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ニューノーマル時代の地域観光経営 第2回「陣屋コネクト」と「ニセコ」の挑戦

ニューノーマル時代の地域観光経営 第2回「陣屋コネクト」と「ニセコ」の挑戦

地域全体がつながり、ひとりひとりに合わせたおもてなしとは?通年型国際リゾート地を目指す「ニセコ」、100年企業「陣屋コネクト」が目指す、DXを通じた地域の共栄共存への挑戦をご紹介します。

前回に引き続き、地域観光経営についてSalesforceの取り組みをご紹介いたします。今回は前回も触れた先進的な事例2つをもう少し詳しくご紹介してまいりましょう。まず最初の事例は、DXにより地域の“共栄共存”を目指す「陣屋コネクト」の挑戦です。

100年企業がDXにより地域の“共栄共存を目指す 「陣屋コネクト」の挑戦

神奈川県秦野市の大正7(1918)年創業の老舗温泉旅館「元湯 陣屋」。一度は旅館存続の危機を経験しながらもSalesforceを活用し、予約・顧客情報の一元管理により見事復活を遂げられています。その際、Salesforceで作成された顧客管理システム「陣屋コネクト」を展開する新規事業を立ち上げられ、同名で起業されています。同社で近年取り組まれているのが地域の共栄共存の仕組みづくり。旅館はもちろんのこと、飲食店やレジャー施設をつなぎ、人材リソースや備品、有益な情報を交換し、課題を解決する「宿屋EXPO」を立ち上げられました。

旅館業界は、近年、外資や民泊など新規参入により、人材や情報不足など多岐にわたる課題を抱えられています。「ここ20数年間で、旅館は20%ぐらい減少しています」と語るのは、「元湯 陣屋」女将であり、観光エリアマネジメント支援ソリューションを提供する「陣屋コネクト」代表取締役の宮崎知子氏です。観光地を中心に、旅館存在は地域コンテンツの魅力の1つでもあり、廃業や休業は地域の活性化を失う要因にもなってきたと語ります。

「宿屋EXPO」を構想するきっかけは、ある日、ある旅館から、急に調理スタッフが足りなくなったと応援を頼まれたことでした。こうしたニーズはこれからますます増えるはず。全国の旅館とつながり、人材やモノのリソースや情報を相互に連携、交換、助け合って課題を解決しようと取り組んだのが「宿屋EXPO」でした。

地域全体でつながり、一人ひとりに合わせたおもてなし

現在「宿屋EXPO」は、全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)の加盟施設を中心に連携。人材確保や食材の仕入れ、備品、集客などの単独では解決できない課題を旅館同士がつながることで、接客や調理スタッフの支援、調理業務の一部受託、食材の共同仕入れ、リアルタイムの情報共有で課題解決を図ります。

また、食材の仕入ではスケールメリットを発揮した経営が可能になるといいます。全旅連加盟の15000施設では、共同仕入れによる調達力強化が図れます。「すべて自前で旅館経営ができれば一番よいのでしょうが、頼れるところは頼る形も競争を乗り越える手段だと思います」と宮崎氏は語ります。共同仕入れは、野菜などの生産者や取引業者にも取扱高が増えるメリットがあり、ITで宿泊業者同士や取引業者、生産者がつながり、有益な情報交換が生まれ、それをお客様に還元していく良い循環が生まれたそうです。

「宿屋EXPO」を活用することは、地域全体で顧客情報を一元管理できることであり、お客様一人ひとりに合わせたおもてなしを実現します。

さらに、同社は地域で共通のプラットフォームを活用して買い物やチェックアウトなどすべて一括で済ませられる「スマート温泉街構想」を目指しているといいます。「旅館を若い人のあこがれる職業にしたい」と語る宮崎氏。ITの力で旅館や生産者、飲食店など地域全体をつなげ、共有することで、地域活性化を支えていく。「陣屋コネクト」が掲げる地域の未来をSalesforceもご支援してまいります。

会えない環境でも“つながる 通年型国際リゾートを目指すニセコの地域観光経営

もう1つ先進的な取り組みをご紹介しましょう。広域観光DMOであるニセコプロモーションボード(NPB)の取り組みです。ニセコの冬はパウダースノーを求めて、国内はもとより世界各地から多くのスキーヤーやスノーボーダーが訪れています。しかし、夏のシーズンを中心に、通年の集客をどのように展開していくのかが大きなテーマでした。

ニセコが目指すべきは、通年型の国際リゾート地。しかし、これまではデータ収集も含め顧客ニーズ、顧客動向などが捉えられていませんでした。「より良いニセコをつくるためにはデジタルは欠かせない存在。スピード感が求められる時代、重要なのはデジタルマーケティング」とNPB代表理事の菊井 隆則氏は語ります。

地域の事業者が提供するサービスデータを 収集・一元管理して可視化

ニセコの地域的な特徴は、個性豊かなサービスを提供する個人事業が多い点にもありました。このため、異なるシステムからデータを収集することも課題となっていたのです。そこで、Salesforceを活用し、効率的にデータを収集する取り組みを実施。観光客の的確な分析と傾向データを地域事業の全員と共有し、よりよい計画と戦略を立てる仕組みを構想されています。

まず、WiFiサービスにより、NPBのアプリやWEBサイト、ソーシャルメディアを通して集めた観光客のデータを一元管理します。これにより、データを細かくトラッキングし、効率よく情報を提供することが可能になります。例えば冬にニセコを訪れ、地元グルメの商品に興味を持った人に、オータムフェスティバルの情報を送ることで秋に再訪してもらう、そんなきっかけを提供することが可能になります。

NPBマーケティング・マネージャーのアクミ・ウー氏も「デジタルマーケティングは、観光客の体験にも変化を与える」と語っています。例えば、デジタル支払いサービスを利用してアプリをダウンロードした旅行者が、ニセコに行くための必要な情報を自分のデバイスで確認。また、ニセコに到着したらタクシーやシャトルバスで宿泊施設まで行く方法も確認できるようになります。また、多くの宿泊施設がデジタルコンセルジュサービスを提供しているため、スキー場のリフト券購入やレストランの予約などもデバイスから可能になります。旅行体験のすべてを手のひら(デバイス)で操作できる新たな国際リゾート地へとニセコは進化していきます。

さまざまな地域ではじまるニューノーマル時代の地域観光経営への取り組み。セールスフォース・ドットコムでは、テクノロジーの力をもって観光による地域の活性化をご支援してまいります。

2社の取り組みは動画も公開されていますので、こちらも併せてご覧ください。

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【お客様事例-観光業界】 陣屋コネクト – 街ぐるみのおもてなしをSalesforceとともに

【お客様事例-観光業界】 ニセコプロモーションボード – 顧客起点の地域観光経営をめざすニセコの挑戦

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