マーケティングオートメーション(MA)とは?基本から選び方のポイントまでをわかりやすく解説

 
最終更新日:2025.6.2
 
 

カルデラ 久美子

株式会社セールスフォース・ジャパン 常務執行役員
マーケティング統括本部 デマンドジェネレーション本部 本部長

マーケティングオートメーション(MA)とは、単にマーケティング活動を自動化する仕組みやツールに留まらず、顧客一人ひとりに最適化された体験を提供し、深い関係性を構築するための戦略的なアプローチのことです。

今日の顧客は、製品やサービスそのものだけでなく、企業から提供される体験全体を重視しており、その期待はますます高まっています。このような状況下で、見込み顧客の獲得から育成(ナーチャリング)、そして長期的な顧客関係の維持に至るまで、データに基づいたパーソナルなコミュニケーションを効率的に実現することがMAの目的です。

この記事では、マーケティングオートメーションがなぜ現代のビジネスに不可欠なのか、その具体的な機能や導入によって得られる真の価値、そして顧客関係管理(CRM)や営業支援(SFA)といった関連システムとの連携の重要性について、深く掘り下げて解説します。

本記事の要約

マーケティングオートメーション(MA)とは、企業のマーケティング活動を自動化し、顧客との関係を効率的に構築・管理するためのツールです。見込み顧客の獲得から育成、購買促進までを一元的に管理し、マーケティング業務の効率化を実現します。

MAの主な機能には、メール配信の自動化、Webサイト訪問履歴の分析、リードスコアリング、キャンペーン管理、CRMとの連携などがあります。これらの機能により、顧客の興味や行動に応じた適切なアプローチが可能になります。

導入のメリットとしては、リード育成の効率化、マーケティングと営業の連携強化、顧客データの一元管理、業務の自動化による生産性向上などが挙げられます。適切な活用により、売上向上や顧客満足度の向上が期待できます。

MAを選ぶ際は、自社のビジネスモデルに適しているか、必要な機能が揃っているか、操作性やサポート体制が充実しているか、コストと導入効果のバランスが取れているかを考慮することが重要です。

 
 
 
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マーケティングオートメーション(MA)とは?

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動の自動化を意味する概念、またはそのためのツールを指す言葉です。ツールを指す場合は「MAツール」といいますが、縮めて「MA」と表記される場合もあります。

MAが得意とするのは、リード(見込み客)獲得から商談に至るまでの業務効率化です。加えて、営業活動の評価・改善のためのツールとしても活用できます。MAを活用したPDCAサイクルを組めば、事業のスピーディーなブラッシュアップも期待できます。

さらに、MAによってマーケティング活動が効率化されれば、担当者のリソースをシナリオ作成やリードの精査といった、本当に注力したい部分に集中させることもできます。ただその一方でMAはツールであり、マーケティング施策の実行をサポートする手段の一つにすぎません。まずは会社としてマーケティング戦略を決め、それをもとに各施策の設計に落とし込むことが重要です。

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マーケティングオートメーション(MA)が求められている背景

企業が競争優位性を確立し、持続的な成長を遂げるためには、顧客との強固な関係構築が不可欠です。特に現代において、顧客は自分たちのニーズや好みを深く理解し、それに応じたきめ細やかな対応を期待しています。約3分の2の顧客が、企業とのやり取りにおいてパーソナライズされた体験を求めているというデータも存在します。

しかし、手動によるマーケティング活動では、増え続ける顧客接点や膨大なデータを効率的に処理し、一人ひとりに最適化されたアプローチを行うことは極めて困難です。ここでマーケティングオートメーション(MA)が真価を発揮します。

MAは、テクノロジーを活用してマーケティング活動を自動化し、顧客理解を深めるためのデータ収集・分析から、パーソナライズされたコミュニケーションの実行までを一貫して支援します。これにより、企業は顧客一人ひとりの行動や興味関心に合わせた最適な情報提供やアプローチを、適切なタイミングで、かつ効率的に行うことが可能になります。

