株式会社ゆこゆこ
「表はアナログ、裏はデジタル」を追求し、アフターコロナの再成長を牽引
Salesforceの採用でマーケティングデータの統合を実現し
アンケートとWeb行動に基づくアプローチが可能に
株式会社ゆこゆこ(以下、ゆこゆこ)は、Salesforce Marketing CloudおよびData Cloudを採用し、マーケティングプロセスの整備とデータの統合を実現。一元的に管理されたデータに基づき、1人ひとりの顧客に最適な提案をできる態勢を整えました。
背景となる情報
ゆこゆこは、温泉宿のお電話予約サービス「ゆこゆこ」や、温泉宿情報に特化した宿泊情報誌「ゆこゆこ」および「ゆこゆこネット」を運営し、国内宿泊の手配旅行をビジネスの中心とする企業です。情報誌の愛読者を多く抱え、「表はアナログ、裏はデジタルで最適化する」ことを目指したDXを推進してきたものの、長くメール配信の仕組みとパーソナライズツール、データウェアハウスを個別に運用してきました。これらは日次のバッチ連携で連動させていましたが、統合データとしての運用が困難だったため数々の課題を抱えていたのです。たとえば、細かなセグメントの作成に工数がかかるため、施策をスムーズに実施できずシナリオを柔軟に作成することが困難でした。70万人のメール会員に対してほぼ同じコンテンツを配信せざるをえず、オプトアウトのリスクを常に抱えていました。この状況を改善すべく、すべてを統合的に管理し、マーケティングのPDCAを高速に回せる仕組みとして、Salesforce Marketing CloudおよびData Cloudを採用することになりました。
導入の意義
導入の効果
コロナ禍の大打撃から行政による旅行支援期間を経て新たな成長を目指すにあたり、宿と顧客を高度にマッチングするためのデータ分析は欠かせません。SalesforceでWeb CRMを高度化するとともに、Data Cloudで必要な情報を統合管理できるようになったため、顧客に対するクイックビューを得ることができ、だれもが思い立ったときに分析と可視化を行い、マーケティング仮説を立てられるようになりました。
Data Cloudにより統合顧客データ基盤を得たことで、シナリオ作成を容易に実施できるようになり、シナリオ数は150%増。以前は作成できなかったサイト内行動を利用したシナリオなどが効果を発揮しています。
また、以前まではエンジニアと連携しながら1ヶ月以上を要していたセグメント抽出も現在は自分たちで1-2日で抽出、活用できるようになりました。Salesforce Marketeing Cloud上でアンケートを作り、その結果を蓄積できるため、顧客ニーズがより鮮明になります。たとえば、宿を決定するにあたり、同行者の意思も重要な要素になります。男女の旅行であっても、夫婦や恋人なのか、それとも両親のどちらかなのかによって提案内容は変わってきますが、それを明確化することで次回の提案に生かせます。
LINEの公式アカウントを利用した顧客アプローチもSalesforceを軸に実施できるようになりました。メール会員が中心で、LINEも登録してくれている顧客はロイヤルティが高く、個々の顧客に興味を持ってもらえそうなコンテンツを配信し、より強固な関係を作り上げたい人たちです。この層に対して優れた提案をすることで、さらなる成長につなげたい考えです。
レコメンデーションでAIの利用を開始しています。現在は試行錯誤している段階ですが、コンタクトセンターの会話内容をテキストマイニングし、趣味や嗜好をより良く理解し、今後のアプローチを改善するなどの用途を模索中。学習モデルをコントロールできることへの評価は高く、テストを重ねながら感触の良い結果を得られているモデルも出てきました。
顧客のサイト内行動をリアルタイムに分析し、顧客一人ひとりにパーソナライズした提案をできるようになりました。たとえば、サイト回遊後にポップアップなどの手段でアプローチし、申し込みにつながる最後の一押しをできます。施策全体を通して、コンバージョンレートは110%向上しています。
事例のまとめ
統合マーケティングシステムを完成
Data Cloudにマーケティングで利用するデータを蓄積し、Marketing Cloudを使ったパーソナライズとメール/LINE配信を実現。すべてSalesforce内で完結する使い勝手の良い仕組みを完成させました。これにより、アンケート施策やWeb行動分析を含め、顧客体験価値を大幅に引き上げる土台を整え、高速にPDCAサイクルを回すことで、アフターコロナにおけるさらなる成長を図ります。オンライン旅行会社が送客を苦手とする層にもアプローチ
ゆこゆこは、単純な旅行手配業ではなく、宿のニーズを正確に把握し、それを顧客ニーズとマッチングさせるという仕組みづくりに定評があります。たとえば、平日の空室を埋めるためのプランづくりなどは、ゆこゆこが抱える「平日動けるアクティブシニア」のニーズと親和性が高く、顧客分析をより精緻に行えるようになったことで、宿へのフィードバックも高度化できそうです。「必要ない情報」を出さない仕組みに着手
顧客によって、「多くの人が好むものでも、自身は希望しない」条件はあるものです。たとえば、アレルギーがあるために食べられない食材を売りにするプランなどです。こうした欲しくない情報を見なくても済むようになれば、よりナビゲーション性の高いWebサイトになります。ゆこゆこは、アンケートやサイト内行動などに基づき、顧客ごとに「必要のない情報」を蓄積中。近くこの機能をリリースできそうです。「私のために作ったプラン」と思ってもらえるものを提案したい
精細で高度なマッチングを実行することで、顧客に「このプランは私のために作ってくれたものだ」と思ってもらえるような状況を作り上げたい考えです。宿と顧客を結びつける介在価値を宿にも顧客にも感じてもらい、「ゆこゆこだからこそ!」のマッチングを提供できるよう、Salesforceを最大限に活用した「裏のデジタル」でビジネスを成長させていきます。
“平日旅行の行動力と消費力を備えたアクティブシニアが会員の中心です。この層に最適なプランを提案するにあたって、Salesforceを中心に据えた仕組みが成長の土台を整えてくれました。”
伊藤 祐介 氏
150%増
マーケティングシナリオ数
1~2日
セグメント抽出にかかる時間