マーケティングオートメーション(MA)とは?機能・事例を紹介

 
最終更新日:2024.5.31
 
 

カルデラ 久美子

株式会社セールスフォース・ジャパン 常務執行役員
マーケティング統括本部 デマンドジェネレーション本部 本部長

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を自働化する仕組みやツールを意味し、近年注目されています。MAツールの機能からSFAやCRMとの違い、選び方、BtoBとBtoCにおける活用事例まで、わかりやすく解説します。

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マーケティングオートメーション(MA)とは?

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動の自動化を意味する概念、またはそのためのツールを指す言葉です。ツールを指す場合は「MAツール」といいますが、縮めて「MA」と表記される場合もあります。

MAが得意とするのは、リード(見込み客)獲得から商談に至るまでの業務効率化です。加えて、営業活動の評価・改善のためのツールとしても活用できます。MAを活用したPDCAサイクルを組めば、事業のスピーディーなブラッシュアップも期待できます。

さらに、MAによってマーケティング活動が効率化されれば、担当者のリソースをシナリオ作成やリードの精査といった、本当に注力したい部分に集中させることもできます。

マーケティングオートメーション(MA)ツールでできること

マーケティングオートメーション(MA)ツールを使うと、おもに以下のようなことが可能です。

  • 分析を自動化し、より多くの商談をより短時間で実施
  • 見込み客それぞれのカスタマージャーニーを視覚的に管理
  • 興味関心が高いWebページ閲覧者にのみ、特別なオファーをポップアップで表示
  • 見込み客の興味関心にもとづきパーソナライズされたメールを送信

MAによってできることは、作業の自動化や担当者の判断補助など、マーケティング活動の効率化が中心です。これまで人力で行っていた“作業”が減るため、担当者は施策の判断に注力できるようになり、事業推進や新しい取り組みに着手する時間が確保しやすくなります。

 
 
 
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マーケティングオートメーション(MA)が求められている背景

企業が業界の中で競争力を維持し長し続けるためには、効果的なマーケティング活動は必要不可欠です。

しかし、伝統的な手動のマーケティング手法では膨大な量の顧客や市場のデータを処理・分析しなければならず、一人ひとりの顧客との接点を最適化することは困難でした。ここに、マーケティングオートメーション(MA)が注目される理由があります。

MAは、技術の進化とともに生まれた革新的なツールであり、デジタルマーケティングの効率性とパーソナライズ化(お客様一人ひとりへの個別化)を実現するために求められています。

データを用いて顧客行動を分析し、自動化されたプロセスを通じてターゲットとなるユーザーに対して的確なコミュニケーションを行ったり、プロモーションを提供したりすることが可能です。

的確なコミュニケーションにより効果的な顧客エンゲージメントやリード生成が可能となり、マーケティングの成果を向上させられます。

BtoB事業でMAが求められる背景・理由

BtoB事業では、商談から受注に至るまで、長い購買サイクルのなかで複数の意思決定者が関与することが一般的です。

BtoB事業においては、MAを活用することで見込み顧客の行動データの収集から、リードスコアリング(商談確度の判定)やリードナーチャリング(顧客へのフォローアップ)までを効率的にすすめることができるため、営業部門に優先順位の高いリードを提供できます。

購買プロセスの各段階に合わせ、自動化されたメッセージの配信やタスク管理もおこなえるため、一人ひとりの顧客に対して迅速かつ的確なフォローアップが行われ、顧客との関係を強められます。

BtoC事業でMAが求められる背景・理由

BtoC事業においては、顧客に継続的に商品・サービスを購入してもらったり、顧客ロイヤルティを高めることがが重要な課題です。

デジタル化の影響で顧客の購買行動や顧客接点(タッチポイント)が多様化し、企業は顧客ロイヤルティを向上させるため、膨大なデータを分析したうえで顧客にアプローチする必要が高まっています。よって、これまで以上に効果的かつ効率的なマーケティング手法が求められています。

BtoC事業においてMAを使用することで、顧客の行動データや購買履歴など大量のデータをMAが処理、分析し、顧客の嗜好や行動に個別化されたアプローチをおこなうことで顧客との長期的な関係を構築することができます。

たとえば優良顧客への特別なオファーやクーポンの送信、顧客の誕生日や記念日のお祝いメッセージなど、顧客を大切にする取り組みをMAで自動化することで、現場への負担を増大させずに顧客満足度を向上させられるのです。

マーケティングオートメーション(MA)とSFA、CRMの違いとは?

