【成功事例あり】セグメンテーションとは?やり方やターゲティングとの違いを解説

 
最終更新日:2025.6.3

セグメンテーションとは、市場や顧客を様々な共通項で細分化し、グループ分けするマーケティング戦略の基盤です。これにより、顧客一人ひとりのニーズや属性、さらには行動や関心度を深く理解し、顧客中心の視点からパーソナライズされた体験を提供することが可能になります。

効果的なマーケティング戦略を構築し、顧客との良好な関係を築くためには、このセグメンテーションの活用が不可欠です。

本記事では、セグメンテーションの基本的な意味や重要性、具体的な分類方法、そしてCRM(顧客関係管理)システムやMA(マーケティングオートメーション)ツールを活用した実践的な活用法までをわかりやすく解説します。

セグメンテーションを戦略的に活用し、マーケティング活動の効率化と成果の最大化を目指しましょう。

 
 
 
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セグメンテーションとは?簡単に解説

マーケティングにおけるセグメンテーションは、日本語で「市場細分化」という意味を持ち、市場を顧客ニーズ・属性にもとづいて細分化し、グループ分けする手法を指します。

セグメンテーションにより、特定の消費者の特性やニーズが明確になり、商品・サービスの考案や販路の検討、マーケティング戦略の策定などに用いられます。

適切なセグメンテーションは、マーケティング戦略の土台作りや、顧客エンゲージメントを高めるために必要不可欠です。

自社の商品やサービスを売り込むために「どの消費者層に向けて、どのようなアプローチをすればよいか」を、明確化するプロセスがセグメンテーションなのです。

セグメンテーションがマーケティングにおいて重要な理由

現在のマーケティングにおいて、セグメンテーションが重要視されるおもな理由は以下の3点です。

  • 多様化する消費者ニーズに対応するため
  • ITなどのテクノロジーの進化に対応するため
  • 利益を最大化させるため

消費者のニーズは日々多様化し、購買方法や行動パターンが変化していく中で、より消費者の理解を促すセグメンテーションが重要視されています。

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多様化する消費者ニーズに対応するため

消費者のニーズが多様化してきており、マーケティングにおいては、特定の市場(セグメント)に絞り込んだアプローチが求められています。

一つひとつの消費者ニーズに対応していくのは困難な上に、これまでの一律的なマスマーケティング手法の効果も薄れつつあります。

そのため、セグメンテーションで特定の市場を選定することで、消費者の趣味嗜好を深く理解し、個々のニーズを満たすようなアプローチができるのです。

ITなどのテクノロジーの進化とデータ活用の深化に対応するため

AIやIT技術の進化により、顧客はより多くの情報を容易に入手できるようになり、その購買行動はますます賢明かつ具体的になっています。このような変化に対応するため、企業には顧客データを効果的に収集・分析し、顧客一人ひとりの属性や行動パターンを深く理解することが求められます。

特にオンラインでの接点が中心となる現代では、顧客の顔が見えにくい状況だからこそ、CRMやMAといったデジタルツールを活用して顧客データを一元管理し、それに基づいて精緻なセグメンテーションを行うことで、初めて顧客像を明確に描き出し、一人ひとりに響く効果的なアプローチを計画できるのです。これにより、パーソナライズされたコミュニケーションが実現可能となります。

利益を最大化させるため

市場を細分化し、各セグメントに最適化されたマーケティングを行うことで、限られたリソースを効率的に活用して利益を最大化できます。

特定のセグメントにターゲットを絞ってそのセグメントに関連性の高い広告のみを打ち出せば、無駄な広告費用を削減しつつ、高いROI(投資利益率)が見込めます。

たとえば、健康食品の販売を計画する際に、50代男性をターゲットにしたケースです。あらかじめ自社サイトの訪問履歴や過去の購入履歴などを収集しておけば、健康に対する意識が高い50代男性に絞り込めるため、そのユーザーにだけ広告を配信できます。

最終的には、顧客が求めている製品やサービスの成約に結びつき、満足度の向上にもつながるでしょう。

セグメンテーションによる「選択」と「集中」によって、最小限の予算で利益を出せるマーケティング戦略が導き出せます。

セグメンテーションとSTP分析の関係性

セグメンテーションは、ターゲティングやポジショニングと一連で用いられることが一般的で、これら3つを用いる分析を「STP分析」と呼びます。

セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの役割は以下のとおりです。

  • S(Segmentation):市場を細分化する
  • T(Targeting):狙う市場を決める
  • P(Positioning):自社の立ち位置を決める

