お客様に最適な価値提案をするために、情報の一元化に向けDXプロジェクトを推進
その基盤としてSalesforceを採用、プロジェクト推進のためPremier Success Planの積極活用によるDX人材の育成を実現
三和ホールディングス株式会社は、福岡県福岡市を拠点に、不動産資産管理事業と住宅建設業、総合通販サービス事業、飲食・保育・教育事業など、多岐にわたるビジネスを展開しています。近江商人の考え方である”三方良し”「売り手良し、買い手良し、世間良し」つまり、お客様にご満足いただくことは当然のことで、同時に社員やお取引先様など関わるすべての人々の幸福を増進する会社づくりを軸に、常に成長し続ける会社であるようチャレンジを続けています。
そのチャレンジの一つとして、2021年1月に開始したDXプロジェクトがあります。ビジネスのさらなる成長を目指し、DX人材の育成と組織のカルチャー変革を迅速に進めるためのプロジェクトです。その基盤としてSalesforceを採用し、住宅事業部門から取り組みを開始しています。
1. 最適な価値提案のために、情報の一元化に向けDXプロジェクトを推進
お客様や社員、お取引先様など、関わるすべての人々の幸福を増進する会社でありたいという想いを軸に、継続的な成長を重視し、新たな取り組みへとチャレンジを続けている福岡県の福岡市に拠点をおく三和グループ。不動産事業、住宅事業、総合通販サービス事業、飲食・保育・教育事業など、多岐にわたるビジネスを展開しています。
「このような事業構成になっているのはお客様のニーズに柔軟に対応してきた結果です」と語るのは、グループ内で総合不動産事業を担う三和エステート株式会社で副社長を務める田代 雅博氏です。不動産事業には1993年に参入していますが、この頃から事業展開のスピードが加速していったと振り返ります。「創業からしばらくはマンション・戸建・投資アパートの売買事業を主とするフロー型ビジネスを行っていましたが、ストック型ビジネスも必要になるという経営判断から、お客様から事業用不動産をお預かりして賃貸代行を行う事業をスタートしました。事業の拡大に伴い、派生するビジネスの種が数多くあり、事業内容が一気に多様化しました」。
しかし、これらの事業はそれぞれ独立しており、十分な相乗効果をもたらしていなかったことから、中核となる不動産ビジネスの求心力を活かして他の事業と緊密に連携する必要性を感じていると田代氏は言います。「三和グループが目指しているのは、『すべてのお客様に健康で快適な社会生活環境をご提供すること』です。それを実現するためには従来のような事業部ごとの縦割りの捉え方ではなく、包括的に情報を把握し、お客様に合ったご提案ができる体制にする必要があります」。
このような経営陣の思いを具現化するため、2020年12月に社内情報の一元化のためのDX推進を提案したのが、三和ホールディングス DX推進室の浦田 征彦氏です。社内にある複数の事業をつなげ、お客様との生涯にわたるお付き合いを実現するには、まず初めにすべての従業員が「信頼できる唯一の情報源」でつながる必要があると話します。
「不動産でお付き合いのあるお客様が、当社から健康食品をご購入いただいていたり、当社が経営する保育園にお子様が通われているといったケースは少なくありません。しかし以前は、お客様の情報が各事業部ごとに完結しており全体共有されていなかったため、このようなお客様の全体像を掴むことが困難でした。この問題を解決する上で重要になるのが、お客様とのお付き合いの内容を『日記』のように情報として蓄積し、全社で共有できる基盤を確立することです」。
この提案がきっかけとなり、2021年1月にDXプロジェクトが開始しました。当時、三和グループ内で注文住宅事業を手掛けていたマキハウス株式会社において、情報基盤の導入を行い、その基盤を活用してインサイドセールス部門の立ち上げを行いました。
2. DXは「ひと」を育てることから、当初よりPremierを採用
この情報基盤として採用されたのがSalesforceです。採用理由は大きく3つあったと浦田氏は説明します。
1つ目は、営業担当者からサポート窓口に至るまで、豊富な知識と経験を持つ人的体制があることです。導入する製品の知識は当たり前で、お客様視点で事業を変革するには、ビジネス観点からの支援も必要であり、Salesforceならこれが可能だと判断できたこと。
2つ目は将来を見据えた拡張性です。Salesforce製品の機能が日々進化している上、外部システムとの連携も容易です。そのためお客様の多岐にわたる情報を、1つのエコシステムとして捉えることが可能になること。
そして3つ目が、Premier Success Planです。Salesforceのエキスパートから直接ガイダンスを受けられるため、効率的に製品理解と自社における活用を深めることができ、システムの導入から定着化までに必要なスキルを持つ人材育成にもつながること。
「DXの推進で最も重要なのは、新しく導入するシステムの仕組みそのものではなく、それを使う人の意識やスキル、組織全体のカルチャー変革です。これを実現する上で、Salesforceは最適な基盤だと考えました」。
