テーラーメイド ゴルフ株式会社

的確なサポートにより、CVRが27.5%増加。売上の145.8%増を記録。

サイト内検索の改善が大きく貢献。検索結果がなくてもリコメンドできる仕掛けも稼働。

テーラーメイド ゴルフ株式会社(以下、TMG)は、Salesforceのカスタマーサクセスマネージャーの支援により、Salesforce Commerce Cloudの活用を促進。CVR27.5%増、EC売上145.8%増という大きな成功を収めました。今後は、オフラインとオンラインのチャネルを横断した顧客体験向上を図るさまざまな取り組みを実施していきます。
 
 

1. グローバルで単一のECプラットフォームを活用

TMGは、米国に本社を置くゴルフ専業メーカーです。メタルウッドが主力製品で、数多くのトッププロと契約。初心者向けのクラブセットからプロモデルまで幅広い製品ラインアップがあり、日本国内ではアパレル事業も展開しています。

同社は、以前からECに注力していました。2005年にオープンソースのシステムを使ってECサイトを立ち上げ、十数年運用を続けた後にSalesforce Commerce Cloud(の前身であるDemandware)に移行。ECプラットフォームの大転換で、当初は手間取ったこともあるといいますが、約1年で運用も落ち着き、徐々にメリットを感じられるようになってきました。

コンシューマ・ダイレクト ディレクター ジェイソン メイトランド氏は、「一般的な乗用車とレーシングカーくらいの差があります。はるかにできることが多くなり、そのせいで難しく感じることも多かったのですが、慣れれば最高のパフォーマンスを出してくれるプラットフォームだと認識できました」と話します。

このECプラットフォーム移行は、グローバルプロジェクトでした。これまで各地域で個別に立ち上げていったECを一本化したのです。グローバルプロジェクトだからこそ感じられるメリットに、共通機能を使えることが挙げられます。本社や他拠点が独自に組み込んだり開発したりした機能を、容易に実装できるのです。AppExchangeパートナー(旧:LINKパートナー)のソリューションについての情報交換も盛んです。日本で成功したやり方を本社や他拠点にフィードバックすることも多くなりました。

ECの先駆者となり、その活用レベルを高めてきたTMGは現在、ゴルフ業界でトップクラスのEC売上を誇っています。そして、コロナ禍で店舗集客が難しくなる中、ECはビジネスを下支えしてくれる存在になったのです。

 
 

2. CVRが27.5%向上、EC売上全体は145.8%増加

2021年夏、まだコロナが収まらず、EC売上が急進する中で、Salesforce Commerce Cloudのバージョンアップを実施することになりました。立ち上げのころから日本のECを担当してきたコンシューマ・ダイレクト シニアスペシャリスト 河崎 諭氏は、「新しいプラットフォームに慣れて、ようやくいろいろなことをできるようになったタイミングでバージョンアップですからね。当初は不安でしたが、グローバルの決定ですし、これを機会により活用を深めたいと前向きに考えるようにしました」と話します。

コロナ以前、EC売上は全体の10%程度でしたが、現在は40%弱。外出制限があったころ、ECの売上の全体に占める割合は、より高い数字でした。「ゴルフは密になりませんから、コロナ禍でゴルフブームが起こりました。ブランド認知度も高まり、この4年間はかつてないほどの成長です。ECをテコ入れすることで、さらなる成長を目指しました」(メイトランド氏)。

バージョンアップとともに新たに取り組んだのがサイト内検索の改善です。サイト内検索は標準機能で提供されていますが、商材やユーザー層によってニーズが異なることから、専門家のアドバイスを欲しいと考えていました。そして、この部分が改善されれば、コンバージョンレート(CVR)の向上に大きく寄与することが期待できました。そこで、Salesforceのカスタマーサクセスマネージャーの活用支援を受けることにしました。
プロジェクトでは、カスタマーサクセスマネージャーがサイト内検索のチューニングを提案。検索辞書を活用したほか、検索結果がノイズになることやヒットしないキーワードを分析してチューニングするなど、地道な作業も含まれます。同時に、並び替えルールも見直しました。動的ルールを適用してパーソナライズを可能にし、A/Bテストを繰り返して分析することで、最適な動的ルールを設定することができました。

この取り組みにより、検索の精度は徐々に高まり、検索結果が表示される画面で顧客が欲しい商品を見つけやすくなりました。そして、成果は数字に表れました。検索経由の売上は76.5%増加し、カート投入率は56.3%改善。CVRは27.5%向上し、ECによる売上全体で145.8%増を記録しました。

コンシューマ・ダイレクト マネージャー 萩原 朋之氏は、「正直なところ、CVRがここまで改善されるとは考えておらず、驚きでした。60ページほどのUI/UXの資料を作ってくれたこともありがたかったです。データに基づき、さらに日本市場のベストプラクティスも取り入れてくれていて、宝物のように扱っています」と話してくれました。

 
CRRが27.5%向上、EC売上全体は145.8%増加
 
 
 
 

3. 検索結果が表示されなくてもレコメンドできる仕掛け

AppExchangeパートナーのソリューションは、米本社が採用して展開されたものも、日本が独自に採用したものを複数活用しています。3D/ARツールのThreekit、SEOのBotifyなどはグローバルで導入されて成果を上げています。そして今回、新たにDynamic Yieldを利用することになりました。

これは、サイト内検索を試したものの、何もヒットしなかった際に威力を発揮します。検索したワードでは表示するものがなくても、顧客の行動やコンテキストを分析し、おすすめできる商品を結果画面に表示することができます。

Dynamic Yieldの導入前、サイト内検索を試した後に何かを買ってくれた顧客の割合は、当然ながら検索によって欲しい商品が表示された顧客がほとんどです。検索結果が表示されなかった顧客の購入は、全体のわずか3.6%にすぎませんでした。導入後は、これが25.3%と大幅に改善。検索の精度アップとともに、結果が表示されなくても顧客ニーズを充たすことのできる提案の機会を得られるようになりました。

これらの取り組みは、一過性のものではありません。カスタマーサクセスマネージャーは、ナレッジをTMG社内に蓄積できるよう、定期的な情報提供の場となる勉強会を実施し、各担当者が実績を把握しながら設定変更できるよう支援しています。

河崎氏は、「やりたいけれど、具体的なやり方がわからないというケースには多く直面します。カスタマーサクセスマネージャーは、そのような際に本質的な視点でさまざまなアプローチがあることを提案してくれます。私たちのアイデアの幅を広げてくれるような存在です」と話しています。

今後は、O2O(Online to Offline)のさらなる進化も見据えています。組織を変え、メイトランド氏が日本国内25店舗の統括責任者も兼務するようになったのです。EC出身者が店舗も統括するのは同社として初めて。ECサイトで注文し、店舗で受け取れるような仕組みを作りは早期に実現したい考えです。

メイトランド氏は、「さらに将来は、ECサイトで店舗在庫を見られるようにし、店舗から直接出荷できるようにしたいと考えています。アウトレット商品にも需要は高く、欲しい商品が近くにないお客様も多いのです。そうしたお客様と店舗をマッチングできれば、さらにお客様の満足度を高められるはずです」と話してくれました。

 
 
※ 本事例は2022年12月時点の情報です
 

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