ESGとは?意味やSDGsやCSRとの違いや投資の種類を解説

 
最終更新日:2024.3.6

気候変動やITの進化、経済のグローバル化などによって、企業を取り巻く環境は従来よりも不確実性が高まっています。そのため、企業はこれまで以上に長期的な視点に立った成長戦略を立案し、実行する必要があり、そこで注目されているのがESGです。

この記事では、ESGの基礎知識や重視される理由、企業が取り組むメリットについて解説します。

 
 

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  • グローバル基準に沿ってESGデータを管理、可視化
  • 投資家のニーズに対応したダッシュボードで、ネット・ゼロの進捗状況を主要なステークホルダーとリアルタイムで共有
  • ESG戦略に沿ったサプライヤーやパートナーなど、主要なステークホルダーと進捗状況を共有

ESGとは?

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を組み合わせて作られた言葉です。企業にとっては、持続的に成長し続けるために重視すべき観点を示すものであり、投資家にとっては企業価値を判断するための基準のひとつともなっています。環境、社会、ガバナンスにおいて企業に求められる取り組みについて詳しく見ていきましょう。

環境(Environment)

世界は気候危機に瀕しています。現在、人類は大気中における温室効果ガスの増加という深刻な問題に直面しており、思い切った行動が求められています。気候変動は、個人、企業、都市、国家に広く影響を与えており、特に貧困層や弱者への影響が深刻であり、世界中で格差が拡大しています。企業は、気候変動や生物多様性、廃棄物処理、水資源の保持といった課題を考慮し、事業を通じた課題解決に取り組むことが求められます。

社会(Social)

社会分野の課題は社会全体で解決すべき問題で、国家や個人のみならず、企業にも取り組む責任があります。たとえば、労働条件や過重労働といった働き方の問題、人権、ダイバーシティ、などです。企業には人権への配慮や、ダイバーシティの推進、働き方改革の実践等による課題の解消が求められます。

ガバナンス(Governance)

ビジネスにおけるガバナンスは、公正な判断にもとづく健全な企業経営が行われるよう、自己管理・統治するためのものです。不正会計や贈収賄、粉飾決算などの問題が発生すれば、企業の信用はすぐに失われてしまいます。企業は自社内にしっかりとしたガバナンス体制を作り、法令順守や会計の透明性向上、適切な情報開示、株主や従業員の権利保護などに取り組まなくてはなりません。
 
 

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ESGが重要視される背景

企業のESGが重要視されるようになった背景には大きく2つあります。それぞれについて解説します。

企業の社会的責任が重視されている

ESGが重要視されるひとつの背景は、企業の社会的責任が重視されるようになってきたことです。粉飾決算など企業の信頼性を揺るがすような不祥事が頻発したことや、企業の労働環境を見直す動きが活発化したこと、企業活動によって環境問題が深刻化していることなどから、企業の社会的責任(CSR)が重視されるようになりました。

企業が利益を追求するだけでなく、社会や環境と共存し持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るべきであるとする考え方が一般的になりました。企業にとってESGは果たすべき責任の指標となってきているといえるでしょう。

ESGが投資判断の指標となっている

ESGが重要視される背景のもうひとつは、ESGが重要な投資判断の指標の一つとなってきたことです。これまで、投資家は売上高や利益、保有財産といった財務情報によって投資判断を行ってきましたが、投資家の価値観も変化してきており、ESG投資では、財務的な要素に加えて非財務的な要素であるESG(環境、社会、ガバナンス)が考慮されつつあります。企業が投資家から投資を得るためや、事業拡大に必要な融資をスムーズに受けるために、ESGへの取り組みは欠かせないものとなってきているといえるでしょう。

ESGに取り組むメリット

ESGが投資判断の指標となり、企業の社会的責任が重視される環境となってきていますが、企業にとってもESGに取り組むことにはメリットがあります。2つのメリットを解説します。

市場競争力の強化や競合優位性の獲得

ESGに取り組むことは、市場競争力の強化や競合優位性の獲得といったメリットがあります。事業を通じて社会課題の解決に取り組むことによって、企業のブランドイメージが高まるでしょう。また、企業価値が向上していけば、投資先として選ばれやすくなる効果も期待できます。

優秀な人材の獲得

ESGに取り組むことで、優秀な人材を獲得できるというメリットもあります。近年は、求職者も企業の業績などの財務情報に加え、ESGなど非財務情報にも注目しています。特に、ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)の学校教育への導入が始まった2005年以降に学校教育を受けた若い人材は、環境や社会の課題への理解が深い世代です。

そのため、就職活動の際には、企業の方針や風土を理解する目的でESGへの取り組みを注視するようになっています。短期的には成果が見えにくく、コストととらえられがちなESGですが、今後は、求職者に選ばれる条件のひとつとして積極的に取り組んでいく必要があります。