結果として、顧客エンゲージメントの向上、質の高いリードの創出、そして長期的な顧客ロイヤルティの醸成へと繋がり、マーケティング投資対効果(ROI)の最大化に貢献します。

特に、サードパーティCookieの利用が制限される今後の状況においては、CRMシステムなどを活用したファーストパーティデータの戦略的な収集と活用が、MAを通じたパーソナライゼーションの鍵となります。

BtoB事業でMAが求められる背景・理由

BtoB事業では、商談から受注に至るまで、長い購買サイクルのなかで複数の意思決定者が関与することが一般的です。

BtoB事業においては、MAを活用することで見込み顧客の行動データの収集から、リードスコアリング(商談確度の判定)やリードナーチャリング(顧客へのフォローアップ)までを効率的にすすめることができるため、営業部門に優先順位の高いリードを提供できます。

購買プロセスの各段階に合わせ、自動化されたメッセージの配信やタスク管理もおこなえるため、一人ひとりの顧客に対して迅速かつ的確なフォローアップが行われ、顧客との関係を強められます。

BtoC事業でMAが求められる背景・理由

BtoC事業においては、顧客に継続的に商品・サービスを購入してもらったり、顧客ロイヤルティを高めることがが重要な課題です。

デジタル化の影響で顧客の購買行動や顧客接点(タッチポイント)が多様化し、企業は顧客ロイヤルティを向上させるため、膨大なデータを分析したうえで顧客にアプローチする必要が高まっています。よって、これまで以上に効果的かつ効率的なマーケティング手法が求められています。

BtoC事業においてMAを使用することで、顧客の行動データや購買履歴など大量のデータをMAが処理、分析し、顧客の嗜好や行動に個別化されたアプローチをおこなうことで顧客との長期的な関係を構築することができます。

たとえば優良顧客への特別なオファーやクーポンの送信、顧客の誕生日や記念日のお祝いメッセージなど、顧客を大切にする取り組みをMAで自動化することで、現場への負担を増大させずに顧客満足度を向上させられるのです。

マーケティングオートメーション(MA)ツールの機能

マーケティングオートメーション(MA)の機能は、ツールの種類やBtoB・BtoCの違いで多少異なりますが、基本的な機能はほぼ同じです。ここでは、おもな機能をいくつか解説します。

  • リード管理
  • スコアリング
  • キャンペーン管理
  • One to One メール配信
  • コンテンツ管理
  • 分析レポート
  • SFA/CRMとの連携

1)リード管理

リード管理は、展示会、ウェブサイト、オンライン広告、セミナーなど、あらゆる顧客接点で獲得した見込み顧客の情報を一元的に集約し、管理するMAの根幹機能です。

氏名、連絡先、所属企業といった基本情報に加え、Webサイトの閲覧履歴、資料ダウンロード、メール開封、イベント参加状況など、顧客のデジタルな足跡を詳細に記録し、個々の顧客プロファイルをリッチ化していきます。

重要なのは、これらの情報を単に蓄積するだけでなく、CRMシステムと連携し、常に最新かつ正確な状態で共有可能にすることです。これにより、マーケティング、営業、サービスといった全部門が顧客に対する360度の理解を深め、一貫性のあるアプローチを実現するための基盤となります。

データのサイロ化を防ぎ、信頼できる唯一の情報源を構築することで、より効果的なリード育成戦略の立案と実行が可能になります。

2)スコアリング

スコアリングは、収集・蓄積されたリードの属性情報や行動履歴に基づき、その興味・関心の度合いや購買意欲の高さ(ホットリード度)を自動的に数値化・評価する機能です。

例えば、特定の製品ページの閲覧、価格ページの確認、料金シミュレーションの実行、ウェビナーへの参加といった行動に対して重み付けを行い、スコアを算出します。これにより、マーケティング部門や営業部門は、膨大なリードの中から特に有望な見込み客を客観的な基準で特定し、優先順位をつけてアプローチできるようになります。

