顧客満足度とは?評価指標や調査方法、向上させる施策と2つの成功事例を解説

 
2023.12.19

顧客に自社の製品やサービスを選んでもらうためには、顧客満足度を向上させることが大切です。顧客満足度を高めていけば、リピーターも増え、売上の向上にもつながるでしょう。では、どのように顧客満足度を高めていけばいいのでしょうか。

ここでは、顧客満足度と顧客ロイヤルティの違いや顧客満足度が重要な理由、調査方法・指標、向上のための施策のほか、成功事例などを解説します。

 
 
 
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顧客満足度は製品・サービスへの満足感を数値化した指標

顧客満足度は、顧客が提供された製品・サービスについて、どの程度満足感を持っているかを数値化した指標です。顧客の満足感は数値化しにくく、顧客が製品・サービスからどんな恩恵やメリットを得て、どのような点に満足しているかは、測りにくいといえるでしょう。また、満足しているかどうかは、顧客の主観によるため、顧客自身もなぜそう感じたか、理由をはっきりと自覚していないことがほとんどです。こうした定性的な情報を、客観的に分析しやすい定量的な数値に置き換えた指標が、顧客満足度です。

常に顧客の期待を上回り、売上を伸ばす仕組みづくり』で詳しく解説していますが、顧客からの期待が高まる今の時代に成功をつかむには、ビジネスの中心に顧客を据えることが鍵となります。どのような規模の企業であっても、成功をつかむにはカスタマーエクスペリエンスの向上に向けたリーダー陣の集中的な取り組みが欠かせません。

顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い

顧客満足度が顧客の現在の満足度を表すのに対し、顧客ロイヤルティは企業や製品・サービスに対する顧客の愛着や信頼を指します。両者の違いを理解した上で、自社にとって重要と考えられる指標を活用することが重要です。顧客満足度と顧客ロイヤルティの違いは以下のとおりです。
 
  顧客満足度 顧客ロイヤリティ
目的 顧客の満足を得る。顧客の不満をなくす 顧客から愛着や信頼を得る。ファンを増やす
評価対象 製品・サービスを評価する 優れた顧客体験を重視する
目線 企業目線で計測する 顧客目線で計測する
取り組み 担当部署が不満の改善に取り組む 全社でファンを増やすために取り組む

顧客満足度が重要な理由は、顧客に自社の製品やサービスを選んでもらい、売上を向上させるため

顧客満足度が重要な理由は、顧客に自社の製品やサービスを選んでもらい、売上を向上させるためです。多くの製品やサービスと競合する環境下で、顧客に選ばれる存在になるには、購入前から購入後まで、顧客とのつながりをしっかりと構築することが大切で、そのためには顧客満足度が重要な要素となります。

顧客満足度を高めるためには、顧客の購買行動を理解する必要がありますが、インターネットの発達によって購買行動は大きく変化しました。気になる製品やサービスについて購入前にあらかじめ調査したり、SNSの口コミで興味を持ったりするケースが増えています。つまり、営業担当者が顧客に対し接点を持ったり、顧客が店頭で製品に触れたりする前から、顧客に選ばれるための勝負は始まっているのです。

そのため、インターネット上の評価などに影響する、既存顧客の顧客満足度の向上が必要なのです。

顧客満足度を向上させられれば、顧客はロイヤルカスタマーとして自社の製品やサービスのファンとなり、企業に長期的な利益をもたらしてくれます。さらに、ロイヤルカスタマーから周囲に製品やサービスが紹介されれば、企業は効率的に新規顧客を得ることもできるでしょう。

 
 
 
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顧客満足度の調査方法と4つの評価指標

顧客満足度は顧客へのアンケートやインタビューなどで測定します。調査には、定量調査と定性調査があり、定量調査は調査対象が大規模になるため、インターネットや郵送、街頭でのアンケートが適しています。一方、定性調査は顧客の製品やサービスに対する生の声が必要になるため、インタビューや顧客同士の座談会などで実施すると良いでしょう。また、調査で顧客満足度を計測する際には、以下のような指標が活用できます。