ESGとSDGsの違い

ESGが、企業が持続的に成長し続けるために重視すべき観点であり、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、世界全体で目指すべき「目標」です。SDGsは、世界中に存在する貧困や気候変動、格差といった問題を解決し、持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するために、2015年9月の国連サミットで採択されました。2016年から2030年の間に達成すべき「世界共通の目標」として、17のゴールと169のターゲット、232の指標を定めています。

ESGで重視すべき観点はSDGsに包括されているため、企業がESGに取り組むことは、結果としてSDGsに貢献することになるといえるでしょう。

ESGとCSRの違い

ESGとCSRは、共に企業の社会的責任に関連するが、異なる視点を持っています。CSR(Corporate Social Responsibility)は、企業が社会的、環境的課題への取り組みを含む全般的な責任を意味し、ステークホルダーへの配慮が重視されています。一方ESGは、企業の持続可能性を評価する投資家の視点に焦点を当て、環境、社会、企業統治の各側面から企業を評価するでしょう。CSRは企業の行動原則を、ESGは投資判断の基準を示すわけです。これらは、企業が社会に対して責任を持ち、適切な対応をとる義務があるという共通の理念に基づいています。

ESG投資とは?

2006年に国連により提唱されたPRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)では、責任投資を、環境(environment)、社会(social)、ガバナンス(governance)の要因(ESG要因)を投資決定やアクティブ・オーナーシップに組み込むための戦略および慣行と定義しています。つまり、経営においてESGを意識することは、金融機関や機関投資家からの評価を高めて資金調達をしやすくし、企業の中長期的な成長を促すものだといえるでしょう。

日本においては、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が日本で初めて責任投資原則に署名したことをきっかけに、ESG投資が注目を集めるようになりました。

 
 

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ESG投資の投資手法

世界的にESG投資が拡大し、日本でも注目が集まっている環境の中で、さまざまなESG投資の手法が現れています。ESG投資の代表的な手法について5つに分けて解説します。ひとつずつ見ていきましょう。

<ESG投資の投資手法>

  • ネガティブ・スクリーニングとポジティブ・スクリーニング
  • 規範ベース・スクリーニング
  • ESGインテグレーション
  • サステナビリティ・テーマ投資
  • 議決権行使やエンゲージメント

ネガティブ・スクリーニングとポジティブ・スクリーニング

ネガティブ・スクリーニングは、ESGの観点から特定の規範や価値観に基づき、投資対象から除外する手法です。特定の製品を取り扱う企業や、環境・人権への取り組みが不十分な企業はこのスクリーニングで資金調達の機会を逃す可能性があります。

一方、ポジティブ・スクリーニングでは、同業他社と比較してESGパフォーマンスが良好な企業を選別し、投資する手法です。たとえば、ESGに関する定量的な評価が高い企業や、社会や環境に利益をもたらす商品、サービスを有する企業は評価されて投資を受けられる可能性が高まります。

規範ベース・スクリーニング

規範ベース・スクリーニングは、国際的な規範に従って企業を選別する手法です。国連、ILO、OECDなどの国際規範に基づき、最低要件を満たさない企業を投資対象から除外します。OECD多国籍企業行動指針や国連グローバル・コンパクトなどの国際規範は、人権保護や不当な労働の排除、環境対策、腐敗防止などについて定めています。国際規範に法的な拘束力はありませんが、企業や団体が責任ある存在として、順守することが求められます。

ESGインテグレーション

ESGインテグレーションは、環境、社会、ガバナンスの要素を、体系的かつ明示的に財務分析に取り入れることです。ESG投資が一般化することで、ESGインテグレーションも広がっています。

サステナビリティ・テーマ投資

サステナビリティ・テーマ投資は、環境や社会課題の持続可能な解決に特に貢献する、テーマや資産に投資する手法です。具体的には、クリーンエネルギーや持続可能な農業、グリーンビルディング、ジェンダー平等などが挙げられます。

議決権行使やエンゲージメント

企業の行動に影響を与えるために株主の力を活用する手法もあります。具体的には、直接的な企業参画(経営幹部や取締役会とのエンゲージメント)、株主提案の実行、ESGガイドラインに沿った議決権行使などにより、投資先企業の取り組みを促します。

長期的な成長に向けて、ESG経営への早期シフトが重要

世界的なESGへの注目度の高まりとともに、企業のESGへの姿勢を投資判断の基準とするESG投資も拡大を続けており、投資家の評価を高めるためにもESGを意識した経営をしていくことが非常に重要となっています。

一方、ESGの要素は多岐に渡り、企業の様々な組織やシステムに情報が散財していることがあるため、正確性の高いESG情報を開示していくには、一元的にESGデータを管理しながら情報開示へと繋げる仕組みが必要となります。SalesforceのNet Zero Cloudでは、温室効果ガスに関する追跡・分析・報告といった環境領域のみならず、社会やガバナンスの領域まで含めてグローバル基準に沿った形でESGデータを管理し、レポーティング作業を自動化することが可能となっています。企業毎のESG戦略にも柔軟に対応できるカスタマイズ性も備えているため、ESG経営の推進をデジタルによって加速したい企業は、Net Zero Cloudの詳細についてご確認ください。

 
 

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