マーケティングオートメーション(MA)と関連するツールに、SFA(営業支援システム)とCRM(顧客関係管理)があります。3つのツールは、いずれも営業分野に用いられますが、それぞれ担当する領域が異なります。ここでは、MA、SFA、CRMの目的と役割について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

MA:マーケティング活動の効率化

MAのおもな目的は、マーケティング活動の自動化および効率化です。担当する領域は、おもにリード獲得から商談に至るまで。効率的なリード獲得やリードナーチャリング(顧客の育成)などを通じて、成約率向上に寄与します。

MAの機能には、リード管理機能やスコアリング機能、メールの作成・配信、分析・効果測定などがあります。

SFA:営業活動の効率化

SFAとは「Sales Force Automation」の略で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれています。SFAが担当する領域は営業活動の管理で、メンバー間での情報共有や顧客情報の一元管理を通じて、営業活動の効率化を目的としています。

おもな機能には、案件管理機能や活動管理機能、顧客管理機能などがあります。

CRM:顧客情報の管理

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれています。CRMの担当分野は、顧客管理や顧客との関係構築などです。顧客の行動履歴や自社との関係性などを整理・分析して顧客とのより良い関係の構築を目的としています。

おもな機能には顧客情報管理やメッセージの配信機能、問い合わせ管理やデータ分析機能などがあります。

マーケティングオートメーション(MA)ツールの機能

マーケティングオートメーション(MA)の機能は、ツールの種類やBtoB・BtoCの違いで多少異なりますが、基本的な機能はほぼ同じです。ここでは、おもな機能をいくつか解説します。

  • リード管理
  • スコアリング
  • キャンペーン管理
  • One to One メール配信
  • コンテンツ管理
  • 分析レポート
  • SFA/CRMとの連携

1)リード管理

リード管理とは、いろいろなコンタクトポイントで得たリード(見込み顧客)の情報を管理する機能です。

たとえば、以下のような情報をひとつのIDに紐づけて一元管理します。

  • 氏名、所属や役職
  • Webサイトへのアクセス情報
  • 資料請求の履歴
  • セミナーの申込み履歴
  • 名刺交換リスト
  • 流入のルート
  • 行動履歴

MAを使えば、これらの情報を一括で管理・共有できます。

2)スコアリング

スコアリングとは、管理しているリードの行動を数値で評価し、成約見込みの推測を補助する機能です。対象となる行動には、メールの開封や自社サイトへの訪問回数などがあり、エンゲージメントが高いほどスコアが高くなり成約率が高いと推測されます。

スコアリングを活用することで、商談中の顧客に接触するタイミングを最適化できます。展示会後や研修後などでフォローするタイミングの見極めも可能です。

3)キャンペーン管理

キャンペーン管理とは、リードを商談へと導くためにマーケティング施策をタイミングよく実施する機能です。

キャンペーンには主に以下のような施策が含まれます。

  • メルマガやDMの配信
  • セミナーや展示会などのイベントの案内
  • 商品の無料体験の提供

実施のタイミングはリードの属性や行動履歴を考慮し、条件を満たしたときに実施されるように設計することができます。

4)One to One メール配信

One to Oneメール配信とは、顧客の属性や興味に応じてカスタマイズしたメールを送る機能です。個別に具体的なコンテンツを提供することで、成約率アップが期待できます。配信対象はフィルタリング可能なため、配信タイミングのカスタマイズも可能です。

メール作成を補助するテンプレート機能や、フィルタリングを補助する分析レポート機能なども搭載されています。複数の機能を組み合わせることで、リソースを節約しながら顧客一人ひとりに合わせたメールを作成できます。