さらに、AIを活用した高度なスコアリングモデルでは、過去の成約顧客のパターンを学習し、より精度の高い見込み予測や、次に取るべき最適なアクションの提案も可能になります。これにより、営業担当者はより効率的に有望なリードに集中でき、商談化率や成約率の向上に大きく貢献します。

3)キャンペーン管理

キャンペーン管理とは、リードを商談へと導くためにマーケティング施策をタイミングよく実施する機能です。

キャンペーンには主に以下のような施策が含まれます。

  • メルマガやDMの配信
  • セミナーや展示会などのイベントの案内
  • 商品の無料体験の提供

実施のタイミングはリードの属性や行動履歴を考慮し、条件を満たしたときに実施されるように設計することができます。

4)One to One メール配信

One to Oneメール配信は、MAの中核機能の一つであり、顧客一人ひとりの属性、行動履歴、興味関心に合わせてパーソナライズされたメールを最適なタイミングで自動配信する機能です。

例えば、特定の製品に関心を示した顧客には関連情報や導入事例を、長期間アクションのない顧客には新たな興味を喚起するコンテンツを、といった具合に、CRMに蓄積されたリッチな顧客データを活用して、きめ細かくセグメントされたターゲットに対し、最適化されたメッセージを届けることができます。

テンプレート機能やA/Bテスト機能に加え、AIが顧客の反応を予測し、最適な件名やコンテンツ、配信タイミングを提案する機能も登場しています。これにより、マーケターはより少ない労力で、高い開封率・クリック率・コンバージョン率を実現するメールマーケティングを実施できるようになります。

5)コンテンツ管理

コンテンツ管理とは、メールやソーシャルメディア、LP(ランディングページ)など、さまざまなプラットフォームのコンテンツをまとめて管理する機能です。

たとえば、複数プラットフォームの同時更新や既存コンテンツの更新作業やリンクチェック、新規コンテンツの作成補助などの機能が搭載されています。

6)分析レポート

分析レポートとは、MAツールで実施したマーケティングに関するデータを分析し、レポートとして出力する機能です。代表的なレポートの例としては、顧客の行動分析データやスコアリングデータを利用した傾向の分析、複数のデータを掛け合わせた相関の分析などがあります。

データの分析を手作業で実施しようとすると、人材や時間など多くのリソースを必要とするため、これらを自動化できるのはデジタルツールならではのメリットです。

7)SFA/CRMとの連携

MAの真価は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)とシームレスに連携することで最大限に発揮されます。これらは個別のツールとして機能するだけでなく、顧客データを一元的に管理するCRMプラットフォームを基盤として統合されることで、マーケティングから営業、そしてカスタマーサービスに至るまでの顧客接点全体で一貫した顧客体験を提供することが可能になります。

例えば、MAで獲得・育成された有望なリードの情報(行動履歴、スコア、関心事など)は、リアルタイムでCRMおよびSFAに同期され、営業担当者は即座に詳細な顧客情報を把握した上で、最適なアプローチを開始できます。逆に、営業活動の中で得られた顧客の最新情報や反応はCRMを通じてMAにフィードバックされ、その後のマーケティングコミュニケーションのさらなるパーソナライズに活用されます。

このようなデータの双方向連携と部門間での情報共有は、いわゆる「The Model」のような営業プロセスの効率化と成果の最大化に不可欠です。顧客に関するあらゆる情報が単一の信頼できる情報源に集約されることで、企業全体として顧客中心のアプローチを推進し、顧客生涯価値(LTV)の向上に繋げることができます。AIは、この統合されたデータを活用し、部門を横断した最適な顧客体験の設計や、ネクストベストアクションの提案などを通じて、さらなる価値創出を支援します。

 
 
 
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マーケティングオートメーション(MA)とSFA、CRMの違いとは?

