顧客データプラットフォーム(CDP)の概要

このガイドで、自社ビジネスにおけるCDPの必要性と、その導入方法をご確認ください。
 
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Martin Kihn
Salesforce Marketing Cloud戦略担当SVP
 
Chris O' Hara
Salesforce Marketing Cloudデータ&ID担当VP
 
 
 
 
 
 

顧客データプラットフォーム(CDP)は今最も注目されているマーケティングテクノロジーです。 事実、CDPはマーケティング業界の隅々にまで浸透し、その話題はマーケティング関連のあらゆるレポートや調査で目にします。『2020年マーケティング最新事情』レポートによれば、CDPを使用していると答えたマーケターの86%が、使用度を増加させているか現状を維持していると回答しています。 この調査結果を見て、多くの企業が自社にも導入する必要があるのではないかと考え、 なかには、CDPとは何なのかという疑問を抱く企業もあるはずです。

このガイドではそんな疑問にお答えします。このガイドは、自社にCDPが必要かどうかを判断し、自社に合った製品の選択や導入の準備を進めるためのハンドブックです。ニーズに合わせて、次の各章をご確認ください。

 
 

アニメで学ぶCDP

 
この短編アニメーションシリーズでは、顧客データプラットフォーム(CDP)について詳しく解説します。マーケターの視点から、データの統合、キャンペーンの最適化、顧客を満足させるパーソナライズされた体験の提供にCDPを活用する方法をご紹介します。
 

はじめに

CDPは、一般に、顧客データベース、マーケティングオートメーション、マルチチャネルキャンペーン管理、リアルタイムインタラクション管理で構成されます。CDPは本来、ユーザーレベルのデータを備えたマーケティングデータベースが必要な場合に使われます。CDPについて正しく理解するために、マーケティングの全盛期である現在の根本的な課題について考えてみましょう。

課題

現代は、顧客が主導権を握る時代です。Amazonでは、顧客が次に買いたいものを予測してくれます。Netflixでは、顧客が気に入りそうな番組をかなりの精度で推奨してくれます。Uberを使えば、乗りたい車の種類まで含め、旅程を細かくカスタマイズできます。顧客が企業に求めているのは、自分の好みを詳しく理解し、パーソナライズされた体験を提供し、スピーディな対応を行うことです。こうした体験を提供することは、もはやマーケティングの強みではなく、必須条件となりました。

現在、顧客は、Webサイトで行ったインタラクションをモバイルアプリ体験に、さらには実店舗での応対にまで反映させることを求めています。問題となるのは、多くの企業では、同じ顧客に対して、それぞれの環境で使用されているデータセットが異なるという点です。また、顧客は複数のチャネルを移動した際に、首尾一貫した体験がリアルタイムで得られることも望んでいます。多くのカスタマージャーニーは、3種類以上のチャネル(たとえば、メール、ウェブ、モバイルアプリ)を通じて行われ、顧客はこれらのチャネルをシームレスにすばやく移動する傾向があります。しかし大半の企業は、これらのデータ環境をリアルタイムで連携していません。

そのため、カスタマーエクスペリエンスは断片化し、マーケターは、顧客についての信頼できる唯一の情報源を得ることができていません。

CDPの基礎

CDPにまず必要とされるのは、全社の顧客情報を一元管理することです。これは、さまざまなCRMインスタンスを単一の顧客IDでつなぎ合わせるというだけではなく、マーケティングクラウド、サービスソフトウェア、Eコマースエンジンなど、これまで顧客データを共有してこなかったデータベースを統合することを意味します。Salesforceではこれを顧客照合と呼んでいます。

次にCDPが行うべきなのは、既存顧客のID情報(メールアドレス、携帯電話番号など)と、顧客からIDが提供される以前に収集された情報(匿名のクッキーやモバイルデバイスのIDなど)を照合することです。こうすることで、メールキャンペーンで開始したインタラクションを顧客に関連付け、同じ顧客とのやりとりをWebサイト上で継続することができます。SalesforceではこれをクロスデバイスIDと呼んでいます。

CDPで統合型顧客プロファイルを作成したのち、そのデータをリアルタイムで活用することで、パーソナライズされた体験を提供できるようになります。これは、顧客データをさまざまな種類のシステム(メール送信エンジン、デマンドサイドプラットフォーム、コンテンツ管理システムなど)に接続することを意味します。