プロジェクト開始前は、従業員が変革を「自分事」として捉えてくれるのか、Salesforceを十分活用できるのか、組織のカルチャー変革が本当に可能なのか、不安要素も多かったと浦田氏は振り返ります。そのため、一番重要な「人材」の育成を念頭に、プロジェクト開始の段階からPremier Success Planを採用しました。
「多くのチームメンバーは、昨日まで知らなかったことを日々学びながら、Salesforceの環境構築と活用を進めていかなければなりません。構築に関しては導入パートナーの支援も受けていますが、現場での活用は自分たちの手で行う必要があります。チームメンバーの経験値やスキルを考えると、これは大変困難なプロジェクトですが、Salesforceのエキスパートからのガイダンスを直接受けられるPremier Success Planと一緒なら実現できると期待しました」。
製品を理解するために選択したのがエキスパートコーチング・セッションです。エキスパートコーチングは製品機能別の豊富なメニューから選択できる定型の支援プログラムで、Salesforceのエキスパートから機能の使い方や課題の解決に必要なガイダンスをオンラインの個別セッションで受けることができるほか、ウェビナーやオンデマンド動画による情報提供もあります。
「2022年6月初旬までの一年半の間で、32回のエキスパートコーチング・セッションを受けています。その中で、フローやレポート機能を含めてSalesforce製品の基礎知識や操作方法はもちろんのこと、カスタマージャーニーのフェーズや不動産業界における事例など、ビジネス観点からもSalesforceの活用を学んでいくことができました」と浦田氏は振り返ります。
「Premier Success Planのおかげで、日々の学びを楽しく、スピード感を持って進めていくことができました。2021年1月にプロジェクトを開始し、2021年9月にマキハウスでの正式リリースを行うことができたのも、Premier Success Planの支援があったからこそと感じています。Salesforceのエキスパートは技術面のみならず、精神面でも大きな支えになってくれ、プロジェクトの推進役である私にとっても頼れる存在です」。
これに加えて、ユーザーコミュニティが活発に活動していることも、Salesforceの大きな魅力の1つだと指摘します。
「九州地区にもユーザー会があり、多様な業界のSalesforce導入企業の担当者が集まっています。皆さんの苦労話には共通点も多く、非常に参考になります。またSalesforceに関する知識は、様々なビジネスで活かせるものでもありますし、日本国内だけではなく海外でも活用できます。継続的な学習によって活躍の場を広げられる選択肢ができることも、一人ひとりのメンバーにとって価値のあるものだと感じています」。
3. 情報の一元化がもたらした新たな連携とビジネスプロセスの進化に挑戦
また、このプロジェクトによってDX人材が成長し、より高い価値を生み出せるようになったことも、大きな成果の1つだと浦田氏は指摘します。
「たった1人でスタートしたDXへの取り組みは、現在は7名のDXチームへと輪が広がりました。例えば、お客様とのやり取りの進捗を漏れなく把握して次のアクションを適切なタイミングで行うことを以前は属人的に行っていましたが、Salesforceを活用することで誰でも同じように対応することができるようになりました。このような達成感はチームミーティングでの笑顔につながっています。Salesforceは従業員をDX人材として活躍の場を広げることを可能にしてくれる、重要な存在になっていると感じています」。
このようなチームができあがったことで、「お客様の不動産資産と運用に新たな価値を産みだす」仕組みの設計も可能になったと浦田氏は話します。Premier Success Planを積極的に活用し実現した「人の育成」は、次のステップへの重要な布石になっています。2022年8月にはSalesforce導入プロジェクト第2弾を開始し、社内でのSalesforce導入をさらに広めています。
第2弾の導入が始まったことで、Premier Success Planの活用もさらに進んでいます。2023年7月からはエンドユーザートレーニングもさらに強化する計画もあり、第1弾に比べ、よりスピーディな展開・活用を目指し、しっかりと成果に結びつけられるよう推進しています。エキスパートコーチング・セッションも継続的に活用し、製品への理解を深めています。加えて、お客様の満足を数値的に観測し、さらなる継続利用と他者へ推奨いただけるかどうかを成果として活かすNPS(ネットプロモータースコア)や従業員エンゲージメント(EX)に対してSalesforceを活用する仕組みを整えながら現場での取り組みも進めています。
「まずは全社員がきちんとデータのインプットを行い、そこから得られたアウトプットを基に一人ひとりのお客様に合った包括的な提案を行えるようになりたいと考えています」と田代氏は話します。三和エステートとして目指すのは「不動産のことは三和に言えばどうにかなる」と信頼を持ってお任せいただける状態であり、そのためにはお客様のことを正確に把握できるようにしたいと語ります。「お客様にとって当社が信頼して任せられる存在であり続けられ、お客様はもちろんのこと、お取引先様や従業員にとっても当社が安心できる居場所になれればと思っています」。