5)コンテンツ管理

コンテンツ管理とは、メールやソーシャルメディア、LP(ランディングページ)など、さまざまなプラットフォームのコンテンツをまとめて管理する機能です。

たとえば、複数プラットフォームの同時更新や既存コンテンツの更新作業やリンクチェック、新規コンテンツの作成補助などの機能が搭載されています。

6)分析レポート

分析レポートとは、MAツールで実施したマーケティングに関するデータを分析し、レポートとして出力する機能です。代表的なレポートの例としては、顧客の行動分析データやスコアリングデータを利用した傾向の分析、複数のデータを掛け合わせた相関の分析などがあります。

データの分析を手作業で実施しようとすると、人材や時間など多くのリソースを必要とするため、これらを自動化できるのはデジタルツールならではのメリットです。

7)SFA/CRMとの連携

MA・SFA・CRMはそれぞれ担当する分野が異なりますが、お互い連携させることでその効果が高まります。分野ごとに特化したツールを連携させながらゴールを目指すことで、より効率的かつ効果的な営業活動が可能です。

ツールの連携を活用した例に「ザ・モデル」という概念があります。ザ・モデルでは営業プロセスをマーケティング、インサイドセールス、外勤営業、カスタマーサクセスの4フェーズに分け、それぞれのフェーズにおける成果を次に引き継ぎながら目標の達成を目指します。

各フェーズの成績が最終的なフェーズに影響するため、MA・SFA・CRMを用いて各フェーズのパフォーマンスを上げれば、最終的な成績も向上するわけです。

ザ・モデルは、営業プロセスを可視化できるため、強みや弱みの発見にも役立ちます。この概念を学んでおくことで、MA・SFA・CRMをより効果的に活用できるようになるでしょう。

 
 
 
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マーケティングオートメーション(MA)のメリット

マーケティングオートメーション(MA)には主に以下のメリットがあります。

  • リードナーチャリングの効率化
  • 属人化の解消
  • One to Oneマーケティングの実現
  • マーケティングと営業活動の連携
  • 営業担当者の負担軽減

MAの導入に悩んでいる方はぜひお読みください。

リードナーチャリングの効率化

MAにより見込み客に関する情報の入手や高度な分析が可能になり、リードナーチャリングを効率化できます。

リードナーチャリングは適切な情報を適切なタイミングで見込み客に提供することが重要です。通常は大量のコストと手間がかかりますが、MAを使うことで投下するリソースをおさえつつも、効果的なアプローチができるようになります。

属人化の解消

MAを使用すれば、特定の営業担当者に頼らなくても適切な顧客管理ができるようになります。

これまでは営業担当者が抱えていた情報を社内全体で共有しながらマーケティング・営業活動ができるため、引き継ぎが容易になります。個人の力量に頼らずに会社全体の売上を伸ばすことも可能です。

One to Oneマーケティングの実現

MAにより、One to Oneマーケティングも容易に実現できます。

One to Oneマーケティングとは、顧客ごとにカスタマイズしたマーケティング活動のことです。1人ひとりのニーズや購買履歴に合わせて提案内容や提供する情報を変えるため、通常は大量の人材が必要です。

MAを利用すればOne to Oneマーケティングも自動化可能なため、人手の少ない中小企業でも実施しやすくなります。

 
 
 
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マーケティングと営業活動の連携

MAを導入すると、マーケティング部門と営業部門の連携がしやすくなります。

MAを導入する際は、営業の初期段階を以下にはっきりと切り分けます。

  • 集客
  • 選別
  • 育成
  • 商談

各段階がしっかりと線引きされることで、マーケティング部門と営業部門の業務範囲の明確化が可能です。どの担当者がどの情報を持っているのか、どの程度顧客にアプローチしているのか迷うことがないため、マーケティングと営業活動の連携もスムーズになります。

営業担当者の負担軽減

見込み客の育成をMAで行うことで、営業担当者の負担は軽減され、より商談に集中しやすくなります。

適切なタイミングでメルマガやニュースを配信するなど、見込み客の育成が自動化されれれば、営業担当者が抱える業務の削減が可能です。MAにより十分育成された状態で営業担当者が商談に臨むことにより、成約率のアップが期待できます。