STP分析の目的は、市場全体をより理解し、自社の製品やサービスを「もっとも効果的に売り込む戦略」を策定することです。

セグメンテーションを活用して市場を細分化し、ターゲティングで狙うべき顧客層を明確化、そしてポジショニングによって競合他社との差別化が可能となります。

セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングは、いずれもマーケティング分析の基盤です。施策の成果を大きく左右する部分なので、以下の記事で基本を学んでおきましょう。

セグメンテーションとターゲティングの違い

ターゲティングとは、セグメントの中から自社製品・サービスにふさわしい市場を決めることを指します。STP分析のセグメンテーションに続く工程であり、ターゲティングでは以下の3種類の手法がよく使われています。
 
種類 手法
集中型マーケティング 市場の一部のセグメントにリソースを集中して、そのセグメントに特化したマーケティングを展開する手法
差別型マーケティング 複数の異なるセグメントに対して、それぞれにカスタマイズされたマーケティングを展開する手法
非差別型マーケティング 市場全体を対象として同じマーケティング戦略を行い、すべての顧客層にアプローチする手法

セグメンテーションとターゲティングの違い

ポジショニングとは、ターゲットとなる市場の中で、競合と比較しながら「自社はどのような立ち位置を狙うか」を決めることを指します。STP分析における最後の工程であり、ポジショニングで自社の立ち位置を明らかにするために、セグメンテーションやターゲティングを行うともいえます。

ポジショニングでは、自社製品・サービスが「どのような価値を提供するか」を顧客に明確に伝え、顧客の心に響くような位置づけの構築が重要です。

セグメンテーション変数|分類例を紹介

セグメンテーションは「変数」と呼ばれる細分化の基準を決めて行います。

変数を定義することで、セグメンテーションの根拠を明確化し、建設的なマーケティング戦略を策定できます。

セグメンテーションで用いる代表的な変数は以下のとおりです。

  • 地理的変数(ジオグラフィック変数)
  • 人口動態変数(デモグラフィック変数)
  • 心理的変数(サイコグラフィック変数)
  • 行動変数(ビヘイビアル)

ここではそれぞれの変数の概要について解説します。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的変数とは、地理的な違いを基準とした分類です。

市場の地域ごとの特性や消費傾向を把握し、地域特有のニーズに対応したマーケティング戦略の立案に役立ちます。

地理的変数の具体例は、以下が挙げられます。

 
変数 概要 具体例
アメリカ、ドイツ、日本 など 日本の消費者は、商品の品質や機能性を重視する傾向がある
日本の地域 東京、大阪、福岡 など 大阪の消費者は、商品価格に敏感な傾向がある
都市の規模 ・都市部からの距離(都市、郊外)
・モノやサービスの充実度
人口が多い都市では多様なニーズがあり、最新トレンドへの反応も早い
気候・地形 ・地域の気温や天気
・平地や山間地などの自然環境
寒冷な地域では、防寒具や暖房器具の需要が高い
地理的変数は、おもに衣服や住宅、食料品など、気候・生活習慣が購買に影響を与えやすい製品に採用されます。商品の販路を考えるときはもちろん、新規出店時や既存店舗の販路拡大にも活用できます。

人口動態変数(デモグラフィック変数)

人口動態変数とは、個人の置かれている状況を表す変数です。消費者の属性にもとづいたマーケティング戦略策定に有効で、代表的な分類には以下があります。
 
変数 概要 具体例
年齢 20代、30代、50代 など 若年層は、最新のデジタル技術を用いた製品に興味を持っている
性別 男性、女性 など 女性は美容への関心が高く、スキンケア製品の需要が高い
家族構成 ・家族の人数
・世帯の形態
子育て世代は、子ども向け製品や学習教材に興味を持っている
収入 年収300万円、500万円 など 高収入層は、高いブランド志向を持ち、高級な衣料品を好んで着用している
職業 ・事務、技術者、医師などの職業
・正社員、パートなどの雇用形態
エンジニアは、パソコン関連製品や技術書籍への関心度が高い
企業属性(BtoB) 企業の業種、規模(従業員数、売上高)、所在地、設立年数、上場区分など 製造業で従業員数500名以上、首都圏に本社があるIT企業、スタートアップ企業、非営利団体 など
役職・部門(BtoB) 担当者の役職(決裁権の有無など)、所属部門、職務内容など マーケティング部門のマネージャー、営業部門の担当役員、人事部の採用担当者、情報システム部門の責任者 など