■顧客満足度の指標

 
指標 内容
JCSI
顧客満足度や顧客期待、知覚価値、知覚品質、推奨意向、ロイヤルティの6項目について質問し、得点を集計する
CSAT
満足度を5段階か10段階で回答してもらい、回答者全体での満足度を数値化する
CES
顧客のストレスや負担などのネガティブ要素を測定する
NPS
製品を友人や同僚にすすめたいかどうか、10段階で評価してもらい、集計する
顧客満足度の調査は自社で実施することもできますが、外部の調査会社を活用することもできます。自社による調査は、自社の顧客のみを対象としている場合や、定期的・継続的に調査し、変化を追跡したい場合に有効です。一方で、調査が競合他社の製品やサービスも対象としている場合は、外部の調査会社を活用します。外部による調査は、自社とはまだ接点のない潜在顧客から情報を得られる点にメリットがあります。調査で把握したい内容や調査の継続性、コストなどに合わせて選択しましょう。

顧客満足度向上のための具体的な3つの施策

顧客満足度を測定し、自社の製品やサービスの状況が明らかとなったら、顧客満足度向上のための施策を実施していきます。ここでは、施策を3つご紹介します。

カスタマーサクセスの導入

顧客満足度向上のための施策に、カスタマーサクセスの導入があります。カスタマーサクセスは、顧客の「成功」を支援するためのしくみや部門です。従来のカスタマーサービスやカスタマーサポートといった部門とは、顧客の成功に注目している点が異なります。カスタマーサクセスの業務範囲は単純な問い合わせ対応などではなく、顧客が購入した製品やサービスを利用して、メリットや効果を得られるまでのサポートです。つまり、顧客に成功してもらうことが、顧客満足度の向上につながり、自社の売上にも貢献するという考え方です。

たとえば、サブスクリプション型のITツールを提供している企業の場合、カスタマーサクセスの具体的な施策には、導入支援やセミナー開催、ユーザーサポート会の運営などが挙げられます。ユーザーの状況に合わせた施策を提供することによって、顧客満足度の向上はもちろん、継続契約やアップセル、クロスセルにもつながるでしょう。

LTV(顧客生涯価値)を最大化させるためには「売って終わり」ではなく「売って始まる」関係を構築しなければなりません。カスタマーサクセスのステップを改善していくことで、売上に貢献できる攻めのカスタマーサクセスへと変化させていく必要があります。

※参考:SaaS ビジネス成功の基礎「The Model」

コミュニティ形成

コミュニティ形成も顧客満足度向上のための施策です。SNSやビジネスチャットツールを活用して、企業と顧客のコミュニティを形成できれば、顧客から自社の製品やサービスについてのフィードバックを得たり、気づいていなかった利用方法・課題を発見したりすることが可能となります。

さらに、顧客同士のコミュニティも重要です。多くの顧客に集まってもらい、顧客同士でコミュニケーションをとるコミュニティを形成することで、顧客は同じ製品やサービスを利用する仲間を得られます。企業の枠にとらわれない顧客同士の交流で、自社への帰属意識を育みます。

CRMやSFA、MAの導入

CRM(Customer Relationship Management)やSFA(営業支援システム)の導入も、顧客満足度の向上に貢献する施策です。CRMは、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれています。顧客との関係を良好に保つことで、収益の拡大に結びつけようという概念です。また、その概念を実現するため、顧客とのコミュニケーションを管理するツールもCRMと呼ばれます。

CRMに記録されるデータは多岐にわたります。顧客の基本情報やコミュニケーション履歴に加え、提案書や見積書、商談の内容、要望・クレーム、問い合わせ内容なども対象です。ツールを導入すれば、顧客の購買や問い合わせの履歴などを確認しながら、顧客に対応することが可能となるため、顧客の満足度を向上させられるでしょう。『決定版CRM入門ガイド』で詳しく解説していますが、最適なCRMを導入すれば、売上は目に見えて向上します。さらに、成約を増やして売上を伸ばし、売上予測の精度を高めることもできるのです。

また、CRMに加え、SFAやMA(マーケティングオートメーション)を使うと、さらに効果を発揮します。SFAでは営業活動の記録・可視化、ノウハウの標準化などが可能です。一方、MAでは顧客の興味や属性に合わせたマーケティング施策が可能となります。ツールの導入・連携で、部署間での共有や施策がスムーズになり、顧客に対する姿勢に一貫性を生み出せれば、顧客満足度を高めるための環境が整うでしょう。

SalesforceではSFAやMAなどのさまざまなソリューションを提供しています。そのうち、Sales Cloudが得意とするプロセスは、商談化以降の営業フェーズであり、単体製品ではマーケティング領域まではカバーできません。そこで組み合わせて運用したいのが、インサイドセールスやマーケティング活動の改善をサポートするMAツールのAccount Engagement(旧Pardot)です。

