株式会社ニコンソリューションズ

「AI秘書」の実現が旧来の営業スタイルに変革をもたらす

生成AIの機能をSFAに取り込むことで「営業効率の向上」と「新たな気付きの獲得」を目指す。

 

産業機器や顕微鏡、医療機器などの製品で知られるニコンソリューションズでは、旧来の「勘と経験に頼った営業スタイル」から情報の早期把握と共有、データにもとづいた「科学的な営業」への転換を進めていました。そこで取り組んだのが生成AIの導入です。

背景となる情報

ニコングループの一員として、測定・検査装置をはじめとする産業事業や、顕微鏡製品を中心とするバイオサイエンス事業、さらには広角眼底カメラをはじめとする眼科事業などのマーケティング・販売を手掛ける株式会社ニコンソリューションズ。近年では年々高度化・多様化する顧客ニーズに応えるために製品も複雑化の一途を辿っており、これらを提案・販売する営業担当者は従来より多くの情報を早期に把握し、かつ営業チーム内で広く共有する必要に迫られていました。また営業効率を上げるために、データをもとにした「科学的な営業」「再現性のある営業」の実現を目指しており、これらの課題を解決するためにSales CloudとPlatform User Licenseを導入し、セールスプロセスで連携する仕組みを構築しました。加えて、さらなる営業効率の向上を目指し営業プロセスにおける生成AIの活用方法を模索していました。​

導入の意義

営業リソースに限りがある中、多様化・複雑化する顧客ニーズに迅速に応えていくため生成AIの機能を活用して営業担当者の商談活動を側面支援する「AIエージェント(秘書)」の実現を目指すことにしました。採用するAI製品としては、SalesforceのSFAプラットフォーム上に蓄積された営業情報をそのまま学習・活用できるメリットを重視し、「Salesforce Einstein」を選定しました。
 

“Salesforceの生成AI機能を活用したことで、今後はお客様と弊社、そしてAIエージェントが三位一体となって価値あるソリューションを共創していく未来が訪れると考えています。”

園田 晴久 氏

株式会社ニコンソリューションズ
代表取締役 兼 社長執行役員

導入の効果

  • Lightning Platformを導入し、これまでばらばらだったセールスプロセスとセールスデータを連携させる仕組みを構築したことで、顧客の「予算」「決裁者」「競合」といった各種営業情報を一元的に管理・活用できるようになり、データにもとづく「科学的な営業」を進めています。また、これらの情報をAIで自動生成できるようにしたことで、取り組みをさらに加速させることができました。

  • Salesforce社の担当者によるファシリテーションのもと下、生成AIの活用に適した社内ユースケースを抽出・評価するワークショップを開催。現場からヒアリングして集めてきた業務、プロセスにおけるさまざまな課題を「業務工数」「生成AI適用の難易度」「必要データ」などの観点から評価し、優先的に取り組むべきユースケースを抽出しました。

  • 最初に取り組むべきユースケースとしては、Salesforce上で管理されている商談情報や活動報告などを生成AIを使って要約し、サマリーとしてまとめる機能を選出しました。プロトタイプを開発して機能を評価した結果、それまで営業マネージャーが6〜8時間かけて行っていた「部下の商談の進捗確認」が、1時間足らずで終えられることを確認しました。

  • 商談情報に加えて、サービス部門が過去に顧客に対して提供したサービスの履歴や、サポート部門に顧客から寄せられた問い合わせの履歴などもあわせて生成AIで要約する機能を実装しました。これにより、従来は丸1一日かかっていた「自社と顧客との間で行われた過去のやり取りの調査」が、ボタンをワンクリックするだけで確認でき、全体の作業もわずか5分で終えられるようになりました。

  • 自社のホームページを通じて寄せられた顧客からの問い合わせに対して、生成AIを使って回答のひな型を自動的に生成する仕組みを新たに開発し、その評価を行いました。この仕組みが実用化されることによって、問い合わせ対応に要する手間や時間を大幅に削減するとともに、サポート品質の向上による顧客満足度の向上も図れると大きな期待が寄せられています。

事例のまとめ

営業プロセスにAIを組み込んで「科学的な営業」をさらに加速
Lightning Platform導入で進んだ「科学的な営業」の取り組みを、Salesforce EinsteinによるAI活用でさらに前進させることができる見込みが得られました。PoC(概念実証)ではさまざまな部門のキーパーソンにプロトタイプを試してもらい、「これなら十分に使える」と高い評価を得たことから、近いうちに本格導入して、より多くの営業担当者にそのメリットを提供する予定です。

AIの活用に積極的な先進企業としての外部アピールが可能に
製品にAIを組み込むだけでなく、その販売プロセスにも積極的にAIを導入することで、先進的な企業イメージを外部に発信できるようになりました。これによって顧客企業や代理店、販売店などにおけるブランドイメージの向上を図るとともに、人材採用においてもAIネイティブに対してアピールできると期待しています。

非IT人材でも短期間のうちに生成AI機能の設計・実装が可能に
今回のSalesforce Einstein導入プロジェクトは、IT部門のエンジニアではなく、営業部門のSalesforce管理者が中心となって進めました。そのうちの1人はわずか1年前までITとはほぼ無縁の営業担当者でしたが、GUIベースによる直感的な操作により、短期間で習得が可能でした。現在では生成AIの機能を試行錯誤しつつ自身で実装できるまでにスキルアップしました。

今後は人材育成にも取り組み範囲を広げていく予定
生成AIが営業活動に関するさまざまな示唆を与えてくれることで、営業担当者が自身の営業活動に関して新たな気付きを得て、成長の機会とすることが期待されています。また今後は生成AIが営業担当者の活動を褒めたり励ましたりするような「エモーショナルな機能」も追加し、担当者のモチベーションアップにつなげられるような活用方法も模索していきたいとしています。

 
 

1/8短縮

営業マネージャーの管理が1/8に短縮

 

5

丸一日かかっていた過去調査が
わずか数分から5分で実現

※ 本事例は2024年12月時点の情報です
 

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