マーケティングオートメーション(MA)と関連するツールに、SFA(営業支援システム)とCRM(顧客関係管理)があります。3つのツールは、いずれも営業分野に用いられますが、それぞれ担当する領域が異なります。ここでは、MA、SFA、CRMの目的と役割について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

MA:マーケティング活動の高度化と効率化、そしてパーソナライズされた顧客体験の創出

MAは、見込み顧客(リード)の獲得から育成、選別までを主戦場とし、個々の顧客の行動や属性に合わせたコミュニケーションを自動化・最適化します。CRMに蓄積された顧客データを活用し、AIによる分析や予測を取り入れることで、より深い顧客理解に基づいたエンゲージメントを実現し、質の高いリードを営業部門へ送客することが主な目的です。

SFA:営業活動の生産性向上と成果の最大化

SFAは、主に営業担当者の活動を支援し、商談の進捗管理、行動管理、予実管理などを効率化します。MAから引き継がれたリード情報や、CRMで一元管理された顧客情報を基に、営業プロセスを可視化し、データに基づいた戦略的な営業活動を展開することを目的としています。

AIを活用することで、成約確度の高い案件の予測や、次に取るべき最適な営業アクションの提案なども可能になります。

CRM:顧客情報の一元管理と、顧客中心主義経営の実現基盤

CRMは、これらMAやSFAを含む、あらゆる顧客接点で得られる情報を集約・統合し、顧客に関する信頼できる唯一の情報源を構築するシステムです。単なる顧客情報管理に留まらず、顧客とのあらゆるやり取りを一元的に把握し、分析することで、顧客理解を深め、長期的な関係構築を支援します。

MAやSFAは、このCRMに蓄積されたデータを最大限に活用することで、その効果を発揮します。さらに、カスタマーサービス部門とも連携し、企業全体として一貫した質の高い顧客体験を提供するための基盤となります。

マーケティングオートメーション(MA)のメリット

マーケティングオートメーション(MA)の導入は、単なる業務効率化に留まらず、ビジネス成長を加速させるための多様なメリットをもたらします。特にCRMシステムと連携し、AIなどの先進技術を活用することで、その効果は飛躍的に高まります。

1. パーソナライズされた顧客体験によるエンゲージメント向上

顧客一人ひとりの興味や行動履歴に基づいた最適な情報提供やアプローチを自動化することで、顧客の関心を高め、深い関係性を構築します。ウェルカムキャンペーンの自動展開や、AIによるネクストベストオファーの提示などが、エンゲージメントと顧客維持率の向上に貢献します。

2. リードナーチャリングの高度化と効率化

見込み顧客の行動をきめ細かく追跡・分析し、スコアリングすることで、購買意欲の高いリードを効率的に育成します。反復的なタスクを自動化することで、マーケターはより戦略的なシナリオ設計やコンテンツ作成に注力できます。

3. マーケティングと営業のシームレスな連携と生産性向上

CRMを介してマーケティング部門と営業部門が顧客情報をリアルタイムで共有することで、リードの受け渡しから商談化までのプロセスがスムーズになります。営業担当者は、確度の高い、十分に情報が付与されたリードに対して集中的にアプローチできるため、商談の質と成約率が向上します。

4. データドリブンな意思決定とROIの最大化

キャンペーンの効果測定や顧客行動の分析レポートにより、マーケティング施策の成果を可視化し、データに基づいた改善活動を促進します。これにより、マーケティング投資の無駄を削減し、ROI(投資対効果)を最大化できます。

5. 属人化の解消と組織全体のスキルアップ

個々の担当者が抱えていたノウハウや顧客情報をシステムに集約・共有することで、業務の属人化を防ぎ、組織全体のマーケティングおよび営業能力の底上げに繋がります。

6. 従業員満足度の向上

時間のかかる反復作業から解放されることで、マーケティング担当者や営業担当者は、より創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになり、仕事への満足度向上にも寄与します。

7. 中小企業(SMB)における競争力強化

拡張性の高いMAソリューションは、中小企業においても導入しやすく、大企業と同等のデータ活用やパーソナライゼーションを実現することで、市場における競争力を高めることができます。