このツールの導入により、有力な見込み顧客の特定やスムーズな販促活動などを可能にします。たとえば、Webサイトからの問い合わせや展示会で獲得した、見込み顧客の興味の度合いに応じた適切な対応を事前に作成したシナリオを通じて実施することで、一人ひとりの顧客に対してよりパーソナライズ化されたマーケティング活動が可能です。Account Engagement(旧Pardot)で見込み顧客の発掘と育成を、Sales Cloudで顧客と商談情報の管理、活用を行い、これら構築した土台を活かすことでより多くの商談を生み出しましょう。

 
指標 内容
CRM
CRMは、日本語で「顧客関係管理」と呼ばれます。
CRMの目的は、顧客との関係性、コミュニケーションを管理し、自社の従業員と顧客との関係を一元的に把握することです。
SFA
SFAは、日本語で「営業支援システム」と呼ばれています。
おもな機能は、営業メンバーの行動管理や商談の進捗状況管理などです。商談結果の蓄積も可能で、営業活動の効率化やフィードバックに役立ちます。
MA MAは、マーケティングオートメーションのことで、マーケティング活動の自動化を意味する概念です。またはそのためのツールを指す言葉です。
MAの機能は、作業の自動化や担当者の判断補助など、マーケティング活動の効率化が中心です。
 
 
 
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顧客満足度向上の2つの成功事例

ここからは、実際に顧客満足度の向上に成功した事例を2つご紹介します。ツールの導入によって、社内や顧客満足度が変化していく過程をみていきましょう。

すべてのデータ統合で、お客様一人ひとりに寄り添えるしくみを:株式会社JTB

 
会社名:株式会社JTB
事業内容:旅行業

「人」の力に強みを持つJTBは、顧客が旅に出る理由や顧客自身の背景から、個々の顧客の姿を正しく認知し、適切なサービス提供に役立てようとしています。しかし、旅行という製品の特性上、一般的な分析手法をそのまま取り入れ、数値や属性で判断しても、有効なものとならない可能性がありました。

Salesforceの導入は、JTBが掲げる「ウルトラパーソナライズ」されたサービスの提供に役立っています。たとえば、旅行中に、顧客データから分析したニーズに合わせ、エリアやイベントの情報をリアルタイムに提供することを実現しました。また、旅行前から旅行後まで一貫された「最適な体験の提案」によって、顧客満足度は大きく向上しているといいます。

多彩なファンマーケティングの施策をCRMでつなぐ:株式会社ヤッホーブルーイング

 
会社名:株式会社ヤッホーブルーイング
事業内容:クラフトビール製造および販売

ビール国内売上第6位のヤッホーブルーイングは、従来からファンマーケティングを長期視点で行っていました。ロイヤルティの高い顧客基盤を構築できていたものの、社内の体制に課題がありました。新入社員などの経験の浅いメンバーが「お付き合いの長いファンの方について知識が足りない」可能性があったのです。また、顧客情報をユニット別、7つのツールで分散管理していたため、顧客行動を全体像で把握することが難しい点も課題でした。

Salesforceの導入により、顧客情報の一元管理を実現しました。加えて、Q&Aデータを整理したことで、約9倍のスピードで電話の問い合わせに対応できるようになりました。また、出産した顧客の飲酒再開時期に合わせて、プレゼント提供を行うなど、パーソナライズされた顧客対応が可能になり、ファンマーケティングを加速させています。

 
 
 
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顧客と強く繋がりロイヤルティを強化していくためには、どのような手段をとれば良いのかご紹介します。

ツールを活用して顧客満足度を向上させよう

顧客満足度の向上は企業の売上向上に貢献します。顧客満足度の向上はかんたんではありませんが、ツールを活用し、さまざまな施策を実施することで、効果的な取り組みが可能です。
Salesforceでは顧客満足度の向上に貢献するソリューションを提供しています。施策の自動化による工数削減や、AIの分析による費用対効果の向上などが可能なMarketing Cloudや、プロセスの自動化・AIによる顧客とのやりとりで業務効率化を実現するService Cloudを、ぜひご検討ください。

また、Salesforceでは顧客に関連するコンテンツもご用意しています。ぜひ、以下のページもご覧ください。

 
 
 
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