マーケティングオートメーション(MA)のデメリット

マーケティングオートメーション(MA)は以下のデメリットに注意しましょう。

  • 人材の確保が必要になる
  • ノウハウ不足によりツールを活かせない場合がある
  • 運用コストがかかる

導入を検討する際はメリットとデメリットは把握してから判断しましょう。それぞれ詳しく解説します。

人材の確保が必要になる

MAの導入・運用には人材の確保が必要です。

MAを運用するまでには、ホワイトペーパーやメルマガなどの準備が必要で一時的に業務量が増えることがあります。ツールの導入を検討している段階で準備していけば人材を増やずに対応可能な場合もありますが、現場の様子を見て必要であれば、業務量を補うために人材を採用しましょう。

ノウハウ不足によりツールを活かせない場合がある

MAの使い方を十分に理解していない場合、メリットを享受できないおそれがあります。

MAは多機能な分、使い方を理解していないと上手に運用できません。機能を理解できず、単なるメルマガの一斉送信ツールとなってしまうこともあります。

うまく使いこなすためにも導入前の研修を実施することはもちろん、必要に応じて社外の専門家に頼ることも検討しましょう。

運用コストがかかる

MAの利用にはコストがかかります。ツール自体の契約費用のほか、場合によっては専門家を雇用するためのコストも必要です。

初めてMAを導入する場合は、必要な予算を慎重に検討しましょう。なるべく節約したい場合は、ツールの契約費用のみを準備し、運用体制の構築はベンダーのサポートを受けながら自社のみで実施する方法があります。ただし、ベンダーのサポートが薄いとツールの適切な運用方法を理解できないままとなってしまうので、サポート体制をよく調べておきましょう。

BtoBとBtoC、それぞれのマーケティングオートメーション(MA)活用

ここまで説明したようにマーケティングオートメーション(MA)は、デジタル時代のマーケティング活動において重要な役割を果たしています。MAを活用することで、テクノロジーを活用してマーケティングのプロセスを自動化し、効率的でに客様一人ひとりに個別化された顧客体験を提供することが可能です。

MAの果たす役割は、BtoBとBtoCとで活用領域が異なります。それぞれについて分けて紹介します。

BtoBでのMA活用領域

企業が相手となるBtoBでは、MAはリードジェネレーション(見込み顧客創出)において重要な役割を果たします。MAを活用することで、興味を持って自社Webサイトを訪れた見込み顧客の情報を収集し、メッセージの送信や関連情報の送付など自動化されたフォローアップ活動を行うことが可能です。リードスコアリングやリードナーチャリングを通じて、優れたリードを特定し、それぞれに優先順位を付けた上で営業部門に引き渡せるため、営業部門も限りあるリソースをより受注確度の高い顧客に集中できます。

さらに、MAはカスタマージャーニーの支援も可能で、ターゲットとなる顧客に対して正確かつタイムリーな情報を提供できます。顧客が直面している課題に対する情報やソリューションををタイミング良く提供することで、顧客の関心を引き、購買意欲の向上につなげられるでしょう。自動化されたメッセージ送信やタスク管理により、顧客との関係を追跡し、営業部門との連携の強化も可能です。

BtoCでのMA活用領域

個人を相手とするBtoCでは、個人がすべての決定権を有するため、ほぼすべてのフェーズでMAが活用できます。

購買履歴や行動データなどの大量のデータを活用して、顧客のセグメンテーションや個別化が可能です。

顧客に合わせたコミュニケーションを実現でき、興味や好みにもとづいて、以下のような施策ができます。

  • 新製品のお知らせ
  • クーポンの配信
  • プロモーション

顧客の誕生日や記念日などの特別なイベントに対して自動的にメッセージを送信することで、特別感を演出し、ロイヤルティを高められます。

さらに、MAは顧客エンゲージメントの効果測定や改善にも効果的です。

以下のようなデータを把握して効果的なキャンペーンの評価や改善点の特定が可能となり、マーケティング戦略の最適化に活かせます。

  • 顧客に送付したメールの開封率
  • クリック率
  • コンバージョン

ただし、どちらも共通して「リードの特性やニーズに合わせた施策で相手の興味を惹く」ことを目的としています。そのためにも、顧客を分析・理解し、継続的な関係構築につながるシナリオを考えることが重要です。

