セーフィー株式会社

既存の問合せ管理ツールからService Cloudへと移行、カスタマーサービスをさらに円滑化

問合せ対応の時間を大幅に短縮し請求業務も効率化、将来はカメラ設置の現場業務でもSalesforceを活用し、すべてをつなぐことで「圧倒的な勝ち筋」を見出す

カメラ映像データをクラウド化し様々な用途に活用できる「映像プラットフォーム」を提供しているセーフィー株式会社。SaaS型ビジネスであるため、顧客の離脱を防ぐことが最重要課題の1つになっています。その役割を担っているのがカスタマーサービス本部ですが、以前使っていた問合せ管理ツールはCRMとの連携ができておらず、問合せ時に顧客情報を確認するための手間と時間がかかっていました。

この問題を解決するためService Cloudへと移行し、すでに活用していたSales Cloudとも連携。問合せ対応の時間を1/3に短縮できる見込みです。またトータルコストの削減や、請求業務の効率化も実現。VOC活用の幅が広がることにも期待が寄せられています。さらに今後は、カメラ設置の現場業務にField Serviceを導入することも検討。すべてをつなぐことで「圧倒的な勝ち筋」を見出そうとしています。

 
 

1. 既存の問合せ管理ツールでは限界があった顧客問合せ対応の効率化

「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、世界中のカメラ映像データをクラウド化し様々な用途に活用できる、「映像プラットフォーム」を提供しているセーフィー株式会社(以下、セーフィー)。すでに多数のカメラがセーフィーに対応しており、専門的な知識がなくても安全かつ手軽な映像データの利用を可能にしています。2023年6月末には課金カメラ台数が20万台を突破。クラウドモニタリング・録画サービスの分野では2022年時点で56.4%と、圧倒的なシェアとなっています。

「当社は現場DXソリューションを提供するプラットフォーマーであり、一般的なカメラベンダーとはビジネスモデルも大きく異なっています」と語るのは、セーフィー 執行役員でカスタマーサービス本部本部長 兼 CCOを務める中村 晋也 氏。一般的なカメラベンダーはハードウェア提供をビジネスの主軸としているのに対し、セーフィーはハードウェアの提供からデータの蓄積・活用、それによる顧客への価値提供や課題解決まで、一気通貫で行っているのだと説明します。

「具体的な提供サービスとしては、防犯カメラの映像をクラウドで録画する『safie』を中心に提供していますが、その他にもAIカメラで防犯と店舗運営を変えていく『safie one』や、現場作業者がカメラを身に着けて遠隔業務を変えていく『safie Pocket』、屋外でも電源をさすだけで利用可能なLTE搭載クラウドカメラ『safie GO』をご用意しています。これらを通じて導入後も、日々進化し続けるサービスをご提供しているのです」。

サービス提供形態はSaaS型であるため、常に顧客の満足度を高めサービスからの離脱を防ぐことが、ビジネス上の最重要課題の1つとなっています。そのために重要な役割を担っているのがカスタマーサービス本部。しかしそこで以前から使われていた問合せ管理ツール(以下、既存ツール)には、大きな課題があったと振り返ります。

その具体的な内容について「最大の問題は、すでに導入されていたSales Cloudと連携していなかったことです」と説明するのは、セーフィー カスタマーサービス本部 カスタマーコミュニケーション部カスタマーサポートグループのSubGLを務める小柴 康男 氏。そのためお客様からお問合せをいただいた際には、まずご提供している機器のシリアル番号をお教えいただき、その番号をもとにお客様情報をSales Cloudでチェックする必要があり、この作業だけで数分かかっていたと言います。「また営業とのやり取りはSlackで行うことが多かったのですが、お客様情報の伝達方法が担当者によって異なっており、ここでもSales Cloudでのチェックが必要でした。このままでは煩雑なので、CRMと一体化したカスタマーサポート基盤が必要だと感じていたのです」。

このような問題意識は、すでに2020年頃から持っていたと中村氏。既存ツールでは問合せのやり取りしか記録できないため、いずれは業務効率化を阻む要因になると考えていたと語ります。

 
 
 
 

2. Service Cloudへの移行で問合せ対応の体感時間を1/3に

問題解決に向けた検討に着手したのは2022年。そのきっかけになったのは、同年5月に中村氏がSalesforceのイベントに参加し、そこで紹介された事例や世界観を社内共有したことだったと、セーフィー カスタマーサービス本部 カスタマーコミュニケーション部で部長を務める大坪 敦 氏は振り返ります。

