2024年サイバーウィーク、AIとAIエージェントが貢献した売上は600億ドル
※本記事は、2024年10月31日に米国で発表されたNew Research Shows How AI Agents Can Step In as Consumer Trust Slips、12月4日に米国で発表されたSalesforce Data Reveals New Cyber Week All-Time High: $314.9B in Global Salesを元に、日本向けに内容を加筆・再編集したものです。
株式会社セールスフォース・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼社長 小出 伸一)は本日、「AIコネクテッドカスタマーの最新事情」(英語)の日本における調査結果と今年のサイバーウィークの全世界における消費傾向について発表しました。
「AIコネクテッドカスタマーの最新事情」の調査によると、企業に対する顧客の信頼は過去最低を記録しており、AIが企業にとっての重要性をさらに高めていることが明らかになりました。現在、顧客の47%がAI技術の進化により、企業の信頼がより重要になると考えています。また、AIエージェントの活用が進む中、信頼できるAIエージェントを活用することで、企業がこのホリデーシーズンに顧客の信頼を取り戻す大きなチャンスがあることを示しています。この傾向は特にZ世代(1990年代中盤以降に生まれた世代)において顕著であり、Z世代の消費者の33%がAIエージェントに買い物を代行してもらうことに抵抗がないと答えており、全世界のデータ(Z世代のほぼ3分の1)と比較しても大差ない結果となっています。
重要な理由:顧客の信頼が低下する中、競争の厳しいホリデー商戦で成功を収めるためにも、企業はAIを正しく活用していく必要があります。AIエージェント、つまり人の介入なしに消費者の問い合わせを理解し、応答する知的ソフトウェアは、卓越した顧客サービスを提供することで企業の利益率を向上させ、消費者の購買意欲を維持するのに役立ちます。手間のかかる購入体験の改善から煩雑な返品手続きへの対応まで、適切なAIエージェントが解決策を提供します。しかし、信頼できる顧客関係を構築するためには、透明性があり、適切なデータに基づいた信頼性の高いAIエージェントが求められます。
注目ポイント:本調査では、日本市場に関する以下の主要な知見も明らかになりました。
信頼低下の一方で高まる消費者の期待
企業に対する信頼は過去8年間で最低水準に達しており、AI技術の進化に伴い、その信頼を獲得する重要性はこれまで以上に高まっています。
- 58%の消費者が、1年前に比べて企業への信頼が低下したと感じています
- 56%の消費者は、企業が顧客データを軽率に扱っていると感じています
また、消費者は信頼だけでなく、最高の体験を期待しています。
- 48%の消費者が、企業内の部門を超えた一貫した対応を期待しています
- 48%の消費者は、情報取得やタスク完了のためのやり取りができるだけ少ないことを望みます
消費者が新しいブランドに乗り換える主な理由は「より良い価格」である一方で、「カスタマーサービスの質」「利便性」「一貫した製品やサービスの品質」が、長期的なブランドロイヤルティを向上させます。
- 23%の消費者は、カスタマーサービスの対応が悪いと感じた場合、その企業やブランドから再購入しないと回答しています
- 29%の消費者が、返品手続きの煩雑さや購入体験の不便さなどの要因でブランドを離れると述べています
世界的には若年層がAIエージェントに対して最も前向きな一方、日本では年代による差は見られず
調査によると、世界的にはZ世代やミレニアル世代(1980年頃~1990年代中盤に生まれた世代)は、よりパーソナライズされた有用なコンテンツを作成することで顧客体験を向上させるAIエージェントの活用に前向きな姿勢を示しています。一方、日本のデータは世界全体のデータとは異なる傾向を示しています。日本では、「AIがよりパーソナライズされたコンテンツを作成することに抵抗がない」と回答した割合は、全世代で約3分の1にとどまります。また、年齢層による顕著な違いは見られませんでした。
自分たちのニーズに適応し、先回りして対応するという企業に求める基準も、年齢層による差は見られませんでした。Z世代の37%、ミレニアル世代の43%、ベビーブーマー世代(1946年〜1964年の間に生まれた世代)の35%が、「AIは顧客体験の水準を引き上げる」と回答しています。
日本では、ミレニアル世代とX世代(1960年代中盤~1980年頃に生まれた世代)が、積極的なサービスを受けるためにAIエージェントにデータを共有する意向が高い傾向にあります。一方で、Z世代は、迅速なサービスを求めてAIエージェントを利用する可能性が最も低いことが明らかになっています。
「透明性」がAIエージェント時代における消費者の信頼構築の鍵
今回の調査では、日本の多くの消費者がAIに対してまだ明確な意見を持ち合わせていないことも明らかになりました。約半数の消費者が、個人的なものであれ、仕事上のものであれ、AIが自分たちの生活に与える影響について中立的と回答しています。
実際、多くの消費者がAIの未来について、疑念(27%)と好奇心(32%)を抱いています。この状況は、企業にとって消費者にAIエージェントの利点を伝え、その価値を理解してもらうための好機といえます。
- 消費者の38%が、同じことを繰り返し説明する手間を避けるために、AIエージェントとやり取りすることを選ぶと回答しています
