マーケティング分析の10種類のフレームワークのやり方や手順を解説
マーケティング分析とは、商品やサービスを売るための仕組み作りのこと
マーケティングとは、商品やサービスを売るための仕組み作りを指します。その範囲は幅広く、市場調査から広告宣伝、営業、販売まで、モノを売るための一連の行程が含まれています。
顧客が何を求めているのか知るには、市場調査などで得たデータをもとに、消費者のニーズや課題などを分析する必要があります。これを、マーケティング分析といいます。
マーケティング分析の重要性
インターネットが発達し、誰もがパソコンやスマートフォンであらゆる情報を素早く手に入れられる現代。消費者のニーズや情報収集の方法は、実に多様化しています。個人・法人問わず、口コミや比較サイト、SNSなどから情報を収集して、そのまま商品購入に至ることも一般的となり、もはや従来のマスマーケティングでは通用しません。
顧客ニーズが多様化するなか、効率よく収益を上げていくためには、より多くのデータを収集・分析しマーケティング戦略の精度を上げていくことが不可欠なのです。正確なデータをリアルタイムに収集・分析するのには、MA(マーケティングオートメーション)を活用する方法もあります。『はじめる前に読んでおきたいマーケティングオートメーション成果を上げる5つのポイント』では、MAを活用したマーケティングプロセスの自動化について解説していますので、見込み客を効率的に顧客化する方法の参考としてご活用ください。
マーケティング分析によく使われる3種類のフレームワーク
フレームワークとは、確立されている枠組みのことです。特定の型に落とし込むことで、誰でも決まった手順に沿って分析を進められ、素早く事象全体を把握しやすくなります。
また、デジタルマーケティングで成果を創出する手法として、「勝ちパターン」を活用する方法も存在します。『多くのマーケターが見逃している BtoBデジタルマーケティングの「勝ちパターン」』では、誰でも80点の成果を挙げることが可能になる「勝ちパターン」を紹介していますので、マーケティング成果向上にお役立てください。
ここでは、マーケティング分析によく使われるフレームワークをご紹介します。
1)現状分析に利用される3種類のフレームワーク
① 3C分析 ② PEST分析 ③ SWOT分析
2)顧客分析に利用される2種類のフレームワーク
① RFM分析 ② CTB分析
3)戦略策定に利用される5種類のフレームワーク
① STP分析 ② ファネル分析 ③ 4P分析 ④ 4C分析 ⑤ 5フォース分析
1)現状分析に利用される3種類のフレームワーク
① 3C分析
② PEST分析
③ SWOT分析
2)顧客分析に利用される2種類のフレームワーク
① RFM分析
② CTB分析
3)戦略策定に利用される5種類のフレームワーク
① STP分析
② ファネル分析
③ 4P分析
④ 4C分析
⑤ 5フォース分析
1)現状分析に利用される3種類のフレームワーク
現状分析とは、自社の内部および外部の環境を分析し、自社の立ち位置を明確にすることです。自社を取り巻く環境を分析して客観的に把握することで、施策の立案や改善点のほか、今後の方向性決めにも役立ちます。
<現状分析のフレームワーク>
- 3C分析
- PEST分析
- SWOT分析
① 3C分析
3C分析とは、自社について分析するための手法です。
以下の3つの要素を軸にして分析を行います。
顧客(Customer):市場と顧客のニーズはどのように変化しているのか
競合(Competitor):競合は環境の変化に対して、どのように応じているのか
自社(Company):顧客と競合の動きを踏まえ、自社が成功できる要因はどこにあるか
顧客・競合は外部環境であり、自社は内部環境にあたります。自社のことは分析するまでもなく理解していると思いがちですが、あらためて複数人で確認することで見落としを防げます。また、共通認識の確立にも効果的です。
外部と内部、両面から見て自社の強みと弱みを知ることで、事業の成功へと向けて進むべき方向性が見えるようになり、戦略の立案へとつなげられます。
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② PEST分析
PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を分析するための手法で、主に事業や企業の戦略を立てるためによく使用されています。PESTとは下記の4文字の頭文字を取った言葉となっています。
P:Politics(政治)
E:Economy(経済)
S:Society(社会・ライフスタイル)
T:Technology(技術)
PEST分析の目的は、自社を取り巻く外部環境を分析することで、現在もしくは将来的に自社へどのような影響が出てくるか把握・予測することです。大局的な視点を持って社会全体の動向を把握し、自社にとっての驚異や発展機会の発見につなげます。
③ SWOT分析
SWOT(スウォット)分析とは、自社の内部環境と外部環境の要素を洗い出し、現状を分析していく手法です。
ここでの内部環境とは自社内のこと、外部環境とは市場や競合他社など、自社に影響を及ぼす外部要因を指しています。
- 内部環境
- 強み(Strength)/自社や自社製品・サービスに好影響を与える内部環境の要素
- 弱み(Weakness)/自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす内部環境の要素
- 外部環境
- 機会(Opportunity)/自社や自社製品・サービスに好影響を与える外部環境の要素
- 脅威(Threat)/自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす外部環境の要素
自社を取り巻く環境を多角的に分析して現状を把握することで、戦略の方向性や改善点を見つけます。 SWOT分析を行うにあたり、最初に明確な目的・目標を設定することで認識のブレなく戦略が立てられ、施策への落とし込みもスムーズに進めやすくなります。
SWOT分析については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
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2)顧客分析に利用される2種類のフレームワーク
顧客分析とは、自社の顧客について性別や年齢といった属性、来店頻度や購入頻度などの購買行動を分析することです。顧客ニーズや潜在顧客の有無を把握することで、顧客満足度の向上、営業活動の効率化などにつなげます。