簡単に言えば、CDPとはこうした主要なタスク(データの収集、データの統合、データの有効活用、データインサイト)に携わるものです。

ユースケース

CDPにはどういった用途があるでしょうか。ここで、いくつかの例をご紹介します。すべてがマーケティングに関するものというわけではありません。

  • パーソナライズ:自社のWebサイトに買い物客が訪れ、商品をブラウズした後で離れたとします。その際、この顧客について得られたあらゆる情報を結びつけて、メールやプッシュ通知で独自の商品提案ができれば効果的だと思いませんか?CDPを使えば、統合されたプロファイルをあらゆるアドレス可能なチャネルで活用できるため、一人ひとりの顧客に対するパーソナライズと関連付けが可能となります。顧客の興味に合わせて構成されたコンテンツが表示された場合、ブランドとのエンゲージメント達成の確率は5倍になります。
  • 除外:マーケティングでは、データを使って顧客を絞り込むよりも、そもそもマーケティング対象にしないほうが効果が大きい場合があります。マーケーティングデータと購買データを結び付けた統合プロファイルがあれば、その商品を購入済みの顧客を絞り込みの対象から除外することができ、そうすることで浮いた費用を新規顧客に向けて効果的に用いることが可能です。
  • インサイト:ほとんどのアナリティクスシステムはサイロ化しています。しかし、たとえばアウトドアショップで、顧客のEコマースデータ(購入履歴など)やWebサイトでのインタラクションデータ(複数回表示した商品など)と関連付けられたマーケティングでのやり取りを参照でき、こうした情報を店員やコールセンター担当者に提供できるとすればどうでしょう。こうしたパーソナライズを行うことで、時給15ドルのコールセンター担当者が年棒10万ドルの営業担当者並みのパフォーマンスを上げることができます。

さまざまなタイプのCDP

CDPとは、CRMの進化型にすぎません。デジタルファーストの現代B2Cマーケターが求める、大規模でリアルタイムのパフォーマンス要件を満たすようCRMをきめ細かく調整したものです。Salesforceが数十年にわたり、世界中のあらゆる規模の企業向けに開発してきたツールの自然な発展形態です。CDPの目標はCRMと同じです。すなわち「顧客データの適切な管理を通じて、的確で生産性の高い体験を提供すること」にあります。

残念ながら、現在、CDPの市場には「CDP」を謳うベンダーが100以上(CDP Institute (英語)による総数)ひしめきあってそれぞれが異なるタイプの製品を扱っている状況です。Salesforceでは、ベンダー主導の定義を押し付けるのではなく、多数のマーケターに調査を行い、CDPに何を求めているかを探りました。その結果、CDPには1つではなく、2種類の異なるタイプが存在することが判明しました。

  1. インサイト型CDP — 顧客情報を一元化する機能を持っています。分散する複数のデータソースを連携し、統合管理して、データの分析と有効活用を進めます。
  2. エンゲージメント型CDP — パーソナライズされた体験をリアルタイムで提供する機能を持っています。たとえば、Webサイトやモバイルアプリで、次のベストオファーやアクションをリアルタイムで提示してユーザーをサポートします。

現在市場に出回っているCDPの大半は、インサイト型CDPかエンゲージメント型CDPのどちらかであり、両方の機能が備わっているものはありません。しかし、真のエンタープライズCDPはインサイト型とエンゲージメント型を兼ね備えるべきだとSalesforceは考えます。

次に、CDPが、マーケティングや広告の域を越えて活用されている様子をご紹介します。企業は、統合された顧客データを用いて組織内の連携を強化し、組織全体のインサイトを導き出し、顧客データに資産価値を見出しています。

顧客データプラットフォームについてのわかりやすい解説は、Salesforceの製品戦略担当SVPによるこのブログ記事をご覧ください (英語) 。

次章では、データ変革とCDPのためのビジネスケース構築法について解説します。CDPが、マーケティングや広告の域を越えて活用されている様子をご紹介します。企業は、統合された顧客データを用いて組織内の連携を強化し、組織全体のインサイトを導き出し、顧客データに資産価値を見出しています。

 
 

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その他のリソース

 
Trailhead
Trailheadで、プラットフォームベースの顧客データ管理スキルを強化。
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レポート
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