第2章:Eコマースサイトの最適化とパーソナライズで年末商戦に勝つ
2021年の年末商戦に備えてコマースチャネルの準備を整えましょう。
デジタルオーディエンスを増やし、顧客のロイヤルティを高めましょう。
2020年のEコマースチャネルにおける消費者支出は、1.1兆ドル(英語)という記録的な数字になりました。2021年は、実店舗で買い物する人が増えるでしょう。とはいえ、小売業者はコンテンツの読み込み時間の短縮、年末商戦用のランディングページの用意、パーソナライズなど、より優れたコマース体験を促すためのさらなる努力が必要です。
“B2Bコマース機能を使えば、オンライン販売の大幅増加にも対応できますし、閲覧と購入がかなり簡素化されます。サイトをリニューアルして以来、Web体験の質が商品の質に見合うようになりました。”
– Herman Miller社、チーフデジタルオフィサー、Ben Groom氏(英語)
– Herman Miller社、チーフデジタルオフィサー、Ben Groom氏(英語)
Webサイトへのトラフィック急増に備える
昨年に引き続き、今年もEコマースへのトラフィック増加が続くと予想されます。年末商戦をスムーズに乗り切るため、Webサイトの信頼性を高めておきましょう。
配送やQAプロセスなどを継続的にテストし、ピーク時のトラフィックのしきい値を見きわめます。サイトの速度や読み込み時間(各種デジタルストアフロントの目安は下記を参照)などの一般的なパフォーマンス指標だけでなく、売上コンバージョン率や直帰率のような体験指標も収集しましょう。
トップページ:100~250ミリ秒
商品の検索と一覧:250~500ミリ秒
商品の詳細:250~500ミリ秒
カート:500~1,000ミリ秒
決済:1,000~1,500ミリ秒
注文:1,500~2,000ミリ秒
その他の体験:500ミリ秒
編集対象のコンテンツ(例:トップページ)では90%、製品別コンテンツでは50~70%のキャッシュ率を目指しましょう。次の手順に従ってください。
訪問者数のもっとも多いストアフロント体験を特定する
キャッシュ済みのリクエスト率を割り出す
体験を損なわない方法でその率を上げる(例:パーソナライズの品質はそのままに、キャッシュを向上させるなど)
キャッシュされたコンテンツのうち再利用されなかった割合を算出し、今後はキャッシュされないようにする
サードパーティベンダーのサポートレベルも確認しておきましょう。ガバナンスポリシーで自社システムへの負担を緩和します。モニタリングイベントをサードパーティの障害に関連付け、問題発生時に自動通知されるよう設定します。
ヘッドレスコマースで休日効果を演出する
ヘッドレスコマースを導入すると、マーケターとマーチャンダイザーによるキャンペーンおよびカテゴリー別ランディングページの作成と管理がスムーズになります。アプリケーションプログラミングインターフェース(API)(英語)を活用したこの方式では、デバイスの種類やフォーマットを問わず、フロントエンドとバックエンドのEコマースアプリケーションを即座に更新、最適化できます。また、新しい機能を取り入れて充実した体験を速やかに構築することもできます。たとえば、オンライン購入・店舗受け取り(BOPIS)機能をすぐに追加でき、何週間も待って開発者に実装してもらう必要がありません。
“当社はお客様の感動を呼び起こす商品を販売しています。パーソナライズが的確でなければ、お客様との関係を損なう恐れがあります”
– Fanatics社、テクノロジーオペレーション担当シニアディレクター、Jonathan Wilbur氏(英語)
– Fanatics社、テクノロジーオペレーション担当シニアディレクター、Jonathan Wilbur氏(英語)
サステナビリティと企業の価値観を前面に押し出す
顧客は企業の価値観に注目しています。実際、顧客の62%は価値観の合わない企業から購入するのを止めたと回答しています。今こそ、透明性を持って信頼とロイヤルティを築く絶好の機会です。たとえば、動物実験や製造工程、労働環境、材料調達についての情報を開示して購入の判断材料にしてもらうこともできます。
心に触れる体験を提供する
実店舗に戻ってくる買い物客が減少する中、商品の検索から決済までのさまざまなショッピングジャーニーで重要な役割を果たすのが人工知能(AI)(英語)です。AIには以下の用途があります。
- サイト検索:検索辞書にAIを組み込み、行動データと顧客データから関連性の高い用語を表示します。
- 商品の並び替え:検索ページやカテゴリページでの商品の表示順序が、買い物客の行動にもとづいてカスタマイズされます。
- 商品のレコメンデーション:買い物客の好みや購入行動にもとづいて商品を表示します。買い物客が商品のレコメンデーションを利用すると、コンバージョン率が向上します。
- コマースのインサイト:詳細に分析し、同時購入されることの多い商品をもとに人気商品の組み合わせを作ります。これが1回の購入額の増加につながります。
- セットの作成:AIによるインサイトを利用し、顧客にパーソナライズした「セット」や「スタイル」を推奨します。しかも、通常は時間のかかるマーチャンダイジング作業がわずか数クリックで完了します。
- 購入後のメール送信:購入後に関連性の高い新商品についてのメールを送信します。ただし、レシートや口座確認書に掲載する商品レコメンデーションは、あくまで参考情報として補助的なものとし、控えめにしておきましょう。
デジタルチャネルのパフォーマンスを最適化する
デジタルチャネルのパフォーマンスを測定し、デジタル戦略が想定通り機能していることを確認しましょう。メールの開封率やショッピングカートの放棄率といった主な指標の新しい傾向に注意を払い、カスタマージャーニーにおける課題を特定します。可視化ツール(英語)を使用すれば、トレンドをすばやく発見し、重要なインサイトをチーム間で共有できます。効果を発揮している取り組みは強化し、そうでないチャネルは調整、排除します。
セルフサービスチャネルを最新の状態に保つ
セルフサービスツールは広く普及しています。実際、パンデミック中にセルフサービス機能の利用を増やした顧客は78%に達しています。そしてこの傾向は間違いなく今後も継続するでしょう。よくある質問のランディングページは必ず用意しておいてください。そこには、よくあるリクエストについてのナレッジ記事を掲載し、サイト検索によって顧客がコンテンツを見つけられるようにしておきましょう。AI搭載のチャットボットを埋め込み、簡単なリクエストに応えるようにしておくとよいでしょう。カスタマーポータルに自動ワークフローを実装しておくと、顧客が返品する際に手続きが直感的かつスピーディになります。
カスタマーサービスチームの準備を整える
年末商戦の時期は、カスタマーサービスの問い合わせ件数が増えることがよく知られています。コマースチャネルとサービスチャネルを連携させましょう。データを利用して需要を予測しておき、カスタマーサービスチームの準備を整えましょう。業務が急増したときに備えて一時雇用を行うのもよいでしょう。myTrailheadなどのツールを使うと、テキスト、メール、チャットといったデジタルチャネル全体でカスタマーサービスをスピーディに管理できます。営業とサービスでクロストレーニング(営業部門でサービス担当者を、サービス部門で営業担当者をトレーニング)を実施し、サポート力を高めるのも一案です。
次の項目:第3章:買い物客が集まる場所で買い物客と交流する
購入の場所、方法、タイミングにかかわらず、消費者にリーチする方法をご紹介します。
内容:
- 任意のプラットフォームで買い物客にブランドの存在感をアピールする
- チャットコマースでサービス担当者にスタイリストとして接客させる
- ソーシャルとモバイルで生まれている新しい傾向を活用する