LTVとは?注目される理由と計算方法、向上施策をわかりやすく解説

 
最終更新日:2024.9.18

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、顧客が自社の商品やサービスを利用しはじめてから終えるまでの間に、どれだけの利益をもたらしたかを示す指標です。

新規顧客の獲得が難しくなってきた近年、既存顧客に対する重点的なアプローチから売上向上を狙う視点が必要となり、LTVも重視されているわけです。

LTVを向上させるためには、最適なタイミングでのアップセル・クロスセルの提案や、顧客ニーズに沿った商品・サービスの改善が求められます。

本記事では、LTVの概要と注目される理由、具体的な計算方法を解説します。LTVを向上させる方法とポイントも紹介するので、既存顧客へのアプローチによって売上アップを目指したい方はぜ参考にしてください。

 
 
 
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LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、顧客が自社の商品やサービスを利用しはじめてから終わるまでの期間で、どれだけの利益を自社にもたらしているかをあらわす指標です。

たとえば、月額サブスクリプション型SaaSの場合、同じ利用期間のユーザーでも、オプションサービスを利用した顧客のほうがLTVは高くなります。売り切り型の商品は、継続的に商品を購入する既存顧客のほうが、1回しか商品を購入しない顧客よりもLTVが高くなるでしょう。

既存顧客に対して適切なアプローチを行い、LTVをひとつの指標として評価し、向上を目指すことがさらなる売上アップにつながるわけです。マーケティングの最大の目的は売上の向上であるため、LTVは重要な指標であるといえます。

とくに新規顧客が獲得しにくくなってきた近年、既存顧客のLTVの向上を狙った施策は、企業の売上向上に欠かせないマーケティング活動です。

LTVが注目される4つの理由

マーケティング活動でLTVが注目されている理由は、以下の4つです。

  • 新規顧客獲得・新規市場開拓が難しくなっている
  • サブスクリプションモデルが浸透しはじめている
  • One to Oneマーケティングへシフトしている
  • 3rd Party Cookieの規制が強まっている

4つの背景がもたらす変化から、あらためてLTVの重要性を理解できるでしょう。

新規顧客獲得・新規市場開拓が難しくなっている

以前よりも、以下の理由から新規顧客の獲得や新規市場の開拓が難しくなっているため、既存顧客との関係性を強化したうえでLTVの向上を目指したほうが、売上アップにつながります。

  • 以前よりも新規顧客へ向けた情報発信のチャネルが多様化し、幅広く対応するためにコストが増大するため
  • 日本の人口推計から人口は減少し続けると予測でき、国内市場の縮小が見込まれるため

参考:日本の将来推計人口(令和5年推計)|国立社会保障・人口問題研究所 より作成

新規市場の開拓が難しい場合、成熟市場で新規顧客を獲得する方法を考えます。ところが、成熟市場には競合が数多く存在し、商品やサービスのバリエーションも豊富であるため、新規市場で新規顧客を獲得するよりも難易度が高くなるのです。

商品やサービスの分野・傾向によっては、新規顧客の獲得や新規市場の開拓にコストをかけるよりも、既存顧客のLTVを向上させる施策に注力したほうが、効率的に売上の向上を狙えるでしょう。

以下のウェビナー動画では、顧客満足度の向上がLTVの向上につながる理由を解説しているので、LTV向上を狙う方はぜひご覧ください。

▶ ウェビナー動画【これからの EC通販コンタクトセンターのカタチ -状況に左右されずLTV向上を実現するためには-】

商品やサービスによっては新規顧客の獲得が十分に可能なケースもあります。以下の記事では、新規顧客の獲得を成功させるポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。

▶ 新規顧客を獲得する方法と成功のポイント|成功事例や役立つツールも紹介

サブスクリプションモデルが浸透しはじめている

LTVの向上は、サブスクリプションモデルのサービスにおける売上アップにもつながるため、重視されています。

近年普及するようになったサブスクリプションモデルとは、顧客が月額・年額など定額料金を支払うことで、期間中に商品やサービスを利用できるビジネスモデルです。

サブスクリプションモデルが普及した背景には「モノを所有する」から「モノを利用する」という、消費者の価値観の変化があります。

内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査(令和元年6月調査)」によると、物質的な豊かさを重視したい人は29.6%である一方、心の豊かさを重視したい人は62.0%と高い割合です。物質的な豊かさよりも、心を豊かにする体験を重視する人が増えたことで、「所有」から「利用」へと消費者の価値観が変わったと考えられます。