<顧客分析のフレームワーク>
- RFM分析
- CTB分析
① RFM分析
RFM分析とは、下記の3つの指標を用いて顧客をグループ分けする顧客分析方法です。優良顧客、非優良顧客、新規顧客などに分類することで、顧客ごとに効率のよいアプローチを行えるようになります。
R:Recency(最新購買日)
F:Frequency(購買頻度)
M:Monetary(累計購買金額)
購入日が最近で、購買頻度が高く、購買金額が高い顧客ほど優良顧客となり、その逆であれば非優良顧客となります。また、「頻度の値が高い顧客が少なく、低い顧客が多いことから、現状は常連客が少なくて新規顧客が多い」といった分析も可能です。
② CTB分析
CTB分析とは、顧客を分析する手法です。個人の趣味嗜好を分析することで、顧客の購買行動予測に役立ちます。分類に用いられる指標は、下記の3つです。
C:Category(カテゴリー)
T:Taste(テイスト)
B:Brand(ブランド)
CTB分析をすることで、指標ごとに顧客の趣味や傾向を細かく把握できます。そのデータを活かせば、顧客の好みに応じた売り場作りや、趣向に合わせた商品開発にも役立つでしょう。
3)戦略策定に利用される5種類のフレームワーク
マーケティング戦略の基本は、誰に、何を、どれくらいの価格帯で、どのように提供していくかを決めることです。効果的なマーケティング戦略を立案するには、さまざまな視点から思考する必要があります。戦略策定に効果的なフレームワークを用いることによって、視点の漏れなく効率的な分析が可能になります。
<戦略策定のフレームワーク>
- STP分析
- ファネル分析
- 4P分析
- 4C分析
- 5フォース分析
① STP分析
STP分析とは、自社の商品・サービスのターゲットを把握するために行う分析手法です。「STP」とは、下記の3文字の頭文字から名付けられています。
S:Segmentation(市場を細分化する)
T:Targeting(狙う市場を決める)
P:Positioning(自社の立ち位置を決める)
STP分析を用いてビジネスを取り巻く環境を分析することで、自社の立ち位置を明確にし、競合他社との差別化を図れます。STP分析を行う際には、あくまでユーザー目線に立つことが重要です。自社目線に偏ってしまうと正確な分析結果が得られません。つねにユーザー視点を忘れないよう心がけましょう。
② ファネル分析
ファネル分析とは、消費者の購買行動とその課題を把握する分析手法です。顧客が商品・サービスを認知してから購入に至るまでのフェーズを漏斗(ろうと/ファネル)に見立て階層に分けて分析することで、停滞する場所を特定します。
顧客の心理変化は以下の「AIDMA」で表されます。
A:Attention(認知)
I:Interest(興味)
D:Desire(欲求)
M:Memory(記憶)
A:Action(行動)
ファネル分析を活用することで、施策のつまずく部分を把握し、改善へとつなげられます。消費者行動が多様化したことで、「ファネル分析は古い手法」とする見方もありますが、BtoBにおいては、いまだ有効で価値のある分析方法とされています。
③ 4P分析
4P分析とは、自社の商品・サービスを下記の4つの売り手視点から分析する手法です。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販売促進)
4P分析をすることで、最適な価格設定や販売方法など、具体的なマーケティング施策の立案に役立ちます。4つの項目でバランスのとれた設定をすることで、売上や収益の最大化にもつながります。
4P分析については、下記記事でも詳しく解説しています。
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④ 4C分析
4C分析とは、自社の商品・サービスを下記の4つの顧客(買い手)視点から分析する手法です。
- Customer Value(顧客にとっての価値)
- Cost(コスト)
- Convenience(顧客にとっての利便性)
- Communication(顧客とのコミュニケーション)
顧客が商品・サービスを購入するまでに大きな影響を与える4要素を分析することで、自社に最適なアプローチ方法を検討します。顧客ニーズに合った商品開発につながるほか、競合他社との差別化にも役立ちます。
⑤ 5フォース分析
5フォース分析とは、「5つの脅威」から自社の収益性や競争率などを分析するフレームワークです。
「5つの脅威」とは、以下の事柄を指しています。
- 業界内での競争
- 業界への新規参入者
- 代替品の存在
- 買い手(顧客)の交渉力
- 売り手(サプライヤー)の交渉力
5フォース分析では、自社がさらされている5つの脅威を分析することで、業界の構造を明確に理解し、自社の強みを探ります。市場参入や商品開発などによく活用されている手法です。
5フォース分析は下記の記事で詳しく解説しています。
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マーケティング分析の結果はツールを使って施策に活用
マーケティング分析で戦略を策定し、実行に移すにあたっては、MA(マーケティングオートメーション)の利用がおすすめです。
MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動全般を自動化する取り組み、もしくはマーケティング自動化をサポートするツールを指します。おもに顧客情報の管理や見込み顧客育成のための施策を自動化・効率化でき、マーケティング活動の効率化に役立ちます。『はじめる前に読んでおきたいマーケティングオートメーション成果を上げる5つのポイント』でも解説していますが、MAを活用することで、施策の効果測定やROI(投資対効果)を可視化することができ、施策のPDCAサイクルを迅速に回すことができるようになります。
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消費者ニーズが多様化した現代のビジネスにおいて、マーケティング分析はほぼ必須と言えるでしょう。多くのデータを集め、分析し、戦略へと活かすことが生き残りのカギとなります。
膨大なデータを分析し施策へ活かすには、手法として確立されたフレームワークやMAなどのツールを利用すると効率的に進められます。積極的にマーケティング分析を行い、収益の最大化を目指しましょう。