株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド

お客さま一人ひとりに
最高の体験を提供する
ホテル&リゾートへ

メールマーケティングの高度化から会員アプリのリリース、
そして専用カルテを通したお客さま分析へと進化する
プリンスホテルのSalesforce活用について紹介します。

株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド(以下、プリンスホテル)は、国内49、海外33のホテルを運営するホテル企業です。ホテル内にある宴会場やレストラン/バー、およびゴルフ場やスキー場といったリゾート施設の運営など、総合的なホスピタリティ事業をグローバルに手掛けています。同社は、長年の歴史と共にお客さま情報を蓄積していましたが、有効に活用できていないという課題を持っていました。この課題を解決するにあたり、Salesforceを採用し、Customer 360のコンセプトを実装するべく改革を進めています。
 

1. メールマーケティングの高度化からスタート

プリンスホテルは、今回の取り組みを長期にわたる取り組みととらえています。まずスタートさせたのは、Marketing Cloudを活用したメールマーケティングの高度化です。

ホテル&リゾート事業を長年続けていたため、お客さま情報は豊富に蓄積しています。ただ、事業部ごとに情報は分断されていました。宿泊者の情報も、保有しているだけで活用には至らず、あらかじめシナリオを規定し、それに従ってメールを送るプロセスも実装されていませんでした。

以前からメール配信ツールは使っていて、簡易的に開封率などを可視化することはできていました。今回、Marketing Cloudを採用したのは、Salesforceをプラットフォームとすることによるソリューションの拡張性を見据えたため。とはいえメール単体でも、HTMLメールは以前よりはるかにビジュアルが活用できるようになり、また複数のシナリオを用意して配信頻度を高めることもできました。

そして、見えてきたことがあります。同社の会員はロイヤルティが高く、開封率は高い水準を維持しており、誕生日に送る特典メールの開封率はその中でも高いスコアを得ていました。今回、送付タイミングを柔軟に設定できるようになったため、誕生日の当日にもメールを送ってみると、開封率が以前より高まったのです。

セールス&マーケティング部 マーケティング ジェネラルマネジャー 小田 誠氏は、「この結果を受け、お客さまへお誕生日特典の内容を当日に送り、施策面にも生かそうとしています」と話します。

レストラン利用の特典では、「半年間に一定回数利用してもらったお客さまに、お食事券をプレゼントする」というものがあります。そこで、“もう少し利用いただければ、特典を得られる”お客さまに対して、お知らせを送る試みもスタートさせました。そのほか、入会時のシナリオや記念日のメールなど、複数のシナリオを開発し、運用を続々と開始しています。

シナリオメールと並行して、広告の最適化にも取り組みました。Marketing Cloud Advertisingを活用し、広告アクティビティを可視化し、狙いたいお客さまの幅を狭めて広告の無駄打ちを防ぎます。さらに、Marketing Cloud Personalizationでお客さまのニーズを細かな粒度で把握することで、広告配信のPDCAサイクルを回せるような仕組みを構想しています。

小田氏は、「2021年度は、これらの施策を定着させ、次の構想を固める段階。2022年度から、DX施策を次々と実行していきます」と話しています。

 
 

2. 旅マエ/旅ナカ/旅アトにつながり続けるアプリを提供へ

DX施策の中心の一つとなるのは、スマホアプリです。プリンスホテルではお客さまのニーズを捉え、このアプリにより、お客さまの旅をトータルサポートします。旅マエにはお客さまの気持ちをより盛り上げられるようなご案内をできるようにし、旅ナカにはリアルタイムにお客さまのさまざまな要望を受け付けます。さらに、旅が終わってからもコミュニケーションを続け、次の旅でも利用してもらえるようなサイクルを整えたい考えです。

「現在、チェックイン時とチェックアウト時の2回だけしかご挨拶できていないお客さまが多くいらっしゃいます。アプリなら、もっと手軽に、いつでもどこからでも、リアルタイムにコミュニケーションできます。お客さまのお役に立てるような情報を提供するだけでなく、お客さま側からアプリを通してリアルタイムにコミュニケーションを図れるような仕組みへと育てていきます」(小田氏)

ご宿泊のお客さまは、ホテルの備えている施設をすべて把握しているわけではありません。ゴルフやスキー、スノーボードだけでなく、各種アクティビティやジム、スパなど、さまざまな施設を利用できます。アプリがあれば、旅マエの段階から、お客さまのニーズに合わせたアクティビティを案内することができます。そのほかにも、たとえば旅ナカで近隣のレストランを紹介するなど、地域と連携することでお客さま満足度を最大化させるような施策も展開したい考えです。

なお、このアプリはプリンスホテル共通のものとして、全世界のお客さまが使えるようにする計画です。

 
 

3. Service Cloudの本格活用と分析機能の展開

プリンスホテルでは、Service Cloudによるお客さま情報の一元化を、当面の目標と定めています。Marketing Cloudで成功を積み重ね、定着化は進んでいます。Service Cloudの活用プロジェクトは、2022年度から本格的にスタートし、「一人ひとりのお客さまを見える化する」という目標を達成したい考えです。

具体的には、ホテルの基幹業務システムであるProperty Management Systemからお客さま関連のあらゆる情報をService Cloudと連携させ、お客さま情報を一元管理します。同時に、宿泊客の情報だけでなく、レストランやゴルフのお客さまなど、接点のあるすべてのお客さまを“プリンスホテルのお客さま”として統合管理し、さまざまな軸から分析できるようになります。

改革をドライブする人材は、社内でも育ってきています。セールス&マーケティング部 マーケティング アシスタントマネジャー 菊地 旭子氏は、「セールスフォース・ジャパンのコンサルタントの方とは、気軽にいつでも相談できる関係です。週に2回の定例もありますし、Premier Success Planのワークショップ案内も多いので、スキルも身についてきました」と話します。

今回のプロジェクトは、西武グループ全体の改革ともリンクしています。西武グループでは、お客さま情報をグループ全体で集約するプロジェクトとして、「グループマーケティング基盤」の構築を進めています。グループとして、鉄道、ホテル、住まいという人の暮らしへのかかわりの深いサービスを提供する中で、Salesforceを活用しながらより優れたお客さま体験の提供を展望しています。

小田氏は、「今進めているのは、よりお客さまのニーズを捉え、適切なタイミングでコミュニケーションを図り、お客さまにより満足してもらうことで、私たちのビジネスと西武グループ全体も成長させるという終わることのない改革です。そして、最初の3年が勝負を分けると踏んでいます。2024年までに、Service CloudとTableauを活用し、目に見える成果を出せるよう、努力していきます」と話してくれました。

 
 
 
 
※ 本事例は2021年10月時点の情報です
 

その他のリソース

 

顧客事例

株式会社JTBお客様事例

ガイド

5分でわかる 「デジタルマーケティング」の始め方〜基礎編〜

ガイド

顧客データプラットフォーム入門

 
 

最新情報と斬新なアイデアを
メールでお届けします