こうした変化に対応すべく「利用」を重視したサブスクリプションモデルが普及しているわけです。

サブスクリプションモデルでは、顧客に継続して商品やサービスを利用してもらうことが売上に直結します。顧客に長く利用してもらえるように、LTVを最大化する施策で顧客に商品やサービスの価値を感じてもらうことが重要です。

One to Oneマーケティングへシフトしている

One to Oneマーケティングで顧客それぞれのニーズにあわせたマーケティングを行うためには、LTVが重要な指標とされています。

One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりのニーズにあわせて、最適なコミュニケーションを選択するマーケティング活動です。不特定多数に同一のメッセージを送るマス・マーケティングと比較して、顧客一人ひとりと継続的な関係を築きやすい特徴があります。

One to Oneマーケティングを成功させるためには、各顧客のニーズを把握したうえで、ベストタイミングて最適なアプローチをかけなくてはなりません。そのために、LTVを指標のひとつとして継続的に確認し、アップセル・クロスセルを提案する最適なタイミングを探るわけです。

なお、One to Oneマーケティングの成功は、データの取得・分析から予測までを行う以下のツールに支えられています。

 
ツールの種類 概要
CRM
顧客ロイヤリティを高め、自社ブランドの価値向上と収益の拡大を目指す顧客管理ツール
MA 顧客開拓のためのマーケティング活動を可視化・自動化できるツール
LTVの計測・予測にも役立つので、CRMとMAの導入を検討してみてください。

3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)の規制が強まると、従来のように新規顧客のニーズや購買傾向をつかめなくなるため、新規顧客の獲得が難しくなると考えられます。そのため、既存顧客のLTV向上が重視されているのです。

Cookieとは、ユーザーがWebサイトを訪問した際、どのような情報を入力したか、どのページを閲覧したかなどの行動をブラウザに保存できる仕組みを指します。3rd Party Cookieの場合は、第三者によって発行されるCookieで、Webサイトをまたいで活用可能です。

しかし、利用者からすると、勝手に自分の情報が使われていると感じ、個人情報保護の観点から問題視されています。たとえば、Googleが提供するブラウザサービス「Chrome」は、2024年末までに3rd Party Cookieのサポートを完全に終了する予定です。

欧米ではすでに規制がはじまっており、日本でも2022年の個人情報保護法の改正を受けて、規制が強まるのではないかと見られています。

3rd Party Cookieが規制されると、新規顧客のニーズを読み取って適切な広告を打てなくなり、新規顧客獲得につながる施策がひとつ封じられます。新規顧客ではなく既存顧客へのアプローチが必要となるため、LTVが指標として重視されるのです。

以下の記事では、3rd Party Cookieの規制による影響を解説しているので、参考にしてください。

▶ Cookie排除の流れがデータドリブンのマーケティングに与える影響

LTVの代表的な計算方法

LTVの計算方法は、ビジネスモデルによって異なるため、以下の2つの場合に分けて解説します。

  • サブスクリプション型SaaSの場合
  • 売り切り型サービス・商品の場合

自社が提供する商品やサービスにあわせて、LTVの計算方法を選びましょう。

サブスクリプション型SaaSの場合

サブスクリプション型SaaSの場合、以下の計算式を用いてLTVを算出します。

<LTVの計算式>

LTV=ARPA÷チャーンレート(解約率)

LTVを算出するためには、ARPAチャーンレートを先に計算しておきましょう。

 
用語 ARPA カスタマーチャーンレート
意味 1アカウントあたりの平均売上 顧客数をベースとした解約率
計算式 ARPA=売上÷アカウント数 カスタマーチャーンレート=ある期間の解約したユーザー数÷ある期間より前のユーザー数×100

たとえば、以下の条件でLTVを計算する場合、LTVは4,000円となります。

  • 月間売上:10万円
  • アカウント数:500アカウント
  • ある月のはじめのユーザー数:500アカウント
  • その月に解約したユーザー数:25アカウント

