構築したことにより、住民はExperience Cloudによるマイポータルから、申請した内容を一元的に確認できるほか、修正依頼などのやり取りなども容易に行えるようになりました。
「奈良っ子はぐくみアプリ」開始以前からも、子育て支援キャンペーンとして1世帯あたり5,000円のクーポン券を給付する事業を行ってきました。旧システムで対応した初年度はクーポンメールの送信を人手で行っていましたが、そうした業務を自動化したことにより、延べ時間で1,120時間を削減。多くの県民の方々に喜んでいただいているだけでなく、現場職員からも好評を得ています。
「奈良っ子はぐくみアプリ」はサービスインまでわずか3か月で構築することができました。「システム刷新において一番大変なのは、関係部門との調整です。Salesforceの持つアセットを活用したことで、システムの説明や構築がどう変わるのか、仮説を立てた業務フローで説明を進めることができた」と奈良県こども・女性局 (兼)総務部デジタル戦略課 の宇都宮 真一朗氏は言います。
奈良県庁ではTrailheadを活用して自ら学びを進めました。Trailheadやコミュニティで情報を集めることで、多くのシステム開発経験がなくとも、十分にスキルや知見を獲得できたそうです。Salesforceのプラットフォームでは、比較的容易に職員が自ら参画し、システムをビルディングできます。地方公共団体など行政におけるデジタル人材育成の観点からも期待が寄せられています。
現在、「奈良っ子はぐくみアプリ」は、子育て施策以外の県民サービスにも活用するべく「奈良スーパーアプリ」に統合・拡大し、県民サービスを統合的に提供する仕組みとして提供されています。
事例のまとめ
「届ける力」を重要視、スピード感のあるサービス展開を目指す
たとえばコロナ禍では、感染予防やまん延防止策、さらに経済面でも給付金の支給など、とにかく一刻を争う場面に直面しました。ですが、誰がダメージを受けているのか、困窮しているのは誰なのかを把握することは難しいという課題が浮き彫りになりました。「今後は『届ける力』が重要であると考え、スピード感のあるサービス展開を目指してSalesforceを活用した」と言います。住民1人に寄り添うサービス展開がSalesforceの思想と合致
住民視点に立ったパーソナライズされたサービスの展開を目指した奈良県ですが、その構想にSalesforceの思想が合致していました。奈良県では、行政の施策としてキーとなってくるのは、施策の拡充だけでなく、いかに必要な支援を必要とする人に届けるかだと考えます。市民を顧客と見立て1人の情報を360度見渡せる、まさにSalesforce Customer 360の概念は奈良県のデジタル戦略に重なるものでした。共通基盤が整備されたことにより、今後はスピーディなサービス実装が可能に
まだスタートしたばかりの「奈良スーパーアプリ」ですが、今後さまざまな行政サービスを展開する予定です。Salesforceをプラットフォームに活用し、標準化された共通基盤が整ったことから、早ければ1、2か月というスピード感のある形で新たなサービスの実装も可能になると言います。奈良県の湯山副知事は「データ駆動型の政策を行う第一歩が整った」と語ります。プッシュ型のアプローチで“県民ジャーニー“を見据えていく
奈良県は今後、スーパーアプリから申請できる手続きを拡充させ、住民利便性を向上させる予定です。1つのサービスを横展開することだけでなく、将来的には、データを活用し、たとえば子育て世帯への支援など、必要な人にプロアクティブな行政サービスをプッシュ型で届けることを目指しています。カスタマージャーニーならぬ“県民ジャーニー”を見据え、デジタル改革を加速させていきます。