人口動態変数には、その人が自然的に保有している属性と、その人の社会活動によって得た属性があります。たとえば、年齢や性別は前者、家族構成や職業は後者です。

年齢と性別によって分類した上で、さらに既婚・未婚で振り分けるなど、求められるレベルに応じて組み合わせることで、詳細なセグメンテーションが可能となります。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

心理的変数とは、価値観や趣味嗜好など、感性にもとづく要素による分類です。消費者の内面的な要素を理解し、心理に訴えかけるマーケティング戦略の策定に役立ちます。

代表的な例には以下があります。

 
変数 概要 具体例
性格 外向的、内向的、社交的 など 神経質な人は、ストレスや不安に敏感で、安心感を求める傾向がある
価値観・ライフスタイル ・社会貢献に関心がある
・自己成長に意欲がある など
自己成長を重視する人は、自己啓発書やセミナーに関心がある
趣味・興味 スポーツ、音楽、芸術 など 音楽ジャンルの好みに応じたイベント情報を提供する
消費動機 自己表現、利便性、安全 など 利便性を求めている人は、時間や労力を節約するための商品・サービスに関心がある

心理的変数は、個々の差が大きい要素であるため、他の変数と併用することで、多角的な切り口の発見が期待できます。地域や年齢、性別など、母集団が大きいほど、多くの切り口を見つけられるでしょう。

また、すでに成熟した顧客層に、新鮮味のある提案をしたいときにも活用できます。

行動変数(ビヘイビアル)

行動変数とは、顧客の製品・サービスに対する行動や反応、関与の度合いなど、実際の行動パターンに基づいて分類する手法です。顧客が「何をしたか」「どのように行動したか」に着目することで、より顧客の意図やニーズに即したアプローチが可能になります。

特にデジタルマーケティングにおいては、CRMやMAツールを通じてこれらの行動データを詳細に捉え、リアルタイムに近い形でのセグメンテーションに活用できます。

代表的な分類には以下があります。

 
変数 概要 具体例
Webサイト・アプリ行動 Webサイトへの訪問頻度、閲覧ページ、滞在時間、クリック箇所、コンテンツのダウンロード履歴、フォーム送信履歴など。 特定の製品ページを頻繁に閲覧、料金ページで離脱、導入事例ホワイトペーパーをダウンロード、ウェビナー申し込みなど。
メール・コミュニケーション行動 メールの開封率・クリック率、特定CTAへの反応、問い合わせ履歴、チャットボットの利用履歴など。 製品Aに関するメールは常に開封・クリックするが製品Bには無反応、特定のキャンペーンメールから問い合わせがあったなど。
購買・利用履歴 製品やサービスの購買履歴(初回購入、リピート購入)、利用頻度、平均購入単価、特定カテゴリへの関心、契約状況(アクティブ、休眠、解約)など。 過去1年間の特定サービスの利用実績、高価格帯商品の購入経験、サブスクリプションの継続期間、最近購買のない休眠顧客など。
商談状況・エンゲージメント (BtoB) リードの温度感(ホット、ウォーム、コールド)、リードスコア、商談の進捗ステージ、営業担当者との最終接触日、デモの実施有無、提案書の開封状況など。 リードスコアが高く「ホットリード」と判定された見込み客、現在見積もり提示段階の顧客、過去に商談したが失注した顧客、長期間フォローアップできていないリードなど。
ブランドロイヤルティ 製品・サービスへの忠誠度、推奨度など。 特定の製品・サービスを継続的に購入し続けている、NPS(ネットプロモータースコア)が高い顧客、好意的なレビューを投稿する顧客など。
利用シーンや場面 製品・サービスが利用される具体的な状況や目的。 オフィス、家庭、出張時、特定業務向けなど。

これらの行動変数を活用することで、顧客の関心度や購買意欲の高さに応じた、きめ細やかなアプローチが可能になります。

例えば、特定の製品ページを何度も訪れている(Webサイト行動)がまだ購入に至っていない顧客には、関連情報や限定オファーをメールで提供したり(メール・コミュニケーション行動)、リードスコアが高い見込み客(商談状況・エンゲージメント)には営業担当者から積極的にアプローチしたりするといった施策が考えられます。