<LTVを計算する流れ>

ARPA=500アカウント÷10万円=200円/アカウント
カスタマーチャーンレート=(25アカウント÷500アカウント)×100=5%
LTV=200円/アカウント÷0.05=4,000円

売り切り型サービス・商品の場合

売り切り型サービス・商品の場合、以下の計算式を用いてLTVを算出します。

<LTVの計算式>

LTV=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間

たとえば、家電量販店で以下のデータが出ている場合、LTVは12,000円となります。

  • 平均購買単価:10,000円
  • 収益率:20%(0.20)
  • 購買頻度:年間2回
  • 継続購買期間:3年

<LTVを計算する流れ>

LTV=10,000円×0.20×2回×3年=12,000円

コストを考慮したLTVの計算方法

新規顧客の獲得や既存顧客の維持に必要なコストを考慮して、以下の計算式を用いる場合もあります。

<コストを考慮したLTVの計算式>

LTV=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間-(新規顧客1人あたりの獲得コスト+既存顧客1人あたりの維持コスト)

計算の結果、LTVがマイナスになってしまうとビジネスは成り立ちません。マイナスになる場合はLTVに関わる要素の見直しと改善が必要です。

LTVに関連する5つの重要指標

LTVには、関連する5つの指標があります。

  • ARPA・ARPU|LTVの計算に必要な平均購入単価に関わる
  • CAC|ユニットエコノミクスの算出に必要となる
  • ユニットエコノミクス|LTVを改善する際の方向性に関わる
  • MQL・SQL|LTVの向上を目指す際に重要となる
  • チャーンレート|LTVの向上に関わる

LTVの算出に必要な要素もあるので、ひとつずつ理解を深めていきましょう。

ARPA・ARPU

ARPAとARPUは、LTVの計算に必要な平均購入単価に関係します。

ARPA(Average Revenue Per Account)とは、1アカウントあたりの平均売上金額で、計算式は以下のとおりです。

ARPA=売上÷アカウント数

サブスクリプション型のサービスは、ユーザー数よりもアカウント数に着目したほうがよいケースがあるため、ARPAを活用します。

一方でARPU(Average Revenue Per User)は、1ユーザーあたりの平均売上金額を指します。

計算式は以下のとおりです。

ARPU=売上÷ユーザー数

ユーザーベースで平均購入単価を求めたいときは、ARPUを活用します。

どちらを扱うかは、提供している商品やサービスの形態によって変わります。

CAC

CAC(Customer Acquisition Cost)とは、顧客あたりの獲得コストを指し、ユニットエコノミクスを算出する際に必要となる指標です。

以下の計算式を用いて算出します。

CAC=新規顧客獲得にかかったコストの合計÷新規顧客獲得数

「新規顧客獲得にかかったコスト」には、営業活動やイベント、広告出稿などのマーケティングの費用を含む点に留意しましょう。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスとは、採算性を可視化するための指標のひとつです。以下の計算式を用いて算出します。

ユニットエコノミクス=LTV÷CAC(顧客獲得コスト)

ユニットエコノミクスが低いと「収益性が低い」、高いと「収益性が高い」と判断が可能です。数値は「3~5」が一般的な基準とされています。ただし、サブスクリプション型SaaSでは、3以上が基準とになることもあり、商品やサービスの形態によって異なります。

たとえば、各指標が以下の数値の場合、「24,000円÷13,000円」でユニットエコノミクスは約1.85です。

 
指標 算出額 各要素
LTV 24,000円 ・平均購買単価:10,000円
・収益率:20%(0.20)
・購買頻度:4回/年
・継続購買期間:3年
CAC 13,000円 ・広告費用:800,000円
・営業コスト:300,000円
・その他マーケティング費用:200,000円
・新規顧客数:100人

顧客に対して、1円の投資に対して1.85円のリターンが得られると解釈できます。商品・サービスの形態や業界によって基準は異なりますが、2倍よりも低いことから、改善が必要でしょう。