- 消費者の33%(ミレニアル世代では38%)が、より迅速な対応を求めてAIエージェントを利用したいと考えています
- 消費者の34%(Z世代では39%、ミレニアル世代では38%)が、自分のニーズを的確に予測してもらうために、AIエージェントに個人情報を提供することをいとわないと回答しています
AIエージェントの体験に対する信頼を構築するためには、企業が透明性を高め、信頼のギャップを埋める必要があります。
- 消費者の約44%が、自分が対話しているのがAIエージェントなのかを知りたいと考えています
- 32%の消費者は、明確なエスカレーションの手順が提示されている場合、AIエージェントを利用する可能性が高いと回答しています
- 38%の消費者は、AIエージェントのロジックが明確に説明されている場合、利用する意欲が高まると述べています
Salesforceの視点:「今年、小売業者は例年以上に競争の激しいショッピングシーズン(英語)に直面しており、消費者の要求が高まる中で、より高い利益率を実現することが求められています。AIエージェントは、あらゆるチャネルで一貫性のあるパーソナライズされた体験を提供することで、顧客のロイヤルティを深め、最終的には売上向上を促進する役割を果たします」– Salesforce Commerce Cloud SVP兼GM、マイケル・アフロンティ(Michael Affronti)
AIエージェントは、あらゆるチャネルで一貫性のあるパーソナライズされた体験を提供することで、顧客のロイヤルティを深め、最終的には売上向上を促進する役割を果たします
Salesforce Commerce Cloud SVP兼GM、マイケル・アフロンティ(Michael Affronti)
2024年サイバーウィーク、AIとAIエージェントが貢献した売り上げは600億ドル
今年のサイバーウィーク(11月26日から12月2日)において、世界全体のオンラインでの販売額は3149億ドルに上り、オンラインでの注文の70%がモバイルデバイスから行われました。また、AIエージェントを含むAIによるパーソナライズされたオファーやエンゲージメントを通じて、600億ドルの売上に影響を与えました。今年のサイバーウィークは、AIエージェントの技術が小売業界をどのように再構築し、消費者のエンゲージメントを促進しているかを示す結果となりました。15億人の消費者と1.6兆ページビューの分析に基づくSalesforce Platformの年次レポートでは、消費者がサイバーウィークのセールを活用するために支出を控えていたことが明らかになりました。
2024年のサイバーウィークにおける世界のトレンド
- これまでにない成長を示したオンライン販売:数ヶ月にわたる売上の低迷(英語)を経て、サイバーウィークとその前の期間は、消費者の支出を促す圧力解放の役割を果たし、今年の購買行動を活性化させるきっかけとなりました。
- ホリデーシーズンの最初の4週間(11月5日〜12月2日)の成長は強く、米国および世界全体で8%の増加を記録しました。
- サイバーウィーク:サイバーウィーク期間中のオンライン販売は、米国で760億ドル(前年同期比7%増)、世界全体で3149億ドル(前年同期比6%増)に達しました
- ブラックフライデー:世界のオンライン販売は744億ドル(前年同期比5%増)、米国では175億ドル(前年同期比7%増)に達しました。この日はその週で最も売上が伸びた日となりました
- サイバーマンデー:米国のオンライン販売は128億ドル(前年同期比3%増)、世界全体で497億ドル(前年同期比2%増)に達しました
- AIとAIエージェントがサイバーウィークに大きく貢献:Saks(英語)などの小売業者は、今シーズンのショッピング体験を支えるためにAIエージェントを含むAIの活用を強化しました。
- 世界のオンライン販売の600億ドルは、商品のおすすめやターゲティングされたオファー、会話型カスタマーサポートにおいて、AIとAIエージェントの影響を受けました。
- 顧客体験に生成AIとAIエージェントを活用した小売業者は、これを使用しなかった小売業者に比べて2%高いコンバージョン率を記録しました。
- サイバーウィーク中、小売業者は生成AIとAIエージェントを18%多く(前週比)活用しており、効率性とパーソナライズを促進したと考えられます。
- サイバーウィーク中、消費者はAIとAIエージェントが搭載されたカスタマーサービスのためのチャット機能を38%多く(前週比)利用しました。
- サイバーウィーク中の割引率のばらつきが結果にも影響:Temu、Shein、AliExpressといった中国のマーケットプレイス(英語)が低価格で消費者の関心を引きつける脅威があったにもかかわらず、米欧の小売業者はこれらと競争するための大幅な割引を実施しませんでした。
- 世界の平均割引率は26%、米国の割引率は28%で、いずれも前年より1%減少しました。
- 世界で最も高い平均割引率を示したカテゴリーは以下の通りです:
- メイクアップ用品(40%)
- 一般衣料品(34%)
- スキンケア用品(33%)
- モバイルコンバージョンが加速:すべての年齢層の消費者がモバイルでのショッピング(英語)にますます慣れ、モバイルでの購入体験がより簡単になる中、モバイルトラフィックとモバイル注文のギャップが縮まっています。この傾向は、スマートフォンから直接、高額で価値のある商品を購入する消費者の意欲が高まっていることを示しています。
- サイバーウィーク中、米国および世界のEコマーストラフィックの80%以上がモバイルデバイスから発生しました。