行動変数は、顧客と自社の関係性をダイナミックに捉え、一人ひとりに最適化されたコミュニケーションを通じて顧客育成(リードナーチャリング)を促進し、最終的には営業チームへ質の高いリードを引き渡す精度を向上させる上で非常に重要です。

セグメンテーションの「4Rの原則」とは

セグメンテーションの「4Rの原則」とは、効果的に市場細分化を実施するための基準項目であり、セグメントの有効性を見通すのに役立ちます。

  • 優先順位(Rank)
  • 有効性(Realistic)
  • 到達可能性(Reach)
  • 測定可能性(Response)

4Rの原則は、4つすべてを評価し総合的に判断することが求められます。

セグメンテーションの効果を最大限に発揮するためにも「4つのRを満たしているか」を必ず確認しましょう。以下より、それぞれ詳しく解説します。

優先順位(Rank)

優先順位とは、経営戦略をもとに、各セグメントの重要度を設定することです。市場規模や競合状況、企業の強み・弱みなどを考慮し、優先的に取り組むべきセグメントを決定します。

具体的には、以下のような指標が用いられます。

  • 市場シェア
  • 自社の成長率
  • 競合他社との差別化の程度
  • 企業の技術力・ブランド力

有効性(Realistic)

有効性とは、各セグメントにおける「期待できる利益の規模」のことです。市場の需要や競合状況、企業のコスト構造を考慮し、選定したセグメントでの収益性を維持できるかを確認します。

有効性を検討する具体的な指標としては、以下が挙げられます。

  • 市場規模
  • 顧客単価
  • 競合企業との価格競争力
  • 利益率

到達可能性(Reach)

到達可能性とは、各セグメントにリーチできる可能性のことです。自社のリソースや能力を考慮し、選定したセグメントに対して「十分なサービス提供や効果的なマーケティング活動が可能か」を評価します。

具体的な判断指標としては、以下が挙げられます。

  • 自社製品・サービスの種類や品質
  • 販売チャネルの充実度
  • 販促活動
  • 広告戦略の効果

測定可能性(Response)

測定可能性とは、各セグメントにおける購買力や反応を「測定・分析できるかどうか」の可能性のことです。データ収集や分析の方法を検討し、選定したセグメントにおけるマーケティング活動の効果を測定・評価できるかを確認します。

まずは過去のデータや参考文献をもとに検討しますが、必要に応じて実験的なデータ収集や分析が求められます。

具体的には、各セグメントに対する以下の収集・分析が有効です。

  • 売上データ
  • 顧客満足度
  • WebサイトやSNSのアクセスデータ

CRM・MAを活用し、セグメンテーションの効果を最大化するためのアプローチ

セグメンテーションによって顧客グループを明確にしたら、次はそのセグメントに対して最適なアプローチを実行する段階です。

ここで大きな力を発揮するのが、CRM(顧客関係管理)システムとMA(マーケティングオートメーション)ツールです。これらのツールを活用することで、セグメンテーションは真の価値を発揮し、顧客中心のマーケティング戦略を実現します。

なぜCRM・MAがセグメンテーション活用に不可欠なのか?

CRMとMAを連携させることで、以下のような高度なセグメンテーションと、それに基づくパーソナライズされた施策展開が可能になります。

顧客データの一元管理と360度ビューの実現

顧客の属性情報、行動履歴(Webサイト閲覧、メール開封、資料ダウンロード、購買履歴など)、商談状況といったあらゆるデータがCRMに集約・一元管理されます。これにより、顧客一人ひとりを多角的に理解する「顧客360度ビュー」が実現し、より精度の高いセグメンテーションの基盤となります。データが統合されることで、部門間の認識のズレを防ぎ、全社で一貫した顧客対応が可能になります。

動的なセグメンテーションとリアルタイムなアプローチ

MAツールは、CRMに蓄積されたデータに基づき、顧客の行動や関心度の変化をリアルタイムに捉え、動的にセグメントを更新します。例えば、「特定の製品ページを3回以上閲覧した」「価格に関する問い合わせをした」といった行動をトリガーに、自動的にその顧客を「ホットリード」セグメントに追加し、適切なフォローアップを促すことができます。