BtoBとBtoCにおけるマーケティングオートメーション(MA)の活用事例

BtoBとBtoCそれぞれのMA活用事例を紹介します。現在、自社が抱えている課題や問題と照らし合わせ、ぜひ参考にしてください。

B2C事例 お客様の一生モノの買い物 “住宅” の購入タイミングを見逃さない仕組みへ

 
会社名:殖産ベスト株式会社
事業内容:不動産

東京、吉祥寺に本店を置く不動産会社の殖産ベスト株式会社では、MAツールのAccount Engagement(旧 Pardot)SFAツールSales Cloudを同時に導入し、営業担当者1人あたりの売上を業界平均の1.6倍まで引き上げることに成功しています。

両ツールはDX化の中心施策として、2017年6月から導入されました。まず、従業員が個人管理していた情報が一元化され、全店舗の情報をリアルタイムで把握することが可能になりました。さらに、物件データの登録もツールを活用し、事務作業は大幅に減少。結果、残業はほぼゼロになり、営業担当者1人あたりの売上平均は約4,000万円と、業界平均の1.6倍まで増加しました。

さらにSales Cloudに蓄積されたデータをAccount Engagement(旧Pardot)で活用し、顧客のフィルタリングやナーチャリングを実施。週に5パターンのメールマガジンを発行し、顧客によってアプローチを変えました。これにより、メール経由の売上貢献額は約1,000万円から4年で約7,500万円まで増加しています。

B2C事例 MA導入で未フォロー客への手厚いフォローを実現

 
会社名:トヨタホーム株式会社
事業内容:住宅販売

住宅メーカーであるトヨタホーム株式会社では、MAツールのMarketing Cloudと自社開発CRMを組み合わせることで、パートナーであるディーラーの顧客をフォローアップするプロセスを実現しました。

同社は元々DX化に取り組んでいて、2020年にはWebサイトをリニューアル。Webサイトから獲得した顧客情報を担当ディーラーに自動で振り分け、各ディーラーが対応する仕組みをとっていました。このプロセスの中で顧客との関係を管理するためにCRMが必要になり、自社でCRMを開発。メーカーとディーラー両方の意見を取り入れたことで、納得感の高いツールに仕上がりました。

しかし、CRMにはMA機能が搭載されておらず、これを補うためにMarketing Cloudを導入。CRMに蓄積された顧客情報をベースに「未フォロー顧客をなくす」という目的を掲げ、リードナーチャリングに取り組みました。その結果、キャンペーンに申し込んだ顧客に対するメールは開封率40%以上、リンククリック率5%以上を実現するに至りました。

B2C事例 顧客ごとに最適化した情報発信で体験価値を向上

 
会社名:株式会社オンワードパーソナルスタイル
事業内容:衣料品の企画・製造・販売

オーダーメイドブランドを展開する株式会社オンワードパーソナルスタイルは、Salesforceを活用した「顧客カルテ」を導入し、次につながる体験価値の提供に成功しています。

採寸データや購入履歴などの基本的な情報のみならず、接客を通じて取得した各顧客の特性や嗜好など、顧客に関するあらゆるデータをService Cloudに一元化・可視化しました。来店のきっかけやスーツの着用用途、好みの色などのアンケートデータもひと目で把握できるため、担当スタッフでなくても、顧客の購買傾向や嗜好を踏まえた的確な商品を提案できます。

さらに、購入後の顧客体験価値の向上を目指し、Marketing Cloudも活用しています。顧客の属性や購入回数、購入金額などでセグメンテーションし、シナリオを組んでメールを出し分けられ、顧客ごとに最適化した情報発信が可能になりました。

B2C事例 配信ごとの反応の違いを解析して開封率がアップ

 
会社名:日本航空株式会社
事業内容:航空事業・地域事業・マイレージ事業

日本航空株式会社では、顧客とのメールによるコミュニケーションを改革するためにMarketing Cloudを導入しています。

以前は社内の複数の部署がそれぞれのリストからメールを送っていたため、1日で同じ顧客に複数のメールが届くこともありました。現状の改善のため、Marketing Cloudですべての顧客情報を統合し、より多く読まれた好感度の高いメールを制作した部署が配信頻度を高められるように改革しました。