- モバイル注文は米国および世界全体の売上の70%を占め、2023年の67%から増加しました。
- 合計で、モバイルは世界で2200億ドル、米国では533億ドルの売上を記録しました
- モバイルウォレットの利用も、サイバーウィーク中に世界で16%増加しました。
- ソーシャルコマースは小売業者にとって重要な役割を果たす
- ソーシャルコマース(英語)戦略を導入した小売業者は、サイバーウィークの売上の19%をTikTok ShopやInstagramなどのプラットフォームを通じて生み出しました。
- ソーシャルコマース(英語)戦略を導入した小売業者は、サイバーウィークの売上の19%をTikTok ShopやInstagramなどのプラットフォームを通じて生み出しました。
Salesforceが信頼性、スケール、AIでサイバーウィークのショッピングを支援
今年、Salesforce Platformは、世界中のデジタル小売業者が利益を上げ、規模を拡大する手助けをしました。ほぼ100%の稼働率で、あらゆる購入チャネルを通じて、ショッピング体験をAIエージェントやパーソナライズ機能で強化しました。その実現を支えたのは、以下の要素です:
- Commerce Cloud:Commerce Cloudは、サイバーウィーク中に99.999%の稼働時間で、デジタル店舗での約5000万件の注文を支えました。
- Marketing Cloud:Marketing Cloudを通じて、約565億件のマーケティングメッセージが送信され、前年同期比で5%の増加を記録しました。
- Service Cloud:Service Cloudは、顧客が38億件以上のケースに対応し、解決するのを支援しました。
- AI:サイバーウィーク中、SalesforceのAIによる「商品のおすすめ」が約600億件行われ、前年同期比で21%の成長を達成しました。また、同期間においてAI駆動のチャットボットが前年同期比で32.2%増加したことも確認されました。
- Agentforce:Agentforceは、サイバーウィーク中に167万回の大規模言語モデル(LLM)による返信と意思決定を生成し、小売業者のアクション実行を支援しました。
Salesforceの視点:「消費者は今年、自分が欲しい商品を購入する最適なタイミングを待っていました。そして、彼らは明らかにこのサイバーウィークを最大限に活用しました。前年比で注文数が大幅に増加したことは、たとえ控えめなディスカウントでも、消費者が財布のひもを緩めるには十分だったことがわかります。また、AIとAIエージェントに投資した小売業者は、パーソナライズされたプロモーション、おすすめ、サポートを通じて、この重要なショッピング期間にさらに大きな収益を上げることができました」– Salesforce Consumer Insights 担当ディレクター、カイラ・シュワルツ(Caila Schwartz)
詳細情報:
- Agentforceとその機能の詳細。
- AIエージェントに関するその他の調査結果はSalesforce統計ライブラリ(英語)をご覧ください。
調査方法:
「AIコネクテッドカスタマーの最新事情」
本データは、2024年7月26日から8月16日にかけて実施された15,015人の消費者を対象とした二重盲検調査に基づいています。調査結果は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、シンガポール、スペイン、スウェーデン、英国、米国の成人(18歳以上)を代表するもので、加重平均されています。本調査はYouGovによりオンラインで実施されました。
「2024 Salesforce ホリデーシーズンのインサイト」
Salesforceは、Agentforce、Commerce Cloud、Marketing Cloud、Service Cloudを活用し、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋地域(日本、オーストラリア、ニュージーランドを除く)、スイス、ラテンアメリカ(LAM)、中東およびアフリカ(MEA)、東欧 ヨーロッパ、ベルギー、北欧 ノルディック諸国の18の主要市場を中心に、89カ国以上の15億人を超える世界中の消費者のデータを集計し、ホリデーシーズンのインサイトを導き出しました。この一連のベンチマークは、過去9四半期のデータと現在のデジタルコマースの状況を深く分析したものです。また、広範な小売業界のマクロ経済データを推計するために、いくつかの要因が考慮されています。なお、これらのデータや結果はSalesforceの実際の業績を示すものではありません。
提供されるデータは、Salesforce独自の調査に基づいており、使用している計算方法は、ファーストパーティとサードパーティのデータに加え、いくつかの市場仮定を組み合わせて生成したものです。
Salesforceについて
Salesforceは、あらゆる規模の企業が AI時代に向けてビジネスを再構築できるよう支援します。Salesforceの信頼性の高いプラットフォームであるAgentforceを利用することで、企業は人とAIエージェントをつなぎ、AI、データ、アクションを原動力としてビジネスを成功に導くことができます。詳細は salesforce.com/jp をご覧ください。
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