マーケティングオートメーション(MA)を選ぶときのポイント

マーケティングオートメーションを導入する際には、導入目的を明確にした後、次のようなポイントをもとに比較検討を行いましょう。

1. 自社のビジネス戦略と顧客戦略との整合性

BtoBかBtoCかといったビジネスモデルだけでなく、自社が目指す顧客体験や、中長期的な顧客戦略とMAツールが提供する思想や機能が合致しているかを確認します。単に機能を比較するのではなく、自社のゴール達成にどう貢献してくれるかという視点が重要です。

2. CRM/SFAとの連携・統合性

MAツールが既存または導入予定のCRM/SFAシステムとシームレスに連携し、顧客データを一元的に活用できるかは最も重要なポイントの一つです。データのサイロ化を防ぎ、マーケティング、営業、サービス部門が同じ顧客情報を基に活動できるプラットフォームとしての機能性を確認しましょう。理想は、MA、SFA、CRMが同一プラットフォーム上で提供されていることです。

3. AI機能の搭載と活用度

AIを活用した顧客分析、リードスコアリングの高度化、パーソナライズされたコンテンツ推奨、ネクストベストアクションの提案など、AIが実務レベルでどれだけマーケティング活動を強化してくれるかを見極めます。将来的な拡張性も含め、AIのロードマップも確認しましょう。

4. 操作性とカスタマイズの柔軟性

日常的に利用するマーケティング担当者が直感的に操作でき、かつ自社の独自のプロセスやニーズに合わせてシナリオ設計やレポート作成などを柔軟にカスタマイズできるかを確認します。無料トライアルやデモンストレーションを活用し、実際の使用感を確かめることが推奨されます。

5. 拡張性と将来性

企業の成長や市場の変化に合わせて、機能を追加したり、処理能力をスケールアップしたりできるかを確認します。新しいテクノロジーやマーケティング手法への対応状況など、プラットフォームとしての将来性も見据えましょう。

6. サポート体制とコミュニティ

導入時の支援はもちろん、運用開始後の技術サポート、活用ノウハウの提供、ユーザーコミュニティの活発さなども重要な選定基準です。特に、自社と同様の課題を抱える企業の成功事例や、専門家からのアドバイスが得られる環境があるかは、MA活用の成否を左右します。

7. コストと投資対効果(ROI)

初期費用や月額料金だけでなく、導入・運用にかかる人的コスト、そしてMA導入によって期待される具体的なROI(リード獲得数の増加、商談化率の向上、顧客単価の上昇など)を総合的に評価します。単に安価なツールを選ぶのではなく、ビジネスの成長にどれだけ貢献できるかという視点での費用対効果を重視しましょう。
 
 
 
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BtoBとBtoCにおけるマーケティングオートメーション(MA)の活用事例

BtoBとBtoCそれぞれのMA活用事例を紹介します。現在、自社が抱えている課題や問題と照らし合わせ、ぜひ参考にしてください。

B2C事例 お客様の一生モノの買い物 “住宅” の購入タイミングを見逃さない仕組みへ

 
会社名:殖産ベスト株式会社
事業内容:不動産

東京、吉祥寺に本店を置く不動産会社の殖産ベスト株式会社では、MAツールのAccount Engagement(旧 Pardot)SFAツールSales Cloudを同時に導入し、営業担当者1人あたりの売上を業界平均の1.6倍まで引き上げることに成功しています。

両ツールはDX化の中心施策として、2017年6月から導入されました。まず、従業員が個人管理していた情報が一元化され、全店舗の情報をリアルタイムで把握することが可能になりました。さらに、物件データの登録もツールを活用し、事務作業は大幅に減少。結果、残業はほぼゼロになり、営業担当者1人あたりの売上平均は約4,000万円と、業界平均の1.6倍まで増加しました。