結果、メールのコンテンツを読者の興味に適合させたものに改善すること、ターゲットを絞り込んで開封率を高める取り組みを活性化させることに成功したのです。

Web販売部では開封率がメールの開封率が4~5%アップし、クリック率も0.1~0.2%向上しました。

B2B事例 生産性が2倍向上し見込み客・問い合わせが10倍

 
会社名:株式会社マーケティングデザイン
事業内容:広告代理店

株式会社マーケティングデザインは、営業に関する個人の知識やノウハウなどの ナレッジマネジメントが目的でSales Cloudを導入しました。

バラバラに管理されていた顧客情報や行動履歴など、営業に関する全データをSales Cloudに入力。その結果、適切な行動管理にもとづく営業活動が可能になり、社員1人当たりの生産性が2倍に向上しました。また、新人でもSales Cloud内の過去の成果物などを見て短期間で営業ノウハウを学べるようになり、研修期間が従来の6分の1に短縮されました。

さらに、見込み客の育成のためにAccount Engagement(旧 Pardot)を導入し、マーケティングの自動化と効率化を進めています。

  • 見込み客ごとにカスタマイズしたメールの配信
  • Web上での見込み客の動向のリアルタイムな把握
  • 上記にもとづく最適なタイミングでの営業活動

結果、見込み客の数は一気に10倍以上に増加。問い合わせを受けて顧客を訪問した件数も、年間20件程度から、2016年に185件、2017年には214件と10倍以上に跳ね上がりました。

B2B事例 ナーチャリングの強化でウェブ集客数は3.3倍、商談数は4.4倍に

 
会社名:株式会社atsumel
事業内容:ウェブマーケティング、集客コンサルティング、インターネットメディア事業

株式会社atsumelはもともとお客様情報や商談情報を店舗ごとに紙やExcelで管理していました。フォーマットや更新頻度がまちまちなため正確性・即時性に欠け、グループ全体の経営状況が不透明でしたが、そうした状況を改善すべく導入したのがSales Cloudです。Sales Cloudの導入により、顧客・商談・物件・売上など、経営判断に必要な情報をリアルタイムで精緻に把握できるようになりました。

また、予算の主な投下先を従来のチラシや雑誌広告からWeb広告に切り替えると同時にAccount Engagement(旧 Pardot)も導入。Web広告に関する問い合わせがあれば、まずインサイドセールスがその情報をSales Cloudに入力します。次に、Account Engagementで見込み客のWeb上での行動を追跡して興味関心を把握します。効果の高いコンテンツ配信のシナリオに沿ってアプローチし、アポ取得までこぎつけました。

結果、Web広告への移行による投資の最適化によって、2014年に月間1,560万円だった宣伝広告費は、2017年にはその51%の800万円まで削減。にもかかわらず、Web経由の集客数は、同年比で348件から1,178件と3.3倍に急増しました。さらに、商談数が同年比で129件から573件と4.4倍に跳ね上がりました。

マーケティングオートメーション(MA)ツールの選び方・比較のポイント

マーケティングオートメーション(MA)を選ぶときは、以下のポイントをチェックしましょう。

  • BtoB向けかBtoC向けか
  • 同業他社の導入実績はあるか
  • サポート体制が整っているか
  • 既存システムとの連携が可能か
  • 使い勝手が良いか
  • セキュリティ対策は万全か

自社に合ったMAを探すためにも、ぜひお読みください。

BtoB向けかBtoC向けか

ツールがBtoB向けかBtoC向けかを確認しましょう。MAにはBtoB向け、BtoC向けのものがあり、それぞれ機能に違いがあります。

BtoBは組織、BtoCは個人がマーケティング対象のため、それぞれ意思決定プロセスや購入検討期間が異なります。扱うデータ量も異なるため、自社の業態に合うMAを選ぶようにしましょう。

同業他社の導入実績はあるか

同業他社の導入実績も確認しましょう。同業他社も使っているかどうかで、自社のマーケティングに活かせるかが判断できます。

とくに事業規模と業界・業種が同じ企業が使っているツールは自社に適している可能性が高いです。ツールのベンダーに問い合わせ、同業他社だとどの企業の導入実績があるか確認することをおすすめします。

