トヨタホーム株式会社

自社開発CRMに、強力なMA機能を付加し、顧客を生涯サポートできる存在へ。

メーカーとしての役割をより明確に打ち出し、
ディーラーを積極的にサポートできる仕組みを作り上げる。

トヨタホーム株式会社(以下、トヨタホーム)は、DX計画の一環として、自社でCRMソリューションを開発しました。自社Webサイトと密に連携し、顧客情報を一元管理しながら、パートナーであるディーラーの顧客フォローアッププロセスをサポートするためのシステムです。このシステムに、マーケティングオートメーション機能を付加するにあたって、機能と実装スピードを評価し、Salesforce Marketing Cloudを採用することになりました。
 
 

1. 自社開発CRMでも、MAはMarketing Cloudで

トヨタホームは、“Sincerely for You〜人生をごいっしょに。〜”をブランドビジョンとするトヨタグループの住宅メーカーです。メーカーとして優れた商品づくりを行い、マーケティングやブランディングまでを主に担当します。ディーラー制をとっており、最前線の営業活動は、ディーラーの役割になります。

同社はDX計画の一環として、2020年にWebサイトをリニューアルしました。商品紹介から資料請求、展示場見学、オンラインセミナーの受付など、住まいづくりやリフォームを考えている顧客にとってのユーザビリティを意識したものです。一方、これらのプロセスによって蓄積する顧客情報は、担当のディーラーへ自動的に振り分け、ディーラーの営業スタッフが対応します。

さまざまなプロセスを処理できる要件を充たし、Webサイトと密に連動するソリューションについて検討したところ、自社開発するという結論に達しました。営業統括部 宣伝企画室 デジタル・メディア課 主任山口 高志氏は、「“やりたいこと”を列挙していくと、それなら自社で作ろうという考えに至りました。開発に携わった方と議論を交わし満足のいくCRMが出来ました。」と振り返ります。

トヨタホームのニーズだけでなく、ディーラーからの希望も取り入れて開発したシステムは「Tデジ」と名付けられました。デジタルチャネルによる顧客獲得からディーラーによる営業支援までのプロセスを支え、メーカーとディーラーがタッグを組んで顧客に対面するという意味において、納得感の高いものに仕上がりました。

ただし、稼働時、このシステムにはマーケティングオートメーション機能が備わっていませんでした。早期のリリースを最優先にプロセスの根幹部分を先に作り上げたためで、この部分には2次開発で対応する予定でした。しかしながら、要件を詰めていくと、Tデジと同様の自社開発では、求めるスピード感をもって実装できないことがわかってきました。

「マーケティングオートメーション分野には、いくつかのソリューションがあります。それならそれを取り入れた方が良いのではないかと検討を重ね、市場にある製品を比較した結果、スピード感をもってアジャイル開発でき、求める機能を備えていたMarketing Cloudに決めました」(山口氏)

 
 

2. 未フォロー客ゼロに向けて、ディーラーをサポート

こうして、Marketing CloudはTデジと連携する唯一のパッケージソリューションになりました。Tデジには、数十万件の顧客情報が登録されています。Webから登録されたものだけでなく、住宅展示場でディーラーが得た情報や、ディーラーがキャンペーンで得た情報も登録できます。ディーラーによる営業活動ともひも付いて管理されているため、まずは「未フォロー顧客をなくす」という目標に取り組みました。

たとえば、あるシナリオでは、キャンペーンに申込した顧客に対し、4回にわたってナーチャリングのためのメールを送信。自動的にフォローできるシナリオを作成したため、ディーラーの営業スタッフがフォロー出来ていなかった顧客にもアプローチが可能となりました。

営業統括部 宣伝企画室 デジタル・メディア課 大河 優氏は、「Tデジからもメールを送れるのですが、テキストメールベースのため、ある程度のオプトアウトが出てしまいます。ビジュアルなメールを送れるMarketing Cloudでは、オプトアウト率が1%を切ります」と話します。

開封率は40%超。配信した顧客の約5%がリンクをクリック/タップし、より詳細な情報に触れてくれています。「私たちは、メーカーとして家づくりの入り口に居るお客様に対して、トヨタホームの良さを知ってもらう役割を担います。ここで離脱されないことは極めて重要で、大きな改善になったと認識しています」(同氏)。

トヨタホームには、建築資金券が当たるという、大量集客を見込める人気のキャンペーンもあります。同社にとってもディーラーにとっても、顧客情報は宝の山ですが、以前は未フォローになってしまう顧客もいました。現在、Marketing Cloudを通して全員をフォローできるようになったことで、新たにお付き合いが始まるすべての顧客に対し、ブランドの価値や理念、そして商品の優位性について、より深く理解してもらえるようになりました。

 
 
 
 

3. ディーラーの独自利用も開始。LINEも近くスタートへ

メールチャネルとしてTデジとMarketing Cloudを並行運用することで、「マーケティングオートメーションの役割」を明確化することもできました。大枠は、“お客様の顔”を知っている担当者が送る個別のメールはTデジから、ビジュアルな素材やコンテンツをふんだんに利用して顧客にアピールできるものはMarketing Cloudから、という感覚で利用されています。

その中で、いくつかのディーラーから、Marketing Cloudを自社でも利用したいという声が上がり、現時点で2つのディーラーが利用しています。その際には、Tデジに登録された自社の顧客情報をMarketing Cloudのセキュアな環境でそのまま利用することができ、トヨタホームが作成した素材を利用することができます。お客様により近いディーラーが独自でシナリオを検討し、展開することで、効果も出てきています。

「マーケティングオートメーションにかかわる人材育成は課題になってきそうです。今後は、人材不足のディーラーへのサポートを私たちが手掛けることで、より多くのディーラーにも使ってもらえるようなシステムへと育てていきたいです」(大河氏)

メール関連では、登録までに経てきたWebページの情報などに基づき、より顧客にフィットしそうなシナリオをそろえていきます。また、たとえば「当面はカタログだけもらえれば良い」、「何度か展示場を見学してじっくり考えたい」など、顧客の家づくりに対するマインドをとらえ、それに最適なシナリオも整備する方向です。

新たなSalesforce活用としては、Advertising Studioの利用も開始しました。ディーラーの施策と競合しないように、かつ効率良く広告出稿できるプロセスを整備しつつあります。そして、今冬をめどに、LINEの活用も始まります。これは、シナリオに基づきLINEメッセージを送付できるMarketing Cloudの機能を活用したもので、全く新しい試みになります。将来は、リフォームやメンテナンスの案内も、シナリオに落とし込むことを計画中。今後も、ディーラーと連携しながら、メーカーとしての立場から、お客様と「人生をごいっしょに」できるような、さまざまな仕掛けを作っていきたい考えです。

 
 
 
 
 
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※ 本事例は2022年9月時点の情報です
 

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