「その中に老舗温泉旅館の陣屋様の事例があったのですが、その内容に衝撃を受けました。予約したお客様の情報がSalesforceの中で、客室やレストラン、宴会などの項目と紐付けられた『お部屋カルテ』として一元管理され、それを全従業員が共有していたのです。これによって、お客様の車のナンバーからVIP対応を行う、部屋や風呂の清掃サイクルをお客様に合わせる、お客様に困ったことがおきても近くのスタッフがすぐに対応する、といったことを実現していました。つまりCRMと連携したカスタマーサポートによって、最高の接客ができるということを知ったのです」。

その実現を目指し、2022年7月にService Cloudの導入を決定。ここに至るまでの検討では、既存ツールとSales Cloudとの連携も候補として挙げられましたが、この方法では二重投資になってしまうため、採用は難しかったと言います。また、ビジネスが急成長している上、自社営業の直接販売以外にもパートナー経由での販売が増えるなど商流が多様化する中で、顧客情報を複数のツールで個別に管理して連携させることは、負担が大きいという理由も大きかったと、大坪氏は語ります。

2023年1月にはService Cloudを契約。まずは既存ツールで使用している機能を明確化し、それらをService Cloudに落とし込んでいく、という作業が進められていきます。

「実際に必要な機能の洗い出しを行った結果、既存ツールで使っていた機能のほぼすべてがService Cloudで実現できることがわかりました」と小柴氏。またこれらをService Cloudへと移行することも、それほど難しくなかったと語ります。「2023年11月にはテスト運用に入っています。ここで細かい問題を解決した上で、リリースする予定です」。

このテスト運用の段階ですでに、問合せ対応の時間は大幅に短縮しています。顧客データや契約データ、過去の問合せ情報を同一画面で見ることができるため、これらを確認する際の体感時間が以前に比べて1/3になったと言います。「それまで感じていた課題をスマートに解決できたのは、非常に大きなメリットです」と中村氏。しかし移行の効果は、これだけにとどまらなかったのです。

 
 
 
問合せ対応時間を1/3に短縮​
 
 
 
 

3. コスト削減や請求業務の効率化も実現、VOC活用の拡大にも期待

まずトータルコストの削減が可能になりました。既存ツールは完全に利用を終了したわけではなく、顧客向けのヘルプページの提供でまだ使われていますが、利用機能の縮小に伴いライセンスコストが大幅に低減。もちろん情報基盤をSalesforceに統一したことも大きな貢献を果たしており、全体のコストは約10%削減されていると言います。

また「顧客に対する請求業務も効率化されています」と指摘するのは、セーフィー  カスタマーサービス本部で請求業務などを担当するサービスオペレーション部で、部長を務める白井 有子 氏です。

「以前からSales Cloudで販売から売上まで一元管理しており、これと『請求管理ロボ』を連携させることで請求管理を行っていました。しかし請求先変更などの通知をお客様からいただいた場合には、既存ツール側でその情報を管理しており、Slackで営業担当者に連絡する必要がありました。今後はこのようなコミュニケーションが不要になり、確実にSales Cloudに反映されるようになる見込みです。請求時には毎回請求先チェックを行っていますが、これも1つの画面でできるため、以前よりもスムーズになるはずです」。

今後はこれらに加え、VOC(顧客の声)活用の幅が広がることも期待されています。

「既存ツールでも問合せ内容を分析できましたが、このツールは営業担当者には提供されていなかったため、VOCが活用しきれていませんでした」と小柴氏。しかしService Cloudに蓄積された問合せ内容は、Sales Cloudを利用している営業担当者も見ることができるため、VOCにもとづいた改善活動につなげやすくなると言います。また白井氏は「新しく入った営業担当者が、過去の問合せ内容を知ることで、より適切な営業活動が可能になる、という効果も期待できます」と指摘します。

「Service Cloudへの移行によって、陣屋様の世界観に近づくための準備が整いました」と中村氏。今後はSalesforceの適用領域を、さらに拡大していくことも視野に入っていると言います。

その1つとして考えられているのが、カメラ設置などの現場工事を担当する部門で、Field Serviceを導入することだと言います。ここでのお客様とのやり取りもSalesforceで管理できれば、お客様サポート全体をカバーした一元化が実現できます。またカメラは経年劣化する製品であるため、稼働状況や故障率の分析をTableauで行っていますが、これをService CloudのVOCと紐づけて分析することも検討されています。さらに、工事完了の情報をサポート部門が参照できるようにすることで、顧客とのリレーションがさらに強固になるとも期待されています。

「このようにすべてを繋いでいくことで、他社に対する『圧倒的な勝ち筋』を見出だすことができるはずです。その一方で、当社のサービスはField Serviceとの相性が良さそうだとも感じています。近い将来には自社での活用だけではなく、AppExchangeで自社アプリを提供するなど、Salesforceとの協業も検討していきたいと考えています」(中村氏)。

 
 
 
 
 
 
 
 
※ 本事例は2023年11月時点の情報です
 

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