さらにSales Cloudに蓄積されたデータをAccount Engagement(旧Pardot)で活用し、顧客のフィルタリングやナーチャリングを実施。週に5パターンのメールマガジンを発行し、顧客によってアプローチを変えました。これにより、メール経由の売上貢献額は約1,000万円から4年で約7,500万円まで増加しています。

B2C事例 MA導入で未フォロー客への手厚いフォローを実現

 
会社名:トヨタホーム株式会社
事業内容:住宅販売

住宅メーカーであるトヨタホーム株式会社では、MAツールのMarketing Cloudと自社開発CRMを組み合わせることで、パートナーであるディーラーの顧客をフォローアップするプロセスを実現しました。

同社は元々DX化に取り組んでいて、2020年にはWebサイトをリニューアル。Webサイトから獲得した顧客情報を担当ディーラーに自動で振り分け、各ディーラーが対応する仕組みをとっていました。このプロセスの中で顧客との関係を管理するためにCRMが必要になり、自社でCRMを開発。メーカーとディーラー両方の意見を取り入れたことで、納得感の高いツールに仕上がりました。

しかし、CRMにはMA機能が搭載されておらず、これを補うためにMarketing Cloudを導入。CRMに蓄積された顧客情報をベースに「未フォロー顧客をなくす」という目的を掲げ、リードナーチャリングに取り組みました。その結果、キャンペーンに申し込んだ顧客に対するメールは開封率40%以上、リンククリック率5%以上を実現するに至りました。

B2C事例 顧客ごとに最適化した情報発信で体験価値を向上

 
会社名:株式会社オンワードパーソナルスタイル
事業内容:衣料品の企画・製造・販売

オーダーメイドブランドを展開する株式会社オンワードパーソナルスタイルは、Salesforceを活用した「顧客カルテ」を導入し、次につながる体験価値の提供に成功しています。

採寸データや購入履歴などの基本的な情報のみならず、接客を通じて取得した各顧客の特性や嗜好など、顧客に関するあらゆるデータをService Cloudに一元化・可視化しました。来店のきっかけやスーツの着用用途、好みの色などのアンケートデータもひと目で把握できるため、担当スタッフでなくても、顧客の購買傾向や嗜好を踏まえた的確な商品を提案できます。

さらに、購入後の顧客体験価値の向上を目指し、Marketing Cloudも活用しています。顧客の属性や購入回数、購入金額などでセグメンテーションし、シナリオを組んでメールを出し分けられ、顧客ごとに最適化した情報発信が可能になりました。

B2C事例 配信ごとの反応の違いを解析して開封率がアップ

 
会社名:日本航空株式会社
事業内容:航空事業・地域事業・マイレージ事業

日本航空株式会社では、顧客とのメールによるコミュニケーションを改革するためにMarketing Cloudを導入しています。

以前は社内の複数の部署がそれぞれのリストからメールを送っていたため、1日で同じ顧客に複数のメールが届くこともありました。現状の改善のため、Marketing Cloudですべての顧客情報を統合し、より多く読まれた好感度の高いメールを制作した部署が配信頻度を高められるように改革しました。

結果、メールのコンテンツを読者の興味に適合させたものに改善すること、ターゲットを絞り込んで開封率を高める取り組みを活性化させることに成功したのです。

Web販売部では開封率がメールの開封率が4~5%アップし、クリック率も0.1~0.2%向上しました。

B2B事例 生産性が2倍向上し見込み客・問い合わせが10倍

 
会社名:株式会社マーケティングデザイン
事業内容:広告代理店

株式会社マーケティングデザインは、営業に関する個人の知識やノウハウなどの ナレッジマネジメントが目的でSales Cloudを導入しました。

バラバラに管理されていた顧客情報や行動履歴など、営業に関する全データをSales Cloudに入力。その結果、適切な行動管理にもとづく営業活動が可能になり、社員1人当たりの生産性が2倍に向上しました。また、新人でもSales Cloud内の過去の成果物などを見て短期間で営業ノウハウを学べるようになり、研修期間が従来の6分の1に短縮されました。