そのため、CACの削減とLTVの向上を目指す施策を展開し、ユニットエコノミクスの向上を図ります。

このように、ユニットエコノミクスを見ると、LTVとCACをどのように改善すべきか、具体的な数値を明確化できるでしょう。

MQL・SQL

MQLとSQLは、LTVの向上を目指す際に重要となる指標です。

MQL(Marketing Qualified Lead)とは、マーケティング活動で獲得した有望な見込み客を指します。マーケティング活動の影響を強く受けていると見込み客と想定されます。MQLのなかでも、自社の商品やサービスに強い興味を抱いているとされる層がSQL(Sales Qualified Lead)です。

MQLとSQLを明確に分類する基準を設けることで、利益につながりやすい顧客を見極め、効率的なアプローチが可能です。

チャーンレート(解約率)

チャーンレートとは、商品やサービスの解約率です。チャーンレートを下げることで既存顧客を維持でき、LTVの向上につながります。

チャーンレートには、主にカスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートの2種類があり、以下のように意味と計算式が異なります。

 
種類 カスタマーチャーンレート レベニューチャーンレート
概要 顧客数をベースとした解約率 収益をベースとした解約率
計算式 カスタマーチャーンレート=ある期間の解約したユーザー数÷ある期間より前のユーザー数×100 レベニューチャーンレート=サービス単価×ある期間に解約したユーザー数÷ある期間中の総収益×100
レベニューチャーンレートには2種類あり、それぞれの意味は以下のとおりです。
 
種類 グロスレベニューチャーンレート ネットレベルチャーンレート
概要 ダウングレードを含めて計算するチャーンレート アップセル・クロスセルを含めて計算するチャーンレート

LTVを高める6つのポイント

LTVを高めるためには、以下6つのポイントを押さえておくことが大切です。

  • 顧客単価を上げる
  • 購買頻度を高める
  • 継続期間を延長する
  • 顧客獲得・維持コストを下げる
  • 解約率を下げる
  • パーミッションを獲得する

これからLTVの向上施策を展開する方やLTVがうまく向上せずお悩みの方は、ポイントを確認したうえで、施策を構築してみてください。

顧客単価を上げる

1回あたりの購入額が向上すると、必然的にLTVも向上します。

購買単価を向上させる手法としては、アップセル・クロスセルが一般的です。アップセルとクロスセルは、それぞれ以下のマーケティング手法を指します。

 
用語 意味
アップセル 使用中の商品製品やサービスのグレードアップや契約拡大によって、顧客あたりの単価を向上させる手法
クロスセル オプション追加や関連商品の販売で単価を上げる手法
アップセル・クロスセルは、ニーズに合わせ、顧客にとって無理のない範囲で提案することが大切です。

購買頻度を高める

LTVを高めるためには、顧客あたりの購買頻度を高める必要があります。

購買頻度を高める施策としては、「利用期間中にオプションの利用を促す」「適切なタイミングでアップセル・クロスセルを提案する」などがあります。成功させるためには、顧客ニーズを正しく把握したうえで分析が必要です。

CRMとMAを活用することで、データの収集・分析を効率的に行えます。データに基づく適切なタイミングと手法でOne to Oneマーケティングを実施すれば、購買頻度を高められるでしょう。

継続期間を延長する

LTVを高めるためには、継続的に商品やサービスを購入してもらう必要があります。

長く継続して利用してもらうためには、顧客ロイヤリティを高めることが大切です。顧客ロイヤリティとは、ブランドや企業に対する顧客からの支持や忠誠心のことを指します。顧客ロイヤリティが高い顧客は、繰り返し商品やサービスを利用してくれるはずです。

顧客ロイヤリティを高めるためには、CRM・MAで顧客データを分析し、ニーズを正しく把握したうえで、適切な手法を選択します。

以下のレポートでは、顧客ロイヤリティを築くためのポイントを解説しているので、ロイヤルカスタマーを増やすことで売上向上を目指す際は、参考にしてください。

▶ 顧客ロイヤリティを築くための重要な方法とは?

