ESGとは?意味やSDGsやCSRとの違いや投資の種類を解説
気候変動やITの進化、経済のグローバル化などによって、企業を取り巻く環境は従来よりも不確実性が高まっています。そのため、企業はこれまで以上に長期的な視点に立った成長戦略を立案し、実行する必要があり、そこで注目されているのがESGです。
この記事では、ESGの基礎知識や重視される理由、企業が取り組むメリットについて解説します。
ESGとは?
環境(Environment)
社会(Social)
ガバナンス(Governance)
ESGが重要視される背景
企業の社会的責任が重視されている
ESGが重要視されるひとつの背景は、企業の社会的責任が重視されるようになってきたことです。粉飾決算など企業の信頼性を揺るがすような不祥事が頻発したことや、企業の労働環境を見直す動きが活発化したこと、企業活動によって環境問題が深刻化していることなどから、企業の社会的責任(CSR)が重視されるようになりました。
企業が利益を追求するだけでなく、社会や環境と共存し持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るべきであるとする考え方が一般的になりました。企業にとってESGは果たすべき責任の指標となってきているといえるでしょう。
ESGが投資判断の指標となっている
ESGに取り組むメリット
市場競争力の強化や競合優位性の獲得
優秀な人材の獲得
ESGに取り組むことで、優秀な人材を獲得できるというメリットもあります。近年は、求職者も企業の業績などの財務情報に加え、ESGなど非財務情報にも注目しています。特に、ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)の学校教育への導入が始まった2005年以降に学校教育を受けた若い人材は、環境や社会の課題への理解が深い世代です。
そのため、就職活動の際には、企業の方針や風土を理解する目的でESGへの取り組みを注視するようになっています。短期的には成果が見えにくく、コストととらえられがちなESGですが、今後は、求職者に選ばれる条件のひとつとして積極的に取り組んでいく必要があります。
ESGとSDGsの違い
ESGが、企業が持続的に成長し続けるために重視すべき観点であり、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、世界全体で目指すべき「目標」です。SDGsは、世界中に存在する貧困や気候変動、格差といった問題を解決し、持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するために、2015年9月の国連サミットで採択されました。2016年から2030年の間に達成すべき「世界共通の目標」として、17のゴールと169のターゲット、232の指標を定めています。
ESGで重視すべき観点はSDGsに包括されているため、企業がESGに取り組むことは、結果としてSDGsに貢献することになるといえるでしょう。
ESGとCSRの違い
ESG投資とは?
2006年に国連により提唱されたPRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)では、責任投資を、環境(environment)、社会(social)、ガバナンス(governance)の要因(ESG要因)を投資決定やアクティブ・オーナーシップに組み込むための戦略および慣行と定義しています。つまり、経営においてESGを意識することは、金融機関や機関投資家からの評価を高めて資金調達をしやすくし、企業の中長期的な成長を促すものだといえるでしょう。
日本においては、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が日本で初めて責任投資原則に署名したことをきっかけに、ESG投資が注目を集めるようになりました。
ESG投資の投資手法
世界的にESG投資が拡大し、日本でも注目が集まっている環境の中で、さまざまなESG投資の手法が現れています。ESG投資の代表的な手法について5つに分けて解説します。ひとつずつ見ていきましょう。
<ESG投資の投資手法>
- ネガティブ・スクリーニングとポジティブ・スクリーニング
- 規範ベース・スクリーニング
- ESGインテグレーション
- サステナビリティ・テーマ投資
- 議決権行使やエンゲージメント
ネガティブ・スクリーニングとポジティブ・スクリーニング
ネガティブ・スクリーニングは、ESGの観点から特定の規範や価値観に基づき、投資対象から除外する手法です。特定の製品を取り扱う企業や、環境・人権への取り組みが不十分な企業はこのスクリーニングで資金調達の機会を逃す可能性があります。
一方、ポジティブ・スクリーニングでは、同業他社と比較してESGパフォーマンスが良好な企業を選別し、投資する手法です。たとえば、ESGに関する定量的な評価が高い企業や、社会や環境に利益をもたらす商品、サービスを有する企業は評価されて投資を受けられる可能性が高まります。
規範ベース・スクリーニング
ESGインテグレーション
サステナビリティ・テーマ投資
議決権行使やエンゲージメント
長期的な成長に向けて、ESG経営への早期シフトが重要
世界的なESGへの注目度の高まりとともに、企業のESGへの姿勢を投資判断の基準とするESG投資も拡大を続けており、投資家の評価を高めるためにもESGを意識した経営をしていくことが非常に重要となっています。
一方、ESGの要素は多岐に渡り、企業の様々な組織やシステムに情報が散財していることがあるため、正確性の高いESG情報を開示していくには、一元的にESGデータを管理しながら情報開示へと繋げる仕組みが必要となります。SalesforceのNet Zero Cloudでは、温室効果ガスに関する追跡・分析・報告といった環境領域のみならず、社会やガバナンスの領域まで含めてグローバル基準に沿った形でESGデータを管理し、レポーティング作業を自動化することが可能となっています。企業毎のESG戦略にも柔軟に対応できるカスタマイズ性も備えているため、ESG経営の推進をデジタルによって加速したい企業は、Net Zero Cloudの詳細についてご確認ください。