さらに、見込み客の育成のためにAccount Engagement(旧 Pardot)を導入し、マーケティングの自動化と効率化を進めています。

  • 見込み客ごとにカスタマイズしたメールの配信
  • Web上での見込み客の動向のリアルタイムな把握
  • 上記にもとづく最適なタイミングでの営業活動

結果、見込み客の数は一気に10倍以上に増加。問い合わせを受けて顧客を訪問した件数も、年間20件程度から、2016年に185件、2017年には214件と10倍以上に跳ね上がりました。

B2B事例 ナーチャリングの強化でウェブ集客数は3.3倍、商談数は4.4倍に

 
会社名:株式会社atsumel
事業内容:ウェブマーケティング、集客コンサルティング、インターネットメディア事業

株式会社atsumelはもともとお客様情報や商談情報を店舗ごとに紙やExcelで管理していました。フォーマットや更新頻度がまちまちなため正確性・即時性に欠け、グループ全体の経営状況が不透明でしたが、そうした状況を改善すべく導入したのがSales Cloudです。Sales Cloudの導入により、顧客・商談・物件・売上など、経営判断に必要な情報をリアルタイムで精緻に把握できるようになりました。

また、予算の主な投下先を従来のチラシや雑誌広告からWeb広告に切り替えると同時にAccount Engagement(旧 Pardot)も導入。Web広告に関する問い合わせがあれば、まずインサイドセールスがその情報をSales Cloudに入力します。次に、Account Engagementで見込み客のWeb上での行動を追跡して興味関心を把握します。効果の高いコンテンツ配信のシナリオに沿ってアプローチし、アポ取得までこぎつけました。

結果、Web広告への移行による投資の最適化によって、2014年に月間1,560万円だった宣伝広告費は、2017年にはその51%の800万円まで削減。にもかかわらず、Web経由の集客数は、同年比で348件から1,178件と3.3倍に急増しました。さらに、商談数が同年比で129件から573件と4.4倍に跳ね上がりました。

マーケティングオートメーション(MA)を活用して業務を効率化しよう

マーケティングオートメーション(MA)は、さまざまな機能を備える、高いポテンシャルを秘めたツールです。単体での運用はもちろん、SFAやCRMと連携することで、顧客獲得やLTV(顧客生涯価値)向上などをより効果的に実現できるでしょう。

そのためにも、MAを始めとしたデジタルツールを理解し、知識とノウハウを蓄積することが重要です。MAに何ができるか、何ができないのかをきちんと理解し、マーケティング戦略、営業戦略に役立ててください。

なお、SalesforceのMA「Marketing Cloud」は、リアルタイムで一人ひとりに合わせた顧客体験の提供を可能にします。

顧客のあらゆるデータを統合し、AIが最適なマーケティング戦略を提案します。下記からデモ動画の視聴ができますので、マーケティングを効率的に実施したい方はぜひご覧ください。

 
 
 
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顧客のあらゆるデータをリアルタイムに統合し、お客様一人ひとりにパーソナライズした体験を提供する方法、PDCAを高速で回すための分析やマーケティングオートメーション(MA)について解説します。
 

監修者

 
 

カルデラ 久美子

株式会社セールスフォース・ジャパン 常務執行役員
マーケティング統括本部 デマンドジェネレーション本部 本部長

経歴:

BtoB領域におけるマーケティング戦略立案・実行を主とし、製造、半導体、IT、化学などさまざまな業種の大手外資系企業のマネジメントに従事した後、2017年Salesforce入社。大手から中小企業、業種別アプローチなどあらゆるキャンペーンモデル生成と販売パイプラインの醸成をミッションとしたセグメントキャンペーン、コーポレートイベント、デジタルマーケティング、マーケティングオペレーション&アナリティクスチームを牽引。

Salesforceのベストプラクティス“The Model”を体現し、営業、マーケティング面での組織体系化による顧客発掘のKPIを担う責任者。

 

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