顧客獲得・維持コストを下げる

販売にかかるコストを抑え、利益幅を大きくすることでLTVを向上させる方法もあります。

セールスの現場では、業務の効率化によりコストを削減するのが一般的です。CRMやMAなどのツールを活用して、営業リソースの有効利用やマーケティング部門との連携を進めれば、より小さなコストと限られた時間で大きな利益を得られるようになります。

解約率を下げる

サブスクリプション型サービスでは、顧客の離脱率を下げることがLTVの向上に直結します。

データを分析し、離脱する顧客に共通する条件や兆候を見逃さないようにしましょう。顧客が離脱する原因を分析し、改善することが大切です。

以下の記事では、顧客の解約を防止するためのリテンションマーケティングについて解説しているので、あわせてご覧ください。

▶ リテンションとは?解約防止のリテンションマーケティング、メリットや手法・成功事例まで解説

パーミッションを獲得する

LTVを向上させる方法として、パーミッションの獲得が挙げられます。

自社のファンとなってくれた顧客は、自社製品やサービスだけでなく、ブランドや企業に信頼を寄せ、愛着を抱いてくれます。欠点や不具合を見つけた際は、単純なクレームではなく、改善要望として企業に知らせてくれるかもしれません。

リピートやアップセル・クロスセルで売上に貢献することはもちろん、口コミや顧客の紹介で新規顧客の獲得を助けてくれる場合もあるでしょう。これは、顧客が取引関係にある自社を承認し、許容することを示す「パーミッション」を獲得できた状態です。

顧客との良好な関係を保ち、一度得られたパーミッションを維持できれば、LTVを最大化できるようになります。

LTVの活用方法

LTVの活用方法には、以下の4つが挙げられます。

  • CPA(顧客獲得単価)を算出する
  • 各施策の予算を決める
  • ロイヤルカスタマーを見極める基準にする
  • カスタマーサクセスのKPIとする

LTVを正しく活用し、売上向上を目指しましょう。

CPA(顧客獲得単価)を算出する

LTVを活用すると、CPA(顧客獲得単価)にどれほどの予算を割くかを算出できます。CPAとは、顧客1人を獲得するためにかかったコストで、一般的に以下の計算式で算出します。

CPA=コスト÷CV数

たとえば、サービスの登録数を増やすために実施したセミナーに120万円のコストをかけたとしましょう。セミナーを通して120人のユーザーを獲得できた場合、CPAは1万円と算出できます。

LTVの目標数値を具体的に決めていると、逆算してCPAの限度数値を算出可能です。LTVがCPAより高くなるように目標を立てると、売上向上を目指せるため、LTVがCPAをどこで逆転するかを知っておくことが大切です。

各施策の予算を決める

LTVでは以下のような指標を把握でき、各施策に使う予算決めに活用できます。

  • 顧客単価
  • 平均購買単価
  • 購買頻度
  • 顧客維持率

予算上限を超えない範囲で施策を実施し結果を出せると、LTVとともに売上向上を狙えます。そのため、現状のLTVをもとに各予算を算定することが大切です。

ロイヤルカスタマーを見極める基準にする

LTVは顧客のうちロイヤルカスタマーを判断する指標としても活用できます。LTVの基準を決め、基準を超えた顧客はロイヤルカスタマーとして認定します。

ロイヤルカスタマーを見極められると、ペルソナが浮き彫りとなり、より効果の高いマーケティング施策を打てるようになるでしょう。ロイヤルカスタマーが増えるとLTVが高まり、売上にもつながります。

カスタマーサクセスのKPIとする

LTVはカスタマーサクセスのKPIとしても活用できます。

カスタマーサクセスとは、自社が提供する商品やサービスの利用によって顧客を成功に導くことです。顧客が、商品やサービスの利用によって成功体験を積むと、企業への信頼度や興味が高まり、アップセル・クロスセルにつなげられる可能性が高まります。

あらかじめLTVの目標数値を定めておき、カスタマーサクセスサービスによってどれだけ向上したか記録しておくことで、サービスの効果測定ができるでしょう。

LTVの最大化に効果的なツール

LTVを最大化させるためには、以下のツールの活用が効果的です。

  • 顧客に関する情報を管理・分析するCRM
  • マーケティング施策を自動化するMA

データに基づいて顧客に合った提案を行う「One to Oneマーケティング」を効果的に実施するためにも、ツールの導入を検討してみましょう。

CRM|既存顧客を管理・分析する

CRMは、顧客との関係を良好に保つため、必要な情報を保存・管理し、分析するシステムです。CRMには自社と顧客とのコミュニケーションがすべて記録され、データ分析やメール配信、購入管理、問い合わせ管理を行えます。