パーソナライズされたコミュニケーションの自動化と効率化

各セグメントに対して最適化されたメッセージやコンテンツを、適切なタイミングで自動配信できます。

 
メールマーケティング 顧客の興味関心や検討段階に合わせたステップメールの配信、特定セグメント向けのニュースレターなど
コンテンツマーケティング 特定の課題を持つセグメントに対し、解決策となるブログ記事や導入事例、ホワイトペーパーをMA経由で効果的に提示
Webパーソナライゼーション Webサイト訪問時に、セグメントに応じて表示コンテンツやCTAを最適化し、より高いエンゲージメントを促進
広告配信の最適化 特定セグメントに対して、リスティング広告やSNS広告のメッセージやターゲティング精度を向上

リード育成(ナーチャリング)と質の高い営業連携の強化

MAを活用することで、見込み客の関心度を段階的に高めるリード育成プロセスを効率的に実行できます。

リードスコアリング機能により、有望なリード(ホットリード)を客観的基準で自動的に特定し、営業チームへスムーズに引き渡すことで、営業活動の精度と効率を大幅に向上させます。

これにより、マーケティング部門と営業部門の連携が強化され(SFA連携)、顧客への一貫したアプローチとより良い意思決定が可能になります。

既存顧客へのエンゲージメント深化とLTV最大化

CRMの購買履歴や利用状況データに基づき、既存顧客をセグメンテーションすることで、アップセルやクロスセルの機会を的確に捉えたり、ロイヤルティ向上のための特別なプログラムを提供したりすることが可能です。これにより、顧客満足度を高め、顧客生涯価値(LTV)の最大化に貢献します。

このように、CRMとMAを組み合わせることで、セグメンテーションは単なる分類に留まらず、顧客との継続的な関係構築とビジネス成果の最大化を実現するための強力な推進力となります。データに基づいたきめ細やかなセグメンテーションは、顧客の期待に応えるパーソナライズされた体験の提供に不可欠なのです。

 
 
 
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セグメンテーションを活用した企業の成功事例

ここからは、セグメンテーションを活用して課題解決に取り組んだ「BtoB企業」の事例を3社紹介します。

  • アンドパッド
  • カラダノート
  • 三菱地所

セグメンテーションによって、施策や組織の土台がどう作られるのかに注目して読んでみてください。

【BtoB】アンドパッド|建設業界のさまざまなユースケースをセグメント

会社名:株式会社アンドパッド
業種​:建設業

施工管理アプリ「ANDPAD」を開発・提供している株式会社アンドパッドは、セグメンテーションを活用し建設会社のニーズを細分化しました。

  • 現場管理に困っている会社
  • デジタルツールの導入に柔軟な会社
  • 課題解決に向けた意識の高い会社

さまざまな業界でDX化が進んでいる中、建設業界ではテクノロジーの進化への対応に遅れをとっており、同社はその課題に着目しています。

ANDPADは、現場管理や情報共有、資材の受発注など、建設業のあらゆる業務を一元管理できるツールです。作業の進捗管理や施工写真の整理など、建設会社が抱える課題に対し、ANDPADは一つひとつの課題に向き合って解決策を提供しています。

建設業の生産性向上に大きく貢献している点から、多くの企業がANDPADを導入しています。

参考元:株式会社アンドパッド

【BtoB】カラダノート|きめ細かいセグメントの抽出とメール配信

 
会社名:株式会社カラダノート
業種​:情報・通信業

健康関連のアプリを開発・提供している株式会社カラダノートでは、会員と長期的に伴走できるビジネスを実現させるため、きめ細かいセグメント抽出に取り組んでいます。

同社では、会員への情報提供は行っていたものの、1種類のメール配信に留まっていたため、関係を深めるところにまでは至っていませんでした。そこで、各会員のカスタマージャーニーを作り上げる目的から、MAとCRMを導入・活用し、会員情報にもとづくメールシナリオを作成しています。

メール配信時は、多様な会員属性を組み合わせてセグメンテーションを行ったことで、会員の悩みをタイムリーに解決できるようになりました。

このような取り組みで、メール配信の担当者を減らしながら、1年の上半期だけで約200種類のメール配信を行っています。

【BtoB】三菱地所|顧客セグメント別にコンサルティング営業を強化

 

B2B専業不動産サービス事業を担う三菱地所リアルエステートサービスでは、担当者ベースの営業体制から組織営業体制へ切り替えると同時に、セグメントテーションを活用した組織再編を実施しました。