サポート体制が整っているか

ベンダーのサポート体制が整っていることもポイントです。サポートが充実していると機能を使いこなしやすく、スムーズに運用できます。

とくに、ツール導入後の運用体制の構築に社外の専門家を雇わない場合は、ベンダーのサポートが充実しているかどうかが重要です。各ベンダーに問い合わせてどのようなサポートが受けられるか確認しましょう。

サポートしてもらえる期間も確認することをおすすめします。

既存システムとの連携が可能か

社内で使っている既存システムと連携できるかどうかも必ず確認しましょう。既存システムと連携すると、より高度なマーケティングの自動化ができます。

たとえば、SFAやCRMと連携できるとマーケティング部門と営業部門の連携を強化できます。

複数の管理システムが存在しており、それぞれとの連携が難しい場合は、MAの導入をきっかけにシステム全体の見直しをしてもよいでしょう。

使い勝手が良いか

使い勝手の良さも比較してみましょう。使い勝手が悪いと機能を使いこなせず、適切に運用できません。

最初から多機能なツールを導入しても、すべての機能を使いこなせず、費用がムダになってしまうこともあります。安価なツールを試験的に導入し、担当者のスキルを磨いてから多機能なツールを導入することも検討しましょう。

また、ツールによってはデモ体験や無料トライアルができるものもあります。実際に体験してみて、どれがよいかチームで話してから選ぶことをおすすめします。

セキュリティ対策は万全か

ベンダーのセキュリティ体制にも着目しましょう。MAは基本的にクラウド上に情報を管理しており、情報漏えいを防ぐためにはセキュリティ対策が重要です。

ベンダーが以下のようなセキュリティ対策に関する情報を公開しているか確認してください。

  • システムの耐障害性
  • データセンターの保護状態
  • 情報セキュリティ監査の有無

また、一定水準の情報セキュリティ対策ができている証明である、PマークやISMSクラウドセキュリティ認証を取得しているベンダーもおすすめです。

どのようなセキュリティ対策をとっているのか、社内のセキュリティ基準を満たしているかを確認し、安全性を検討してください。

 
 
 
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マーケティングオートメーション(MA)を活用して業務を効率化しよう

マーケティングオートメーション(MA)は、さまざまな機能を備える、高いポテンシャルを秘めたツールです。単体での運用はもちろん、SFAやCRMと連携することで、顧客獲得やLTV(顧客生涯価値)向上などをより効果的に実現できるでしょう。

そのためにも、MAを始めとしたデジタルツールを理解し、知識とノウハウを蓄積することが重要です。MAに何ができるか、何ができないのかをきちんと理解し、マーケティング戦略、営業戦略に役立ててください。

なお、SalesforceのMA「Marketing Cloud」は、リアルタイムで一人ひとりに合わせた顧客体験の提供を可能にします。

顧客のあらゆるデータを統合し、AIが最適なマーケティング戦略を提案します。下記からデモ動画の視聴ができますので、マーケティングを効率的に実施したい方はぜひご覧ください。

 
 
 
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顧客のあらゆるデータをリアルタイムに統合し、お客様一人ひとりにパーソナライズした体験を提供する方法、PDCAを高速で回すための分析やマーケティングオートメーション(MA)について解説します。
 

監修者

 
 

カルデラ 久美子

株式会社セールスフォース・ジャパン 常務執行役員
マーケティング統括本部 デマンドジェネレーション本部 本部長

経歴:

BtoB領域におけるマーケティング戦略立案・実行を主とし、製造、半導体、IT、化学などさまざまな業種の大手外資系企業のマネジメントに従事した後、2017年Salesforce入社。大手から中小企業、業種別アプローチなどあらゆるキャンペーンモデル生成と販売パイプラインの醸成をミッションとしたセグメントキャンペーン、コーポレートイベント、デジタルマーケティング、マーケティングオペレーション&アナリティクスチームを牽引。

Salesforceのベストプラクティス“The Model”を体現し、営業、マーケティング面での組織体系化による顧客発掘のKPIを担う責任者。

 

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