CRMを導入すれば、社内でバラバラに管理されている顧客情報を一元化し、有効な戦略の立案やボトルネックの改善を進められるでしょう。また、顧客の状態が可視化されるため、購買意欲が最大まで高まったタイミングを逃さずにアプローチできます。

顧客はニーズにあった情報を得られることで、満足度が向上し、継続的な購入につながる可能性が高まります。

以下の記事では、CRMの機能を詳細に解説しているので、参考にしてみてください。

▶ CRMの7つの機能や目的、導入効果をわかりやすく解説

CRMの導入をお悩みの方は、以下の資料からCRMの重要性をご確認ください。

▶ CRM初心者向けガイド ~顧客管理ツールでビジネスを成長させる方法~

MA|見込み客を管理・育成する

MAは、マーケティング施策を自動化するためのツールです。見込み顧客の行動をトラッキングしたうえで取得した各顧客の特性や好みにあった情報や、マーケティング活動の効果を蓄積し、一元管理します。

CRMやSFAに記録されている商談履歴や購買履歴などのデータと連携すると、各顧客にあったコミュニケーションを選択できます。その後、顧客ロイヤリティが高まったタイミングで、アップセル・クロスセルの提案につなげることも可能です

MAはマーケティングに関わるデータの整理や分析作業を自動化できるため、担当者の業務負担を軽減します。MAによって業務が自動化されると「人件費の削減による新たな人員配置」や「浮いたリソースをコア業務に割ける」などの副次的効果ももたらします。

以下の記事では、MAの導入方法と必要な準備を解説しているので、あわせてご覧ください。

▶ MA(マーケティングオートメーション)導入方法・失敗しないための準備を紹介

以下の資料では、実際にMAを導入した企業による導入効果を解説しています。ぜひ参考にしてください。

▶ ユーザー企業3社が語る!少人数で成果を出すMA活用とは

LTVを向上させた成功事例

国内唯一のカードブランドであるJCB株式会社は、顧客ごとに最適なアプローチができるようにするため「Marketing Cloud」を導入し、顧客情報の一元化に成功しています。

データをもとに、顧客体験の改善に着手。より緻密なカスタマージャーニーを作成し、顧客体験の課題を洗い出したところ、いくつもの課題が浮上したのです。入会初期のシナリオメールの改善も、課題のひとつでした。

シナリオメールを改善したところ、顧客の稼働率が5%、利用額が10%に向上しました。顧客ごとに最適化されたアプローチによって、LTVの向上を早くも実感した同社は、その後も膨大なデータをもとに個別アプローチの実践と改善を繰り返しています。

参考:全社のデジタルの“ブレーン”として各ライフステージで顧客体験を改善

まとめ:LTVを最大化し売上アップを目指そう

LTVを最大化できれば、売上アップにつながります。

そのため、顧客の継続利用が売上に直結するSaaSやサブスクリプション型サービス、定期使用が求められる商品を提供している場合、LTVは重要な指標です。

LTVを最大化するためには、アップセル・クロスセルによって、既存顧客の購買単価を向上させる施策と離脱率を下げる施策を同時に行う必要があります。また、顧客獲得にかかるコストを下げることも大切です。

これらを実現するためには、顧客の嗜好に寄り添ったOne to Oneマーケティングが求められます。One to Oneマーケティングを効率的に行い、効果を最大化するためには、MAやCRMの活用がおすすめです。

Saleceforceでは、顧客データをもとに最適なタイミングと施策を見極められるMA「Marketing Cloud」を提供しています。AI搭載型CRM「Sales Cloud」に顧客データを集約・蓄積し、Marketing Cloudと連携して活用することで、より効率的にOne to Oneマーケティングを展開できるでしょう。

製品のデモ動画をご視聴になると、ツールの機能や操作性についてイメージしやすくなるので、ぜひご覧ください。また、無料トライアルも実施していますので、お気軽にお問い合わせください。

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