同社が営業体制の変革に取り組んだ目的は、先進的なデジタル環境の導入と、サービスの質やスピード向上を図ることです。

そこで、まずは組織を顧客セグメント別に再編し、それをきっかけとしてSFAとCRMを導入しています。

SFA・CRMで顧客情報の共有に取り組んだことで、クロスセルやアップセルにつながり、顧客満足度の向上にも寄与しています。

さらに、2019年にはデジタル戦略部を立ち上げ、SFAとCRMをSales Cloudへ変更しました。

集客から物件の管理まで一貫した管理が可能となり、取り扱い物件数は1.5倍に増加、さらにWeb経由での商談獲得数も倍増し、効率化に成功しました。

続いては、セグメンテーションを活用している「BtoC企業」の事例を3社紹介します。

  • メルカリ
  • ユニクロ
  • プレジデント社

各事例を通して、セグメンテーションで「どのような課題が解決できたのか」を把握し、自社での取り組みの参考にしてみてください。

【BtoC】メルカリ|出品者や商品への共感を取り入れたフリマサイト

会社名:株式会社メルカリ
業種​: 情報・通信業

フリマアプリの「メルカリ」は、出品者やその人が出品する商品への「共感」を取り入れて、ユーザーのセグメンテーションを行っています。

メルカリは、オークションのような価格の安さを強調するのではなく、商品説明を通して出品者の思いも伝えられる仕組みです。セグメンテーションの心理的変数を活用し、ユーザーごとに関心度の高い商品を提案することで、新たなフリーマーケット市場を開拓しています。

また、以下のようにユーザー属性に合わせたセグメンテーションも行っています。

  • 性別・年齢層
  • 購買履歴
  • 住んでいる地域

メルカリのユーザー数は年々増加しており、日本国内のみならず海外への進出にも成功しています。

【BtoC】ユニクロ|顧客ニーズに着目した衣服市場の細分化

会社名:株式会社ファーストリテイリング
業種​: アパレルの製造・小売業

ユニクロは、機能的でシンプルなファッションアイテムを世界中に提供しており、年齢層や性別のセグメントだけではなく「着心地」という視点を取り入れています。

ユニクロのコンセプト「LifeWear」は、服を着る「喜び」や「幸せ」を伝えていくという考え方を軸にしています。日常的に着用する衣類は、直接肌に触れることが多いため、着心地のよさは誰しもが求めるニーズです。

  • 一日中着ていてもストレスを感じない服
  • 汗をかいてもすぐに乾く通気性のいい服

このような着心地に関するセグメントを加えたことで、性別や世代に左右されにくい商品が提供できています。

【BtoC】プレジデント社|会員属性に基づくメルマガの⽣成・配信

 
会社名:株式会社プレジデント社
業種​:総合出版社

プレジデント社は、雑誌「プレジデント」や「dancyu」を始め、さまざまな書籍を刊行する歴史ある出版社です。

同社では、オンラインマガジン「PRESIDENT Online」の記事を、会員向けにメールでレコメンドしていましたが、手作業の多さが課題でした。その解決策として、MAツール「Marketing Cloud」によるセグメンテーションを実施しています。

まずは、全会員の閲覧・行動履歴を分析し「PRESIDENT Online」における6つのカテゴリに振り分けました。

各カテゴリの情報にもとづき、個々の嗜好に近い記事を毎朝配信します。

Marketing Cloudを組み込むことで、分析・振り分け・配信の自動化に成功し、その結果「メール開封率の5〜7%増加」と「CTRの1.5〜2%増加」を達成しました。

セグメンテーションはマーケティングの基礎で効果を最大化する要素

セグメンテーションはマーケティングの基礎的な要素で、精度によって施策の確度は大きく左右されます。緻密なマーケティング施策を練るには盤石な土台が必要であり、それを担うのが明確な根拠にもとづくセグメンテーションです。

施策の確度を見通すことは、成長の促進やリスクの減少だけでなく、再現性の担保やノウハウの蓄積などにもつながります。

組織をより強くしていくためにも、適切なセグメンテーションを導き出せる体制作りが大切です。

 
 
 
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関連記事・リソース

 
ガイド
いまさら聞けない マーケティングオートメーションMA導入前に知っておくべき 5つのポイン
調査レポート
『マーケティング最新事情』レポート(第8版)
 
 

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